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zoom RSS マイケル・ファスベンダー in 「Frank」!!

<<   作成日時 : 2013/01/17 12:35   >>

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新作コメディ「Frank」から。画像向かって左からマギー・ギレンホール、被り物のマイケル・ファスベンダー、ドムナル・グリーソン。

マイケル・ファスベンダーが新作で演じている人物“Frank”について、既にご存知の方も多いとは思いますが、こんな妙ちきりんな被り物のせいで(笑)、すっかりイロモノ扱いされているような気もします。そこで、この“Frank”とは何ぞやという命題に取り組んでみました。


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Christopher Mark Sievey (Chris Sievey)

英国チェシャー州Ashton-on-Mersey出身
1955年8月25日生まれ
2010年6月21日没(ガンのため死去)

一昔前の“おかあ○んとい○しょ”に出てきそうな、のっぺりした無表情さが却って威圧感を醸し出すキャラクター“Frank”の正式名はFrank Sidebottomといいましてね。もちろんこれは一種の芸名であり、1人の才能あるミュージシャンが生み出したアルターエゴです。そのミューシャンとはChris Sievey、英国はマンチェスターを拠点に活躍していたコメディアン/ミュージシャンでした。

英国では名の知れたコメディアン“Frank Sidebottom”というキャラクターが誕生した街Timperleyから5マイル離れたAshton-on-Merseyで生まれ育ったクリスは、1971年に一念発起、弟を伴ってヒッチハイクでロンドンに上京。プロのミュージシャンとして生きていくべく、著名なレコード会社に売り込みをかけようと、Apple Records社の前の路上に陣取ると勝手に歌い始めた。もちろんすぐ追い払われるが、スタジオでデモテープを制作することを許され、クリスはそれをたくさんのレコード会社に送り続けた。しかしそう安々と幸運が転がり込んでくるわけでもない。突き返され続けたデモテープを前に、レコード会社との契約を勝ち取ることをあきらめたクリスは、1974年に自らのレコード・レーベルRazzレーベルを立ち上げた。
1975年から1976年にかけて、クリスはソロ名義のシングル曲をミュージック・テープ(カセット)でリリース。その後は、様々なミュージシャン達とセッションを繰り返し、バンドThe Freshiesとして活動し始めた。1978年から1983にかけては、このThe Freshiesあるいはクリスwith The Freshiesという形でアルバムやEP、シングルをリリースするなど旺盛な音楽活動を行う。1981年からはGraham Fellowsをバンドに迎え、The Freshiesの活動は新しい局面に向かっていく。

“Frank Sidebottom”なるキャラクターは、もちろんクリス自身のアイデアによるアルターエゴであるが、最初にお目見えしたのは、1984年にクリス自身が手がけたビデオゲームのプロモーション用12インチシングルでのことだった。当初の“Frank”のキャラ設定は、クリスのバンドThe Freshiesの大ファンだということになっていたのだが、いざ蓋を開けてみれば、Frankが歌うコミック・ソングの人気の方がバンドのそれを上回ってしまう事態に。Frankのレコードは、その多くがマーク・ライリーのRegal Zonophoneレーベルの前身であるIn-Tapeレーベルからリリースされた。

“Frank”として英国をくまなくツアーしたおかげで、1980年代の終わりから1990年代の初めにかけて、Frankはある種のカルト人気を得るようになっていた。Frankのショーは、一応スタンダップ・コメディという形式に則ってはいたのだが、しょっちゅう伝統的なコメディ・ショーから脱線し、目新しい要素に着目し、またオーディエンスとの掛け合いによって柔軟に内容が変化していくものだった。当世風の新しいタイプのコメディアンとは異なり、Frank Sidebottomのコメディは、例えそのみてくれが奇妙であろうとも、意外にも大変家庭的な内容であったのだ。そのため、Frankのキャラクターは独り歩きを始め、1980年中盤から子供向け週刊漫画雑誌に彼の漫画が連載されるようになった。

Frankは、マンチェスターを中心に英国北西部で人気者となり、特にローカルのテレビ局ITVグラナダでレギュラー番組を持つほどまでになった。ITVのニュース番組Granada Reportsで名物レポーターとしてフィーチャーされたのを足がかりに、“Frank Sidebottom's Fantastic Shed Show”と題した冠番組を制作。さらに人気は英国全土に広がり、アンソニー・H・ウィルソン制作のゲーム・ショー“Remote Control”の英国版をはじめ、チャンネル4局の番組にも数多く出演した。“Remote Control”では隔週企画の“Frank's Fantastic Question”に登場し、挑戦者たちの前に立ちはだかったものだ。またFrankは毎週土曜日の朝に放映される子供向けのテレビショーにも登場し、その人気が主にファミリー層に支えられていたことが分かる。

テレビでの人気によって、クリスのアルターエゴたるFrank Sidebottomはマンチェスター・ピカデリー・ラジオやBBCラジオ1、BBCラジオ5などラジオにも出演を果たした。Frankはまた、そもそもこちらの方が本職だともいえる音楽でも活躍した。ミシェル・ショックト、クリスチャンズ、ソニック・ユース、ビリー・ブラッグなど豪華なメンバーが集まったチャリティー・アルバム“Being for the Benefit of Mr. Kite!”で敬愛するビートルズのナンバーを熱唱した。また後には、別のビートルズ・トリビュート・アルバム“Revolution No. 9”でも“Flying”というナンバーをレコーディングした。
ところが1990年代後半にはいると、さしものFrank人気にも翳りが見え始め、テレビやラジオに登場する頻度もぐんと減ってしまった。その後数年の雌伏を経て、2005年12月に行ったマンチェスターのクラブでのパフォーマンスがきっかけとなり、Frankは再び表舞台に返り咲く。

2006年、ついにFrankはマンチェスター・エンタメ・シーンにカムバックした。チャンネルMで始まった彼の新しいショー“Frank Sidebottom's Proper Telly Show in B/W”は、毎回著名セレブをゲストに迎え、アニメーション・コントを含めた新しいコンセプトを持っていた。それは、最初にモノクロで放映されたショーを、次の週にはカラーで放映する(内容は同じ)といった手の込んだ仕掛けである。彼の人気は復活し、ロンドンの有名番組にもゲスト出演を果たした。
Frankは、新しく創造した相棒Little Frankを伴って、突如チャンネルMの深夜放映の試験電波放送に登場した。そこで彼は昔の試験電波放送のパロディを演じ、Little Frankと共にダラダラだべったり歌ったりして視聴者を大いに喜ばせた。2007年3月には“Podge and Rodge Show”という人気番組の中のタレント発掘コーナーに出演し、ザ・スミスのナンバーをメドレーで歌った。Frankのパフォーマンスは視聴者にも審査員にも大ウケ、番組始まって以来のハイスコアを記録したという。また同年、FrankはロンドンのTate Britainのすぐ隣のギャラリーで自作の絵画やアニメ作品などの個展を開き、個展最終日にはもちろんTate Britainにも突撃パフォーマンスを行った。

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その後のFrankのキャリアは順調であった。だが、2010年6月4日に行われたThe Pyramid Arts Centreへの出演を最後に、彼が公の場に姿を現すことはなくなる。2010年6月11日にマンチェスターのパブで彼が行った、ワールドカップ応援ソング“Three Shirts On The Line”の演奏を生で聴いた人は、本当にラッキーだったといえよう。

FrankことChris Sieveyの身体は癌に蝕まれていた。

胸にできた腫瘍を取り除く手術に臨んだものの、その後病状は悪化し、2010年6月21日、クリスは自宅で息を引き取った。享年54歳であった。

クリスの死後、Frankを愛するファン達のネット上の草の根運動が功を奏し、彼の最初のヒットソング“Guess Who's Been on Match of the Day”が全英ヒットチャート入りを果たした。2010年12月にはFrankの1986年のナンバー“Christmas Is Really Fantastic”が再リリースされ、同様に英国内でヒットしている。


●ディスコグラフィー

・ソロ名義(Chris Sievey)
1975年“Girl In My Blue Jeans” cassette Hey Boss
1976年“All Sleeps Secrets” cassette Razz
1979年“Baiser”/“Last” 7-inch single Razz
1982年“Denigration Now” VHS Video Razz
1986年“Chris Sievey's Big Record” LP Cordelia

・バンドThe Freshies名義
アルバム:
1978年“All Sleep's Secrets” Razz - originally issued in 1976 credited to Chris Sievey
1979年“Manchester Plays” Razz - cassette
1979年“Sing the Girls From Banana Island...” Razz - cassette
1980年“Rough and Ready” Razz - cassette
1981年“London Plays” Razz
コンピレーション:
1985年“Johnny Radar Story” ETS
1985年“Early Razz” ETS
1985年“Studio Out-Takes” ETS
2005年“The Very Very Best of the Freshies: Some Long & Short Titles” Cherry Red
2010年“Remembering The Freshies” Cherry Red
シングル、EP:
1978年“The Freshies EP” Razz
1978年“Straight in at N°2 EP” Razz
1979年“The Men from Banana Island Whose Stupid Ideas Never Caught On In the Western World as We Know It EP” Razz
1980年“My Tape's Gone” Razz
1980年“We're Like You” Razz
1980年“Yellow Spot” Razz
1980年“No Money” Razz
1980年“Red Indian Music EP” Razz - credited to The Freshies with Chris Sievey
1980年“I'm In Love With The Girl On A Certain Manchester Megastore Checkout Desk” Razz - UK Indie No. 46, 1981年にMCAから再発
1981年“Virgin Megastore EP” Razz - 12-inch includes “Frank Talks to Chris”
1981年“Wrap Up The Rockets” MCA
1981年“I Can't Get "Bouncing Babies" by The Teardrop Explodes” MCA
1981年“If You Really Love Me, Buy Me a Shirt” CV
1981年“Dancin' Doctors” Razz/Pinnacle
1982年“Fasten Your Seat Belts” Stiff
1983年“Camouflage” Random/EMI
VHS:
1981年“Razzvizz 2” Razz

・Frank Sidebottom名義
アルバム:
1987年“Fantastic Tales” 11:37 - cassette
1988年“5:9:88” In Tape
1988年“13:9:88” In Tape
1990年“Medium Play mini-LP” In Tape
コンピレーション:
1991年“Radio Timperley” 11:37
1997年“A B C & D”
2005年“Soundreel A” mail-order only CD-R
2009年“E F G & H ”
2010年“Radio Timperley 2” Sidetrack
2010年“Frank Sidebottom's Fantastic Show Biz Box Set” Cherry Red - 4 CD's + DVD
シングル:
1985年“Frank's Firm Favourites EP” Regal Zonophone - UK #97
1985年“Oh Blimey It's Christmas EP” Regal Zonophone - UK #87
1986年“I'm the Urban Spaceman” Regal Zonophone
1986年“Sci-Fi EP (Playlist1)” Regal Zonophone
1986年“Sci-Fi EP (Playlist2)” Regal Zonophone
1986年“Christmas Is Really Fantastic” In Tape
1986年“The Oink! 45” Oink! - Frank Sidebotton with Uncle Pigg & The Oinkletts
1987年“Frank Sidebottom Salutes The Magic Of Freddie Mercury And Queen And Also Kylie Minogue (You Know, Her Off Neighbours) EP” In Tape
1987年“Frank Sidebottom Salutes The Magic Of Freddie Mercury And Queen” In Tape
1987年“Timperley EP” In Tape
1990年“World Cup EP” Rodney Rodney! - with Frank Sidebottom's World Cup Mexico '90 Togger Annual book
1993年“Panic EP” - credited to The Sidebottoms
2010年“Guess Who's Been On Match Of The Day?” Cherry Red - UK #66
DVD、 ビデオ:
1997年“Frank Sidebottom's Fantastic Shed Show”
2007年“Frank's World”
ゲーム:
1984年“The Biz Virgin Games”

1980年後半に、Frank Sidebottomとしてクリスが率いていたバンドOh Blimey Big Bandのバンドメンバーであったマーク・ラドクリフ(現在はラジオ2のDJ)は、クリスをこう述懐する。

「クリスは本当に天才だった。新しいアイデアと創造性の尽きせぬ泉のような奴だった。みんな奴のことを、どでかい被り物をした妙ちきりんな声のヘンな奴だと思ってるんだろうけど、彼は本物の天才だったんだよ。奴は、自分で作り出した別の人格の人生を上手く演じ続けたようなもんだった。オレは奴と一緒に長い間バンドでプレイしていたから分かる。奴の音楽を聴いたら、一日中冒険の旅に出かけているような気分になるんだよ。クリスこそ、マンチェスターの伝説的コメディアンさ。それだけじゃない。奴はアルバムのアートワークだって自分でこなしちまった。アニメだって作っちまったし、およそ“アート”と名のつくもので、奴にできないことはなかったんだよ。奴の生み出したものは、全てが天才的だった。」


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Frank Sidebottom

このキャラクターは、クリスがMax Fleischerの往年のコミックスからヒントを得て編み出したもの。当初は紙でこの頭の張りぼてを作っていたそうですが、後に耐久性を考慮してファイバーグラス性に変更されたとか。Frankは普段は由緒正しき50年代のスーツ・スタイルでバッチリキメており、都会にあこがれ、故郷の田舎町を出てポップスターになりたいという大志を抱いています。性格はいたって前向き、失敗してもほとんど気にも留めない能天気さ。年代に関係なく、Frankは永遠の35歳男であり、今だに母親と一緒に暮らしています。見たところ、彼の母親は息子の人気に気がついておらず、彼をイラつかせている様子。Frankは時々、自分にそっくりの指人形の相棒Little Frankを公的な場に伴っており、Radio Timperleyのラジオ番組に出演する際には、Mrs Mertonなるキャラクターを相棒にしています。FrankとMrs Mertonには共に、英国北部の典型的なライフスタイルを送りながらも、ずっとその中に埋もれていたくはないという野心を密かに抱えているという、意外な共通点があるようですね。


いや、実に面白い。

こんなに多面的で、摩訶不思議で、掴みどころのない、それでいてカリスマちっくなキャラクターをファスが演じるだなんて、感無量ではありますまいか?!それにこのお話、かなりドラマティックになると思いますねえ。映画「Frank」の方は、Chris Sieveyがアルターエゴ“Frank”に託した通り、コミカルな味付けでストーリーが語られるようですが、英国らしいほろ苦さを醸し出す“ドラメディ”作品であればいいですなあ。
冷酷な悪役、苦悩する役柄等々を好んで演じてきたファスは、実は映画の世界ではコメディは未経験の分野でしょう。それだけに、ファス・ファンの方々の楽しみも大きいのでは。おまけに、“歌うファス”がスクリーンで観られるんですからね!映画からのファーストルックは既に世界中で確認されていますが(記事の一番上にある画像ね)、早く本編を観てみたいもの。館長の期待も高まりますですよ。

参考までに、おそらくこれはFrankの最後のパフォーマンスになったと思しき演奏動画を共有してみますね。
“Frank Sidebottom's World Cup song”


私的に、期待値が3倍ほど跳ね上がったのですが、どうしましょうね!上手く料理すれば、この題材、めちゃくちゃ面白くなりそう。


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