Don’t steal my posts. All posts on this blog are written by me.

House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS ゾンビの絨毯。ー「ワールド・ウォー Z World War Z」

<<   作成日時 : 2018/11/02 16:21  

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

お盆休みもとうに終わりまして、情け容赦なく通常モードでお仕事の日々が戻ってきた方も沢山いらっしゃると思います。朝夕は少し凌ぎやすい気候になったとはいえ、日中の暑さはまだまだ尋常じゃござんせん。夏の間の疲労が蓄積された身体は、病気にもかかりやすいものです。皆さん、お気をつけくださいませね。


お盆休みの間、我らザ・豆ーズは二つの水族館に突撃いたしました。まあ、気分だけでも涼やかになろうかと目論んでいたのですが…現実は厳しいわ。

画像

兎に角、どこを向いても、こんな顔した人、ひと、ヒトの大群ばかり。一度人混みの中に捕われると、そこから抜け出すのは至難の技となってしまいます。外気の異常な暑さのせいで、特に建物の中は涼を求めて逃げ込んできた人でごった返しておりました(笑)。それでもなんとか、人の群れを掻き分け掻き分け、時には押しのけて(笑)、子豆たちに水族館巡りを楽しんでもらいましたとさ。

さて、先週末、わたくしめは自由時間を頂きまして、映画館に単独突撃して参りました。今夏の日本国内の映画興行成績は如何ほどで、どのような内訳になっているのか分かりませんが、映画館で上映される作品のラインナップを見る限り、邦画やアニメ作品に偏った、“内向き”の興行になっているのかなあと思いましたねえ。映画界もそりゃ内情は厳しいですから、夏休み中の子供達や普段あまり映画館に来ることのない層の潜在的経済力を狙って確実に稼いでいかないといかんのは理解できるのですが…。何だか寂しいものよのぅ。

さて。

馳せ参じた映画館内も、やっぱり避暑難民の群れで足の踏み場もない状態でした。

画像

「あづい〜〜水くれ〜〜」

ここでも人の群れを押し退けなぎ倒してチケットをもぎ取った映画は、既に記事にした「スタートレック イントゥ・ダークネス」と、映画館同様、既に人ではないモノの大群(笑)が雲霞の如き勢いで押し寄せる「ワールド・ウォーZ World War Z」、そして何回観たら気が済むねんと突っ込まれそうな「パシフィック・リム Pacific Rim」でした。今ちょっと心身共に疲れていて小難しい映画を観る気にならないので、チョイスは大作ばかりになっちゃいましたね。

「ワールド・ウォー Z World War Z」(2013年)
監督:マーク・フォースター
製作:ブラッド・ピット他。
製作総指揮:マーク・フォースター他。
原作:マックス・ブルックス「WORLD WAR Z」(文藝春秋刊)
原案:マシュー・マイケル・カーナハン&J・マイケル・ストラジンスキー
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン&ドリュー・ゴダード&デイモン・リンデロフ
撮影:ベン・セレシン
プロダクションデザイン:ナイジェル・フェルプス
衣装デザイン:マイェス・C・ルベオ
編集:ロジャー・バートン&マット・チェーゼ
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ブラッド・ピット(ジェリー・レイン)
ミレイユ・イーノス(カリン・レイン)
ジェームズ・バッジ・デール(スピーク)
ダニエラ・ケルテス(セガン)
デヴィッド・モース(バート・レイノルズ)
ルディ・ボーケン(ユルゲン)
ファナ・モコエナ(ティエリー)
アビゲイル・ハーグローヴ(レイチェル・レイン)
スターリング・ジェリンズ(コニー・レイン)他。
妻と2人の娘と平穏な日々を送っていた元国連捜査官のジェリー。ある日、家族を乗せた車で渋滞にはまった彼は、謎のウィルス感染によって凶暴なゾンビが瞬く間に増殖する現場に遭遇してしまう。そして必死で家族を守り、間一髪で逃げ延びたジェリーのもとに、現場復帰の要請が入る。いまや謎のウィルスの爆発的な感染拡大で、全世界が崩壊しようとしていた。そこで、かつて伝染病の調査や紛争地域での調停に手腕を発揮してきた彼に、調査隊への協力が求められたのだった。愛する家族の安全と引き換えに、調査への同行を決意したジェリーは、米軍とともに、混乱が拡がる世界各地の感染地域へと向かうのだったが…。
allcinema online より抜粋

