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zoom RSS Toronto Calling!2014年度トロント国際映画祭開幕。追記。

<<   作成日時 : 2014/09/04 12:00   >>

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当「新・豆酢館」としましては、今日から開幕した北米最大の映画の祭典トロント国際映画祭(Toronto International Film Festival、以下TIFFと省略)が、カンヌに続く勝負どころになります。TIFF4公式サイトの玄関口はこちら。→Toronto International Film Festival Official

今年のTIFFも、先に終了した各映画祭で話題を集めた作品を集結させ、なおかつ新しい試みに取り組んだ、大変意欲的なラインナップになっていると思います。映画市場が小規模で、北米で観る機会のあまりなかった国で製作された映画の中から、優れた作品を厳選して広く北米の映画市場に紹介しようという目標の下、TIFFアート・ディレクターであるキャメロン・ベイリー氏が今回集められた国の候補作品を綿密に調査し、1つの国から2作品までをめどに招待作品を絞り込みました。

トロントより一足早く開幕し、北米での映画賞レースの先陣を切るテルライド映画祭が、昨年の「それでも夜は明ける 12 Years A Slave」のサプライズ上映以来、世界中の映画業界人や映画ファンからの注目を大きく集めるようになりました。今年は、オスカー前哨戦とうたわれるTIFFのラインナップと、テルライドのそれを比較する風潮ができ、著名な映画誌や映画サイトもこぞってテルライドとTIFFを比較、検討する記事を掲載するようになりましたね。私ら一般の野次馬にとっては、オスカーの行方は米大統領選の次に面白い勝負エンターテイメント。なのでどうしても、映画祭の内容をオスカー前哨戦と結び付けたくなってしまうのですよね(笑)。テルライドもトロントもそうですが、世界中の映画祭は、オスカーの前哨戦のためだけに存在するものではありません。ただ単に新作映画が紹介され、宣伝のためにスター達が集まる場所だというだけでもありません。映画祭が行われる場所の文化的発展を促すという目的があったり、映画から派生した別分野の芸術活動が紹介されたり、新しい才能や全く未知の世界で作られた映画を発掘、共有することで、映画を通じてこれまでとは違った目で世界を知り、見つめ直すチャンスを得るためであったり。本来の映画祭の意義は、実に多面的であるはずなのです。

しかし、ここ最近の映画界の傾向として、映画祭がどれもこれもオスカー前哨戦の枠組みでしか捉えられなくなり、映画祭の本来の使命が忘れ去られていますね。これは、本末転倒の憂うべき事態だと私ですら思いますもの。映画祭を運営する側の人たちの危機感はもっと深刻だろうとお察しします。そんなわけでTIFFは、映画祭の持つ多重構造を大いに活用し、“オスカーの前哨戦としての映画祭”のレッテルから脱却しようとしているのではないでしょうか。


Here’s the full #TIFF14 Mission List: 16 films to see at the Toronto International Film Festival.

All 16 titles on the Mission List are world premiere feature-length films. All are currently without distribution in Canada or the US. I’ve chosen no more than two films per country, and all films, in my view, fulfill TIFF’s mission.

Transform the way people see the world through film.

(今年のトロント国際映画祭で観られる“Mission List”全16作品をご紹介します。いずれの作品もカナダ、あるいはアメリカで配給されていない長編であり、TIFFが世界に向けてのプレミア上映を行う映画祭となります。私は世界中から厳選されてきた作品を更に絞込み、16作品を選出しました。どれもTIFFの要求するレベルを充分に満たし、『映画を通じて世界の見方を変えていこう』というTIFFの新たなる使命を同時に担ってくれる作品ばかりです。)



TIFF14 Mission List:

"1001 GRAMS", Bent Hamer
"BREAKUP BUDDIES", Ning Hao
"EDEN", Mia Hansen-Love
"I AM NOT LORENA", Isidora Marras
"IN HER PLACE", Albert Shin
"THE LESSON", Kristina Grozeva, Petar Valchanov
"MARGARITA", WITH A STRAW, Shonali Bose
"MAY ALLAH BLESS FRANCE!", Abd Al Malik
"MURDER IN PACOT", Raoul Peck
"THE REACH", Jean-Baptiste Leonetti
"RED ROSE", Sepideh Farsi
"THE RIOT CLUB", Lone Scherfig
"SAND DOLLARS", Laura Amelia Guzman, Israel Cardenas
"A SECOND CHANCE", Susanne Bier
"TIME OUT OF MIND", Oren Moverman
"X+Y", Morgan Matthews

(いずれも"作品名", 監督名の順に列挙しています)

―キャメロン・ベイリー氏の公式TumblrブログCameron Baileyから転載


世界中から集められてきた、“映画によって世界をよりよく知り、横の連携を広げていこう”というミッションを帯びたこれらの作品が、他のガラ上映作品や様々な企画上映作品と一緒に、トロントの映画館でランダムに上映されます。TIFF14の全招待作品について簡単な解説を付記し、各ジャンルごとにまとめたページがこちら。→Toronto International Film Festival Programmes

上記のページを見ていただくとわかりますが、細かくジャンル分けされた上映作品の中から、どの作品がいつどこで上映されるかについては、別立ての公式上映スケジュールのページをご覧になった方が間違いなくていいかなとも思います。公式上映スケジュール(変更があった場合もこのページで確認できますは)こちらから。→2014 Official Film Schedule

今年のTIFFは、オスカー云々はまあとりあえず横に置いといて(笑)、今までは見過ごされていた世界中の国々の個性溢れる映画を発見し、世界への理解を深めようという大きな目標を掲げています。今後もTIFFのこの方向性は益々強まっていくだろうと考えられますので、当館も、このTIFFの新たなる使命を常に念頭に置きながら、フェスティヴァルの行方を見守っていきたいと思います。もちろん、我が師匠クローネンバーグ監督の今後を左右するかもしれない問題作“Maps to the Stars”も追っかけていきますよ。


・豆酢館的見所9月8日
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「Foxcatcher」ベネット・ミラー監督、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、スティーヴ・カレル出演

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「Rosewater」ジョン・スチュアート監督、ガエル・ガルシア=ベルナル出演

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「Mr.Turner」マイク・リー監督、ティモシー・スポール出演

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「Tigers」ダニス・タノヴィッチ監督、Emraan Hashmi出演


・豆酢館的見所9月9日
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「Maps to the Stars」デヴィッド・クローネンバーグ監督、ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、ロバート・パティンソン出演

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「Mommy」グザヴィエ・ドラン監督、アントワン=オリヴィエ・ピロン、アンヌ・ドルヴァル出演

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「The Imitation Game」モートン・ティルダム監督、ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトリー出演

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「Far From men (Loin des Hommes)」ダヴィド・オルホフェン監督、ヴィゴ・モーテンセン、Reda Kateb出演


・豆酢館的見所9月10日
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「Jauja」リサンドロ・アロンソ監督、ヴィゴ・モーテンセン出演


そして9月14日の最終日には、Ryerson Theatreにて現地時間午後6時から、TIFFにおける最高賞であるピープルズ・チョイス賞(Festival 2014 Grolsch People's Choice Award)の発表と授与が行われます。先のテルライド映画祭で大きな反響を巻き起こし、多くの映画ジャーナリストや観客達を魅了したモートン・ティルダム監督の「The Imitation Game」と主演のベネディクト・カンバーバッチの演技は、果たしてトロントでどのように受け入れられるのか。まあね、今からオスカーだなんだと大騒ぎするのは、鬼が爆笑するほど時期尚早ではあるのですが、やっぱり映画賞的な見方をすると、テルライドで高い評価を得たことはベネさんにとって心強いアドバンテージになると思いますよ。

トロントでは、他にも優れた演技をみせてくれた人の作品を観ることができます。ベネット・ミラー監督の「Foxcatcher」では不可解な殺人事件の容疑者を演じるスティーヴ・カレル、カンヌ国際映画祭では見事男優賞を獲得した「Mr. Turner」の愛すべきティモシー・スポール、非英語圏の主演作品を2本共にトロントに導いたヴィゴ・モーテンセンなど。特にヴィゴの場合は、非英語作品、しかもインディペンデントの小さな小さな作品であるにもかかわらず、「Jauja」はカンヌで、「Far From Men (Loin des Hommes)」はヴェネチア国際映画祭でそれぞれ評価され、最終的に両方ともをトロントでより大きな市場向けに披露できるようにした功績は計り知れないでしょう。誰にでも簡単に出来ることではありませんのでね。優れた映画であるのに、大手の映画会社の後ろ盾を持たないばかりに陽の目を見ない、そんな作品の屍がごろごろ転がる中、より広い観客にアピールできるチャンスを得られたことには、大きな意味があると思います。

カンヌ国際映画祭でも、俳優を本職とする人たちがメガホンを取った監督作品が多数招待されていて、話題になりました。トロントでもその傾向は変わらず、ここには挙げませんでしたが、メラニー・ロラン Melanie Laurent(「イングローリアス・バスターズ」「人生はビギナーズ」「複製された男」等)の初監督作品「Breathe」、リヴ・ウルマン Liv Ullmann監督、ジェシカ・チャステイン、コリン・ファレル主演のコスチューム・プレイ「Miss Julie」辺りが気になっています。
また、キャプテン・アメリカことクリス・エヴァンスの初監督作「Before We Go」が真っ当にロマンチックでラブいお話だと聞き、違う意味で俄然興味が湧いてきたわたくしめ(笑)。気難しいインテリ俳優エドワード・ノートンの初監督作品がほろにが風味ロマンチック・コメディーだったことや、あのいかついイメージが先行するフォレスト・ウィテカーの監督作に至っては、ものの見事にハートウォーミング&ロマンチックな作品ばかりという先例も踏まえ、俳優さんたちがメガホンをとると、俳優としての自分自身についたイメージやレッテルとはあえて異なる内容の作品を作りたくなるんだろうなあと思っています。
その点、メラニー・ロランの初監督作は、ティーンの少女2人の溌剌とした、しかしどこか危なっかしい友情の物語だそうで、女優としての彼女のイメージの残り香を感じるかもしれませんね。リヴ・ウルマンは既に何本かの監督作をものにしていますので、作品スタイルはある程度完成されているのではないかと思われます。ストリンドベリによる、主/召使の立場が次第に逆転していくスリリングな物語が、必要最小限のキャラクターと舞台上で、女と男の心理的駆け引きの行方と共に緊迫感を増してゆく小説「令嬢ジュリー」。これを題材に選んだのも彼女らしいですよね。故イングマール・ベルイマン監督から引き継いだ、あの独特の世界観、映像マジックを、今度は彼女自身の監督作品に生かして欲しいなあと願っております。

いずれにせよ、エンターテイメント業界における女性のクリエイターの活躍があまりに少ない現状を、なんとかして打破できないもんかと思いますねえ。



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