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zoom RSS 花…2日目。「ケス KES」国内版DVD発売決定。

<<   作成日時 : 2012/02/15 10:30   >>

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花は、今を盛りと咲き誇る頃より、花びらが開く直前の方が美しいと思うことがあります。蕾は、まだ見ぬ完成形としての花への期待と興味をかきたてるからですね。一度花弁が開ききってしまえば、後は枯れ萎むのを待つばかり。どんなに美しいものであろうと、その運命は同じです。

もちろん、頂点を極めたときに襲ってくる虚無があるからこそ、逆説的に頂点を目指す意欲が高まるわけでして、これは人間様の生き方にも共通する真理ではないかと思ったりします。

長年DVD化が待たれていたケン・ローチ監督の「ケス KES」(1969年)。キャロル・ホワイトとテレンス・スタンプが主演した処女作「夜空に星のあるように Poor Cow」の後に製作された、商業用長編映画第2作目ですね。この「ケス」の国内版DVDが、今年6月に発売されることになりました。嬉しいニュースです。

実は白状すると、私自身は上記したこの2つの作品がローチ監督の最高傑作だと信じて疑いません。これら初期の傑作を超える作品は、監督自身にも二度と撮れないのではないかとすら思っています。

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「夜空に星のあるように Poor Cow」は、イギリス社会の最底辺で、幼いわが子を抱えて苦闘する若い女性の肖像を描くもの。彼女の生き様を通じ、以降のローチ監督のライフワークとなる“社会の底辺を流離う人々と共にある”作品群同様、イギリス社会の抱える矛盾と愚かな人間性への愛情を細やかに描いています。ローチ監督は、かつてのイタリアのネオレアリスモ・ムーブメントを支えた社会派映画監督達のように、プロの俳優を起用しない傾向がありますが、この処女作では、あの名優テレンス・スタンプが小心者の暴力亭主を実にさりげなく演じ、演技を演技と感じさせない出色の仕事を見せてくれました。

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(DVDの発売予定日は2012年6月6日です。)

「ケス KES」(1969年製作)
(「少年と鷹」のタイトルでTV放映、後1996年に劇場公開)
監督:ケネス・ローチ
製作:トニー・ガーネット
原作:バリー・ハインズ
脚本:ケネス・ローチ&バリー・ハインズ&トニー・ガーネット
撮影:クリス・メンゲス
音楽:ジョン・キャメロン
出演:デヴィッド・ブラッドレイ(ビリー)
リン・ペリー
コリン・ウェランド
フレディ・フレッチャー他。

「ケス KES」は我らがショーン・ビーンも大好きな作品の一つに挙げていますが、さもありなん。これは本当に素晴らしい作品です。ハリウッドでは不可能な表現方法でもって、少年期の純真の終わりを真摯に活写している作品です。

社会の吹き溜まりのような、ヨークシャーの炭鉱町でくすぶっていた少年ビリーは、偶然発見した鷹の巣から雛を持ち帰り、自分の手で懸命に育てます。その鷹に“ケス”という名前をつけ、鷹の育成に必要な知識を得るためとあらば、苦手な本も紐解く努力を続けるうち、ケスとビリー少年の間には固い絆が生まれるのですね。学校のクラスの仲間たちにも一目置かれる存在となり、少年が自身の人生に光明を見出した矢先、兄との諍いが原因で取り返しのつかない悲劇が起こってしまいます。

この作品が、「名犬ラッシー」などに代表されるような、通り一遍の“少年と動物の暖かい交流物語”にならなかったのは、“リアリズム”を信条とするローチ監督の良心がそうさせたのでしょうね。いかな子供といえど、彼らを取り巻く現実の世界は非情であり、彼らは傷を受けながらもそこから這い上がることで成長の階段を一歩上がっていくのです。大人への通過儀礼はそれ相応の犠牲と痛みを要求します。だからこそ、二度と後戻りできない幼年期の目に映る純粋な世界―夢と現実が入り混じるような幻想の世界―は、この世で最も美しい“失われた情景”となるのでしょう。最後にビリー少年が見せるしたたかな表情に、拭いようのない哀しみが入り混じっていることが、少年期の夢の喪失の大きさを物語っていますね。

リアリズムを引き寄せるための甘さを拒絶した辛らつな表現は、子供が受難する物語では一層酷であるようにも感じます。しかし、これらは実は、私たち皆が子供の頃に経験した覚えのある痛み。大人になることで、私たちはそれを忘れてしまっただけなのですね。


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