画像

“あのブラッド・ピットがゾンビ映画に出るんすかぁ?!”という無理もないリアクションを世界中に巻き起こした「ワールド・ウォーZ」は、“Z”が“Zombie”を意味する通り、ゾンビの大量発生、爆発的拡散によって、人類が為す術もなく滅亡していかんとするアポカリプス映画です。

既に本編をご覧になった方々の反応を見ると、原作からの翻案がワープ航法並みに飛躍していて、原作に惚れ込んでいる向きには賛否両論分かれているようです。小説を映像にする場合のジレンマは如何ともしがたいですが、原作派の皆さんのお気持ちも痛いほど分かります。なにしろ私自身、原作の持つ独創的な発想と、様々な立場にある複数の人物が見た世紀末を綴れ織っていく、ドラマ部分の壮大なスケールとリアリティに感動したクチですから。

WORLD WAR Z
文藝春秋
マックス・ブルックス

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by WORLD WAR Z の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

実は、原作では登場人物の一人に過ぎないキャラクターと、彼にまつわる一部のエピソードに枝葉諸々付け足して完成したのが、この「ワールド・ウォー Z」です。その結果、“アメリカ人の理想とするヒーロー像”や“アメリカこそが世界を救うのだ”という毎度おなじみの自画自賛で終始することになった今作には、“ゾンビが変えた世界の歴史を地球規模で俯瞰する”という原作のテイストはあまり感じられません。タイトルで“ワールド・ウォー”とうたってはいてもね。ゾンビ駆逐のための方法を探して、ジェリーが世界中を走り回っていても、ね。今作は、あくまでもアメリカの視点を軸にした、ハリウッド色のゾンビ・アポカリプティック映画の枠を外れていない内容だと思います。蛇足ながら、ゾンビ映画では大切なお約束事である“ゾンビの基本的性質”も、原作からいくつか変更されている点もあり、こんなことなら、この映画は原作とは別物と割り切っちゃった方がいいかもしれませんね。

ただまあ、ストーリーの語り手、視点が元国連職員ジェリー(この役をブラッド・ピットが演じます)一人に統一された分、この作品の中で“何が起こって、何故そうなったのか、また、それに対して人々がどう対処したか”という謎の解明部分が、随分わかりやすくはなりました。

まあ、原作者も苦笑していたように、諸々のハリウッド映画のお約束を差っ引いても、映画版は映画版で充分面白かったしやはり怖かったです。ジョージ・A・ロメロ監督が最初に製作したゾンビ映画の聖典「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」以降、“ゾンビ”の解釈も定義も多岐に渡り、あらゆるゾンビ映画で独自のローカル・ルールが設けられるようになりました。設定がバラエティ豊かになった分、個性的で面白い作品は数多く作られてきたと思うのですが、本当の意味で怖いゾンビ映画というやつには、なかなか出会えなかったような気もします。

ところが「ワールド・ウォー Z」は、本編を観ていて本能的に恐いと感じた久しぶりのゾンビ映画になりました。その理由は多分に、個々のゾンビを“元人間”の怪物と捉えるのではなく、単なるモノ…というか、蟻のように群れを成す“昆虫”のごとき無造作さで描いている点にあります。個としてのゾンビが背負う(背負っていた)背景一切を、人間からゾンビに変わった瞬間に完全に否定してしまうのですね。私自身は、こんな非情な描写にこそ、むしろ今作のそら恐ろしさを感じたもんです。

ここから少しネタバレになりますが、今作ではゾンビ化する要因が“未知のウィルス感染”であることから、人間はあっという間にゾンビになっちまいます。そう、風邪ウィルスがあっという間に広がってしまうように。人間がゾンビになってしまうまでの間の葛藤や苦悩といったドラマ性なんぞ皆無。噛まれた次の瞬間には“ウガゴエガギョエエエエ!”って蘇ってゾンビ化完了(笑)。早過ぎ(笑)。情緒もへったくれもなし(笑)。まるで機械の部品を作っているように、ぽいぽいぽいぽいゾンビが生まれます。そしてゾンビになったら、速やかに獲物(生きてる人間)を求めて他のゾンビ個体と群れになって全力疾走!速い速い。今作のゾンビたちは、とにかくわき目も振らず一心不乱に獲物に向かって突進します。生前どうだったか知りませんが、めでたくゾンビになった方々は、皆さんアスリート並にフルスピードで走るのです。

画像

人間が対ゾンビ用に築いた壁だって、ほれこの通り。とにかく次から次へと量産できる強みをバックに、彼らは物量で勝負をかけてきますからね。我先に壁の中の獲物にたどり着かんと、だんご状態になってるゾンビ集団を踏み台にして、さらにその上にゾンビの群れがウワワワーンとのしかかっていく。彼らそれぞれはゾンビの本能に従い、てんで勝手に動いているだけなのですが、ゾンビの本能ってやつはごくごくシンプルであるため、大量の群れの行動も、誰かに引率されているかのように妙に統制が取れているように見えます。それがかえって不気味なんですよね。

黒い絨氈 [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2010-08-06

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 黒い絨氈 [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

個人的には、子供の頃に観て以来、今もってトラウマが尾を引くパニック映画「黒い絨毯」(1954年製作、ジョージ・バル監督、チャールトン・へストン、エレノア・パーカー主演)と同種の生理的嫌悪感、恐怖を強烈に感じました。ううう、あの人喰い蟻マラブンタの大群が押し寄せる時の感覚ときたら……!

そういった、なんていうんでしょうね、元人間であったことすら思い出せないぐらい、“個々のゾンビを虫ケラ以下の存在と捉える”殺伐とした描写を徹底させたのは、物量を惜しまずゾンビを大量製造・投入し、問答無用で人類滅亡を思い知らせる映像のど迫力でしょう。こればっかりは、やはりハリウッドでないと実現不可能なリアリティです。

…今ちょっと調べてみたら、何とこの作品、低予算が当たり前のゾンビ映画(予算がないからこそのゾンビ映画でもあるわけですが)にしては破格の、2億ドルもの製作費が費やされておりました。もっとも、ここまで製作費が膨らんだのは、作品の最終的な出来上がりを巡って主演、製作のブラッド・ピットとマーク・フォースター監督(「ステイ」「ネバーランド」「007 慰めの報酬」など)の間で深い対立があり、新たにライターを雇って脚本を練り直し、撮り直したせいだとも噂されています。最終クレジットには、今や売れっ子クリエイターとなったデイモン・リンデロフの名前もありますが、当時彼は他のプロジェクトで手一杯の状態で、実質的にはリライトに関わっていないと聞きます。

画像

またこの作品は、原作では何十年ものスパンで続いたとされるゾンビ戦争の概略(あるいは製作側的には“ゾンビ戦争第1章”か?)を、ゾンビ化のピッチがあまりに早過ぎて対策を講じる時間が間に合わないとして、“残り少ない時間制限付き”で畳み掛けるように描きました。タイムリミットを設けたことで、物語のスリルとサスペンス要素が鋭く強調され、間延びしないテンポの良さも作品に付加されました。おまけに、ゾンビそのものも疲れ知らずで全力疾走しまくるものですから、とにかく映画全体が“速い、早い、めまぐるしい”イメージで統一されたことは、観客にとっては切迫感もプラスされて心臓に悪いことこのうえなしですね(笑)。

結局、ゾンビ戦争を巡る生者の側のドラマ要素を犠牲にしてでも、人でないモノによって世界が激変していく恐怖をひたすら叩きつけて観客を圧倒する今作は、“世紀末の恐怖をものすごくリアルに体感する”映画となりました。

“ゾンビ、ゾンビって大騒ぎしてもさ、結局最後は軍隊が出動してワクチンが完成して、生き残った人間がゾンビを皆殺しにしてハッピーエンドなんだろ?”

