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zoom RSS 死の砂漠を蘇らせるために―「Mine Kafon」

<<   作成日時 : 2012/11/23 23:36   >>

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砂漠を“地雷”という名の死神から取り戻すために、私はこのプロジェクトをぜひ成功させたい。 ―Massoud Hassani

“The Mine Kafon”

Mine Kafon | Callum Cooper from Focus Forward Films on Vimeo.



「Mine Kafon」(2012年)
監督:Callum Cooper
DOP:Michael Latham
撮影:Michael Latham&Mahmud Hassani&Callum Cooper
スローモーション撮影:Ed Edwards
編集:Anna Mellor
COLOR GRADER:Chris Teeder
音響:Sandy Milne
タイトル・デザイン:Ray O'Meara
製作総指揮:Bobby Kapur
製作:Alicia Brown&Michael Latham&Callum Cooper
THANKS:
Lucie Kalmar
Slowmo High Speed
Optimism Films
The RNLA explosive ordnance disposal service
Ardent Film Trustの公式サイト:Ardent Film

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僕は5歳のとき、両親に連れられてアフガニスタンはカブールのカサヴァに移り住んだ。僕達家族が住み始めた頃、その地は既に絶え間なく内戦が続いている状態だった。僕は兄マフムッドと一緒に、家の近くの高い山脈に囲まれた盆地で遊んでいたんだ。
少し大きくなると、僕らは自分たちで玩具をこしらえて遊ぶようになった。特に僕のお気に入りは、プラスチックや紙などの軽い材料で作った、風に吹かれてコロコロ転がっていく玩具だ。僕は風で転がる玩具をいくつも作り、近所の友達と一緒に、例の盆地に行ってはよく競争をしていたものだ。その盆地は高い山々に囲まれているために、年がら年中強い風が吹いていたからなんだ。

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風に吹きさらしでからからに乾いた地面に玩具をそっと下ろすと、それらは風の力でどんどん転がっていく。風の力をできるだけたくさん受けて転がるように工夫したから、玩具は予想以上に速く遠くまで転がってしまい、僕らの足では追いつかないのが常だった。夢中になって玩具を追いかけていると、目の前には“地雷が埋まっているため、ここから先は立ち入り禁止”と書かれた看板が立ちふさがる。そう、この広い広い盆地にはたくさんの地雷が埋まったままになっているので、立ち入り禁止になっている場所がたくさんあるんだ。僕らは、工夫して作った玩具が立ち入り禁止区域の中に入っていき、はるか彼方まで転がっていくのを黙って見ているしかなかった。

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20年後、僕はカサヴァに戻ってきた。子供の頃にいくつも作った、あの風の力で転がっていく球状の玩具を、再び制作するためだ。オランダのアイントホーヘン・デザイン学校の卒業制作として、僕は仲間と共に、竹と生体分解性プラスチックを使って、子供の頃の玩具の20倍以上の大きさの球体“Mine Kafon”を完成させた。

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このMine KafonにはGPSチップを搭載している。風に乗ってMine kafonが転がり始めると、僕らはこのチップによってコンピューターでその現在位置と通過した場所を追跡できる仕組みになっている。Mine Kafonの無数の“足”が地面を押すと、地中に埋まっている地雷を刺激するのに充分な圧力がかかり、地雷は爆発する。でも、Mine Kafon自体にはさほどのダメージはないんだ。球体の核の部分から足がたくさん生えている独特の構造が、爆発のダメージからMine Kafonを守っているからね。そして、Mine Kafonが通過した後の場所は安全な場所になるというわけだ。

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アフガニスタンだけでも、1000万もの地雷が撤去できずに放置されたままだ。さらに、地雷が埋まっている国はアフガニスタンだけではない。このMine Kafonは、安価かつ環境に安全な材料で量産が可能。これを使って世界中の全ての地雷を撤去できれば、人々が安心して暮らせる地域が増し、地雷によって命を落としたり重傷を負ったりする悲劇もなくなるだろう。それが今の僕の目標だ。

Ardent Filmに所属する映像作家Callum Cooperは、この一見すると実にシュールなSF的デザインのMine Kafonの噂を聞きつけると、すぐにデザイナーのMassoud Hassaniに連絡をとったそうです。そして、Hassani自身の生い立ちも紹介しながら、Mine Kafonを世に問うショート・ドキュメンタリー作品を制作しました。この作品を広めることでMine Kafonの知名度が上がれば、Hassaniが目指しているMine Kafonの大量生産が実現するかもしれません。このショートフィルム「Mine Kafon」自身も、優勝賞金20万ドルのFOCUS FORWARD Filmmaker Competition(フィルムメーカーのコンテスト)にて優勝の次点グランプリ(賞金10万ドル)を獲得しています。

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このショートフィルムはVimeoサイト上でもスタッフによって“注目すべき作品”に取り上げられていますが、その理由は、やはりMine Kafonの造形の素晴らしさにあると思いますね。

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それこそ、子供でもすぐに組み立てられてしまいそうなシンプルな構造であるのに、出来上がった球体Mine Kafonはなんとも形容しがたい不思議な魅力を放っています。見ている私たちの想像力を充分刺激する、優れてアーティスティックな形状ですね。そんなMine Kafonが風の力のみで転がっていく様子は、乾いた大地の背景も相まって、西部劇映画によく出てくるタンブル・ウィード(回転草)が風の向くまま、さすらうように転がっていくのを連想させます。

砂の地を大きな球体がゆっくりと移動する光景は確かに、異次元の世界に迷い込んだような、異様な感覚を呼び覚ましますね。しかしながら、この大きなネギ坊主とでもいうべきユーモラスな球体には、地中に埋まっている地雷を自爆させるという崇高な使命があるのです。地雷に苦しむ人々の希望を担い、巨大ネギ坊主たちが世界中にちらばる地雷地域をくまなく転がっていくには、気が遠くなるような長い長い時間が必要でしょう。かたつむりが這っていくのにも等しい、じれったいほどのゆっくりした足取りの跡には、しかし、卑劣な兵器が消えた安全な土地が確実に生まれます。

Hassaniの子供の頃の思い出が詰まった玩具が、やがて人命を救う重責と未来への希望を担う、他に例を見ない唯一無二の“芸術作品”に成長した奇跡に驚くと同時に、Mine Kafonが世界中でその勇姿を披露できるよう、私も微力ながらお手伝いしたいと思います。

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Massoud Hassaniの公式サイト:Massoud Hassaniには、彼がMine Kafonの構造と特徴、その働きを解説している動画も収められています。興味のある方はぜひご覧になってみてください。2013年3月には、Mine KafonはニューヨークのMOMAのコレクションに加えられる予定だそうです。また2013年2月には、パリのデザイン・アート・ギャラリーにて、デザイナー、Hassaniの最初の“アート・プロジェクト”ともなったMine Kafonがお披露目されることも決定したとか。Mine Kafonの今後の進化にも期待したいところですね。

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