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zoom RSS わんこの見た世紀末―「Play Dead」

<<   作成日時 : 2016/02/09 23:02   >>

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Don't eat dogs.

この「Play Dead」という作品の面白いところは、通常、ゾンビに追われる側の人間が主人公になることが多い設定の視点をずらしている点ですね。今作では、ゾンビに襲われて自らもゾンビ化していく人間が飼っていたペットのわんこ達が主人公になっているのであります。

それでは、兄弟で製作したホラー映画の習作をVimeoに投稿しているクリエイター・コンビ、Andres and Diego Meza-Valdesの最新ホラー短編映画「Play Dead」をどうぞ。ショート・ムービーといえど、17分を超える作品なので、職場からアクセスされている方は背後に充分ご注意を(含笑)。ああ、それから、ホラー的グロテスクが苦手なお方はご覧にならないようにお願いしますね。

“Play Dead”

Play Dead (2012) FULL MOVIE from Andres and Diego Meza-Valdes on Vimeo.



アマチュア製作の映画とは思えないほど、きちんとまとまった内容です。冒頭の、青年が飼い犬に“Play Dead(倒れて死んだ振りをする)!”という芸をさせるシーンから、突如現れたゾンビがあれよあれよという間に街中に溢れる絶望的な状況を、“元人間”の飼い犬の視点で描いていく手法はなかなか新鮮。ゾンビがフレッシュ(新鮮)な肉を好むだけに、とってもフレッシュなアイデアだと思います(笑)。

わんこの少し低い視座に従ったカメラによって、死んでも死に切れない“Play Dead”達に人間社会が駆逐されていく戦慄すべき情景を、物陰の隙間から盗み見るような緊迫感が強調されています。凡百のゾンビ映画でおなじみの、グロいシーンをぶちまけるような露悪趣味は辛うじて軽減…されてないか、あんまり(ごめんね・苦笑)。

個人的に唸ったのは、本編の各所でピリっとした変調を生み出しているシニカルな描写ですね。わんこの散歩途中にゾンビに襲われ、自らもゾンビ化した女性が、リードの先で飼い犬とつながったまま街を徘徊するのもシュール。そして、彼女が見つけた生き獲を貪る傍らで、空き家で発見したドッグフードをわんこも一緒に食っているのも、奇妙に笑えます。リードでつながった元人間とわんこ、こうなれば、どっちが主人でどっちがペットかわかりませんよね。
あるいは、ゾンビ発生から28日経って(映画「28日後…」のパロディですな)、ある建物に篭城した数少ない生き残りの人間達が、命からがら逃げ延びてやっと飼い主と再会できたわんこ達を、容赦なく食料とするシーン。生きた人間を本能のままに食らうゾンビと、わんこを捌いてその肉を食らう人間。両者の間に、一体どれだけの違いがあるのか。少なくともわんこ達にとっては、ゾンビ化した飼い主に襲われるも地獄、生きた人間に捕まって捌かれるのも地獄ということで、非力な被支配者はいつも虐げられるばかりであるわけです。

“人間”に捕まったわんこ達は、食われるのを待つ悲劇から、実に皮肉な運命によって逃れるチャンスを得ます。生き残るために走り、わずかな希望に向かって走りますが、たどり着いた先には、彼らにとっての真の“世紀末”が待っていた…というラストのオチまで、恐怖とユーモアとシニカルが不思議に同居した、思わぬ拾いものの短編でした。

こうした形で新しい才能と遭遇できるのは、やっぱりうれしいもんですね。

Andres and Diego Meza-Valdes on Vimeo

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