Don’t steal my posts. All posts on this blog are written by me.

House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS パンツの下には誇りがある!―「フル・モンティ The Full Monty」

<<   作成日時 : 2013/01/23 10:47   >>

ナイス ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

裸は男の勲章だ!

「フル・モンティ The Full Monty」(1997年製作)
監督:ピーター・カッタネオ
製作:ウベルト・パゾリーニ
脚本:サイモン・ビューフォイ
撮影:ジョン・デ・ボーマン
音楽:アン・ダッドリー
出演:ロバート・カーライル(ガズ)
トム・ウィルキンソン(ジェラルド)
マーク・アディ(デイヴ)
スティーヴ・ヒューイソン(ロンパー)
ポール・バーバー(ホース)
ヒューゴ・スピアー(ガイ)
エミリー・ウーフ(マンディ)
レスリー・シャープ(ジーン)
ウィリアム・スネイプ(ネイサン)
ジューン・ブロートン(ロンパーの母)他。

イギリス北部の街シェフィールドは、25年前鉄鋼業で大変に栄えた。鉄鋼業に従事する人々は経済的に豊かになり、消費も拡大。さらにこじゃれた住宅街が郊外に次々と建設され、繁栄を極めたのだった。しかしその特需も長くは続かず、英国全体を襲った不況のせいで、街の基幹産業である鉄鋼も急速に廃れていった。林立していた鉄工所も毎年のように閉鎖され、失業者は街にあふれる一方だ。

この街の低所得者層向けのボロアパートに暮らすガズも、そんな哀れな失業者の1人。6ヶ月前に勤めていた鉄工所が閉鎖され、以来まともな職にありつくことが出来ずに不遇を囲っている。元妻マンディは、就職活動もせず、いつまでもクダを巻いているだけのガズに愛想を尽かして、当の昔に離婚届けを叩きつけていた。ガズにとって今大問題なのは、マンディではなく、1人息子のネイサンのことだ。彼の共同親権を獲得するためには、裁判所命令で養育費700ポンド也をマンディに支払わねばならない。もちろんそんな大金、今の彼には払えっこない。マンディは、ネイサンの共同親権が欲しくば、自分が勤める紡績会社で雑用として雇われて固定収入を確保しろ、と脅しをかける。最低賃金しか支払われない仕事のために、ガズは男のプライドを捨てる真似はできない。結局今日も親友デイヴとネイサンを使い走りにして、元職場から廃材を盗み出して売り飛ばそうという、チンケなこそ泥稼業に精を出すのだ。当然廃材盗みは大失敗。ガズも同じく失業中のデイヴも、そろって河に落ちて濡れ鼠になる有様だ。

ネイサンは、ふがいない父親に呆れてどこかへ行ってしまった。ガズとデイヴは彼を探しだし、ある酒場を通り掛かる。世界中で大人気の、男性ばかりのストリップ・グループ“チッペンデールス”のショーの告知が貼られていたのだ。“女性客のみ”と但し書きされた酒場の中に潜入した彼ら。そこでは、街中の女達がすさまじい歓声を上げながら、筋骨たくましいショー・ダンサーたちに熱狂していた。世の男どもは皆失業して尻小玉を抜かれているというのに、女達は自らの仕事を持ち、しこたま稼いだ金を気前良くストリップにばら撒いている…。ガズの脳裏にとんでもないアイデアが閃いた。これは儲かる!辛気臭い工場でこき使われなくとも、一攫千金を狙うチャンスだ。彼は仲間を集めてストリップ・ショーを開こうと考えた。しかしながら、これにはいかな親友のデイヴも唖然とせざるを得ない。ガズもデイヴも、とりたてて美男でもなければマッチョでもないのだ。それに、例のストリップ・ショーにはデイヴの愛妻ジーンもいた。夫と違ってはぶりの良い彼女は、失職したせいで全てにやる気を喪失しているデイヴを心から心配していた。デイヴもまた、妻の心配を知っているからこそ、それが余計なプレッシャーとなってしまうのだ。彼らは仲の良い夫婦であるにもかかわらず、ここ数ヶ月ずっと夜の生活もなかった。「暇を持て余すって疲れるんだよな」

画像

だがガズは一旦言い出したら後に引かない性格だ。そんなある日、いつものように暇を持て余した2人が郊外をぶらついていると、車中で排気ガス自殺をしようとしていた元鉄工所の同僚、根暗のロンパーと遭遇する。2人はあわててロンパーを救い出した。彼は病弱な母と2人暮らし、鉄工所閉鎖の後、ある工場で夜勤の警備員の職を得たものの、夜通したった1人で監視モニターとにらめっこの毎日に、すっかり嫌気が差してしまったのだ。ガズとデイヴは仕方なく、始終おどおどしているロンパーと友達になり、彼を男性ストリップ・グループの一員に迎えることにした。「ま、裸踊りがなんかのセラピーにはなるさ!」
ガズとデイヴは、ネイサンを連れてロンパーの職場に赴く。彼らはスポットライトをつけ、ガズがその前で試しに服を脱いでみる。もちろん踊りの素養などないガズのストリップは、みられたものではなかった。父親がこれからやろうとしていることを理解したネイサンは、いよいよ呆れ果てて母親の家に帰ってしまう。なんといってもマンディの家はこぎれいな一軒家で、暖房も完備されているから。
焦ったガズは、翌朝嫌々職業安定所に向かう。そこには元同僚達が大勢たむろしていた。皆職探しに挫折した挙句、真昼間からここで不況への愚痴をこぼし合っているのだ。「俺たち男はみんな恐竜みたいなもんだ。絶滅寸前ってとこだな」
ガズは、自分達にダンスの手ほどきをしてくれる人材が必要だと主張、元上司のジェラルドに白羽の矢を立てた。ジェラルドは何かにつけてガズたちをコケにするイヤミな野郎ではあったが、なんといっても社交ダンスの名手だ。ジェラルドと同じぐらいイヤミな妻と共に、今も社交ダンスクラブに通って自慢の踊りに磨きをかけている。ガズ達は、クラブで踊っているジェラルドにコーチを頼むが、木で鼻をくくるがごとく断られてしまう。素人集団のストリップなんぞに金を払う物好きがどこにいるか。しかも、大勢の好奇の視線の前で裸になるなどとんでもないというわけだ。

ジェラルドは、馬鹿を相手にしておれるかとばかりに、知人の紹介で次の就職口の面接のチャンスを得る。勇んで面接に臨んだジェラルドだったが、折りしもその場にガズたちが乱入。ジェラルドの注意力を散漫にして散々に邪魔立てする。おかげでジェラルドは面接に失敗してしまった。怒り狂ったジェラルドはガズに殴りかかる。なんと彼は、失業したことを今だに妻に言い出せず、彼女の浪費をカード払いでしのいでいたのだった。体面もあり、失職したからといって安々と生活レベルを下げるわけにもいかない彼の立場も、ガズ同様厳しいものだった。収入をなくしてもう6ヶ月、カードの限度額もパンク寸前だ。この面接に成功すれば、なんとか妻に失業の実態を告げずに済ませられたかもしれない。だがそのチャンスもガズ達がふいにしてしまった…。落ち込み荒むジェラルドを見てさすがに反省したガズ達は、彼に詫びを入れ、必ず大金をつかめるからと改めて彼を説得、見事仲間に引き入れた。ジェラルドにしても、背に腹はかえられない。ネイサンも、ガズのストリップ・ショーに賭ける熱意が親権のためだと理解すると、父親の夢の実現に協力するようになった。

早速彼らは元職場の倉庫に募集広告を貼り、ネイサンを音楽係にしてオーディションを開く。集まったのは、失業して金に困っているしょぼくれた男ばかり。自分達だって金にあぶれた男に違いない。ガズ達は一様にどんよりと落ち込んでしまう。しかし、ふらりと現れた初老の黒人ホースの披露したブレイクダンスが、彼らを覚醒させた。年が年だけに、さすがに足もとは覚束ない部分もあるが、さすが昔取った杵柄、ホースは玄人張りのステップをみせてガズ達を唸らせる。その場で合格したホースはそのまま面接官に収まり、さらにオーディションは続く。次に現れたのは、ちょっとハンサムな青年ガイ。彼はなんとジェラルドの家の水道管の修理に来たこともあるという。ガイは、どうがんばっても音楽のリズムとずれてしまうという困った欠点があるものの、そのイチモツはガズ達が思わずみとれるほどご立派だった。その自慢のイチモツで見事合格を果たしたガイも仲間に加わり、6人は早速猛練習を開始する。

ジェラルドは鬼コーチに変貌、素人連中をしごく。映画「フラッシュダンス」のビデオを皆に見せ、このダンスを目指すのだと高らかに宣言。だがいかんせん、ダンスオンチばかりの集団だ。ステージ背後から歩いてきて、前列で並んでポーズを決めるという簡単な振り付けさえ満足にできない。やるからには完璧に、がモットーのジェラルドは頭をかきむしる。そのときホースが、シェフィールドの男達にうってつけのサジェスチョンを示した。いわく、オフサイドトラップの要領で振りを覚えればよい。皆たちまち理解し、一発でポーズをキメてみせた。他方、体力づくりのため皆で走ったり、郊外でストレッチに精を出したり。気分転換に皆でサッカーのミニゲームにも興じた。ガズもデイヴもロンパーもホースもガイもジェラルドも、久方ぶりに素晴らしい笑顔をみせる。こうして6人は徐々に結束を深めていき、ダンスに用いるナンバー、ダイアナ・ロスの『ホット・スタッフ』は彼らのテーマソングとなるのだった。

猛特訓が続く中、ある日6 人はジェラルドの家に集まった。客に見せるのはストリップだ。まずは仲間の前で恥ずかしがらずに裸になれなければ意味がない。6人はいささか気まずい思いをしながら、パンツと靴下のみのマヌケな姿になってみた。そこへ、ジェラルドのカード会社の者が、テレビを差し押さえるために乱入してくる。カードの支払い日が過ぎているのだ。6人は裸で連中の前に仁王立ちになり、びびらせることに成功した。「たまには裸もいいもんだな」
ところがデイヴは、太った身体に人一倍コンプレックスを抱くようになる。どんなにダイエットしても効果がない彼のために、ジェラルドは身体にサランラップを巻いて痩せる方法を伝授したが、デイヴの迷いは晴れない。それに彼にはもうひとつ悩みの種があった。妻ジーンが同じ職場の男と不倫しているのではないかと疑っているのだ。おまけにジーンは、デイヴにスーパーASDAで警備の仕事に就くよう勧めていもいた。最低賃金の退屈な警備の仕事。それはデイヴのプライドを打ち砕くに充分だったが、このままプー太郎を続けるわけにもいかず、かといってガズ達と一緒にステージで裸になるのも正直イヤだった。太っちょの自分の裸なんて誰が見たがるのか。デイヴはますます悩みを深め、ある日ついに決意した。
ショーの日取りが近づき、ガズたちは街中に“女性客のみ”のポスターを貼る。それをみた顔見知りの女は、ガズ達が裸になると聞いて大笑い。誰が素人の踊りに金など出すものか!確かに。ガズは、素人集団が金を取るには、それなりの付加価値が必要だと考えていた。通常のストリップ・ショーでは、男性ダンサーは絶対に最後の一枚を脱がない。それはお約束事項であり、女性客をよりヒートアップさせる作戦でもある。ガズはこれを利用し、自分たちはステージで何一つ身につけないスッポンポンの状態(=フル・モンティ)になろうと決めた。それを初めて聞かされたほかの5人は顔色を失う。そんなことをしたら手が後ろに廻ってしまう!なにより、自分達の尊厳はどうなる!慌てふためく仲間を制し、ガズは大金を確実に手に入れるためだとごり押しするのだった。

デイヴはガズの意向を聞き、仲間からはずれることを決めた。女の前で太った体をさらして笑い者になるなんて、とても無理だ。彼はジーンの働くスーパー ASDAで警備員として働き始める。怒ったガズは、辞めさせようと店まで乗り込んでいったが、デイヴの決意は揺るがなかった。さらにショーの会場として、ガズの知り合いの酒場を借りようとするが、うさんくさい企画であるため、主人は手付金として100ポンドよこせとうそぶく。思い余ったガスは恥を忍んでマンディに金を借りにいくが、当然けんもほろろに拒絶された。父親の窮状を見かねたネイサンは、自分の学費用に貯蓄されていた100ポンドをそっと差し出すのだった。「倍にして返してくれるんだろ?」

会場も決まり、ショーの決行日も決まった。いよいよリハーサルだが、彼らは脱落したデイヴ抜きで行うことにする。廃倉庫で準備を行うが、なんと客としてホースの親戚連中が集まってきていた。ジェラルドは慌てふためくが後の祭りだ。ネイサンを音楽係に、なんとか5人で踊り始める。しかし皆が裸になったところで、突如警察が踏み込んできた!5人のうち、上手く逃げだしたガイとロンパーがロンパー宅でいい雰囲気になっている間、残りの3人は風紀紊乱罪で現行犯逮捕されてしまう。彼らのダンスは、倉庫の防犯カメラにばっちり写っていたのだ。警察の連中はそれを観て大笑い。だがガズ達は真剣だ。誰がリズムを間違えたか、誰が振り付けのタイミングを逸したか、カメラの映像でチェックし始める始末。結局彼らは無罪放免となったが、保護監察官からマンディに連絡が渡り、事の次第を知った彼女はネイサンをガズに会わせないと宣言した。この騒ぎはやがて街中に広まり、地元の新聞の第一面を飾ることになる。

こうなってしまってはもうショーは中止せざるを得ない。ガズたちが意気消沈する中、ついにジェラルドの家に、カード会社のトラックがやってきた。支払い遅延のカタに、家財一式が持っていかれてしまったのだ。事ここにいたってようやく、ジェラルドは失業していた事実を妻に告げた。だが時既に遅し。ジェラルドが 6ヶ月もの間自分を欺いていたことに立腹した妻は、長年連れ添った夫を家から追い出してしまう。マンディとその新しい恋人は、ネイサンの学校の送り迎えまでするようになり、いよいよガズが親権を得ることは難しくなってきた。

そんな中、ロンパーの母親がついに亡くなった。せめて葬式ぐらいには出席してやらねば。ガズは、つまらぬ仕事にすっかりシケこんでいたデイヴを誘い、葬式にやってくる。鉄工所時代から地元のブラスバンド隊に所属していたロンパーは、墓の前でトランペットを演奏した。荘厳な調べは列席者の涙を誘ったが、ロンパーの横にはガイがぴったりと寄り添っていた。仲睦まじく手を握り合う彼らをみて、驚いたガズとデイヴ。「俺は女とも手を繋がないのにな!これからはちゃんと繋ごう。それにしても芸を極めるのも大変だよな。奴らはゲイを極めちまった!」

ジェラルドが以前受けた面接の結果が出た。見事合格だ。ガズも仲間達も心から彼を祝福する。それにしても…彼らのお先は真っ暗だ。ストリップも頓挫したし。ところが、街中で偶然ショーの会場となる酒場の主人と鉢合わせしたガズは、彼から信じがたい話を聞く。なんと当日のチケットが飛ぶように売れているというのだ!新聞沙汰になったことで彼らの知名度が増し、ショーへの関心が一気に高まったのだった。ガズは急遽ショーの中止を中止にする。こうなりゃ一攫千金も目の前だ。彼は他の仲間を呼び戻し、新生活に向けて旅立とうとしていたジェラルドを再度説得する。ジェラルドも一回限りという条件で、ショーに臨むことを約束した。

ジーンは、ここ最近夫の様子がおかしいことに気づいていた。毎晩帰りが遅い上に、物置の中から夫のものと思われる下品なヒモパンが出てきたからだ。自分とはセックスもしないくせに、夫は隠れて若い女と浮気しているのだ!ヒモパンをプレゼントするようなはしたない女と!涙ながらに浮気をなじるジーンに、目を白黒させたのはデイヴの方だ。妻は見当違いの浮気を疑って取り乱している。彼は、ガズ達と一緒にストリップ・ショーを企画していたことを白状し、ヒモパンはその小道具であることを説明した。でも自分の身体に自信が持てなくて、ショーに出るのはやめたのだとも。真相を知ったジーンは、息もつかぬ勢いでデイヴがいかに魅力的かをまくし立てた。デイヴは言い募る。「だって俺の裸なんか見たい奴なんかいるもんか!」「いいえ、私が見たいわ。私が見たいのよ」

いよいよショー当日。会場は満席。立ち見が出ているほどだ。バックステージには仲間が揃った。そして少し遅れたが、衣装である警察の制服をぴしりと着込んだデイヴも顔を見せる。さあ、ショーの始まりだ。ところが、会場に男性客も混じっていることを知ったガズが恐れをなしてしまう。女性オンリーであるはずなのに、最前列にネイサンの通う学校の給食係まで陣取っているではないか!男の前でふりちんになどなれるものか!ガズは絶対に踊らないと駄々をこねはじめた。他のメンバーは腹をくくり、ガズ1人を残してステージに出て行く。言いだしっぺの父親が敵前逃亡を図ろうとしているのを見たネイサンは、だらしないガズに喝を入れた。「男だろ!ステージで男を見せろよ!」

画像

ステージでマイクを持ったデイヴはこう告げた。「僕たちはハンサムでもなければマッチョでもなく、若くもない。ですが今宵限り、皆さんの前でフル・モンティを演じて見せます!」
総勢400人の客が固唾を呑んで見守る中、トム・ジョーンズの歌うセクシーなカバーソング『You Can Leave Your Hat On』をバックに、5人の男達が現れた。警察官の制服を着込んだ彼らが一列に並んでポーズを決めると、会場の興奮が一気にはじける。遅れて登場したガズも加わり、客席の盛り上がりの後押しを受けた彼らは、かつてないほど華麗に踊り、大胆に脱ぎ、大声援を浴びる。客席の最前列には、ジーンをはじめ、ガズの元妻マンディもいた。

熱気が最高潮に達したとき、6人の男達はステージの中央に仁王立ちになる。その場に居合わせた警察官までが興奮に呑まれて呆然とする中、最後に残った帽子で前を隠していた彼らが、とうとうその帽子を宙に放り投げる。“You Can Leave Your Hat On”という歌詞さながら、彼らは見事にスッポンポンになってみせたのである。

フル・モンティ [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2008-11-07

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る


Full Monty=余すところなく全部(俗語)

画像

第二次世界大戦下、名将と謳われたドイツ陸軍のロンメル将軍を戦場で破った男がいました。英国陸軍元帥、Bernard Law Montgomeryです。彼の愛称はMonty。画像をご覧になってもおわかりでしょうが、とにかく彼は豪快な人物で、かつ厳しい戦時下にあってもオシャレとジョークを欠かさない男でした。そして、どんなことでも、やるからには徹底的にやらねば気が済まなかったとか。そんな彼のマッチョなイメージからできた俗語がfull montyです。現在では、“なにがなんでもとことんまでやり抜く”、転じて、“すっぱだかになる”という意味合いで使われるようです。
そうそう、英国が産んだ名コメディ集団モンティ・パイソンの“モンティ”も、この名物将軍の愛称からとられたそうですよ。

この物語の舞台となるシェフィールドは、かつて鉄鋼業(steel)で栄えた街でした。また、銀食器の製造でも有名です。しかしその後の産業構造の変化や不況の影響をまともに受け、今では一転して失業者が溢れる街になってしまいました。ですから、この作品で描かれる寂れた鉄工所の様子や、失職した男達が職業安定所に長蛇の列を作っている有様は、決して映画的誇張ではなくかなり現実に即したシーンであるわけですね。

どんよりした灰色の空の下で、ガズたちが新しい職を探すでもなくブラついている鬱々とした姿は、残念ながら今の日本でも見られる光景です。家族もある働き盛りの男達が望みどおりの仕事に就けず、かといって未来に希望を持てるわけでもない状況下でうなだれる様子は、ですから胸が痛くなってくるほどの感慨を覚えますね。まあしかし深刻な状態であるにもかかわらず、そこに飄々としたユーモアが漂うのは、お国柄の違いなのでしょう。職業訓練所でだべっているガズ達失業仲間が、自分達を評して“絶滅寸前の恐竜”と笑うのも然り。

彼ら男達がしょげかえっている傍らで、その奥さん連中が気勢を吐く有様もユーモラスですね。彼女達はどんな仕事であろうと文句を言わず生き生きと働き、金を稼ぎ、それを男性ストリップ・ショーに気前良く散財します。仕事と趣味のバランスを上手くとっているというわけです。しかし劇中の男達は失業手当に頼り、男の沽券ばかり気に病み、自分に相応しい職がないと嘆くだけ。なんというか、不況というアクシデントに甘えきっている姿は、余りに情けなくて却ってイライラさせられますね。ここら辺に、男性の仕事に対する考え方と、女性のそれの違いが如実に現れているような気がします。あるいは、ピンチに対応する能力の違い、環境の変化に適応する順応性の差というべきか。
ですから、マンディが非現実的な一攫千金ばかり夢みるガズに愛想を尽かすのも無理からぬことです。息子の養育もあるというのに、ガズときたらこそ泥の真似事をしているのですからね。これでは、いくら息子を愛していると主張したところでマンディに取り合ってはもらえないでしょう。子供じみた情けない父親を見かねて、度々助け舟を出すネイサンの方がよほど成熟するわけですよ。

ガズとつるんでいる太っちょのデイヴにしても同様です。理解ある奥さんがいながら、彼もまた、職業を選んでいる場合じゃないという現実と向き合おうとしません。失職とともに失われた“男のプライド”を盾に、負け犬の自分を慰めているだけ。ガズや他の失業仲間と群れるのも、お互いに傷を舐めあうためという、きわめて後ろ向きな関係性であるのです。デブと言われて怒ったところで、その怒りも長続きしないし。

成り行き上、ガズとデイヴに助けられた赤毛のロンパーが抱える事情は、もう少し深刻です。失業した後も病弱な母親の看病をしながら、それでもちゃんと次の仕事を見つけている辺り、ガズやデイヴよりよほど好感がもてます。しかし彼も、内気で冴えない外見のため、たった1人で生きざるを得ない孤独に耐えられず、自殺を図ろうとするのですね。現実にも、こういう人間は社会の中に何万といるでしょう。よき市民としてコミュニティーの中に確かに存在しながら、それを実感することが出来ず孤独に苛まれる彼の姿は、私達にも多かれ少なかれ覚えのあることだと思いますね。ですから、どんなごくつぶしであっても、ガズやデイヴという友達を得たことは、ロンパーにとってやはり大きな意味を持つのです。
ガズは、自分たちでストリップ・ショーをやって手っ取り早く金を儲けるという、突拍子もないことを思いつきます。なんでストリップなんだ!と思わず突っ込みたくなる流れですが、ガズは大真面目だし、必ず上手くいくと信じ込んでいます。その思い込みの激しさが、やがて同じような境遇の男達を巻き込み、彼らをして奮い立たせていくわけですが、その様子はテンポのよい演出に乗って心地よく描かれています。

素人ストリップ集団のコーチ役として目をつけられた元上司ジェラルドの事情は、立場がガズ達と異なる分だけ少し複雑です。鉄工所勤務の頃は収入も多く、その収入に見合ったレベルの生活を送っていました。当然世間体を気にする度合いも、ガズ達とは比較にならないほど大きい。ジェラルドにとって、失業という降って沸いた災難による打撃は、思った以上に深かったのですね。ですから、彼が失業した事実を奥さんに言い出せずに、毎日仕事に行く振りをする様子は痛ましいものです。日本の会社でもリストラが盛んだった頃、解雇されたお父さん達が昼間ぼんやりと公園のベンチに座っている姿をよく見かけましたが、それと同様の悲しさを感じますね。個人的には、このジェラルドが一生懸命新しい仕事の面接に臨んでいる様子にとても共感を覚えました。どんなにイヤミな奴であっても、彼なりに頑張っている姿を笑う権利は誰にもないはず。結局彼もガズの企みに乗せられる羽目になるのですが、そうなったらなったで、腹をくくって張り切るおぢさんの熱意に、私は目頭が熱くなる思いでしたよ。劇中ジェラルドが、仲間達とのダンスの猛特訓を通じて、次第に生き生きとした表情を取り戻していく様子は特に印象深いです。

ガズをリーダーとするストリップ集団はオーディションを行い、個性豊かな2人の仲間を得ます。足もとも覚束ず、ボケかけているのかと思しき飄々とした風体の黒人ホース、マッチョな肉体と立派なモノが唯一の自慢であるガイ。ホースのブレイクダンスも、どことなく微妙なのが笑えますよね。ガイのアホ振りに至っては言うに及びません。リズム音痴なのはまだしも、唐突に壁に激突していくのはどうしたことか。昔実家で飼ってたアホ犬を思い起こしますわ(笑)。
6人揃ったところで、短期間でダンスを会得すべく彼らの奮闘が始まります。参考資料として、皆で映画「フラッシュダンス」を観るシーンも秀逸。主人公が溶接するのを観たデイヴが、その手際に散々文句を垂れるのが笑えます。注目点はそこかよ、みたいな。あるいは、6人でポーズを決めるのに、オフサイドトラップを例えに持ち出したりするのも、サッカーのふるさと英国らしいギャグですね。失業手当をもらう長い列に並ぶ彼らが、 BGMにかかったドナ・サマーの『ホット・スタッフ』を聴くや、無意識のうちに足でステップを踏み始めるシーンもいい。そんなちょっとしたシーンで、笑いを誘う演出がまことに心地よいのです。ハリウッド製の騒々しいおバカコメディではみられない種類の笑いですよ。また、劇中にちりばめられたウィットに富むせりふのおかげで、結構なシモネタもイヤミに聞こえません。この辺りは、日本語字幕を担当した方のセンスにも大いに助けられている部分があるのではないでしょうか。

リハーサル中に現行犯逮捕されたり、逮捕を免れたメンバー2人がデキちゃったり、やっぱりデブにコンプレックスを持つデイヴがメンバーから脱落したり。カード払いが破綻をきたしたジェラルドが、ついに真相を知った奥さんから叩きだされたり…。様々な紆余曲折を経て、彼らはようやくストリップ・ショー開催にこぎつけます。素人集団がフル・モンティ(すっぽんぽん)でストリップ・ショーをやるという奇抜なアイデアは、街中の好奇の視線を浴びながらも、その実、人々の隠された欲望―普段見知った知人が素っ裸を晒す様を見てみたい―にも火をつけます。だって考えてもみて下さい。デブや年寄り、たるんだ身体の根暗男、あばら骨が浮き出そうな貧相な男のハダカなんか、わざわざ見たいと思いますかね。しかも有料ですよ(笑)。ガズ達のストリップが街の人々の興味を引いたのは、ひとえに、知人が皆の前で醜態を晒すというタブーの共犯者になることで、ありえない背徳の喜びに浸りたいという人間の欲求のせいでしょう。

奥さんの誤解を解いて、改めて夫婦の絆を再確認したデイヴが復帰し、彼ら6人はステージに上がります。異様なまでの興奮に包まれたストリップ・ショーのカタルシスは、しかしどこへ向かうのでしょうね。映画ではその後の彼らの姿は描かれず、観客の判断に委ねられています。そう、たとえふりちんパフォーマンスを決行しようが、一時的に大金を得ようが、6人それぞれを待つ先行きは依然として不透明なのです。せっかく新しい職を得たジェラルドにしても、ショーのせいで解雇されてしまう危険性だってあるでしょうしね。
ひとつ確実にいえるのは、すっぽんぽんになったために、彼らをがんじがらめに縛っていた枷が取れたということです。人間誰しも、スランプから脱却する試練として、殻を破る痛みに耐えねばならない時があるものですが、彼らにとってはそれがたまたまストリップだったというわけです。彼らは自嘲を込めて度々自らを負け犬と呼びますが、それは不況を含めた時代の変化に負けたという意味ではありません。実は、他ならぬ自分達自身の弱さに負けていたのですね。ショー開催までの過程で様々な経験を経て結束を深めていった彼らは、ようやくそのことに気づきます。彼らがステージでついにしがらみから解放されたように見えるのは、なんであれ己の力で事を成し遂げた自信が彼らに前進する力を与えたからでしょう。これから先、彼らはおそらく自分達なりの方法で新生活を切り開いていくのではないでしょうか。彼らを見つめる女性達のまなざしに柔らかさが戻ったのを見るにつけ、彼らの未来も決して捨てたものじゃないかなと思うわけです。

さて、この作品を監督したのは新人のピーター・カッタネオです。新人ながら、何の変哲もない日常風景の中に様々な人間模様を描き、その背後に隠された社会問題をもさりげなく提示した手際は見事というほかありません。人間ドラマの細部にまできちんと言及したことが、この作品を優れたコメディ映画たらしめたのでしょう。突拍子もないアイデアを見事なドラマに仕立て上げたのは、やはりこれが長編デビューとなる脚本家サイモン・ビューフォイです。彼らの作品を支えるのは、既存のポップスとオリジナル曲を絶妙に取り混ぜた印象的なサントラを担当したアン・ダドリー(他に「クライング・ゲーム」)、ミュージック・ビデオで知られる撮影のジョン・デ・ボーマンなどです。特にラストのステージで用いられる、ランディ・ニューマンの曲『You Can Leave Your Hat On』は、トム・ジョーンズのセクシーな歌唱でカバーされ、劇中の雰囲気をいやがおうにも盛り上げて秀逸。作品は英国内のみならず世界中でヒットし、 1997年度のアカデミー賞に作品賞、監督賞、脚本賞、音楽賞の部門でノミネーションを受けました。こと英国では、この作品のヒットは一種の社会現象にまでなり、かの英国皇太子やウィリアム王子までもがテレビで劇中のダンスを披露したりしたそうです。また、シェフィールドでは、実際に男性ストリップチームがたくさん誕生し、ショーも盛況であったとか。

画像

2000年にはブロードウェイでミュージカル化され、トニー賞にもノミネートされました。シェフィールド出身の俳優ショーン・ビーンも、かつてインタビューでこの作品について言及していましたし、その影響力たるや想像以上に大きなものであったようですね。
地味ながら達者な演技を披露した出演陣も、この作品で評価されていきました。チンケなチンピラといった風情がぴったりのガズを演じたのは、ロバート・カーライル。彼は007にも悪役で登場しましたが、あの手のビッグ・バジェット・ムービーより、こういう小品でブルーカラーの男に扮しているときの方が断然魅力的です。
危なっかしい父親を見ていられなくて、大きな包容力(笑)で彼を包む息子ネイサンを演じたのは、子役のウィリアム・スネイプ。右往左往する大人達を、離れたところからクールに見つめる彼の存在感は特筆モノです。彼とカーライルの漫才のような掛け合いも、この作品をユーモラスにしている原動力ですね。

最後に。赤毛でタレパイ(笑)のロンパーとナチュラルにデキてしまう青年ガイを演じたのは、ヒューゴ・スピアーです。ちょっとおバカであるものの、その人の良さと、なんといってもメンバー中唯一鑑賞に耐えうる肉体の持ち主ということで(笑)、少ない出番ながら印象は強烈でした。彼はこの作品で人気が沸騰し、ファンサイトも作られた模様ですよ。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
パンツの下には誇りがある!―「フル・モンティ The Full Monty」 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる