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zoom RSS 「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン Bridesmaids」は悪夢の片道切符?

<<   作成日時 : 2015/02/28 23:18   >>

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そうそう、昔、誰かが言っていた「オンナの友情は、薄切りハムより更に薄し。」という名言を思い出しましたわ(笑)。オトコの友情とオンナの友情は、その成り立ち、組成、どんな点に重きを置くかという価値観に至るまで、やはりちょっぴり異なると思いますよ。


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今日はちょいと予定を変更して、アメリカでは予想外の大ヒットを記録した“女性版「ハングオーバー」”こと「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン Bridesmaids」を観ました。先に結論から書いておきます。いやはや、予想以上に面白かったですよ!!私が観た劇場では客の入りは上々だったのですが、物語の随所に織り込まれているパンチの効いた笑いもウケがよく、皆さんよう笑ってはりました(笑)。

映画冒頭から、「マッドメン」のドン・ドレイパーことアメリカのセクシー俳優ジョン・ハムと、主人公アニー(脚本も担当したクリステン・ウィグ自身が演じる)の真夜中の大ハッスル・シーン(爆)が飛び出し、そういえばこの作品はレイティングがついとったわということをその時思い出しました(笑)。しかし、さすがはウィグ女史の筆になる物語だけに、このシーンひとつをとっても、セックスに関する女性側の言い分と男性側の言い分の根本的な食い違いが明確に示され、思わず唸ります。ねー、男女間の違いって、ホントに些細なことにまで影響してきますよね?ったく、嫌になるわ(笑)。なんてことを考えてる間にも、コメディ俳優の才覚も充分なジョン・ハムのアホっぷりが潔く、大笑いできます。ジョン・ハム演じるテッドはアニーのセフレという間柄ですが、明らかにやり手の独身貴族のテッドは、一貫してアニーを“都合の良い女”として扱い、無料で呼びつけられるコールガールぐらいにしか考えていません。そんな酷い男のお情けに縋らねばならないほど、アニーの置かれた立場は悲惨だということですね。人生に躓き、何もかもに自信を失い、プライドも失ってしまっているアニー。長身でブロンド、スタイルも抜群という魅力的な女性なのに、全くもってツイてないアニー。冒頭の数分のシーンを見るだけでも、彼女がどんな人間かがよくうかがえます。各映画賞にノミネートされたことからも分かるように、ウィグ女史の脚本はよく練られていますね。

しかし、メインのストーリーそのものはいたってシンプル。子供の頃から一緒だった大親友リリアンが、恋人とついに結婚することに。念願だったケーキ屋が潰れ、全財産をなくし、優しい恋人もいない負け組アニーとは対照的に、リリアンは幸せいっぱい。そして、彼女のフィアンセが所属するセレブの世界に旅立とうとしています。それはアニーの知らない世界であり、唯一の親友を失うような気がして、アニーの胸中は複雑。ですが、リリアンからのたっての頼みで、アニーは結婚式のメイド・オブ・オナーを引き受けます。

アニーはリリアンの両親の経済状況(ごく普通の家庭で、大金をポンと出せる状態ではない)を考え、できるだけ式以前の行事(ブライダル・シャワー、独身さよならパーティーなど)と式次第にかかるコストを抑えつつ、リリアンの希望に沿うように奮闘。ところが、人間、上手くいかないときはなにをやっても上手くいかないようにできているのか、アニーの努力は全て裏目に出て最悪の事態を招いてしまいます。その主な原因は、リリアンと彼女のフィアンセ、ダグ側双方から選ばれたブライズメイド達。金持ちマダムでパーティー大好きで仕切り屋の、ダグの上司の後妻ヘレンを筆頭に、ダグのメタボな妹で政府機関で働くミーガン、アニーとリリアン二人の古い友人で、3人の息子のいる家庭の欲求不満主婦リタ、ダグの友人の新婚の妻でウブなベッカ…とクセ者ぞろいなのですね(笑)。

個性が強いなどと生易しいものではなく、キャラが立つにしても程があるだろうとため息をつきたくなる、悪魔のような5人のブライズメイド達は、それぞれがてめえの要求を押し通そうと、寄ると触ると大激突。その都度、皆をまとめようとオロオロするのは、本来ならその役目を担うはずのアニーではなく、花嫁であるリリアンだという(苦笑)。主役になる花嫁のための行事は、いつの間にか、その花嫁にとっての“一番の”親友の座を賭けていがみあうアニーとヘレンの女の戦いに変貌してしまいました。その醜い様子は、ヘレンの夫の子供達が吐き捨てたように、“タンポンのCMよりひでぇ”有様(爆)。まあね、女が3人以上集まれば、文殊の知恵どころか、どいつが主導権を握るかの争いが勃発しますからね(苦笑)。悲しいことに、これもまた、オンナの生態であることよ。

しかし、社交界のセレブで資金力、人脈で秀でるヘレンにやはり分があり、アニーはリリアンから直々にメイド・オブ・オナーの仕事を解かれてしまいます。かつてアニーの作るケーキのファンでもあった、無骨だけど実直なローズ巡査とせっかくいい雰囲気になりかけたのに、アニーは自暴自棄になって一方的にローズを振り、客に暴言を吐いて母親のコネで得た仕事もクビになり、アパートからも家賃滞納を理由に追い出され、正真正銘の無い無い尽くしに。そりが合わない母親の家に嫌々転がり込んだものの、ヘレンが得意満面で開いたブライダル・シャワー・パーティーで、ヘレンに洗脳され、飼い慣らされてしまったような親友の姿に絶望し、アニーはついにブチ切れます。アニー発案、ヘレン主催の“パリ風”パーティー会場は、発案者による狂乱の大暴れで、文字通りすべてがぶち壊しに。自分の結婚式が台無しにされたと怒るリリアンは、溜まりに溜まった式の準備のストレスでこちらも大噴火。無二の親友同士であった二人は、ここで完全に仲違いしてしまいました。さて、アニーとリリアンは元通りの親友に戻れるのでしょうか?それ以前に、波乱万丈のリリアンの結婚式は、無事に決行(笑)できるのか?!


「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン Bridesmaids」(2011年)
監督:ポール・フェイグ
製作:ジャド・アパトー他。
製作総指揮:ポール・フェイグ
脚本:クリステン・ウィグ&アニー・ムモーロ
音楽:マイケル・アンドリュース
撮影:ロバート・イェーマン
プロダクション・デザイナー:ジェファーソン・セイジ
編集:ウィリアム・ケアー&マイク・セイル
衣装:リーサ・エヴァンズ
出演:クリステン・ウィグ(アニー)
マーヤ・ルドルフ(リリアン)
ローズ・バーン(ヘレン)
メリッサ・マッカーシー(ミーガン)
ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ(リタ)
エミリー・ケンパー(ベッカ)
クリス・オダウド(ローズ巡査)
ジル・クレイバーグ(アニーの母)
ジョン・ハム(テッド)

お話の設定に“独身最後”という共通項があるために、「ハングオーバー」が引き合いに出されているようですが、今作の内容は全く別モノです。“結婚式”という、女性一般が一生に一度の晴れ舞台と夢見る(とされている)ステキなドラマを背景に、オンナの嫌らしい生態をこれでもかと開陳し、お食事中の方には大変申し訳ないのですが、排泄系のおシモのネタまで躊躇なく放り込み、負け組の女が如何に惨めかを遠慮会釈なく笑い飛ばすやけくそ気味のお笑いなのです。女性の側から見た“結婚式狂想曲”の本音を、これだけシニカルにストレートにぶつけてくるお話も珍しいのでは。いくら映画とはいえ、やっぱり女性の夢をぶち壊しちゃマズイでしょうしね(笑)。クリステン・ウィグ女史はじめ、日本では無名でもアメリカではコメディエンヌとして歴戦の勇者である出演者たちの身体を張ったギャグと、自虐なんて生ぬるい壮絶なアドリブの応酬に、いっそ涙せよと言いたいぐらい(笑)。
しかしその裏側には、人生のドン底にいる人間がいかにして逃げることを止めて自分自身と対峙し、そこから這い上がっていくかを描いたドラマが流れています。負け犬アニーがなぜ負け犬のままだったのか、その解答は、強烈なブライズメイド達の中でも一際異様な迫力で目立つミーガンによって示されました。そして、アニーが自分自身の弱さに気づき、周りを見渡すことができたとき、壁を一枚隔てているとばかり思っていた母親やローズ巡査、そしてとりわけヘレン、リタ、ベッカ達から差し出されていた愛情や友情もちゃんと見えるようになったわけですね。この辺りの描写は、予定調和とはいえ、男女関係なく理解できるものなのではないかなあと思いますよ。人生における躓きなんて、誰でも一度や二度は経験することですし。その原因も、また解決方法も、すべては自分の気持ち次第であり、自分の人生は他でもない自分自身で立て直すしかないのも、また現実なのですね。

しっかし、結婚式って、どこの国でも本当に大変な一大イベントなんですねえ。私も経験しましたが、一番良いのは、式に出席してくれる皆が気楽に楽しめるパーティーにすることじゃないかと思いますよ。あんまり構えずにね。だって、大事なのは結婚してからの毎日でしょ?式なんざ一日で終わっちまうんだから。リリアンの結婚も、花火打ち上げてレーザー光線飛ばして、本物のウィルソン・フィリップス(懐)が登場してライブをやった後から始まる生活こそが、本番なのです。

アメリカでは実力派コメディエンヌとして名高い才媛クリステン・ウィグ女史の脚本(製作のアニー・ムモーロと共同執筆)は、本編を通してみると、実に快調であることが分かります。リアルとファンタジーの配分もよく、希望が持てるエンディングまでダレることなくリズミカル。数多い登場人物すべてのキャラクターが理解できるように、それぞれにフォーカスを当て、またそれぞれがぶつかり合うことで生まれるケミストリーもシーンに反映されていました。なんでも撮影現場では、完成した脚本を基に出演者達が次々とアドリブを繰り出し、その生々しさも作品の活きの良さに繋がっているとか。それでも作品全体の印象が散漫にならないのは、ウィグ女史ご本人の魅力と、コメディに必須の“空気”を読むことに長けた彼女の変幻自在の演技のおかげだと思いますよ。

今作の“大穴”ヒットにより、女史の脚本がオスカーにノミネートされたのもむべなるかな。

女史につられてか、ぶっとび気味のアニーのママを演じたジル・クレイバーグ(白血病で死去する直前の演技)も、アニーの良き理解者ローズ巡査を演じたクリス・オダウド(「ハイっ、こちらIT課!」「パイレーツ・ロック」)も、オスカーにノミネートされたミーガン役のメリッサ・マッカーシーも、テレビドラマ「ダメージ」等とはまた180度異なったイヤミなキャラクターを好演したローズ・バーンも、皆さん本当に生き生き。ゲスト出演扱いのジョン・ハム、マット・ルーカス(アニーの不気味なルームメート、ギルに扮する)までがきちんと目立っていますよ。それぞれの登場人物像が鮮やかで、なおかつそれらがお互いの存在感を邪魔しないアンサンブルをも演じている、実に心地よい作品です。男性陣も怖がらず(笑)、ぜひ観て頂きたいものですね。

日本では、なかなかアメリカの良質のコメディ作品が紹介されず、ことジャド・アパトー(今作でも製作を務める)周辺の、地味だけど面白い作品が劇場未公開のまま放置されているのは、いかにも勿体無い話です。「ハングオーバー」の興行的成功辺りから、コメディ映画、あるいはコミカルな味わいの映画がボチボチと日本にも入ってくるようになりましたが、この流れを途切れさせないようにしないと。

オリジナリティ欠乏症に苦しむハリウッドでは、今やコメディ映画こそが未来への可能性を担うジャンルとなりました。この新鮮な分野で女性クリエイターたち(他にティナ・フェイ女史なんてのもアメリカのコメディ界では人気)が怪気炎をあげているのは、頼もしい限り。この「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」もそうなんですが、今の女性クリエイターに求められるのは、“女性ならではの繊細な感性”などではなく、長年世間一般に押し付けられてきた偏見に満ちた女性像を、賢い手法でブチ壊すことです。その意味で、私自身はウィグ女史たちの創る作品を、むしろ女性の方々にこそ観ていただきたいと思いますね。世間一般の考える“理想の女性像”とやらに反感を覚えながらも、私達もいつのまにかその殻の中に自我を閉じ込めてしまってはいないか?そんな事も感じたりしますよ。

追記。
ラスト、リリアンが大ファンだったというウィルソン・フィリップス(知っている人は私と同世代確定・笑)がホントに登場して懐かしの“Hold On”を歌ってくれます。…チャイナ・フィリップス老けたなあ…。





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