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zoom RSS 第11回チューリッヒ国際映画祭―The 11th Zurich Film Festival

<<   作成日時 : 2015/08/06 18:43   >>

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今年で創立11年目、まだまだ若い映画祭であるチューリッヒ国際映画祭 Zurich International Film Festivalから、今年の映画祭で目玉となるガラ・プレミア上映作品が発表されました。とりあえず、他の映画祭にも出品されて話題を呼んでいる作品6作品の名前がアナウンスされていますよ。今週中には、他の招待作品も発表されるそうです。


第11回チューリッヒ国際映画祭ガラ上映作品 The 11th Zurich Film Festival first Gala Premieres
チューリッヒ国際映画祭公式ホームページ Zurich Film Festival Official Siteはこちら


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『Kill Your Friends』
監督: Owen Harris
原作&脚色: John Niven
出演:ニコラス・ホールト Nicholas Hoult (Stelfox)
エド・スクライン Ed Skrein (Rent)
ロザンナ・アークェット Rosanna Arquette (Barbara)
ジェームズ・コーデン James Corden (Waters)他。

1990年代のロンドン。英国の音楽業界でA&Mマンとして生きる青年Stelfoxが、次なるスターを探すべく奔走するうち、のっぴきならない事態へと追い込まれてゆく。

新しいジャガー JaguarのCMでも、“悪の組織の新しいボス”にこき使われているような(笑)、ニコラス・ホールト君の新作ですね。スマッシュ・ヒットした変形ゾンビ・ラブコメ「ウォーム・ボディーズ Warm Bodies」(2013年)、“ビースト”としてやっぱりチャールズ・エグゼビア教授にこき使われている「X-MEN:フューチャー&パスト X-Men: Days of Future Past」(2014年)、ウォーボーイズの1人ながら、結果的にフュリオサ大隊長とマックスにこき使われている「マッド・マックス 怒りのデス・ロード Mad Max: Fury Road」(2015年)と、時に「ジャックと天空の巨人 Jack the Giant Slayer」(2013年)というズッコケ映画を挟んじゃったりしていますが、順調にキャリアを育んでいるニコラス。彼もそろそろ、“主演俳優”として一本の映画を背負えるということを業界に証明したいと考えているでしょう。この作品では、他にロザンナ・アークェットやジェームズ・コーデンなど実力派の助演俳優が揃っているので、さしずめ彼の役割は、アンサンブル演技の中の中核という感じでしょうかね。ダークな味わいのコメディ作品だそうですよ。今年のカンヌで、北米での配給を担当する会社と契約を結び、来年早々の公開を目指しているそうです。


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『The Program』
監督:スティーヴン・フリアーズ Stephen Frears
脚本:ジョン・ホッジ John Hodge
原作:『Seven Deadly Sins: My Pursuit of Lance Armstrong』(2012年)デヴィッド・ウォルシュ著
出演:リー・ペイス Lee Pace (Bill Stapleton ビル・ステイプルトン)
ベン・フォスター Ben Foster (Lance Armstrong ランス・アームストロング)
ジェシー・プレモンス Jesse Plemons (Floyd Landis フロイド・ランディス)
クリス・オダウド Chris O'Dowd (David Walsh デヴィッド・ウォルシュ)
ギヨーム・カネ Guillaume Canet (Michele Ferrari ミシェル・フェラーリ)
エドワード・ホッグ Edward Hogg (フランキー・アンドリュー Frankie Andreu)
ダスティン・ホフマン他。

アイルランド出身のスポーツ記者デヴィッド・ウォルシュは、ツール・ド・フランスに出場する選手たち、彼らの所属チーム、監督、選手の家族など、大会に関係する多彩な人々の取材を続けていた。ツール・ド・フランスという大会そのものを多面的に捉えた著作のためである。その間に、世界一過酷なレースであるツール・ド・フランスで、他の追随を許さぬ成績を残すランス・アームストロングと彼の周囲に、ある疑念を抱くようになった。
アームストロング選手当人と、20年にわたって彼のエージェントを務めていた右腕ビル・ステイプルトン(元水泳選手。1988年のソウル・オリンピックに出場経験を持つ)、アームストロングのチーム・ドクターでありコーチも兼任していたミシェル・フェラーリ、アームストロングのチームメイトであるフロイド・ランディスなど周辺を取材するうち、その疑念は確信に変わってしまう。彼の取材は結果的に、アームストロングのチームが組織的にドーピング・プログラムを行っている証拠を掴むことになり、その後のアームストロング自身の命運を分ける原因となった。

ツール・ド・フランス物語
未知谷
デイヴィッド・ウォルシュ

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「ツール・ド・フランス物語」
著作:デイヴィッド・ウォルシュ

ルーキー選手(当時のランス・アームストロングがそうだった)から当時のチャンピオン選手(ミゲル・インデュライン)に至るまで、大会に様々な立場で関わる人々を内側から取材し、ツール・ド・フランス大会とは一体何なのかというテーマを多角的に捉えようと試みた著作です。ウォルシュ記者によるこちらの方の“ツール・ド・フランス”解析本は、スポーツ・ルポルタージュとしても、また様々な人間ドラマが絡み合う群像劇としても面白く、大変興味深く読むことが出来ますよ。彼の取材が結果的に、ランス・アームストロングのチームの組織的ドーピングを告発することになったわけで、なんとも複雑な気分になってしまうのは否めませんけどね。

もちろん、ドーピングという行為そのものは、スポーツの持つ尊い精神、意義に反する憎むべきものであります。アームストロング氏と彼のチーム関係者が罰せられたのは当然だとしても、そのドーピングという行為の背景には結局、スポーツに我々観客が求めるものが限りなく膨らみ過ぎているという現状もあるのだと肝に銘じておきましょう。観客は無責任に、スポーツとスポーツ選手にあまりに多くのことを期待し過ぎています。自分にも到底出来ないことを、スポーツ選手の責任の範疇外であるような事柄までも、私達はスポーツ業界と選手達に強いています。巨大化するビジネス、観客からの要求が限界値を超えた結果が、昨今のスポーツ界のスキャンダルではないかと思います。その辺りの視点も、今作に盛り込まれていることを願いたいですね。
アームストロングに扮するベン・フォスター、彼の右腕ステイプルトンを演じるリー・ペイス、アームストロングのスキャンダルのキーパーソンになるウォルシュに扮するクリス・オダウドのみならず、アームストロングのチーム・ドクターになんとギヨーム・カネが扮しているなど、キャスティングはこれ以上考えられないほどフレッシュかつ見応えのある面々です。これは作品の公開が待ち遠しいですな。


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『Mistress America』
監督:ノア・バームバック Noah Baumbach
脚本:ノア・バームバック Noah Baumbach、グレタ・ガーウィグ Greta Gerwig
出演:グレタ・ガーウィグ Greta Gerwig (ブルック Brooke)
ローラ・カーク Lola Kirke (トレイシー Tracy)
チャーリー・ジレット Charlie Gillette (ケイシー Carey)

田舎から出てきた孤独な少女トレイシーにとって、待ちに待った大学生活も待ちに待った大都会ニューヨークでの生活も、はなはだ失望に値するものだった。友人のいない彼女にとって、楽しいはずのキャンパス・ライフもただただ退屈で無為に過ぎていくだけ。同じくニューヨーク・ライフも、孤独な人間にとっては鬱陶しい雑踏の中を通り抜けるだけの毎日に過ぎない。
ところが、もうすぐトレイシーの義理の姉になる予定の女性ブルックが突然トレイシーの前に現れてから、トレイシーの侘しい暮らしは一変する。ブルックは天真爛漫、ワイルドで楽しいことに目がない。ブルックはトレイシーを墓穴の中から引っ張り出し、ジェットコースターに乗りっぱなしのような、目が回るほどエキサイティングな毎日に引きずり回すことになる。

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ノア・バームバック Noah Baumbach監督、彼の私生活でのパートナーでもあるグレタ・ガーウィグ Greta Gerwig共同脚本・主演になるコンビ作「フランシス・ハ Frances Ha」は良かったなあ。実は私、これを映画館で観たのですが、なんというか大変ユニークな作品だという印象を受けました。己の小さな自尊心と拘り、過去への未練に固執するあまり、坂を転がり落ちるように不運と悲運が重なっていくヒロインの痛々しさを、一発笑い飛ばしてしまえという演出。人生のどん詰まりにはまり込み、にっちもさっちもいかなくなった人間を映画で描こうとすれば、まあ大抵は悲惨な絵柄になるもんですが、この作品ではさほどブラックにもならず、むしろ笑える絵が展開されていくところが面白いのですね。それはおそらく、ヒロインの運命が悪化すればするほど、映画全体の躍動感がぐんぐん増し、スピード感がアップしてゆくというアンバランスな演出のためでしょう。いや、“アンバランス”という表現は正しくない。ヒロインの悲劇と映画全体の力強さが反比例してゆくバランスが、むしろ絶妙だから、と言い換えるべきですな。

甘い味と辛い味を混ぜて“甘辛風味”という味を発明し、それを愛好する私達日本人にとって、悲劇も恐怖も度を過ぎれば却って笑えてしまうという感覚はよく理解できるはず。バームバック監督とグレタの名コンビは、その妙味を、手を変え品を変え、映画上で再現してくれているのではないかと思いますね。彼らの次なる“甘辛風味”トラジックコメディ tragicomedy(←これセンスの良いネーミングです)『Mistress America』も、密かに期待してしまいますねえ。


『Mon Roi』
監督:メイウェン Maïwenn
主演:ヴァンサン・カッセル Vincent Cassel、エマニュエル・ベルコ Emmanuelle Bercot

今年のカンヌ国際映画祭で上映された、女優で監督のメイウェンによるラブ・ストーリー。フランス映画お得意の、情熱的な恋に落ちた2人の男女の間で火花散る、激しいドラマです。カンヌでは『Carol』のルーニー・マーラ Rooney Maraちゃんとタイ受賞という形で、女優賞に輝いたエマニュエル・ベルコ Emmanuelle Bercotの情念の演技に期待。


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『Miss You Already』
監督:キャサリン・ハードウィック Catherine Hardwicke
脚本:Morwenna Banks
出演:ドリュー・バリモア Drew Barrymore (ジェス Jess)
トニ・コレット Toni Collette (ミリー Milly)
ドミニク・クーパー Dominic Cooper
ジャクリーン・ビセット Jacqueline Bisset
パディ・コンシダイン Paddy Considine他。

成功したキャリアとロック・ミュージシャンの夫、2人の子供達に恵まれたミリーの人生は順風万歩だった。対して、彼女の幼い頃からの無二の親友であるジェスは、低賃金の仕事に就き、羽振りのよくないボーイフレンドと一緒にボートハウスに住まう身分だ。このように、彼らの人生や境遇はそれぞれ対照的でも、だからこそというべきか、ミリーとジェスはあらゆる秘密を共有するような密接な関係を維持してきた。長年切望してきた子供を、ジェスがようやく授かったことと、ミリーが乳がんに冒されていたことが同時に判明するまでは。
ミリーは突然の悲運を嘆き、初めての妊娠に戸惑う親友ジェスに助けを求める。あまりにも境遇の違う2人だったが、ジェスは親友の非常事態に発奮し、自身、身重でありながらも、なんとかミリーの生活レベルに自分自身を合わせようと努力する。ところが、いざそうなると、ミリーとジェスの間に元からあった“境遇の違い”“考え方の違い”“習慣の違い”、そういったありとあらゆる“違い”が明確になり、彼女達の本来の関係性の邪魔をするようになる。結局、ミリーの身の上に起きた悲劇は、ミリーとジェスというかけがえのない絆をも危うくしてしまうのだった。

ドリュー・バリモアにトニ・コレットにドミニク・クーパー、そして私が個人的に大好きなパディ・コンシダインと、今旬の実力派俳優が揃った、キャスティングの顔ぶれだけで見たくなる作品ですね(笑)。キャサリン・ハードウィック Catherine Hardwicke監督は、あの大人気吸血鬼ラブ・ロマンス・シリーズの第1作目「トワイライト〜初恋〜 Twilight」の監督として一気に知名度を上げましたが、元々は切れ味鋭いインディペンデント映画で注目を集めた方です。

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(shared from Wikipedia)
キャサリン・ハードウィック Catherine Hardwicke

1955年10月21日生まれ
アメリカ、テキサス州キャメロン出身

メキシコで美術を、テキサス大学で建築学を学び、テキサス大学卒業後はカリフォルニア大学のフィルム・スクールで映画製作全般を学んだ。
映画界では、建築学、美術の知識を生かしてプロダクション・デザイナーとしてキャリアをスタートさせた。この頃に関わった作品には「スリー・キングス Three Kings」(デヴィッド・O・ラッセル監督)や「バニラ・スカイ Vanilla Sky」(キャメロン・クロウ監督)などのメジャー作品もある。その後、ニッキー・リードが自身の実体験を基に執筆した脚本でメガホンを取り、インディペンデント映画「サーティーン あの頃欲しかった愛のこと Thirteen」(2003年)を製作、映画監督として独り立ちした。思春期で精神的に不安定な13歳の少女が、両親の離婚をきっかけに非行に走っていく様子を、娘の変化に対処できずに苦悩する母との葛藤を軸に描くこの作品は、サンダンス映画祭 Sundance Film Festival、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 National Board of Review Awards等で高く評価された。また、母親メラニーを演じたホリー・ハンターが第76回アカデミー賞助演女優賞と第61回ゴールデングローブ賞助演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされ、最後には酒とドラッグに溺れる主役トレイシーを熱演したエヴァン・レイチェル・ウッドが第61回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされた。
2011年の童話の映画化「赤ずきん Red Riding Hood」では、よく知られた赤ずきんちゃんの童話に隠された生々しい性と暴力の発露を衝撃的に描き、一筋縄ではいかぬ切っ先鋭い演出力を取り戻した。

●フィルモグラフィー

2015年『Miss You Already』監督
2011年「赤ずきん Red Riding Hood」監督/製作総指揮
2008年「トワイライト〜初恋〜 Twilight」監督
2006年「マリア The Nativity Story」監督
2005年「ロード・オブ・ドッグタウン Lords of Dogtown」監督/製作総指揮
2003年「サーティーン あの頃欲しかった愛のこと Thirteen」監督/脚本

そして今年。片方が不治の病である癌に侵され、もう片方は初めての懐妊というすったもんだの事態を迎え、2人の女の友情がどのように変化するのか、に焦点を当てたドラメディを引っさげて、ハードウィック監督がシーンに戻ってまいりました。この『Miss You Already』、英国とアメリカの合作という形になってますね。英国内の配給はエンターテイメント・ワン Entertainment Oneが、アメリカ内の配給はライオンズ・ゲート Lionsgateが手がけ、英国では9月25日に劇場公開が決定しております。このチューリッヒ国際映画祭 Zurich Film Festivalでのプレミア上映をきっかけに、アメリカ内での公開日も早く決定するとよいのですが。
内容的には、よくある女2人の友情がピンチに晒されて揺れ動くドラマ…と見せかけて、ハードウィック監督ならではの、生々しくて強烈で容赦ない(笑)、女の本音と生態が描かれるのではないかと思いますよ。


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『High-Rise』
監督:ベン・ウィートリー Ben Wheatley
製作:ジェレミー・トーマス Jeremy Thomas
原作:「ハイ・ライズ High Rise 」J.G.バラード J.G. Ballard著
脚色:エイミー・ジャンプ Amy Jump
撮影:ローリー・ローズ Laurie Rose
音楽:クリント・マンセル Clint Mansell
編集:ベン・ウィートリー Ben Wheatley、エイミー・ジャンプ Amy Jump
出演:トム・ヒドルストン Tom Hiddleston (Dr. Robert Laing)
ジェレミー・アイアンズ Jeremy Irons (Anthony Royal)
シエンナ・ミラー Sienna Miller (Charlotte Melville)
ルーク・エヴァンス Luke Evans (Richard Wilder)
エリザベス・モス Elisabeth Moss (Helen Wilder)
ジェームズ・ピュアフォイ James Purefoy (Pangbourne)
ピーター・ファーディナンド Peter Ferdinando (Cosgrove)
リース・シアースミス Reece Shearsmith (Nathan Steele)
シエンナ・ギロリー Sienna Guillory (Ann Sheridan)他。

ウチの師匠ことデヴィッド・クローネンバーグ監督の「クラッシュ Crash」(1996年)の原作を書いた作家J.G.バラード J.G. Ballardには、テクノロジー三部作と呼ばれる3つの作品群があります。師匠が映画化した「クラッシュ Crash」、「コンクリート・アイランド Concrete Island」(「マシニスト El Maquinista」のブラッド・アンダーソン Brad Anderson監督が映画化する話もあったようですが企画が頓挫したか?)、「ハイ-ライズ High-Rise」ですね。いずれも、発達しすぎたテクノロジーと人間の関係のバランスが崩れ、人間社会の秩序とモラルが崩れてゆく様を描いた内容のSci-Fi小説です。
師匠の「クラッシュ Crash」(1996年)でも製作総指揮を務めた名プロデューサー、ジェレミー・トーマス Jeremy Thomasは、密かに暖めていた念願の企画―「ハイ-ライズ High-Rise」の映像化―を、恋人2人が観光ツアーに出た先で殺しに嵌ってゆく超ブラック・コメディ「サイトシアーズ〜殺人者のための英国観光ガイド〜 Sightseers」(2012年)、プロの殺し屋2人組が依頼された殺しの仕事のリスト“キル・リスト”をこなしてゆくうち、とんでもない結末に至るホラー・サスペンス「キル・リスト Kill List」(2011年)で、期待の新鋭映画監督となったベン・ウィートリー Ben Wheatley監督に託しました。
来るべき「ハイ-ライズ High-Rise」公開に先立ち、予習としてウィートリー監督の「サイトシアーズ〜殺人者のための英国観光ガイド〜 Sightseers」と「キル・リスト Kill List」を見てみました。正直、観客の好みは、モーゼの紅海斬り並に真っ二つに分かれるとは思うものの、個人的には滅法面白い作品でありましたよ。シニカルでブラック風味きつめのドラメディ作品がお好きなら、気に入っていただけるのではないかしらん。
そんなわけで、「ハイ-ライズ High-Rise」の一刻も早いお披露目と劇場公開を、首を長くして待っているわけなのですが、当初噂されていたように今年のカンヌ国際映画祭 The 68th Cannes Film Festivalでのプレミアは白紙になりました。これから開催されるメジャーな映画祭でのお披露目は、トロント国際映画祭 Toronto International Film Festivalに40周年を記念して新たに設立された“Platform”なる新進気鋭の若手映画作家を対象にしたコンペティション部門で、ということになりました。豪華なキャストをまとめあげ、今作をスタイリッシュに映像化した手腕を買われ、ベン・ウィートリー監督がノミネートされた形にはなっていますが、おそらく実質上は「ハイ-ライズ」のワールド・プレミア上映になるでしょう。その後は、スペインの映画祭サン・セバスチャン San Sebastian映画祭への招致が決定しております。〆はロンドン映画祭になるのかしら。この第11回チューリッヒ国際映画祭 The 11th Zurich Film Festivalでのプレミア上映の反響が良いことを祈りましょう。他の映画賞へのノミネート、並びに映画祭への招致もあるかもしれませんからね。

ハイーライズ (ハヤカワ文庫 SF 377)
早川書房
J.G.バラード

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「ハイ‐ライズ High-Rise」 J.G.バラード:著

J.G.バラード原作の終末論的SF小説「ハイ・ライズ High-Rise」の初の完全映像化作品。本編お披露目が長らく待たれていた作品でもある。文明社会から切り離された場所に、理想論者である建築家アンソニー・ロイヤルは独自の理念に基づいた超高層マンションを建設する。超高層マンションの中に新しい文明の枠組みを作るというロイヤルの理想は、マンションの住人であるロバート・レイング医師を魅了する。ロイヤルの理想論に心酔するレイング医師だが、新しい住人を迎えたことを発端に、外界から閉ざされた空間でもあるマンション内の住人の間で、誰がマンション内の階級制度のトップに立つかで醜い争いが起こる。やがてその争いは、敵を蹴散らして誰よりも優位に立とうとする人間の浅ましい本能を剥き出しにすることになり、マンションの上層階=特権階級を得んとして、住人の間で階級闘争が激化していく。高度に発達しすぎた科学技術や文明が、不完全な生き物である人間の精神を次第に破壊していく様を暗黒寓話的に描く“テクノロジー三部作”の一つ。

映画そのものは、トム・ヒドルストン、ジェレミー・アイアンズ、シエンナ・ミラー、ルーク・エヴァンス、エリザベス・モス、ジェームズ・ピュアフォイおじちゃん等々、人気、実力を兼ね備えた非常に豪華な俳優陣をそろえ、力の入った作品になっていると思いますので、早いところ作品の全貌が明らかになるといいですね。


スイスというお国柄なのかどうか、あるいは、まだ設立されて間もない映画祭だからか、昨今の映画界のトレンドであるアジアや中東の国から発信される映画を積極的に紹介しようという試みもなされているようです。公式サイトによりますと、この第11回チューリッヒ国際映画祭では、“Nwe World View: Iranian Cinema”と題し、ドキュメンタリー映画も含めたイラン出身の映画作家の作品を特集する特別企画を予定しているそうです。2012年度のオスカーで外国語映画賞に輝いた、アスガル・ファルハディー Asghar Farhadi監督のドラマ「別離 A Separation」なども上映されるとか。これは興味をそそられる企画です。

そして、他のプレミア上映作品の続報が入って参りました。ジョニー・デップ兄貴が久々に複雑な側面を持つマフィアのワルを演じた『Black Mass』、カナダ映画界の期待の星、ドゥニ・ヴィルヌーヴ Denis Villeneuve監督の新作『Sicario』もプレミア上映決定です。やったー!!『Sicario』ついにキターーーーーッ!!地元トロント国際映画祭 Toronto International Film Festivalでのプレミアは、まあ当然としても、他に強力なライバル作品が次々と複数の映画祭でのお披露目を決めている状況なので、トロント以外での露出は単純に嬉しい。こりゃあ、今年は世界中の映画祭から目が離せませんなあ。



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