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zoom RSS 「ぎょうれつのできるパンやさん」―ふくざわゆみこ2 (picture book)

<<   作成日時 : 2015/02/19 21:14   >>

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一見シンプルなようでいて、その実深遠な絵本の世界観は、子供だけでなく大人をも魅了します。

実際私も、このブログでいろいろな絵本をご紹介してきたわけですが、子供に読んで聞かせるという目的以上に、自分自身が懐かしさに惹かれて絵本探求を行っていたという面がありましたね。流石に子供達が成長した今は、絵本を読み聞かせる機会もなくなってしまいましたが。

では、大人は絵本に何を求めるのでしょう。遠い昔に戻りたいという後ろ向きなノスタルジーでしょうか。あるいは、子供の頃には思い及ばなかった大切なメッセージに、今なら気づけるだろうというかすかな希望でしょうか。
いずれにせよ、絵本には、日常生活に磨耗し疲れきった大人の心を慰撫する不思議な作用があるようです。これからご紹介する、絵本作家、漫画家、イラストレーターであるふくざわゆみこさんの作品もそうですね。
ふくざわゆみこさんの公式サイトはこちら。他の作品群も確認することが出来ます。

ぎょうれつのできるパンやさん
教育画劇
ふくざわ ゆみこ

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「ぎょうれつのできるパンやさん」
ふくざわゆみこ:作、絵 (教育画劇刊行)

ぐうぐう山の奥に、ふっくらパンやさんが開店しました。店長のふっくらおじさんは、美味しく焼きあがったパンを前に笑顔です。
ところが、お店にはお客さんが1人もきませんでした。それもそのはず。このパンやさんは、みんなが住んでいるむしゃむしゃ村から、ばくばく林を抜けて、もぐもぐ牧場を越えた、ぐうぐう山の奥にひっそりと建っていたからです。村人は、こんなところにパンやさんがあることも知らないでしょう。
がっくりするおじさんでしたが、ぐうぐう山に住む動物達がたくさんお店にやってきました。パンの焼けるおいしそうな匂いに釣られたのです。おじさんは初めてのお客さんに大喜び。動物達に焼きたてのパンをふるまいました。おいしそうにパンを食べる動物達を見ていると、おじさんも幸せな気持ちになります。くまさんときつねさんとりすさんは、パンのお礼に、山で採れる木の実を差し出しました。おじさんは、それを使って早速新作パンを焼き上げます。
ふっくらパンやさんの評判は、もぐもぐ牧場の動物たちの耳にも入りました。牛さん、羊さん、にわとりさんは、牧場の柵を越えてパンやに向かいます。皆、ふっくらおじさんのパンに舌鼓を打ちました。そしてお礼に、絞りたてのミルクと産みたての卵をプレゼントしたのです。おじさんはまたまた新作パンを焼き上げました。
ふっくらパンやさんの評判は、ぱくぱく林の鳥達にも広まりました。カラスさん、ふくろうさん、すずめさんは、翼を広げてすうっとパンや目がけて飛んで行きました。おじさんのパンのおいしいこと!鳥達はパンのお礼に、林の木々になる野の果物をプレゼントしました。おじさんは、それで素敵な新作パンを焼き上げます。
しかし、おじさんの家には、小麦の粉があとわずかしか残っていません。動物のお客さんたちはお金を持っていないので、おじさんは新しく小麦を買うことが出来ないでいたのですね。仕方ありません。この粉が終わったら、パンやは店じまいです。
翌朝、ふっくらパンやの評判は、むしゃむしゃ村のペット達にも伝わりました。オウムさん、ネコさん、イヌさんは、飼い主が追いかけてくるのも無視して、一路パンやを目指します。ペットとその飼い主は、ぱくぱく林の向こう、もぐもぐ牧場を抜けて、ぐうぐう山の森の奥…大行列のパンやさんにたどり着いたのです。「こんなところにパンやがあったんだ!」

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この絵本は、長らく長男のお気に入りの1冊でした。
ふくざわゆみこさんの作品では他に、「ふゆじたくのおみせ」という、大きなクマさんと小さなヤマネくんのシリーズのお話もあり、そちらも息子達には好評でしたね。

とにかく、ふくざわさんの描かれる動物たちの絵の柔らかいタッチと、暖かい色合い、優しい表情が秀逸。読んでいる親の心までほんのり温まる思いです (笑)。
そしてこの「ぎょうれつのできるパンやさん」では、真の主人公たるパンの描写が素晴らしいのです!暖色系の色を主体にした挿絵の中でも、様々な形のパンからはより暖かそうな湯気が立ち上っていそうな気がしますね。動物達からプレゼントされた食材から、おじさんが即興で焼き上げるパンもアイデアに満ち、造形もかわいらしい。本当にこんなパンが売られていたら、即座に買ってしまうことでしょうね(笑)。その名の通り、焼きたてのパンのように優しいふっくらおじさんの、パンへの愛情と、食べる人の笑顔が見たいという真摯な気持ちがこもったパンであるのです。動物達がパンやの評判を広めていったのも、そうしたおじさんの真心の所以でしょう。
たとえ動物達がパンの代金を払ってくれなくても、その笑顔だけで報われたと感じるおじさんの気持ちは、母親である私には共感できるものです。私たちも、毎日、家人の“おいしい”という言葉を聞きたくて料理を作っているわけですからね。結局、料理の味の決め手となるのは、それを食べる人、つまり家族への愛情であるのかなあと思ってしまいます。
ふっくらおじさんの真心が、最後に本当に報われるかたちになって、実にいい気分で絵本を読み終えることができます。背景となるレンガ作りのパンやさんには水車もあり、店内の作りや小物に至るまで、明るいカントリー調のイメージで統一されています。女性作家ならではの細やかな気配りが、ページのあちこちから感じられる作品ですね。

文字数は少なめなので、読み聞かせは3歳ぐらいから大丈夫でしょう。なにより読んでいる親の方が、読み終わった頃には焼きたての暖かいパンを食べたくてたまらなくなりますよ(笑)。


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