House of M

アクセスカウンタ

更新情報

zoom RSS 美は彼を称う―トム・フォード(Tom Ford)

<<   作成日時 : 2016/07/22 21:01   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

画像

トム・フォード Thomas Carlyle Ford

1961年8月27日生まれ
アメリカ、テキサス州オースティン出身

テキサスとニューメキシコのサンタフェで育つ。高校卒業後、俳優を目指してニューヨーク大学で1年学んでいたが、パーソンズ・スクール・オブ・デザイン美術史と建築を修め、デザイナーとして開眼する。その後は、ペリー・エリスの下で活躍。

1990年にニューヨークからミラノに移り、当時斜陽の憂き目に遭っていた老舗ブランド、グッチのレディス部門のデザイン・スタッフに加わった。老舗の気品に、独自のグラマラスさを盛り込んだデザインを発表、4年後には同ブランドのクリエイティブ・ディレクターに昇格する。服を身に着ける人間を最大限美しく引き立たせるスタイルを貫き、グッチを見事に再生させた。2001年からはイヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュのクリエイティヴ・ディレクターも兼任し、グッチ・グループ全体を統括するクリエイティヴ・ディレクターとして数々の刺激的な広告キャンペーンを繰り広げた。ファッションデザイン界のカリスマとして多くの賞を得たが、 2004年4月、グッチ及びイヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターを辞任。時を同じくして、当時グッチのCEOであったドメニコ・デソーレ氏も辞任している。

かねてよりの希望であった映画界に進出すべく、自らの映画製作会社フェイド・トゥ・ブラックを設立する傍ら、2005年4月には、グッチ時代からのパートナーであったデソーレ氏と共に、自らの名前を冠したトム・フォード社を立ち上げた。以降、メンズ・ウェアのみならず眼鏡フレーム、サングラス、そしてレディス・ウェアまでを手がけるブランドを主宰している。2008年の映画「007/慰めの報酬」でダニエル・クレイグが演じたジェームズ・ボンドの衣装を担当し、話題を呼んだ。同年、トム・フォードのブランド・ショップが日本にも進出している。

A Single Man (Vintage Classic)
Vintage Classics
Christopher Isherwood

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by A Single Man (Vintage Classic) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

2007年、フェイド・トゥ・ブラックで製作するにふさわしい企画を探していたフォードは、若い頃、イギリス生まれの作家・劇作家クリストファー・イシャーウッドの小説「シングルマン」に感銘を受けたことを思い出し、同小説の映画化権とデヴィッド・スケアスの手になる脚本の権利の両方を獲得する。しかし、原作小説もその脚本も、そっくりそのままを映像化することに躊躇したフォードは、その後約2年の時間をかけて、小説の骨格に自身の体験と普遍的なメッセージを盛り込んだ脚本を新しく書き直した。人生の再発見というテーマと同時に、フォード自身の人生の極めてパーソナルな暗喩もちりばめられた脚本は無事完成したが、複雑な内面を抱える主人公ジョージを体現してくれる俳優を探す作業は困難を極める。しかしそれも、名優コリン・ファースという逸材を得ることで、記念すべきトム・フォードの処女監督作品の成功は約束されたも同様であった。

画像

2009年、“映画監督”という新たなステージにフォードを押し上げる作品「シングルマン」(A Single Man)が完成。映画界と観客のやや懐疑的な好奇のまなざしをものともせず、独自のアート感覚と映画という表現形式を見事に融合させた同作品は、驚きをもって迎えられた。各映画賞で高い評価を勝ち取り、主演のコリン・ファースにオスカー・ノミネートをもたらしたことは記憶に新しい。




各分野で世界に知られたクリエイター達のプライベートに密着するドキュメンタ リー番組『Visionaries: Inside The Creative Mind』(アメリカの人気司会者であったオプラ・ウィンフリーが立ち上げた“オプラ・ウィンフリー・ネットワーク”の番組)に、トム・フォード氏がとりあげられたそうです。同番組はアメリカでは10月23日に放送されました。
映画「シングルマン」で、念願だった映画界へのデビューも果たし、またその後は自身のブランドで初めて婦人服のラインも手掛けるなど、以前にも増して多方面な創作活動に邁進するフォード氏。彼のプライベートな姿が公にされたことは今までなかったそうですが、まあ、アメリカ・エンタメ業界の女帝(笑)オプラなら(笑)、あのトム・フォードも素っ裸にすることができたのでしょうね。


画像

トム・フォードといえば、映画ファンにとっては、ヴァニティ・フェア誌上で披露されたこのフォトシュートを御記憶の方が多いかと思います。

画像

大胆不敵であるのに、ふとした拍子に見せる横顔はとてつもなくデリケート。挑発的かと思えば、ストイックに自らを律するコントロール・フリーク。およそモード・ファッションには縁のない私ですら(笑)、フォードがグッチで展開していた過激な広告キャンペーンや、彼がデザインした多くのワードローブを見れば、“トム・フォード”が複雑なアイデンティティの持ち主だということは容易に理解できます。

伝統的な美のラインに、未来を見据えた鋭いエッジのスタイルを持たせること。しかも、そのデザインが日常生活の中できちんと機能するよう、巧妙に計算されてもいます。服という、生活に密着したツールを用いて独自のアートを創造する作業は、言葉にするほど簡単なことではないでしょう。それに、ファッションは大きなビジネスにつながります。フォードには、グッチを再生するという難題が課されてもいました。ただ単に服をデザインしていればいいというものではなかったのですよね。現在の“デザイナー”は、あらゆる情報ツールを通じて世界中とコミュニケーションし、大衆のニーズを的確に捉え、それを自らのアートに反映させねばなりません。…ファッション・デザイナーも、ユーティリティー性の高さを求められる時代なのでしょう。尤も、これは映画界にも通ずる鉄則です。昨今のフィルム・メーカー、プロデューサー連中にも、この“大衆とのコミュニケーション能力”が最大限必要とされるわけですね。

画像

フォードは早くから同性愛を公にしています。グラマラスでゴージャスなファッション業界で、第一線に留まり続けるプレッシャーは想像を絶するでしょうし、ただでさえ人とのつながりが希薄な世界で、マイノリティであることを受け入れるのも勇気の要る決断だと思います。サー・イアンの発言のように、ハリウッドやファッション業界にいくらゲイが多いとはいえ。
処女作「シングルマン」の主人公ジョージのように、パートナーと愛犬2匹との穏やかな私生活を手にしていた彼自身、一時期は物質的な成功に溺れ、周囲と自分の人生を見失っていたのだそうです。そんな苦い教訓から、長い間憧れていた映画という媒体で、彼が彼自身のパーソナルな物語を自由に語りたいと願うようになった気持ちも、よくわかる気がします。

画像

「シングルマン」は、ファッションにとっても政治的思想にとっても最も波乱と刺激に富んだ1960年代を背景に、トム・フォードというアーティストが、己の美学のキャンパス上に普遍的な人生賛歌を綴った作品であります。死というフレームを通じて生を語るという手法自体、使い古された方法論ですが、彼のアーティスティックな感性が、本来“映像で物語を語る”役目を持つ映画の特性を壊すことなく、そこにバランスよく共存し得たことがわかりますね。この辺りに、彼のフィルム・メーカーとしての才能の片鱗も窺えるのではないでしょうか。
全く、神は不公平極まりありませんな。天からいくつもの才能を贈られた人間がいるかと思えば、ただひとつの人生もロクに全うできない凡人を、容赦なくこの世にお放ちになるのですから。


オマケ。

画像

セス・ローゲンやポール・ラッド、ジョナ・ヒルらによる、くだんのヴァニティ・フェア誌のフォトシュートのパロディ。ま、悲しい凡人たる私には、こちらの方が親近感が沸こうというもの(笑)。


シングルマン コレクターズ・エディション [DVD]
Happinet(SB)(D)
2011-03-04

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by シングルマン コレクターズ・エディション [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い 面白い
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

にほんブログ村

美は彼を称う―トム・フォード(Tom Ford) House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる