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zoom RSS 母なる女、ソフィア・ローレン―「戦場を駈ける女 Madame Sans Gene」Part1

<<   作成日時 : 2014/07/07 23:48   >>

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「戦場を駈ける女 Madame Sans Gene」(1961年製作) フランス・イタリア・スペイン合作
監督:クリスチャン=ジャック
脚本:クリスチャン=ジャック&アンリ・ジャクソン
撮影:ロベルト・ジェラルディ
音楽:アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ
出演:ソフィア・ローレン(カテリーナ)
ロベール・オッセン(ルフェーブル)
ジュリアン・ベルトー(ナポレオン・ボナパルト)
レオナール・メリー(フーシェ)他。


1792年、パリ市民は国王と王妃の廃位を求めて抵抗運動を続けていた。
カテリーナは、宮殿近くの下町で洗濯屋を営むきっぷのいい女である。フランス市民革命を指導していたナポレオン・ボナパルトに対しても遠慮なくずけずけものを言うことから、“マダム・サン・ジェーヌ”(ぶしつけな女)というあだ名がついていた。しかし彼女は同時に情に篤く、慢性的に物資が不足している国王反乱軍の面々にも分け隔てなく面倒見の良いところを見せていた。ある日彼女の洗濯屋に、反乱軍が大砲を持ち込んだ。いよいよ宮殿を占拠する日がきたのだ。店を滅茶苦茶にされたうえに、義勇軍18人の面倒も押し付けられてうんざりするカテリーナであったが、その軍を指揮するフランソワ・ルフェーブルと仲良くなった。彼の無事を祈るカテリーナの目の前で、翌日、鐘の音とともに市民と義勇軍が宮殿に向かって突撃を行う。宮殿では銃撃が始まり、狭い街路はたちまち大混乱に陥る。だがほどなくして、市民の勝利の雄叫びが宮殿のあちこちから響き、彼らは宮殿から王家を追放することに成功する。そしてカテリーナも、下っ端の軍人ながら知的で優しいルフェーブルと仲睦まじくなることに成功するのだった。
しかし、フランスの政治状況は依然として不安定である。他国の王家がフランスにつけいる隙をうかがって、虎視眈々とチャンスを窺っている状態では、ルフェーブル達にいつ召集命令が下されてもおかしくはない。案の定カテリーナは、また戦場に向かうことになった恋人を涙ながらに見送るのだった。いち早い再会を誓いあい、ルフェーブルの仲間である気のいいフリカッセもカテリーナに別れを告げた。そしてボナパルトも。しかし彼は、ルフェーブルらが送られたライン地域ではなく、妹と共に故郷のコルシカに戻るという。当初から、市民による革命運動とは微妙な距離を保っていた彼には、別の野望があったのだ。しかし恋人を奪われたカテリーナにとっては、“ナポレオン・ボナパルト”は単にシャツの洗濯代未払いのままの将校にすぎなかった。
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しかし4年後の1796年、そのボナパルトはイタリアを征服する。彼は、大尉となったルフェーブルが指揮する共和国大隊の視察に訪れる。カテリーナは、結婚を誓いながら4年もの間音沙汰なしの恋人ルフェーブルを追って、イタリアくんだりまでやってきていた。戦場まで恋人を追う羽目に陥った元凶であるボナパルトをののしりながら。彼女には、ボナパルトにあの8月10日の勝利をくれてやったという自負があるのだ。彼女は、戦場を訪問する娼婦たちにまぎれて大隊の基地に到着した。いち早くルフェーブル大尉に差し出されることになった娼婦を叩きだすと、怒りに燃える目で恋人を待つ。果たして、鼻の下を伸ばしたルフェーブルとカテリーナは、実に気まずい再会を果たすことになった。カテリーナは恋人の浮気を確信し、基地から逃げ出す。それを追うルフェーブルも必死だ。2人は廃屋にたどりついたが、敵方であるオーストリア軍の斥候に捕えられてしまう。
間の悪いことに、その頃ボナパルトも基地に到着していた。ルフェーブルが行方不明になっていることを知ったボナパルトは怒り狂う。大隊を放置した罪を償わせるため、夜明けと共にルフェーブルと配下のフリカッセ中尉を処刑することを宣言すした。
その頃ルフェーブルとカテリーナは、オーストリア軍が密かに駐屯する風車小屋に監禁されていた。このままおとなしく銃殺されるのを待つわけにはいかない。風車小屋で生まれたというルフェーブルの機転でなんとか戒めを解いた2人は、オーストリア軍が背後からフランス軍を奇襲するつもりであることを知る。すぐ基地に戻らねばならない。2人は風車の羽根につかまって地上に降り立ち、将軍と側近をのして隙を突いて軍の砲兵隊の背後に廻った。武器庫から火薬を運び出す兵隊に細工をして、そこいら中を火薬まみれにした後、マッチを一振り。砲兵隊の一群は大爆発に包まれた。
フランス大隊基地でその爆音を聞いたボナパルトは、大隊を率いて現場に急ぐ。すべての火薬に引火したオーストリア軍基地は大混乱だ。馬も兵隊も散り散りになり、ほうほうの態で逃げ出す有様だった。爆発を何とかしのいだルフェーブルとカテリーナは、フランス軍が到着するのを大喜びで迎え入れた。現場に到着したボナパルトは、煤だらけのルフェーブルを見て呆れるものの、その機転にいたく感心し、銃殺刑を取り消した上でその場で彼を大佐に昇進させた。同じく真っ黒けのカテリーナは、ルフェーブルの冗談のような昇進を聞いて大笑いする。しかしパリに戻ることは拒み、この危険な戦場でルフェーブルと共にいることを選ぶ。

1797年、ボナパルトはフランスに凱旋した。そして1799年にはフランスの第一統領になる。1802年には終身統領に。1804年には彼はフランスを完全に掌握し、皇帝に上り詰めた。その勢いをかって、1806年には全ヨーロッパを征服。今やボナパルトは全ヨーロッパの王者となったのである。
ボナパルトは、自身の兄弟縁者たちを近隣の国々の王位につけ、身内でヨーロッパを手中に治めようと画策していた。しかし彼の兄弟達は、妹達も含め揃いも揃って無能である。寄ると触ると領地の取り分でいがみ合いを始める始末だ。ボナパルトは、自らが苦労して手に入れた覇者の地位に寄生するばかりの兄弟達を一喝。腹心の配下であるフーシェに命じて、ダンツィヒ公爵の邸宅を訪問させた。ダンツィヒ公爵夫妻はフーシェを迎え入れたが…、彼らはなんとあのルフェーブルとカテリーナであった。一介の軍曹と洗濯女にすぎなかった彼らが、今や公爵夫妻となり、しかも皇帝ボナパルトの深い信頼を得ているのだ。しかし2人の生活は昔とほとんど変わりなかった。カテリーナは豪華なサロンや寝室ではなく、狭い質素な部屋で相変わらず夫のシャツにアイロンをかけているし、ルフェーブルも、そんな妻の姿を見ながら質素な食事に舌鼓を打っていた。貴族になろうがどうしようが、昔のままの“マダム・サン・ジェーヌ”振りを改めようともしないカテリーナ。そんな妻にベタ惚れで、喜んで尻に敷かれるルフェーブル。フーシェは、その強烈なやまだし振りに圧倒されるが、なんといっても彼らは、ボナパルトが一介の隊長に過ぎなかった頃からの古い知己であるのだ。皇帝が彼らを宮廷の舞踏会に招きたいと言えば、招待をせねばならない。カテリーナ自身はハナから舞踏会などに興味はないが、皇帝の妹達に失脚させられそうだと知るや、猛然と負けん気の強さを発揮する。フーシェの策に怪訝な面持ちのカテリーナであったが、宮廷用のマナーを教えるというエステレル伯爵に紹介される。まずは裾つきのドレスを着て転ばないところから始めなければならない。カテリーナはエステレルの気取ったお手本に大笑いするが、やり始めると歩き方1つをとっても意外と難しい。ルフェーブルの応援の甲斐あって、なんとか礼を失しない程度に礼儀作法を身につけたカテリーナ。大はしゃぎで愛するルフェーブルにしがみつくのだった。

目もくらむほどの豪華絢爛な宮殿舞踏会。満場の宮廷人達が一斉に値踏みするように彼らを凝視する中、2人そろって初めての大舞台に緊張の頂点に達している。見違えるほど美しく着飾ったカテリーナは会場の注目をさらうが、ボナパルトの命令でルフェーブルは書斎に呼び出されてしまう。頼りの夫から引き離されて動揺するカテリーナは、フーシェが危険を知らせる合図に頼るしかない。しかしながら、彼女は昔の仲間オジュローの話を引き合いに出されて(今やカスティリオーネ公爵様だ!)すっかりくつろいでしまい、せっかく身につけた行儀作法も忘れて、昔話を面白おかしく始める始末だ。フーシェの制止で我に返った彼女だが、そこへオジュローも助け舟を出したものだからさらに絶好調になる。
一方ルフェーブルは、ボナパルトから内々にウェストファリア王室を支配するよう命を受ける。つまりはウェストファリア国王である。愛するカテリーナは王妃様だ。ルフェーブルはとまどいつつも素直に謝意を表明する。昔大佐に任命されたときと同じだ。
カテリーナはすっかり上機嫌で、昔話に花を咲かせていた。今や彼女の周りには話を聞こうと大勢の貴婦人達が集まっている。そこでは笑い声が絶えず、彼女の生来の明るさが礼儀作法を超えて人々を魅了しているのだ。面白くないのは皇帝の妹達。一向に敬意を表しに来ないカテリーナに業を煮やした彼女たちは、弟ジェロームを引き連れて逆に彼女の元へやってくる。フーシェは慌ててカテリーナをナポリ王妃、ビオンピーノ王妃、ボルケーゼ王妃、ジェローム王子に引き合わせる。妹達は、早速カテリーナの過去の仕事を引き合いに出して侮辱し始めるが、カテリーナには彼女たちのイヤミも全く通用しない。それどころか、1792年 8月10日の宮殿掌握の際、ボナパルトと一緒にコルシカに戻ろうとしていた彼女達の過去を暴く。そう、皆が今宮廷で優雅に暮らしていられるのも、あの8月 10日の勝利があったからこそ。革命がなければ、今もなお飢えと貧困に苦しんでいたかもしれないのだ。生まれも家柄も関係ない。オジュローだって、元は魚屋の倅。ジョルダンは肉屋の息子だ。リヴォリ公爵、マルセナの実家はオリーブ売りをしていた。ナポリ王のムーラだって、元をただせばレストランの給仕である。人間の中身はその頃となんら変わってはおらず、変わったのは周囲の環境であるのだ。しかしそれを恥じることなどない。皆それぞれに個性をもった貴族、それでいいではないか。カテリーナの言葉は周囲の人々を納得させるが、皇帝の妹達は納得しなかった。カテリーナが前線にいたことから、彼女が毎晩兵士相手に身体を売っていたと揶揄したのだ。これは許しがたい暴言である。なんといっても彼女はルフェーブル一筋なのだから。カテリーナは、フーシェの制止を振り切って啖呵を切る。彼女はルフェーブルについてヨーロッパ中を駈けた。兵士の傷と渇きを癒すために働き続けた。そして彼らの死を、数限りない死を見届けたのだ。彼女の腕の中で死んだ兵士もいる。母親の代わりにお休みのキスをして天国に送った兵士も。あの懐かしいフリカッセも逝ってしまった。この歴史に埋もれた哀しい物語を笑いたければ笑え。しかし今の国の繁栄は、彼らの大いなる犠牲の上に成り立っているのだ。貴族達はそれを甘受するだけ。

皇帝の妹達は捨てセリフを残して立ち去り、貴族側の人間であるフーシェもまた敵意をむき出しにして離れていく。なにがなんだかわからないカテリーナは、夫の姿を見つけて安堵する。一方策士フーシェは、カテリーナが自身の政治の道具に使えないと見切りをつけ、ジェロームに擦り寄っていく。
ルフェーブルはカテリーナに、ついに王位を射止めたことを話す。興奮気味の夫に反し、カテリーナはそんな出世のことなどもはやどうでもよかった。8月10日の頃が懐かしい。宮殿を占拠するため、命を惜しまず駈けていったあの興奮。だが子供のように喜ぶ夫に反対は出来ない。死が二人を別つまで一緒にいると決めたのだから。
ボナパルトは、ジェロームや妹達の不平不満には耳を貸さず、ルフェーブルをウェストファリア王にする意思を変えなかった。しかしフーシェは、英国紙にすっぱ抜かれたカテリーナの失言を突き付け、ボナパルトを“墓場の皇帝、血まみれのピエロ”と揶揄した箇所を読み上げる。こうして彼の自尊心をぐらかせるのだ。ボナパルトは自尊心を傷つけられることをひどく恐れる男であった。

閲兵式が始まるが、心中穏やかならぬボナパルトは、カテリーナの失態を処遇するためルフェーブルに即刻離婚を命じる。そして、サン・ドミン辺境伯令嬢と再婚することを迫ったのだ。突然の悲劇に呆然とするルフェーブル。相変わらず無邪気に永遠の愛を誓うカテリーナに、面と向かって離婚してくれなどと言えるはずがない。皇帝から離婚を迫られていることを知ったカテリーナは、夫が即座にそれ断らなかったことを嘆いた。15年間皇帝に仕えてきたルフェーブルにとって、皇帝の命に逆らうことは反逆を意味するからだ。王位、離婚、再婚。人生の一大事を馬上で、しかもたったの5分間で決められ、ルフェーブルの頭はパニックを来たす。だが命令は命令だ。離婚がどうにもならないことに落胆するも、気丈に彼を送り出すカテリーナ。
ルフェーブルと新しい婚約者が即位式で皇帝のお出ましを待つ間、涙を拭ったカテリーナは毅然と顎を上げ、なんと皇帝の書斎に怒鳴り込んでいった。こうなれば直談判だ。世界中に笑い者にされ、怒りに震えるボナパルトの剣幕に驚きながらも、カテリーナは皇帝の決定に大笑いして反発したと告げる。自分が笑われることを許さぬ独裁者は意固地になるが、ついに堪忍袋の尾が切れたカテリーナも大爆発する。いかなボナパルトがヨーロッパを恐怖で震え上がらせようと、彼女には通用しないのだ。大勢の兵隊を操って暴君を倒しても、彼女とルフェーブルの仲は裂けない。愛は皇帝の領土ではないのだ。おまけに、リュックを背負うことしか知らぬ男に王位など務まろうはずがない。ルフェーブルには、彼女がついていなければダメなのだ。カテリーナが、皇帝の御前であろうと堂々と己の意見を言うには理由がある。彼女もフランス陸軍第15大隊に付いて働いていた間、2度目の怪我を負ったときに勲章まで受けているのだ。つまり彼女は、兵士と同等の働きを前線でしていたとみなされている。彼女の美しい足に、一生消えないひどい傷痕を見たボナパルトは感心する。女性の身でありながら、怪我を負ってもなお前線で戦っていたなどという話は聞いたことがないからだ。それも夫恋しさに!ボナパルトといえど、元は兵士上がりの男。カテリーナが“同志”であるとわかり、にわかに表情を和らげた。
彼女の相も変らぬぶしつけな態度にウンザリしながらも、昔中尉であった頃、カテリーナが彼のシャツを洗ったオランダ愛国戦士の宿の洗濯女だとわかると、ボナパルトは思わず歓声を上げる。そう、“マダム・サン・ジェーヌ”、ぶしつけな女とあだ名された名物女こそ、このカテリーナだったのだ。しかも、あのとき洗濯したシャツの代金はいまだ未払いのままである。すっかり打ち解けたカテリーナとボナパルトは、共に昔を懐かしむ。あの運命の8月10日、大砲を宮殿に向けたとき、カテリーナはものすごい剣幕でボナパルト“中尉”に怒鳴り込んできたのだ。自分の家の中で大砲を撃つなんて許さないと。そしてその大砲の撃ち方も知らず、破損させてしまったバカ者、それがルフェーブル“軍曹”だった。思いもかけず心から笑い転げたボナパルトは、ルフェーブルをウェストファリア王にする決定を覆し、離婚の件も白紙に戻すことを承知する。折りしもそこへ、顔面蒼白にしたバカ、ルフェーブルがやってきた。今まで何度も黙って皇帝の命に従ってきたが、今度ばかりは無理だと泣きついてきたのだ。カテリーナと離れ離れになって、ましてや別の女と再婚などと。すべての地位を失っても構わないが、妻だけは失いたくない。ボナパルトは、その場に居合わせたカテリーナと引きあわせ、自身が初めて“戦い”に負けたことを認めた。

ひしと抱き合う夫婦2人を見つめ、彼は苦笑しつつひとりごちる。あやうくバカを王に選ぶところであったと。

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