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zoom RSS 美しく、哀しき「怪談 Kwaidan」(1964年)小林正樹監督

<<   作成日時 : 2015/10/14 22:02   >>

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追記しましたよ。 Finished additionally writing.

恐怖というのは、人間が持つ本能の中でも最も原始的なものの一つです。恐怖小説やホラー映画の類いが、人類の文化の片隅でひっそりと、しかし絶えることなく存続してきたのは、恐怖が人間の感情の根幹にしっかりと結びついているからでしょう。
私自身は、“私達が何を怖れるのか”を具体的に解析することで、私達がどんな人間であるのか、ひいてはどんな文化背景を持った人間であるのかが理解できるとすら考えています。恐怖の感情というのはそれ程強大で、人間からあらゆる虚飾を剥ぎ、ありのままの姿を晒け出させる力を持つからです。人間の本質を知りたければ、その人の抱える恐怖の源泉を探れば良いということですね。


画像

小泉 八雲 (こいずみ やくも Koizumi Yakumo)

1850年6月27日生まれ
1904年9月26日没(享年54歳)
ギリシャ(英国領レフカダ島)生まれ(アイルランド系、国籍は英国)

新聞記者、作家、随筆家、日本民俗学者であったラフカディオ・ハーンは、アイルランド人の父親と、出生地レフカダ島出身のギリシャ人の母を持ち、出生名をパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)という。国籍は英国であった。1854年に両親が離婚、以降ハーンはフランス、英国で教育を受け1859年に渡米した。
各地を旅して紀行文を書いたり、ジャーナリストとして様々な分野の記事を書いていたが、以前から興味を抱いていた日本に赴くチャンスとして、ハーバー・マガジン社の通信員として1890年に来日を果たした。通信員としての契約はトラブルによって破棄されたが、日本文化に魅せられ、この地に根を下ろす覚悟で日本で英語教育に携わることを決意した。翌年1891年に節子夫人と再婚し(最初の結婚はアメリカで、当時違法とされていた黒人女性とのものだったため正式な婚姻関係として認められていない)、1896年に日本国籍を取得、日本に帰化して“小泉八雲”と名乗った。節子夫人や周囲の人たちから見聞した日本各地に伝わる伝承、民話(主に怪奇的な幽霊譚)に着想を得て、それらに想像力と民俗学的考証を加えて情感豊かな文学作品として昇華した傑作短編集「怪談 Kwaidan」などを著した。その一方で、日本文化を広く海外に紹介する著作を多く残し、ドナルド・キーンやアンドレ・マルローらと並んで著名な日本文化研究家として、海外にも日本にも多大な貢献を果たしている。

節子夫人の間には4人の子供を授かったが、1904年9月26日、狭心症のため惜しまれつつ急逝した。享年54歳。西洋文化のまなざしと知識でもって東洋文化を見つめ、研究し、愛した生涯であった。

●小泉八雲記念施設
小泉八雲旧居(ヘルン旧居)
小泉八雲記念館
焼津小泉八雲記念館

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「怪談 Kwaidan」(1904年刊行)

第一部:怪談 (The Ghost Stories)
耳無芳一の話 (The Story of Mimi-Nashi-Hoichi)
おしどり (Oshidori)
お貞のはなし (The Story of O-Tei)
乳母ざくら (Ubazakura)
かけひき (Diplomacy)
鏡と鐘 (Of A Mirror And A Bell)
食人鬼 (Jikininki)
むじな (Mujina)
ろくろ首 (Rokuro-kubi)
葬られた秘密 (A Dead Secret)
雪女 (Yuki-Onna)
青柳のはなし (The Story of Aoyagi)
十六ざくら (Jiu-Roku-Zakura)
安芸之助の夢 (The Dream of Akinosuke)
力ばか (Riki-Baka)
日まわり (A Sunflower)
蓬莱 (Hou-Rai)

第二部:虫界 (A Collection of Essays)





小泉八雲の著作を紐解けば、彼が如何に日本の文化そのものに深い愛情を持った人間であったかは、容易に理解できます。彼の日本語は完璧である以上に、美しくも壊れやすい日本語の綴り、響き、音といった形態全てに最大限の敬意と注意を払って接していたからでしょう。彼の日本語という言葉への最も愛情が窺えるのが、やはり民話文学の最高峰にも位置する「怪談 Kwaidan」でしょうね。
私自身、子供の頃から何度も読みましたし、日本人にはよく知られたお話が主ですから、親しみ深い作品ばかりです。しかし、これらのよく知られた民話もハーンの手にかかれば、じんわりとした湿り気を帯びた、日本文化風味のゴシック調とでも呼びましょうか、日本ならではの底冷えする怪奇譚に早変わりしてしまいますね。これらの作品たちから立ち上る独特の恐怖の情景は、普段私達が見慣れた光景とは少し異質な世界観を持つもの。やはり、西洋という異質の文化背景を背負っていたハーンにしか表現できない世界だと思われます。


この短編集「怪談 Kwaidan」の中から選ばれた2つのお話「雪女 (Yuki-Onna)」と「耳無芳一の話 (The Story of Mimi-Nashi-Hoichi)」と、他の作品集「影 The Shadow」に収められたお話である「和解 An Amicable Settlement」、もう一つ別の作品集「骨董 An Antique」の中の一遍「茶碗の中 In a Teacup」を合わせてオムニバス形式で映像化した大作が、小林正樹監督のメガホンによる映画版「怪談 Kwaidan」(1964年)です。日本を代表する大スター達を起用し、小泉八雲独特の世界観を持つ怪奇譚を、可能な限り原作に忠実に映像に移植し得た映画として完成しました。


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「怪談 Kwaidan」(1964年)
監督:小林正樹
製作:若槻繁
脚本:水木洋子
原作:小泉八雲「怪談 Kwaidan」から“雪女”、“耳無芳一の話”、「影 The Shadow」から“黒髪”、「骨董 An Antique」から“茶碗の中”の計4編オムニバス
撮影監督:宮島義勇
音楽:武満徹
美術:戸田重昌
録音:西崎英雄
出演:三國連太郎
新珠三千代
仲代達矢
岸惠子
中村嘉津雄
中村翫右衛門
滝沢修他。

上にリンクを貼ったDVDは、長らく行方が分からなかった183分の原版フィルムをデジタル化した、完全オリジナル版のDVDです。完全版というだけあり、日本文化の特色が顕著に現れている恐怖の映像表現も完璧です(涙)。昔、161分の短縮バージョンですら、観賞後にトラウマになった程恐ろしかった幽霊譚が、ストーリーの底に流れる人間ドラマの哀切さも痛々しさも美しさも全ての要素が増幅された状態で、見事に蘇っておりました…。今作観賞後に、私はしばらくの間文字通りうなされたことを覚えております。この作品は、日本文化を“幽霊譚”という特殊な文化から解析した真の怪奇文化映画なのですね。

ちなみに、第一話“黒髪”は、原作のタイトル“和解”の方が、物語の最後で“和解”の真の意味が理解でき、悲しさも恐ろしさも倍増する内容だと思いますよ。第4話“茶碗の中”は、入れ子構造のストーリー展開がなかなかにトリッキーで、スリリングです。そのスリルの果てにある謎の真相が解明されたとき、やっぱり背筋が寒くなる恐怖が観客を襲います。


小泉八雲の原作の、美しい日本語で綴られた小説を読まれた後は、ぜひこの映画版もご覧になってみてください…。

まさしく“体の内側から凍りついていく”恐怖を感じること請け合いです…。



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