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zoom RSS 病は人間を語る―「Dr. HOUSE ドクター・ハウス House M.D.」

<<   作成日時 : 2016/08/06 21:05   >>

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……当ブログは基本的に映画ブログですので、テレビシリーズのお話はしておりません。ですが、これまでに例外として一時期大ハマりしていたテレビシリーズ「FBI失踪者を追え! Without a Trace」の、特に初期シーズンの中で気に入ったエピソード解説を投稿したことがありました。また、次に気に入ったテレビシリーズ、やはりFBIの捜査もののドラマなのですが、「クリミナル・マインド Criminal Minds」についても少し記事にしましたね、そういえば。

そんな感じですので、まあ、私の海外ドラマ知識なんざ、たかが知れております。エンターテイメント情報に敏感な皆さんより、ほぼ5年から10年分の遅れがあるでしょう(笑)。現在、狂ったように過去のエピソードを見まくっているのが、驚くなかれ、「Dr. HOUSE ドクター・ハウス House M.D.」だという事実からして、私の海外ドラマ認識の遅れは明白です。


"People like talking about people. Makes us feel superior. Makes us feel in control. 人は他人ついて語るのが好きだ。そうすると、誰しも他者に優越感を抱けるし、相手を支配しているような気になるだろ。"

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「Dr. HOUSE ドクター・ハウス House M.D.」(2004年〜2012年放映)
製作総指揮:ケイティ・ジェイコブス、ブライアン・シンガー、ポール・アタナシオ、デヴィッド・ショア、ギャレット・ラーナー
監督:ブライアン・シンガー、ブライアン・スパイサー、フレッド・キラー、ダニエル・アティアス、デイヴィッド・ショア、デラン・サラフィアン、ダニエル・サックハイム他。
原作:デイヴィッド・ショア
脚本:デイヴィッド・ショア、ローレンス・キャプロウ
出演:ヒュー・ローリー
ジェニファー・モリソン
オマー・エップス
ジェシー・スペンサー
ロバート・ショーン・レナード
リサ・エデルシュタイン
セーラ・ウォード他。


"It's a basic truth of the human condition that everybody lies. The only variable is about what. 人間の性質に共通してみられる真実とは、すなわち『誰もが嘘をつく』ということだ。このフレーズの中で変化するのは、単に『何について嘘をついているのか』という部分だけだ"

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原因不明の難病を複数の症状から判断し、病名の特定と治療法を模索するのが、ニュージャージー州プリンストンにあるプレインズボロ教育病院の解析医部門チームである。チーフは名医として名高いグレゴリー・ハウス医師。豊かな医学的知識だけではなく、波乱万丈の人生経験から培われた独特の哲学、何ものも見逃さない鋭い観察眼、天才的ひらめきによって、どの医師にも特定できなかった病の謎を解き明かすことを天職としている。彼は解析医としては天才だが、病気の解明のためとあらば常識やルールを無視して暴走するのが毎度のことであり、彼のチーム・メンバー、彼を病院に雇い入れた院長カディ、医者にあるまじき傍若無人な治療に従わざるを得ない彼の患者とその家族、果ては彼の唯一の親友であるガン専門医ウィルソンらが、毎回毎回彼の尻拭いに奔走させられる羽目に陥る。

とにかく患者と顔を合わせるのが嫌で(曰く、“患者に情が移ると、冷静かつ客観的な診断の邪魔になるから”)、初見の検診は、チーム・メンバーのうちの誰かが担当する。その間に、カディからノルマとして押し付けられた外来患者の検診を、渋々と、しかし可能な限り最短の手間と時間で済ませる。患者の症状を見たチーム・メンバーと共に、推測される病因と病名をホワイトボードに挙げていき、悪意満載のジョークでメンバーの意見を全否定する振りを装いつつ、それらからめぼしい情報をふるいにかけてゆくのだ。そこにハウス自身の見解を加えた最良の治療法を提示し、患者の容態の経過をみる。患者の多くは、一旦は症状の改善をみせるものの、その直後に容体が急変して危険な状態に陥ったり、さらに新たな症状が発生したりして、ハウスたちチームは推理の方向性を変えざるを得なくなるのだ。変化する患者の容体に合わせ、チームの診断も二転三転した結果、最終的に、皆が一顧だにしなかったハウスの突拍子もない診断が正しかったことが証明されたりする。またあるいは、ハウスも予想できなかった意外な展開が待っていたりもする。

よく考えてみれば当たり前のことなのだが、病気の解明に必要な要素は多岐に渡る。医学的知識だけでは正しい診断は下せないのだ。真の病因を迅速に発見するためには、患者の生活環境や性格、家族や周囲の人たちとの人間関係といったものまで正しく知る必要がある。そこに病因解明の意外なヒントが隠されているものだからだ。しかしまあ、そのために、患者の自宅に不法侵入させられるチームメンバーはたまったものではないだろうが(笑)。

また、基本的に人は皆自分に都合の良い嘘をつくもので、病因の特定につながるような重大な事実であっても、保身を第一に考えて隠そうとしたりする。これは、私たちが医者にかかる際に、皆大なり小なり経験することだろう。しかし結局はそのことがチームの診断の遅れを誘発し、いくつかのエピソードでは患者が命を落とす最悪の結果を招いている。このドラマを見ていて痛感するのは、自分にとって都合の悪い事実であってもきちんと向き合って受け入れ、明らかにすることの重要性と、そういった類の勇気を持たなくちゃならんということだ。これは、なにも医療現場に限った話ではなく、人生におけるありとあらゆるシーンで成り立つ普遍的な法則だろう。

もちろん、ハウスと彼のチームがやっているように、治療の経過の微妙な変化に従って臨機応変に診断の方向性を変えつつ、今現在分かっている事実をあらゆる方向から吟味し直すこともまた、医療現場だけではなく誰にとってもあらゆる場面で求められることだ。このドラマのファンの方々は、ハウスや彼のチームが難病の治療に立ち向かう過程で明らかにする、様々な環境で暮らす人間の真の姿や、病気によってどん底まで傷ついた人たちが、それを克服して新たな一歩を踏み出す様子に、我が身を投影して大きな感銘を受けているのではないだろうか。

病気というのは不思議なもので、変な例えだが、恐怖の感情と共に、人間が素顔を守るために鎧のように纏っている理性の仮面や虚飾をはぎ取ってしまう。そう、病気と恐怖は表裏一体であり、人の真の姿をさらけ出す役割があるのだ。このドラマでは、病気という現象が、人間の本質的弱さや悪意を暴き、更にその下に隠れている善良なる部分をも明らかにする。だからこそ多くの人が惹かれたのだ。

またこのドラマのもう一つ面白い点は、私が好んで見る警察ものやFBIもの―捜査官が解決の困難な難しい犯罪に直面し、己の経験と勘を駆使して捜査に挑む物語―と同じテイストを持っていることだ。
「Dr. HOUSE ドクター・ハウス House M.D.」の場合は、捜査する対象が犯罪から病気になったというわけ。それぞれに特殊技能を持ったスペシャリストたちが集まってチームを構成しているのも、「FBI失踪者を追え! Without a Trace」や「クリミナル・マインド Criminal Minds」等、犯罪捜査ドラマと同じだ。犯罪捜査の過程で最も重要なのは、犯罪に関係する人たち全てと話し、誰が真実を述べ、誰が嘘をついているのかを見極めることだが、これも「Dr. HOUSE ドクター・ハウス House M.D.」と共通するモチーフだ。ハウスは患者やその家族に真実を話させるため、わざと彼らを挑発し、動揺させたり怒らせたり追い詰めたりする。捜査官が真実を語らせるために、被害者や容疑者を取り調べする要領と同じ(苦笑)。
こうして、ハウスは人が隠そうとする深層心理の更に暗部を暴いていく。心理面からもだが、それと同時に、チームと共に討論を戦わせた上で行う治療といった肉体面からも。このドラマを見ていると、病気という犯罪者を追い詰めていく捜査チームの闘いを目の当たりにしている気になってくる。

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ある特定の分野の才能に限っては天才だが、人としての資質は最低というある種のソシオパス(社会病質者)であるハウスは、かの有名な天才探偵シャーロック・ホームズ Sherlock Holmesを容易に連想させる。ハウスの唯一まともな友人である(笑)ウィルソン医師は、ホームズの親友ワトソン Dr. Watson医師。医療ドラマとして知的刺激に満ちたユニークな作品だが、このハウス=ホームズ、ウィルソン=ワトソンのブロマンスの行方、二転三転する医師たちの人間関係の行方も充分にドラマチックである。医療という主旋律の隣で並行して進んでゆく、ハウスやチームのメンバー、また他のスタッフたち自身の人生ドラマも興味深く、彼らの運命が劇的に変わっていく第3シーズン、第4シーズン以降は彼らの物語からも目が離せなくなる。

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知的エンターテイメント・ドラマとしてユニーク且つ優秀な「Dr. HOUSE ドクター・ハウス House M.D.」だが、主人公グレゴリー・ハウス自身のキャラクター設定も複雑でかなり興味深い。彼自身が医師の診断ミスの犠牲となり、治療の遅れから右足の筋肉の大部分を失った上に、永遠に右足を動かすことができなくなってしまった。つまり、彼自身が身体にも心にも大きなダメージを抱えた人間であるわけだ。足を切断して義足をつけることを拒否し、常に襲い掛かる酷い痛みから逃れるためにドラッグを常用、さらにドラッグ中毒の深みにまで嵌っていく生き地獄だ。そんな、深淵に落ちてしまった人間だからこそ、狂気と正気の狭間で一瞬垣間見ることのできる何かが、このドラマのメインテーマであることは明白だ。…それはおそらく、私たち凡人には計り知れない世界だろうけれども。


さて、ミュージシャンとしてアルバムもリリースしている主演のヒュー・ローリー Hugh Laurie氏。精力的にコンサートも行い、ミュージシャンの活動にも邁進されています。

Hugh Laurie - "You Don't Know My Mind" 2011 - (NEW) - Yahoo! Music
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ドラマの中でも度々ピアノを弾くシーンが挿入されていたりして、ピアニストとしての腕前にも惚れ惚れするのですが、ギターを抱えて渋いボーカルを聴かせてくれる動画が素晴らしかったので、こっそり共有させていただきましょう。これは良い。ブルージーなメロディーにぴったりの味わい深い声です。

Let Them Talk
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「Let Them Talk」 by ヒュー・ローリー Hugh Laurie
ハウス先生による初のソロ・ブルース・アルバム。実際に聴いてみて驚きました。佳曲ぞろいの良作です。心身ともに疲れた身体に染み渡るような、艶やかでスモーキーなアルバムです。現在愛聴盤の1枚になっております。興味を持たれた方はぜひ。


Didn't It Rain
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「Didn't It Rain」 by ヒュー・ローリー Hugh Laurie
ハウス先生によるブルージー・スモーキン・アルバム第2弾。今回はアルバムのアートワークから解説文から、何から何まで彼自身のアイデアを反映させたシックな作品に仕上がりました。デュエット曲が多くて、前作とはまたちょっと変わった手触りのアルバム。本当に疲れた時にこの人の歌声を聴くと落ち着きますわ。この作品も、長く愛聴盤の1枚になりそうですな。


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