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zoom RSS 「The Elevator」(short film)人生とエレベーターの共通点とは。

<<   作成日時 : 2016/01/02 07:49   >>

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今日は細かいネタで勝負します(笑)。ショートフィルムを専門に発掘してるサイトさんから教えてもろたのですよ。台詞なし、日常生活で遭遇するかもしれない、ちょっとしたアイデアで笑わせてくれる、コミカルなショートフィルムです。

人生の何たるかを経験したければ、エレベーターに乗るといい。
Short film "The Elevator"
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「The Elevator」(2010年)
監督、脚本、出演:グレッグ・グリエンナ
製作:Len Austrevich、Jackson Terhorst
撮影:Jeremy Applebaum
美術:Martha Mendez
音響:Al Delgado
編集:Jackson Terhorst

エレベーターに乗るというのは、ちょっとした運試しだと僕はいつも思っている。だって、僕の前に乗っていた人がどんな人かは分からないし、次に誰が乗り込んでくるかも分からない。同じ箱に乗るのが可愛い女性だったらラッキーだけど、人生、そんなに上手くはいかないだろ。ビルの1階から最上階まで行くのに、やたら話しかけてくる妙なおっさんと2人きりだった、なんて気まずい経験もある。

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たとえば今日。僕が乗ったエレベーターには、各階ごとに重量オーバー気味の人たちがずしずし乗り込んできた。

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“カロリーオーバー”とか“メタボ”とか“脂肪”とか。現代社会特有の病だの、あるいは豊かな物質文明特有の弊害だとか言われる、そんな言葉に呪われたみたいだ。しかし、行過ぎた食料事情を憂う前に、僕自身の状況を憂わねばならない。エレベーターは密室だし、ミステリー映画やサスペンス映画では殺人事件のメッカだ。このままでは僕も犠牲者になりかねない。“エレベーター内で圧死(または窒息)”なんて、斬新な死亡原因の第一人者にはなりたくないだろう。

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だが、僕が憂わねばならない“今そこにある危機”はまだある。今現在の、この箱内の総重量だ。僕は、同乗しているおデブさんたちの体重を推測しながら、急いでその重量を足していった。

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おいちょっと待ってくれ。今この状態で、既にエレベーターの重量制限をオーバーしてるじゃないか!僕の背中を嫌な汗が流れ落ちる。僕の恐怖と連動したのか、エレベーターが奇妙な雑音を発し始めた。今いる5階からなかなか上に上がらない。…まさか…。
ガタガタ音を立てて震えた箱は、力尽きたように急激に落下。なにかの映画でみたシーンによると、エレベーターの箱の中に乗りながら地上まで落下した人は、身体一つで地上に落下した人と同じように、やはり全身を強打して死亡するらしい。…つまり、エレベーターの中にいるからといって、無傷でいられるわけじゃないんだ。僕の脳裏に、昔の思い出が走馬灯のように駆け巡った。だが、僕の乗った箱はなんとか2階で踏みとどまってくれた。ついでに、僕の身体にも、落下によるダメージは全くない。前後左右をおデブさんたちの大量の脂肪にがっちりホールドされているので、それがエアクッションのような役割を果たしたのかもしれない。

僕は生まれて初めて、人間の持つ脂肪に感謝した。今後、脂肪に感謝する機会はそうそう訪れないだろう。エレベーターは、再びじりじりと上昇し始める。

…頼む、もうこれ以上、なんぴとたりとも乗ってこないでくれ!祈るような気持ちで扉の方を見た僕の目には、またもや5階で箱が停止し、扉が開く様子が映った。そのときの僕は、きっと顔面蒼白になっていたに違いない。扉の向こうでは、ほっそりした青年が立っていた。…よ、よかった。少なくともこれで、新たなおデブさんに箱内の酸素を横取りされることと、重量オーバーの危険は回避できた…。と思いきや。
青年は、箱内がおデブで満杯だと判断し、さっさと隣のエレベーターに鞍替えしやがった。そして、彼と入れ違いにエレベーターに近づいてきたのは、僕の同乗者のお仲間さんだった…。

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僕の頭の中で、アラーム音がけたたましく鳴り始める。動物は、自分の命が危険にさらされると、第六感というやつでそれを察知するのだそうだ。今の僕にはそれが痛いほど理解できる。僕は新たなるおデブにエレベーターを侵略される直前、その場を脱出した。

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僕は隣のエレベーターに移動した。祈ることは唯一つ、箱内が脂肪過多でありませんように、ということだ。エレベーターの神は僕の願いを聞き入れてくれたようだ。…よかった。スペースに余裕のある箱内を見て、僕は思わず涙ぐみそうになった。

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上昇していくエレベーターの中で僕はようやく安堵したのだが、それもつかの間、やがて箱内の雰囲気がおかしくなり始めた。乗っていた人たちが皆、こらえ切れなくなったように酷い咳をし始めたのだ。僕を除く全員が、鼻水を飛ばしながら咳き込む。僕は慌てて自分の口と鼻を覆った。何なんだ、一体!

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僕の疑問は、7階でエレベーターが止まった時に解明した。エレベーターのまん前に、“豚インフルエンザ治療特別室はあちら→”と書かれた張り紙があったからだ。

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…なるほどね…。

“おデブと一緒に重量オーバーのエレベーターごと落下”の危機は回避したが、結局僕は“インフルエンザ罹患”の脅威には勝てなかった。

エレベーターに乗るというのは、ちょっとした運試しだと僕はいつも思っている。だって、僕の前に乗っていた人がどんな人かは分からないし、次に誰が乗り込んでくるかも分からない。なんだかまるで、人生みたいだよね。人生というやつも運試しの連続だ。見事幸運を掴むこともあれば、運に見放されることもある。永遠にいいことばかり起こらないし、かといって悪いことばかり続くというわけでもない。そのプラスとマイナス分を最後にトータルしてみたら、きっと差し引きゼロになると思うんだ。うまくできてるよね。

エレベーターと人生の共通点を挙げてみろって言われたら、君ならなんと答える?僕かい?僕ならきっとこう答えるね。

「人生とエレベーターの共通点とは、双方共に“上がったり下ったり”を繰り返すこと。目的を持って地上から上に上がっていき、用事が済めば下に下がってきて、最後の最後には結局出発点に戻るもの」

…明日は病院に行かなくちゃ。


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グレッグ・グリエンナ Greg Glienna

1963年8月24日生まれ
アメリカ、イリノイ州シカゴ出身

●フィルモグラフィー

2010年「The Elevator (short film)」監督&脚本
2010年「ミート・ザ・ペアレンツ3 Little Fockers」キャラクター創造
2006年「Relative Strangers」監督&脚本
2004年「ミート・ザ・ペアレンツ Meet the Fockers」キャラクター創造
2003年「オトコのキモチ♂ A Guy Thing 」(原案、脚本)
1998年「Desperation Boulevard」監督&脚本
1992年「Meet the Parents」監督&脚本
1992年「The Can Man (short)」監督

このショートフィルム「The Elevator」を製作したのは、「ミート・ザ・ペアレンツ」の原作となった作品を生み出したクリエイターであり、日本ではDVDスルーとなった未公開作品「オトコのキモチ♂」などの脚本家として知られるグレッグ・グリエンナです。 上の画像からもお分かりのように、なかなかの色男。俳優としても活動しているそうですよ。

このショートフィルムの主人公に扮しているのも彼自身。いかにも押しに弱そうな、優しいけれど優柔不断そうな、それでいてちょっぴり神経質そうな、早い話が世の平々凡々な男性像をさらに均一化したようなキャラクターですよね(笑)。そんなどこにでもいそうな男性が、ごく普通の日常生活の中で遭遇する些細な出来事の中から、誰にでも覚えがありそうなハプニングを拾い上げて研磨し、思わず笑ってしまうネタに仕立て上げたものがこの作品です。グリエンナがYou Tubeに持っている彼自身のショートフィルム・チャンネルfilmmekkerをのぞいてみると、投稿されている計7本の作品は、それぞれ内容も傾向もバラエティに富んでいながら、やはり基本路線は“ごく普通の人の日常生活の中で見かけるハプニング”を丁寧に拾い上げたものだと分かりますね。

思えば、彼が関わった商業用長編映画の中で最もよく知られている「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズにしても、“結婚相手の親御さんに会いに行ったんだけど、その親御さんというのが常識をはるかに超越した人で、尋常でない経験をしたよ”という、ただそれだけのお話ですもんね(笑)。でも、その小さな“ハプニング”が次々と連鎖反応を起こし、やがて予想外の展開を招いてしまうという可笑しさは、誰にでも覚えがありそうな親近感に助けられ、観客の間にさざなみのようなクスクス笑いを広げてしまいます。なんてことないシーンなのに、その一つ一つが“ああ、あーゆーことあるよなあ”と共感を呼ぶリアリティに裏付けられているので、観ている側も自分の経験と照らし合わせて、思わず笑ってしまうという。

英国のコメディ史に残る傑作シリーズ「ミスター・ビーン」を、もっと庶民的にしたような感じかなあ。差別ネタや下半身ネタ、グロテスクでどぎついネタで観客の神経を逆なでするような、最近のさもしいコメディに辟易している私なんざ、グリエンナのほんわかした日常的なお笑いがとても新鮮に感じられます。興味がある方は、彼のYou Tubeチャンネルに収められた他の作品もぜひ観てあげてください。グリエンナのIMDbページには既に記載されていない作品ばかりですが、なかなか良い余韻を残してくれますよ。


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