Letter from Matt Vol.2 -「リベリオンEquilibrium」とマット

やあ、こんにちは!
ボクはカリフォルニアに住む映画監督の卵、Mattだ。クリスチャン・ベイルの大ファンでもある。

彼の新作「Public Enemies」についてだけど、アメリカでは作品の内容そっちのけで喧しい議論が持ち上がっていたんだ。マイケル・マン監督が、全編に渡ってデジタルカメラでの撮影を敢行したことで、あくまでもフィルムにこだわる人たちからかなりの反発があったそうなんだ。
…正直なところ、ボクにはどうでもいいことのように感じる。映画の撮影技術は日進月歩で進化していくのだし、それを止める手立てはない。映画製作に関わる者は必要に応じ、その技術の使い分けをすればそれでいい話だと思うからだ。

まあいい。つまらない前置きはこれぐらいにしよう。

この間は、ボクとクリスチャン・ベイルの馴れ初め(と書くと語弊があるけどね)について触れてみた。今回は、ボクが密かに愛している彼の出演作を取り上げてみたい。

「リベリオン Equilibrium」(2002年製作)
監督:カート・ウィマー
製作:ヤン・デ・ボン他。
製作総指揮:アンドリュー・ローナ&ボブ・ワインスタイン&ハーヴェイ・ワインスタイン
脚本:カート・ウィマー
撮影:ディオン・ビーブ
音楽:クラウス・バデルト
出演:クリスチャン・ベイル(ジョン・プレストン)
エミリー・ワトソン(メアリー・オブライエン)
テイ・ディグス(ブラント)
アンガス・マクファーデン(デュポン)
ショーン・ビーン(パートリッジ)
ウィリアム・フィクトナー(ユルゲン)
ショーン・パートウィー(ファーザー)
マシュー・ハーバー(ロビー・プレストン)他。

~異様に詳しいWikipedia該当ページからのあらすじ紹介抜粋~

第三次世界大戦後の世界に出現したディストピア的な都市国家リブリア。テトラグラマトン党に支配され、独裁者ファーザーが君臨するリブリアは、感情を持つことを禁じられた社会だった。そこでは感情は争いの元凶として忌避され、音楽や書籍、絵画など感情を揺り動かすものは全て“EC-10”と呼ばれる感情的なコンテンツとして禁止され、人々は政府機関が生産・配給する感情抑制薬プロジアムの服用を義務付けられていた。当局に隠れて薬の服用を拒み、美術品など EC-10物品を愛好する反乱者は、“ガン=カタ”と呼ばれる東洋武術と銃器による戦闘法を極めた特殊部隊員“クラマトン・クラリック”が処刑していた。
クラリックの中でも有数の実力者で、第1級クラリックであるジョン・プレストンは、同僚のクラリック、パートリッジがひそかにイェーツの詩を愛読していたことを突き止め、彼を銃殺する。しかし、その一件から彼の心は揺らぎ始める。ある日彼はプロジアムのカプセルを誤って割ってしまい、服用しないまま新たな同僚のクラリック・ブラントとともに仕事に出る。その日、彼はプロジアムを服用しない女性メアリー・オブライエンの尋問中、逆に彼女に動揺させられてしまう。彼女の姿にプレストンは、かつて感情に関する罪で処刑された妻を思い出し始めた。そのまま反乱者鎮圧に出動した廃墟でベートーベンの第九交響曲を聴いたこと、翌朝リブリアの朝焼けで光る摩天楼を見たことなどから感情の発露を覚えてしまう。プロジアムの服用をこっそりやめた彼は、自分の護っている社会に対する疑念を深めていく。
郊外の廃墟で、ペットとしてEC-10となりうる犬の処刑を拒んだ彼はガン=カタで警官たちを殺害してしまい、リブリア政府から違反者として疑われるが、自分を逮捕したブラントに逆に罪を着せる計略で難を逃れる。プレストンは亡妻の遺した息子のロビー、娘のリサと暮らしているが、ロビーはクラリック候補生であり、プレストンにとっては自宅さえもある意味監視された空間だった。しかし、実はロビーとリサは母の逮捕後に薬を絶っており、自由を得るための信念としてレジスタンス活動に協力し父の行動を観察していたのだった。プレストンはユルゲン率いる地下組織に身を寄せた後、ファーザーを倒すためユルゲンたちを囮とする作戦に乗る。ユルゲンたちはプレストンに捕まったという形で当局に身柄を拘束され、プレストンはその功績によってファーザーに謁見できる特権を与えられる。
しかし、ファーザーは実は何年も前に死んでおり、既にモニター上の存在でしかなかった。プレストンは、ファーザーに代わる影の最高権力者テトラグラマトン党の第3評議会副総裁デュポンとブラントに逆にはめられてしまう。罠を潜り抜けた彼は大勢の警官隊の警護を撃破し、デュポンとブラントがいる謁見の間に辿り着く。そこにはデュポン虎の子の近衛隊が待ち伏せていた。だがプレストンは瞬時の判断でガン=カタを応用する剣術によって近衛隊を、続いて模擬戦では引き分けだったブラントをも切り伏せ、ついにデュポンと一対一で対峙する。零距離での激しいガン=カタの鍔迫り合いの末、プレストンが勝利を収める。銃を奪われたデュポンは命ある者の命を奪おうとしている事を説くが、プレストンはメアリーの処刑された瞬間を思い出し、引き金を引いた。再生映像でしかなかったファーザーの演説を停止させ、それを合図に地下組織の反乱が発生する中、プレストンはメアリーの事を思い返し、自由と動乱の明日を思いながら不敵に微笑むのだった。
-Wikipediaより


いや、賭けてもいいけど、このページを執筆した人はきっと相当な「リベリオン」狂だな。ほかにも、映画に関する細々としたトリビアとか、編集ミスとか(苦笑)列挙してあって、オタクを自認するボクもうっすら恐くなるぐらい。今作に関する詳しいエピソードを知りたいなら、ぜひWikipedia「リベリオン」のページへ飛ぶことをお勧めする。

そんなわけで、結構なマニアをおびき寄せている映画(笑)「リベリオン」。実はボクは、数少ない上映映画館で数少ない観客と一緒に、大きなスクリーンで今作を観ていた人間のうちの1人なんだ。今から考えれば、これはかなり貴重な体験だったかもしれないな。今作の目玉ガン=カタの、そこはかとない可笑しさになんともいえない気分になりつつ、ほとんどスポット出演と化していたショーン・ビーンの死体演技にいろいろな意味で目頭を熱くしたものだ。

まあ、普通に評価するなら、設定から映像からストーリーからアクションから突っ込みどころ満載の、とてつもなくC級テイストな映画だろう。でもボクはこれが大好きなんだ。ひとつには、30代に突入する直前のクリスチャンの、最高に充実したルックスを堪能できるから(撮影当時27歳)。もうひとつは、デストピアから人類を救うヒーローに、逡巡や苦悩、大きな苦痛があるという点かな。ヒーローが必ずしも超人的ではなく、ごく普通の男の弱さを抱えているように、単純明快なヒーロー像になっていない部分は、大ヒット作「ダークナイト」におけるブルース・ウェインの役柄にも通じるものがある。ハリウッド産のヒーロー映画にはない醒めた感覚、開放の先にあるものが必ずしも約束されたハッピーエンドではないと匂わせる結末…。こういった独特の暗さが、熱狂的なファンを惹きつける要素なのだろう。
フィルムの度重なる使いまわしからも、今作が低予算での厳しい製作状況だったことがうかがえるが、無理をせずテレビのミニ・シリーズという形で製作しておれば、あるいはもう少し面白くなったかもしれない。「ガタカ」「華氏451」「1984」、あるいは「未来世紀ブラジル」といった映画で繰り返されたモチーフ…なにもかもが管理・統制された未来社会の薄ら寒いビジュアルは、使い古されて新鮮味を欠いてしまうけど、物語の背景をさらに描きこんで各キャラクターに深みを持たせれば、また違った解釈も可能だと思う。尤も、ウィマー監督自ら考案したという今作最大の売り、カンフーとジョン・ウー監督十八番の二挺拳銃プレイ合体技ガン=カタは、残念だけど「マトリックス」を容易に連想させてしまうという点で、オリジナリティのインパクトは薄らいでしまった。全体として、従来のSF映画が大好きなファンによって作られた、“オマージュ(あるいはパロディ)映画”の域は出ていないと思うな。

でもこの映画は、クリスチャンがアクション俳優と認知されるようになった記念すべきものだ。やはりアメリカ人俳優にはない独特のストイックさ、冷ややかさ、生真面目さが、彼を一風変わったヒーローに仕立て上げている。ボクが惹かれるのも、彼のそんな佇まいなんだ。とことん肌を露出しない学ランのごとき衣装、エキゾチックなアクションも彼には不思議と似合っている。彼の演じるプレストンは一応家族持ちという設定なんだけど、子供たちとの関係においても今ひとつ不器用そうに見えるキャラクター造形は、クリスチャン独特の雰囲気に負うところが大きいだろう。

今作には、ヒロイン的ポジションに英国の演技派エミリー・ワトソンが登場するんだ。レジスタンスの1人でパートリッジと関わりがあり、プレストンの亡き妻の面影を持つという意味で、プレストン本人とも不思議な絆で結ばれていく役どころだ。ボクも、彼女の才能には心からのリスペクトを払いたい。彼女の出世作「奇跡の海」においても、その抜きん出た演技力と徹底した役者魂を十二分に見せ付けてくれた。今作では、プレストンを精神的に支配し、彼を救世主として覚醒せしめてゆく重要なキャラクターを軽々と演じていた。個人的には、この彼女のキャラクターをもっと突っ込んで描いた方が良かったような気もするが…。例えば、具体的にパートリッジとどのような関係にあったのか、とかね。それから…そうだな、物足りないといえば、黒幕である副総裁デュポンの小物感も気になる。もっとすらりとした切れ味を感じさせる俳優に演じてもらいたかったなあ。ボクの希望はデヴィッド・ストラザーンなんだが、みんなはどう思う?

だけど。

何度も書くようだが、ボクはこの映画が大好きだ。欠点は挙げればきりがないんだろうけど、なんていうのかな、とても愛しい映画なんだよ。映画が大好きで、自分が大好きなジャンルの映画を撮りたくてたまらない奴らが、厳しい条件で一生懸命作り上げた、愛する映画への精一杯のオマージュ。そりゃあ、プロとして見るならば、厳しい評価を下されてしまっても仕方がない作品だとは思うよ。でも、大好きな映画への不器用なラブレターのような愛情を、ボクはこの作品から感じることが出来る。それはきっと、ボク自身も映画が大好きで、将来は映画産業で働きたいと願っている人間だからだろうな。
それに、プレストンに扮しているクリスチャンの美しさは格別だよ。彫りの深い顔に落ちかかる哀しげな翳り、そのストイシズムを裏切るかのような、鍛え抜かれた筋肉の造形の美しさ。ボクのこの作品への愛情の半分は、彼の美しさに注がれているといっても過言じゃない。対象となる俳優に特別な魅力があるとき、カメラは自然とその俳優の顔に寄っていくものだ。この作品でも、照明の按配といい、クリスチャンのルックスが映えるように計算されたアングルが、そちこちで見られた。もしボクが今作のカメラマンだったら、たぶんビーブ氏と同じことをしただろうな(笑)。

ふむ。…これも何度も書くようだけど、決してボクはゲイではないんだけどね…。

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