House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS 常に時代を先駆けたマイケル・クライトンMichael Crichton

<<   作成日時 : 2017/02/19 13:49   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

「ジュラシック・パーク Jurassic Park」シリーズや「アンドロメダ… The Andromeda Strain」、「タイムライン Timeline」等々、ベストセラー娯楽SF小説を量産し、テレビドラマ「ER緊急救命室 ER」の原案・製作総指揮などを務めてきたヒットメイカー、マイケル・クライトン氏が2008年11月4日、ロサンゼルスで逝去しました。享年66歳。公式には一切発表されていませんでしたが、喉頭癌を患い、闘病生活を続けていたようです。

画像

マイケル・クライトン Michael Crichton

1942年10月23日生まれ
2008年11月4日没
アメリカ、シカゴ出身

ハーバード大学で人類学を専攻後、同大学のメディカルスクールを卒業する。医師として勤務する傍ら小説を書き始め、1965年に処女作「殺人グランプリ」をペンネームで執筆し、2年後に出版にこぎつける。旺盛な創作意欲を燃やし、その翌年にまたも別ペンネームで執筆した作品がアメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した。医師と小説家という眠る暇もないほどの多忙な二足のわらじを履く日々であったが、なんと1969年には医学博士号を取得。1969年には本名で出版した「アンドロメダ病原体」がベストセラーとなる。その後は、小説の執筆だけにとどまらず、テレビ番組や映画の製作、脚本、そして監督までを幅広く手がけていた。

実は、うちの父豆はクライトン氏のファンでして、CG技術に革命を起こした映画「ジュラシック・パーク」シリーズも原作を読むほどの入れ込みよう。そのアイデアの斬新さ、あるいは確かな科学的知識に裏づけされたストーリーテリングの巧妙さは、やはり敬意を抱かずにはおれませんでした。ところが、正直申し上げて私自身は、彼に対しては決して熱心な読者とは申せませんでした…。いや、「アンドロメダ… The Andromeda Strain」の原作「アンドロメダ病原体 The Andromeda Strain」(クライトンのデビュー作)と「ER」シリーズの原作となった「5人のカルテ Five Patients」(医療ドキュメンタリー)は別ですけど。この2作は面白かった!


アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208))
早川書房
マイクル・クライトン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

「アンドロメダ病原体 The Andromeda Strain」

とある街に墜落した人工衛星。幸いなことに、墜落現場では人的被害はなかったように思われた。ところが、日を置かずして、その街の住人はたった2人の人物を除いて全員が死亡してしまう。生き残った人間とは、生まれたばかりの赤ん坊とアル中の老人…。この奇妙な事件に、世界中の科学者たちは色めき立つ。そこで、住人死滅の原因は、かの人工衛星に付着していた謎の宇宙病原体であることが判明した。地上に存在しない病原体の正体を解明するため、また、なぜ赤ん坊と老人だけが死を免れたのかを突き止めるため、科学者たちの奮闘が始まった…。

この作品はクライトンのデビュー作に当たるそうですが、既に彼の小説の特色が顕著に現れていますね。作品のテーマとなるのが病原体の科学的な解明のプロセスそのものであることや、ドキュメンタリー・タッチのニュアンスを重視するあまり、ストーリーの起伏が想像以上に平板であること、登場人物のキャラクターの描きこみが足りず、共感し辛いこと…などなど。

他の小説でもいえることですが、クライトンの作品というのは、とにかく科学的アプローチが異様にマニアックなんですよね(笑)。ご本人はハーバード大医学部の出身ですから、物語を支える科学知識は磐石。特に医学に深く根ざしたSFを書かせたら、彼の右に出る者はいないんじゃないかと思えます。本作でも、病原体への科学の挑戦をリアルに描きつくし、知的好奇心を揺さぶられることは必定。ストーリーの中にあらかじめ見え隠れしている“結論”を頭の片隅に置きつつ、それに至る過程を明らかにすることで生み出されるスリル…謎の解明と結論の追いつ追われつのカタルシスこそが命綱なのです。その手のお話がお好きな方にはたまらない作品でしょうし、逆に言えば、“愛”だの“涙”だのといった要素を求める方にはお勧めできないものであります。どうもクライトンという人は、こと “人間の内面”を描写することに興味がないのか(笑)、いわゆるドラマチックな展開というものは期待できません。フィクションでありながらノンフィクションの領域に足を踏み入れようとする“クライトン・タッチ”は、題材がそれに適したものであれば興味深い効果を作品にもたらしますが、ある意味で諸刃の剣であり、弱点にもなり得ます。



アンドロメダ・・・ (ユニバーサル・セレクション第6弾) 【初回生産限定】 [DVD]
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2007-12-13

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

「アンドロメダ… The Andromeda Strain」(1971年製作)
監督:ロバート・ワイズ Robert Wise
製作:ロバート・ワイズ Robert Wise
原作:マイケル・クライトン
脚本:ネルソン・ギディング
撮影:リチャード・クライン
特撮:ダグラス・トランブル
音楽:ギル・メレ
出演:アーサー・ヒル(ジェレミー・ストーン博士)
デヴィッド・ウェイン(チャールズ・ダットン博)
ジェームズ・オルソン(マーク・ホール博士)
ケイト・リード(ルース・レービット博士)
ポーラ・ケリー(看護婦カレン・アンソン)
ジョージ・ミッチェル(ジャクソン老人)他。

ロバート・ワイズ Robert Wiseによって映画化された本作は、原作のドキュメンタリー・タッチを忠実に映像に置き換えつつ、映画的興奮をも味わえる仕上がりとなりました。昨今の頭の悪そうなヒーローSF映画とは違い、出てくる人間は科学者ばかり、物語の骨子はその科学者達が謎を解明していくプロセスのみという地味さ。加えて、派手なカーチェイスも爆発シーンも、もちろんお色気ショットも皆無。ところが、病原体の謎が徐々にわかりはじめ、主たる舞台である地下研究室からクライマックスに向けて加速してゆくサスペンスの盛り上がりは只事ではありません。ワイズ監督の手腕によるのでしょうが、クライトンの小説は演出次第でいかようにも面白く料理できる優れた素材であることを証明した、今作は逸品だと思いますね。



五人のカルテ (ハヤカワ文庫NF)
早川書房
マイクル クライトン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

「5人のカルテ Five Patients」

ジョージ・クルーニーやアンソニー・エドワーズ、ノア・ワイリー、ジュリアナ・マルグリーズ等、数々のスターを輩出した長寿番組「ER」。その原点となったのがこのノンフィクションです。先ほどクライトンがハーバード大医学部出身だと書きましたが、実際にマサチューセッツ総合病院でインターンとして勤務した経験を元に、アメリカの医療現場の実態と問題点、その裏に潜む人間ドラマを赤裸々に綴った作品ですね。医療というのは、普段の私たちの暮らしにも深く関わってくることですから、やはり興味をそそられずにおれない分野だと思うのですよ。そういった観点からも、クライトンがベストセラー作家として君臨し続けた理由がうかがえますね。
本作も、現場の混乱振りが手に取るようにわかるほど緻密な状況描写が満載で、スピーディーな展開も臨場感に溢れています。それはそのままテレビドラマにも継承されていますね。



ER 緊急救命室 I ― ファースト・シーズン アンコール DVD コレクターズ・セット
ワーナー・ホーム・ビデオ
2000-11-10

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

「ER 緊急救命室 ER」

私もこのファースト・シーズンは食い入るように観ておりました。懐かしい。テレビ版では、医師同士の人間関係、患者と医師の織り成すドラマなど、クライトンの弱点であったキャラクターの描き込みもばっちりでした。このテレビシリーズが世界中に与えた影響は、その後類似ドラマが次々と制作されたことからも明らかでしょう。



作家だけの活動に飽き足らず、映画監督まで手がけてしまったクライトン。あのスティーヴン・キングなどと同じパターンですが、クライトンがメガホンをとった「コーマ Coma」は、実は原作はクライトン同様医療サスペンスの第一人者ロビン・クック Dr. Robin Cookの手になるベストセラー小説でした。実際にご覧になった方がどれぐらいおられるかわかりませんが、私自身は面白い作品に仕上がっていると思っています。

コーマ [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ
2007-11-02
ジュヌビエーブ・ビジョルド

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

「コーマ Coma」(1977年製作)
監督:マイケル・クライトン Michael Crichton
製作:マーティン・アーリックマン
原作:ロビン・クック Dr. Robin Cook
脚本:マイケル・クライトン
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド Genevieve Bujold(スーザン医師)
マイケル・ダグラス Michael Douglas(マーク医師)
リチャード・ウィドマーク Richard Widmark(ハリス博士)
リップ・トーン Rip Torn(ジョージ医師)
エリザベス・アシュリー(エマーソン夫人)他。

1人の女医が、自らが勤める病院でコーマ(昏睡)状態に陥る患者が続出する事態に、不信感を募らせることろから物語は始まります。中絶手術を受けた彼女の友人や、関節の簡単な手術を受けただけの男性まで昏睡してしまうのを目の当たりにし、彼女はこの病院に大きな秘密があることを突き止めようとするわけです。彼女は上司からの妨害を受けながらも独自に調査を進め、ある事故をきっかけに、昏睡した患者の手術が行われている不審な手術室を発見。やがて病院が恐るべき犯罪に関わっていることを知るのですね。「1000日のアン」や「戦慄の絆」「まぼろしの市街戦」等で、勝気な女性役を演じてきたジュヌヴィエーヴ・ビジョルド Genevieve Bujoldが、巨大犯罪組織を相手に孤軍奮闘する女医を熱演しています。また、若き日のマイケル・ダグラス Michael Douglas(同僚の医師役)や個人的に大好きな俳優リチャード・ウィドマーク Richard Widmarkも登場して、画面にリッチな奥行きを与えていますね。意外なところでは、若き日のトム・セレックとエド・ハリスが共に端役で出演しております。当たり前のことなんですが、両人とも今のお姿からは想像もつかない初々しい青年っぷり。思わず吃驚してしまいますよ(笑)。

クライトン御大の演出は、病院の抱える秘密が徐々に明らかになる中盤から勢いを増し、クライマックスに向けて質の高いサスペンスを醸成します。黒幕が誰なのかという謎も最後まで引っ張っていますしね。人の生き死にを決定する病院というのは、それでなくとも不気味な場所でありますが、今作においてはおよそ患者が想像しうる最悪の事件がそこで起こります。おまけに、モルグやボイラー室、患者が眠る研究室など、間違っても絶対夜中に1人で行きたくない場所のセットが非常に気味悪く、これらがサスペンスの盛り上がりの一助となっているのは明らかですね。ともあれ、今作の仕上がり具合は、監督の本業が作家だと思えば結構お勧めできるように思いますよ。地味ながら実力派のキャストやスタッフに恵まれた幸運も、今作の後押しをしているでしょう。巷で言われているほどの凡作ではないと思うのですが…果たして。


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
常に時代を先駆けたマイケル・クライトンMichael Crichton House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる