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zoom RSS 「だんまりこおろぎ The Very Quiet Cric」―エリック・カール Eric Carle

<<   作成日時 : 2015/09/27 21:26   >>

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いつか大人になる子供達に贈る、焦らず急がず慌てずに大人になったこおろぎのお話。

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「だんまりこおろぎ」
エリック・カール:文と絵 くどうなおこ:訳
(偕成社)

日差しがぽかぽかと暖かいある日、小さな小さなこおろぎ坊やが生まれました。あらまあ、元気に生まれておめでとう!大きな大人のこおろぎが、羽をこすってご挨拶。こおろぎ坊やも挨拶したくて、一生懸命羽をコシコシコシ。でも、ちっとも音が出ません。
おはようさん!ばったがくるくる飛んできました。こおろぎ坊やも挨拶したくて小さな羽根をコシコシコシ。でも、ちっとも音が出ません。
おう!元気かい!かまかきりがおそろしく大きな鎌を振りました。こおろぎ坊やも一生懸命羽をコシコシコシ。でも、ちっとも歌えません。
こんにちは!もぐもぐしながら小さな虫が、リンゴの中からご挨拶。こおろぎ坊やも返事をしたくて羽をコシコシコシ。でも、ちっとも歌えません。
やあ、どうだい!泡の中からあわふきむしが、ぶくぶく声をかけました。こおろぎ坊やもお返事しようと一所懸命羽をコシコシコシ。でもやっぱりダメ、歌えません。
いい天気だね!せみがミンミン鳴きながら呼びかけました。こおろぎ坊やも挨拶したくて小さな羽根をコシコシコシ。でも、ちっとも音が出ません。
ごきげんよう!まるはなばちが、花から花へ忙しく飛び廻ります。こおろぎ坊やも返事がしたくて羽をコシコシコシ。でも歌えません。
気持ちの良い夕方ですね!大きなとんぼが水の上をちょんちょんすいっとやってきました。こおろぎ坊やも挨拶しなくちゃと、羽をコシコシコシ。でも、歌えません。
こんばんは!蚊の大群が星空に舞っています。こおろぎ坊やも思わず羽をコシコシコシ。でも、ちっとも音が出ません。
すると、薄緑色の美しい蛾が、静かに通り過ぎていきました。その優雅な様子を見ているうちに、こおろぎ坊やは、黙っているのもなかなかいいものだと思ったのです。蛾が音もなく夜空に消えた後、こおろぎ坊やは仲間の女の子を見つけました。その子もとっても静かなこおろぎでした。こおろぎ坊やは、もう一度だけ羽をこすってその子に挨拶してみようと決心しました。

すると…

こおろぎ坊やは歌いました!
今まで聞いたこともないようなきれいな声で。


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偕成社
エリック カール

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「だんまりこおろぎ」
エリック・カール:文と絵 くどうなおこ:訳
(偕成社)

子育てをしているとどうしても、我が子のすることなすこと、あの子やこの子と比べて悶々と悩んでしまうものです。子供が幼い頃は特にその傾向がありますね。●△ちゃんはもう暗算で繰り上がり足し算が出来るのに、ウチの子はまだ両手で一生懸命数えてる(イライラ)…。□○君はプールで25メートル泳げるのに、ウチの子は水に顔をつけるのも怖がってる (ウンザリ)…。×○ちゃんは一輪車を乗り回しているのに、ウチの子はまだまだ…(ムカムカ)などなど。私にも覚えがあります。今にして思えば、なんと浅はかな親だったことでしょう。

親の使命は、子供の能力に優劣をつけることではなく、その特性をうまく伸ばすことにあります。しかしまあ、頭では充分に理解していても、いざ競争社会の只中に放り込まれてしまうと、もういけません。親は子供の事情そっちのけで、目の色を変えて“他の子供との競争に勝つこと”に執心してしまうのですね。子供の好むと好まざるとに関わらず、あらゆる習い事に強制的に通わせたり。子供の世界の大半が学校や塾などで占められ、かつ、どこにあっても成績の良し悪しが子供の判断基準にされる以上、そうした競争の構造はなくなりません。最終的には人間は社会の歯車のひとつとみなされ、その性能の良し悪しで、社会からはじき出されるか否かが決まってしまうからです。社会から落伍することへの恐怖、もっと言えば、集団から遺棄されることへの本能的な恐怖、また常に誰かを打ち負かさねば気がすまないという、人間の悲しいサガが競争構造の本質でしょう。

子供が成長していくスピードは、1人1人皆異なります。早く大人になっていく子供もいれば、ゆっくりと成熟してゆく子供もいます。それこそ人の個性が十人十色であるように、その成熟度もみんな違って当然。学校での生活には、将来の社会生活に備えて予行演習するという大きな目的があると思います。何人たりとも、社会が定めたルールに反して生きることは許されないからですね。しかしながら、次第にその重要な意義が忘れられ、子供たちを一律な行動規範に押し込めることこそが第一に考えられるようになってきました。学校教育は子供たちを常に競争させ、学校の定めた基準をクリア出来た者のみを、次の段階に進めるという方法論に落ち着いています。競争から脱落した者には、“落ちこぼれ”というレッテルが外面的にも内面的にもはっきり刻印されてしまう…。

こおろぎ坊やがいくら頑張って羽をこすり合わせても、音を出すことが出来なかったのにはわけがあります。彼はまだ生まれたばかりで成長途上の段階にあり、羽も大きくなかったからなのですね。どんな生き物にも、成長の段階によって出来ることと出来ないことがあります。それに、その成長のスピードは皆それぞれに違うのです。出来ないことがあるからといって、自分を卑下する必要はないわけですね。

先に大人になっている虫たちに追いつこうと、人知れず焦っているこおろぎ坊やの姿は、いつのまにやら私の息子たちの様子とだぶってきます。親である我々も、ついつい“○▲さん/君は出来るのにどうしてあんたは出来ないの!”と叫びそうになるのを堪えなければなりません。親も子も壁にぶち当たったときには、こおろぎ坊やが出会ったもの言わぬ優雅な蛾を思い出すのも一興かもしれません。蛾とは、他者に惑わされることなく、己に備わった能力で今可能なことを精一杯行うことの暗喩だと思われます。それは当たり前のことながら、私たちがいともたやすく見失ってしまう人生の原点でもありますね。


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実は昔、我が家で蚕兄弟を飼っていたことがありました。この子はそのうちのヘンリーです。彼は幼虫の頃から身体が弱く、緊急に繭を作った事情があったので、無事に羽化するかどうか不安でした。ですが、長い時間をかけて、彼はついに蛾になりました。繭を作ってから約1ヵ月後、もうダメかと思った時に華麗に変身してくれたのですよ(涙)。

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ご覧の通り、身体の大きさに比して羽が大変小さく、飛ぶことは叶いませんでした。でも彼は、ちゃんと美しい蛾になりました。ゆっくりとではありましたが、自力で成長の最終段階まで辿りついたのです。


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