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zoom RSS オールラウンド・ミュージックの快感―TOTO Part2

<<   作成日時 : 2012/03/04 23:38   >>

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ブロードウェイ発のミュージカルを映画化した快作「ヘアスプレー」を世に送ったアダム・シャンクマン監督の新作は、またまたブロードウェイで大当たりをとったミュージカル作品の映画版になるそうです。その「ロック・オブ・エイジス Rock Of Ages」、日本にも今年の9月に上陸予定であるのですが、既に巷では結構な話題を呼んでいるようですよ。それというのも、あのトム・クルーズ大先生に、なつかしの80年代ロックンロール全盛期のカリスマ・ロッカー、ステイシー・ジャックス役を演じさせたというのですから、驚き桃の木山椒の木。

ガンズ&ローゼズ、デフ・レパード、ボン・ジョヴィ、ジャーニー、ホワイトスネイク、フォリナー、ナイト・レンジャー…等々、80年代を彩る綺羅星のごときロックと共に青春時代を送った、世界中に散らばる私のようなオタ達への、これは一種の挑戦状とも受け取れますな(笑)。

画像

「ロック・オブ・エイジス」では、トムちん扮するスーパースター、ステイシー・ジャックス(ガンズのアクセル・ローズがモデル)のストーリーと共に、二人の若い男女シェリーとドリューのラブ・ストーリーも語られることになるそうです。彼らを演じるのは新人さんですが、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ラッセル・ブランド、ポール・ジアマッティ、マリン・アッカーマン、メアリー・J・ブライジ、ブライアン・クランストン、アレック・ボールドウィンなどなど、胃もたれしそうなほど個性的なベテラン俳優達が脇を固めるので、シーンのあちこちで目移りしてしまいそうですね。しかし、とにかく今作の肝は、トムちんご本人が生歌を披露する、しかも長髪振り乱してシャウトしまくる(ついでに上半身裸になる)という、その一点に尽きると思います。
白状しますとね、当初The Hollywood Reporterで報じられた劇中ショットやトレーラーを見た感じでは、トムちんが、あのなつかしのアクセル・ローズ(何度も引き合いに出してごめんね・笑)の物真似をしているようにしか見えず、腑に落ちなかったのですよ。…そりゃそうだ、アクセル本人がトムちんにボーカル指導をしていたのだそうですよ。一日5時間週5日、アクセル先生がみっちりトムちんにロックの真髄を叩き込んだとか。…そりゃあ、似るはずだわ…。

“Rock Of Ages” Official Trailer


とにかく、この作品の出来如何によっては、80年代のロック黄金期に再びスポットライトが当てられることになるかもしれません。当時流行ったナンバーは、なんだかんだ言いつつも、やっぱり優れたメロディばかりでしたものね。ボン・ジョヴィなどは現在もアメリカ国内で安定した活動を続けているようですが、それ以外の開店休業状態もしくは解散状態にある名バンドだって、表舞台に返り咲ける可能性が生まれるかもしれません。私自身はむしろ、映画が話題になった際の波及効果の方に期待する次第です。

さて、このように、突如降って湧いたような80年代ロック再燃ブームに乗っかるわけではありませんが、これで、私が70年代末から80年代初頭にかけて全盛期を誇ったロック・バンドTOTOのことを書いても、誰にも咎められない大義名分ができましたわな(笑)。

TOTOの簡単なバイオグラフィーについてはこちらをどうぞ

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TOTO

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●収録曲
1. 子供の凱歌
2. 愛する君に
3. ジョージー・ポージー
4. マヌエラ・ラン
5. ユー・アー・ザ・フラワー
6. ガール・グッドバイ
7. ふりだしの恋
8. ロックメイカー
9. ホールド・ザ・ライン
10. アンジェラ

ハリウッドで名アレンジャーとして活躍したデヴィッド・ペイチの父親と、同じくハリウッドの音楽業界でパーカッショニストとして名を知られたジェフ・ポーカロの父親は友人同士でした。頻繁に交流のあったペイチ家とポーカロ家の息子達も自然と親しくなり、特に同い年だったデヴィッドとジェフは意気投合して一緒にバンドを結成。その後、デヴィッドもジェフもプロのスタジオミュージシャンとして活動を始めるので、バンドの方は開店休業状態となってしまいますが、ポーカロ家の3兄弟の末っ子スティーヴと、ハイスクールで彼と仲良くなったスティーヴ・ルカサーが、ジェフとデヴィッドのバンドを再結成します。そして彼らもまた、ジェフたちと同じようにスタジオ・ミュージシャンとして働き始め、遊び半分であっただろうバンドの構想はいったん保留されました。

ボズ・スキャッグズが、名盤「シルク・ディグリーズ」を制作するために集めたスタジオ・ミュージシャンたちは、腕は確かだし、若くて活きが良いメンバーばかりでした。彼らのインプットのおかげで、ボズは素晴らしいアルバムを生み出し、ツアーでも同じメンバーを率いて成功を収めました。このとき、ボズとアルバムだけではなく、バックを務めたメンバーにも注目が集まり、ジェフ・ポーカロ(ドラム)、デヴィッド・ペイチ(キーボード)、デヴィッド・ハンゲイト(ベース)はついに正式にバンドを組んで、誰かのバックで演奏することから“独立”することを決意します。ギターには、彼らの後輩にあたるスティーヴ・ルカサーを、もう一人のキーボードにスティーヴ・ポーカロを、そしてリード・ボーカルには、他のバンドで活動していたボビー・キンボールを抜擢し、TOTOを結成しました。これが1976年のことですね。

スタジオ・ミュージシャンとして培われた豊富な経験から、作曲技術、演奏技術、レコーディングの技術に至るまで、彼らは到底新人とはいえませんでした。1978年にリリースされたこのデビュー・アルバムを聴けば、各楽曲の信じられないほどの完成度と、ロック、ポップス、プログレ、ジャズ、フュージョン、R&B…あらゆるジャンルの音楽知識を網羅した、貪欲なまでの“カテゴリー破壊”に圧倒されるばかり。名アレンジャーの父親の血を引き継いだか、デヴィッド・ペイチの生み出すバラエティ豊かなメロディライン、そして一度聴けば耳に残るアレンジの妙には、時代の波によって色あせない力があると思います。

実際、今聴いても素晴らしいメロディばかり。TOTOって、本当に良い楽曲を作ってきたバンドだったんです。彼らは過小評価されすぎですね。ただまあ、移り気なオーディエンスが右往左往する流行の満ち干きに関係なく、TOTOは地味ながらも25年の長きに渡って活動してきましたし、時代に乗っかって下手にモンスター・バンド化しなかったことが、却って幸いしたのかもしれませんけどね。

彼らは多くのアルバムを残しましたが、どれが一番好きかと問われれば、おそらく多くのTOTOファンはこのデビュー・アルバムを挙げるんじゃないかと思いますよ。私もやっぱり、この野心的なデビュー・アルバムと、新人バンドの2枚目の作品とは思えない(笑)コンセプト色の濃い、実験的なセカンド・アルバム「ハイドラ Hydra」が一番好きだし、この2枚は何度聴いたかわからないぐらい聴きこみました。何度聴いても飽きないの。…今も聴いてますしね(笑)。

なにしろ、アルバム一発目の“子供の凱歌”からして、荘厳なイメージのプログレ・ハードですから。しかもインストですよ?新人のクセになんと大胆な(笑)。シングルカットこそされませんでしたが、このナンバーは、長く“TOTOのテーマ曲”的な位置づけにありました。ライブでは最初に演奏されることが多かったですね。どこかで耳にしたことがある方はきっと多かろうと思います。
余談ですが、このアルバムが出た頃、“アメリカン・プログレ・ハード”なる音楽が流行りました。大雑把に説明すると、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエスといったバンドが生み出したプログレッシヴ・ロックを、もう少しメロディアスにして聴きやすく解釈し直したといった風情の音楽ジャンルですね。カンザス、ボストン、ニュー・イングランド…等々、やたら都市の名前をバンド名にしたグループが注目を浴び、名作を世に送った良き時代でした。私も一時期大ハマリしましたが、TOTOのメンバーもやっぱりプログレの洗礼を浴びた人達であったらしく、“子供の凱歌”やラストを飾るメランコリックなバラード“アンジェラ”(大好き♪)に、その名残が伺えますね。
エンジェル・ヴォイスと謳われた、まっすぐなハイトーン・ボーカルが特徴のボビー・キンボールの声が映えるパワフルなロックンロール・ナンバー“愛する君に”。これも、導入部とサビのメロディ、それらをつなぐ間奏のイメージがくるくると変化して意外性に富み、エッジの効いたアレンジであることがわかります。
そしてそして、日本のTOTOファンが大好きな“ジョージー・ポージー”。ボズ・スキャッグズのナンバーとみまごうばかりの、ゴージャスなR&Bナンバーですね。この頃はまだぴちぴちの若者だったスティーヴ・ルカサーが、ギタリストであるにもかかわらず堂々とリード・ボーカルをとってしまいます。甘い艶のあるヴェルヴェット・ボイスは、若さゆえよく通っていますね。ええ、今じゃたぬき親父みたいなルックスになってますが、この頃のルカサーは本当に可愛くて、バンド一番のアイドル的存在だったのですよ…(遠い目)。雑誌に掲載されたルカサーの写真を切り抜いて、自分の部屋に貼っていたのは私だけじゃなかったはずです(笑)!
TOTOの楽曲は、基本的に非常に計算された、ひねりの効いたアレンジなのですが、“マヌエラ・ラン”と“ロックメイカー”はシンプルで明るいロックナンバー。この2曲におけるルカサーのボーカルは、あまりに若々しくて元気いっぱいの歌声でくすぐったいです(←何が・爆)。

TOTO - “Georgy Porgy”(video official)
(from stevelukathertube)

ボビーはハイトーンヴォイスばかりが注目されるボーカリストですが、基本的に器用にどんな歌でも歌える人なので、“ユー・アー・ザ・フラワー”のような、一段とブラック寄りのダンサブルなナンバーでも見事なものです。昔懐かしい紙ジャケットの頃のLP盤ではB面一曲目にあたる勝負曲“ガール・グッドバイ”は、これまた気合の入った速いリズムのロックンロール。私は今でも、自分に渇を入れる時にはこのナンバーを聴きます。4枚目のアルバムを引っさげての来日公演となった82年のライブでは、“子供の凱歌”、“愛する君に”とこの“ガール・グッドバイ”と、デビュー・アルバムからの楽曲が立て続けに演奏され、TOTOのデビュー・アルバムが特に日本で愛されたことを実感させてくれました。
アメリカでは、ファースト・シングルとなった“ホールド・ザ・ライン”がヒットしましたが、後のシングル“ジョージー・ポージー”などは全くの不発で、アルバムへの評価も頭打ちになってしまいました。

80's TOTO “Hold The Line” (video official)


“ふりだしの恋”は、ジェフの弟にしてゴージャスなTOTOサウンドの要でもあったスーパー・キーボーディスト、あの故マイケル・ジャクソンの“ヒューマン・ネイチャー”の作曲・編曲者としても知られるスティーヴ・ポーカロの作品です。ボーカルも彼自身。ソフトでクリアな声質で、なかなかどうして雰囲気のあるポップ・シンガーでもあったのですね。スティーヴ・ポーカロの楽曲は総じてアレンジが凝っており、意外なところで転調したりするかなり複雑なメロディラインです。さすが実のご兄弟だけあり(笑)、このナンバーでのお兄ちゃんジェフのドラミングがまた凝りまくっていましてね。ラストで急にリズムが速くなっていくところなんか、フュージョンっぽくて堪りません(笑)。

スタジオミュージシャンとして働き、どんなジャンルの音楽でも器用にプレイしてしまう達者な演奏者たちが揃ったバンドには、無限の可能性があったと思います。およそ音楽と呼ばれるものに、ジャンルの死角はなかったはずです。それこそ、どんな音楽でも自由自在に望みのままに作りだし、また演奏することができた。しかし、案外古風な“ジャンル分け”“カテゴリ分け”に拘るアメリカ人は、その垣根を越えることに不安と不快を覚えるものらしいですね。TOTOというオールラウンド・ミュージックを奏でるバンドをどのカテゴリに入れてよいのかわからず、途方に暮れた結果、彼らの豊かで高い音楽性をきちんと評価できなかったのです。アメリカがTOTOの音楽の良さをようやく理解し、グラミー賞を与えたのは、デビューから4作目のアルバムまで待たねばなりませんでした。

…to be continued.

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