今見ているゾンビ映画がどんなに恐くても、私たちは、それが作り物のお話に過ぎないことを頭の片隅で常に意識しています。でも「ワールド・ウォー Z」は、世界規模で激変する天候、それに従って頻発するようになった自然災害、災害がもたらす被害が倍増し続ける状況下で、私たちは、私たちが長年破壊してきた自然から、今現在完膚無きまでの報復行為を受けているのだという現実を、嫌でも思い出させてくれます。


私たちは、近い未来のうちに、きっと何らかの方法で滅亡の危機に晒される。ひょっとしたら、観測史上初の超巨大ハリケーンが全てを吹き飛ばすかもしれないし、信じられないほど大きな地震が地を切り裂くかもしれない。あるいは、放射能がいつの間にか地上の全てのものを汚染し尽くし、私たちは、他でもない私たち自身が発見したこのパンドラの箱によって、皮肉なる死滅を強いられるかもしれない。または、行き過ぎた科学の発達が、ゾンビ・ウィルスのような治療不可能な病をこの世に生み出してしまうかもしれない。

もしそうなったら、私たちはどうするだろう

どうすべきかは分かっている。生き残るために、決して諦めず、希望を捨てず、できることは何でもやらねばならんのだろ? …でも、現実は映画のようにはいかない。もっと困難なものだし、単なる一市民の私たちにできることなんてたかがしれている。死ぬことが分かっていて、なおかつ自分の死が世界にこれっぽっちも影響を与えないという場合、希望を持ち続けることは残念ながら難しい。希望は、困難にくじけない力を人間に与える尊いものだが、それが完全に打ち砕かれた時の絶望は、死よりも尚凶悪なのではないだろうか。

…ならばいっそ、歩く(あるいは走る)死者の群れに加わった方が楽だ。理性と感情は、人間を他の動物から分け隔てる貴重な要素だが、これを保持しようとするがゆえに私たちの生は苦痛に満ちることになる。いっそそんなものを捨ててしまって、本能の命ずるままただただ獲物に襲いかかるだけの生は、さぞかし単純で明快であるに違いない。喜びも悲しみも痛みも不安も恐怖も怒りも何もない、無我が支配する単一の世界。無色透明な世界でひたすら走り続け、人間を屠り続ける。他の個体のことを気にする必要もないし、自分自身の存在意義を疑問に思うこともない。それはある意味、奇跡的に純化された生き物本来の有様なのかもしれない。仮に、生き残った忌々しい人間どもの手にかかって肉体が消滅したとしても、それが何だ。歩く死者の群れは、とうの昔に痛みも恐怖も忘れているのだから何ら問題はない。ただ、消えるのみだ。

辛くも世紀末を生き残ったとして、廃墟と化した文明社会に何があるのか?歩く死者が破壊するのは、目に見える社会現象だけではないだろう。生き残った人と人の絆や、良心、優しさ…“人間らしさ”を構成するデリケートな部分をも変容させてしまう。廃墟の中に、すっかり人が変わってしまったわずかな“仲間”たちと共に取り残され、これから先の希望なき未来を思って重い重い溜息をつく時、あなたが夢にまで見た生は、果たしてそんなことだったのだろうかと自問するに違いない。

今現在私たちが直面している暗黒の未来予想図を、あなたは毅然とした態度で受け入れられるだろうか。「ワールド・ウォー Z」という映画は、この問いかけを観客に差し出しているのかもしれない。

ゾンビサバイバルガイド
エンターブレイン
マックス・ブルックス

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ゾンビサバイバルガイド の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

「World War Z」の著者マックス・ブルックスによる、遠くない未来にきっとやってくるゾンビ世紀末を生き抜くためのノウハウ本です。「World War Z」に書かれている物語が本当にあったことだと仮定して、まとめられたガイドブックという体裁でして、これがまた面白いんですわ。映画でいうところの、いわゆるモキュメンタリーのような内容の本ですが、細部にまでつじつまが合っていて手が込んでいます(笑)。原作を読まれた方にぜひお勧め。

[本書で学べること]
・ゾンビの性質、身体的特徴、行動パターン
・ゾンビと戦うための適切な武器、戦闘技術
・ゾンビへの攻撃法
・ゾンビからの完全な防御法
・ゾンビ大発生中の逃亡法

…一家に一冊「ゾンビサバイバルガイド」。ゾンビになりたくなけりゃ、必携のこと。


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ゾンビの絨毯。ー「ワールド・ウォー Z World War Z」 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる