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zoom RSS 消えた妖精の謎−「ピクニックatハンギング・ロック(ディレクターズ・カット版)」Part1

<<   作成日時 : 2015/02/16 11:01   >>

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神は、ハンギング・ロックの裂け目にではなく、暗喩と日常の細部に宿り給う。

「ピクニックatハンギング・ロック(ディレクターズ・カット版) Picnic at Hanging Rock
」(1975年製作)
監督:ピーター・ウィアー
製作:ハル・マッケルロイ&ジム・マッケルロイ&A・ジョン・グレイヴス
製作総指揮:パトリシア・ロヴェル
原作:ジョアン・リンゼイ
脚本:クリフ・グリーン
撮影:ラッセル・ボイド
音楽:ブルース・スミートン
衣装:ジュディ・ドースマン
出演:レイチェル・ロバーツ(ミセス・アップルヤード)
アン・ランバート(ミランダ)
ドミニク・ガード(マイケル・フィッツヒューバート)
ヘレン・モース(マドモアゼル・ド・ポワチエ)
ヴィヴィアン・グレイ(ミス・マクロウ)
カースティ・チャイルド(ミス・ラムリー)
カレン・ロブソン(アーマ)
ジョン・ジャレット(アルバート・クランダール)
マーガレット・ネルソン(セーラ)
ジェーン・ヴァリス(マリオン)
クリスティン・シュラー(イーディス)
ジャッキー・ウィーヴァー(ミニー)
トニー・リュエリン-ジョーンズ(トム)他。

―1900年2月14日、アップルヤード女学院の生徒達がヴィクトリア州マセドン山の岩山で、ピクニックをしていた。その日の午後、数人が跡形もなく消えうせた。―

見えるものも
私達の姿も
ただの夢
夢の中の夢…

オーストラリアの大自然に抱かれるようにして建つ、アップルヤード女学院。明るい日差しが生徒達の寄宿する部屋に差込み、皆おのおのの部屋で起床した。ミランダと同室のセーラは、目覚めたばかりの彼女のために窓を開け放ち、爽やかな風を部屋に招き入れる。風は美しいレースのカーテンを優美に揺らし、ベッドに眠るミランダの金髪を少しくくすぐった。
花でいっぱいになった洗面台で顔を洗ったミランダは、セーラが手渡してくれた古風なカードを読む。“会ってください、愛しい人…”

高貴さゆえにあなたを愛す
深く輝く瞳
額の甘美な趣ゆえ
その高貴な物腰ゆえに…

少女達は、目覚めると朝一番にやらねばならぬこと―コルセットで身体を締め付けること―を行った。一列に並んで協力しておのおののコルセットを締め上げる。その上から瀟洒なドレスを纏うのだ。今日は学園の外に出るため、皆自宅から持ってきていた外出用の白いドレスを着ている。聖バレンタインズ・デイのピクニックに出かけるのだ。
ミランダは歌いながら絹のように美しい金髪をくしけずっていた。セーラは今日はピクニックに同行することは出来ない。友人の胸の内を悼み、ミランダはいつか家に遊びに来るよう声をかけた。セーラはうれしさの余り声も出せない。ミランダは、彼女に愛情の全てを捧げるセーラにそっと語りかけた。
「他の人を愛さねば。私以外の人も…。私は長くはここにいられないから」

生徒達が歓声を上げながら階段を駆け下りてくる。先生の1人、ラムリー女史はおてんばな少女達に早速叱責をとばす。
学園の中庭にピクニックを待ちわびる生徒達が集まった。おそろいのリボンつきの麦藁帽子に、手には一輪のバラの花。生徒達に同行するマクロウ女史とマドモワゼル・ポワチエも並び、アップルヤード校長の訓示を拝聴する。ハンギング・ロックへは、単に遊びに行くだけではなく、地質学的に学ぶべきことを吸収してくること。学園の屋上にこっそり姿を現したセーラに、ミランダは目線で挨拶を送った。

生徒を乗せた馬車は校門を抜け、ハンギング・ロックへと向かう。現実主義者のマクロウ女史は、何を好き好んでアリやヘビにかまれに行くんだかと、1人ごちる。美しい少女達の乗った馬車が街中を駆け抜けるとき、子供達が歓声を上げてついてきた。若者は年頃のお嬢さん方に口笛を吹く。彼らが見えなくなると、少女達は待ちかねたように暑い手袋を脱ぎ捨てた。目的地が近づいてくる。「山はマホメットに、岩はハシーに近づく」マクロウ女史は、岩山が100万年前の噴火で出来たものだと語る。マセドン山の中では、ハンギング・ロックは比較的新しい噴火で出来た山だ。女史が噴火の有様を詩を歌うように諳んじていると、生徒のアーマが魅入られたように続けた。
「100万年も待ってたのね、私達が来るのを」
叔父の大佐夫婦と共にハンギング・ロックにピクニックに来ていたマイケル青年は、森の中で下働きの青年アルバートと出会った。酒を酌み交わし、彼らは親しく言葉を交わすようになる。
アップルヤード女学院の馬車が到着した。ミランダが馬車を招き入れると、鳥達がいっせいにはばたき、ミランダの頭上を飛び回る。少女達は、ハート型にかたどったケーキにナイフを入れ、お祝いをする。しばしの休息の時間だ。

一方学園に居残ったセーラは、校長から言い渡されていた英国の詩人の詩の暗唱を拒否する。無意味なことだとかたくなな態度を改めない彼女は、代わりに自作の詩を披露しようとする。だが校長も頭からセーラの詩を拒否し、言うことをきかなければ謹慎させると脅した。セーラは、幼い頃別れたままの兄アルバートとミランダを想って、1人悲しみにくれるのだった。

ハンギング・ロックでは、様々なところから生き物の鳴き声が聴こえてくる。暑さを運ぶ日差しを避け木陰に身を休ませながら、少女達は読書にふける。御者の時計が12時を指して止まってしまった。マクロウ女史の時計も同じくきっちり12時で止まっている。マドモワゼルはお気に入りのミランダに、今何時か訊ねる。しかしミランダは、今日はダイヤの時計をしてこなかった。時間と一緒に心も刻まれるようで嫌なのだ。マクロウ女史は磁気のせいだと気にもとめない。いつまでも食べ続けている生徒イーディスは、大佐夫妻を見つける。彼らさえいなければ、私達がこの世界で唯一の人間なのにと文句を言う。地を這うアリは打ち捨てられたケーキにたかっている。ちっぽけなアリはイーディスの目には映らなかった。
マリオンは、アーマ、ミランダと岩面の測定をするために岩山を登る許可を得た。なぜかイーディスがついてくる。心配げなマドモワゼルに、ミランダはすぐ戻ると請合った。そして金髪を翻して最後に振り返ると、光に頬を高潮させながら手を振る。ボッティチェリの画集を見ていたマドモワゼルは、唐突にミランダがボッティチェリ描くところの天使だと気づいたのだった。
画像

白いドレスの裾をはためかせながら、少女達は岩山を駆け上っていく。アルバートとマイケルがくつろいでいた眼前で、彼女達は小川を渡っていった。アルバートは、アーマとミランダの美しさに口笛を吹く。ミランダは野花を一輪水面に受かべる。マイケルは、輝くような美しさを放つミランダに感嘆しながらも、露骨なアルバートを戒めた。アルバートは女など皆同じだとうそぶく。風にたゆたい舞うように走るミランダに引き寄せられるように、マイケルは思わず立ち上がっていた。

異様な形の岩山が地面から屹立する。少女達を見下ろす岩は、100万年の時を経て荘厳であると同時に、底なしの恐怖を感じさせる。ミランダは岩山の上を見るよう皆に促す。頂には雲が流れ、抜けるような空と太陽と一体化するようだ。彼女達は一心に急斜面を登る。頂に手が届くかもしれない…。そこになにかがあるかもしれない…。疲れ切ったイーディスは文句を言い始める。だが他の3人には聞こえない。ミランダを先頭に、巨岩が密集する中を縫うように突き進んでいく。ミランダは岩と岩の裂け目に目を留め、顔のような岩を見上げられる小さな空き地に出た。一息ついたイーディスは、セーラが孤児であることを笑う。アーマは、セーラが昔死んだ小鹿に似ているとつぶやく。ミランダは1人岩山の威容を見つめ、靴と靴下を脱ぎ捨てた。アーマとマリオンもそれに続く。3人に置いていかれないようにするため、イーディスも慌てて彼らの後についていく。マリオンは岩の間から下を覗いた。他の生徒達が昼寝をしている様子が見える。小さく密集して、あるでアリのようだ。目的もなくただ寄り集まる人間のなんと多いことか。多分彼らは、自分でも気づかない役割を世の中に於いて果たしているのだろう。ミランダが後を続けた。物事は皆定められた時と場所で始まり、そして終わる。彼女の目には岩の頂の先が見えた。
ミランダが空き地に倒れこむと、他の3人もそれにならった。神の宿る岩は、眠る少女達をただ見守っていた。下では他の生徒達とマドモワゼルも昼寝をしている。1人目覚めていたマクロウ女史は、ふと気づくと頭上の岩を見上げていた。頂に光の冠を抱いた岩だ。奇妙な胸騒ぎがよぎる。
空気がゆらゆらと揺れ、ミランダが目覚めた。続いてマリオンとアーマも。しきりと気分の悪さを訴えるイーディスを残し、3人は無言で岩の裂け目に入っていく。イーディスの呼び止める声にも答えず、何かに導かれるように確かな足取りで。取り残されたイーディスは恐怖のあまり絶叫し、一目散に山を駆け下りる。

生徒達の帰りが遅い。一体何があったのか。校長の不安が高まる中、馬車がようやく学園に戻ってきた。出迎えた校長に、憔悴しきったマドモワゼルは恐ろしいことが起こったことを告げる。戻ってきた生徒達の中に、いとしいミランダの姿がないことに気づいたセーラは、1人悲しみに佇んだ。
御者によると、ミランダ、アーマ、マリオン、マクロウ女史が、岩山で忽然と姿を消したとのことであった。そもそも何が起こったのかすら分からない有様だ。誰も、彼らがいつどうやって消えたのか分からない。皆眠っていたから。1人戻ったイーディスは、服をびりびりに破いて泣きながら帰って来たという。ひどいヒステリーに陥っており、状況を説明できる状態にはない。直ちに警察が学園に到着し、捜索が開始された。

大掛かりな捜索隊が組まれ、ハンギング・ロックをくまなく捜索し始めた。頼りはイーディスの証言のみだ。ハンギング・ロックで何が起こったのか。イーディスは足に擦り傷を負っただけで暴行の跡も見られない。事態は謎だらけだ。街中の人々がこの失踪の謎解きに熱中する中、目撃者の1人であるマイケルも警察の事情聴取を受けた。彼は思い出せる限りのことを話すが、少女達が木立の中に入っていったとしか証言できない。イーディスは現地で当時の模様を証言するが、記憶が曖昧な彼女の証言は当てにならない。唯一分かった新事実といえば、イーディスが岩山から駆け下りていったとき、マクロウ女史が下着姿で逆に丘を登っていく様子が見えたということだけであった。
警察が、警察犬用にミランダのドレスを持っていった。捜索は混迷を極めている。今や警察はミランダ達の死体を探しているのである。打ちのめされるセーラ。ハンギング・ロックにある池や川も残らず捜索されるが、依然として彼らは発見できない。
警察はミランダ達の後を追っていったマイケルを再び尋問する。誘拐犯と疑われた彼は、慌てて弁解する。決してやましい考えがあったわけではなく、娘達だけで歩いている様が珍しかっただけだと。マイケルの脳裏にミランダの幻影が映った。それは消えていき、やがて湖を泳ぐ白鳥の姿に被さっていく。
大佐夫妻が湖畔で園遊会を催しているのだった。優雅に音楽が奏でられる中、マイケルは喧騒を離れてアルバートの元に赴く。失踪事件の目撃者でありながら、何も役に立てない無力感に苛まれるマイケル。自分達が酒を飲む間にも、彼女達はどこかで生きていて、飢えと渇きで衰弱しているに違いない。アルバートは、以前にも同じ場所で人が失踪していることを挙げて、事件を忘れるようにと慰めた。しかしマイケルは、真剣なまなざしで岩山に捜索に行くと宣言する。夕陽に輝く美しい白鳥を見つめながら、彼はミランダの幻をそこに見ていた。

翌朝早くマイケルは屋敷を出立した。厩では、アルバートが照れくさそうに彼を待ち構えていた。2人の青年は馬を駆り、魔の山へ向かった。コアラや色鮮やかなオウムが、珍しげに新たな闖入者を迎える。一日中探し続けたが、結局行方不明者は見つからなかった。もうすぐ日が暮れる。アルバートは帰宅しようとマイケルを促したが、マイケルはここに残ると頑固に言い張る。アルバートは仕方なく1人で戻って、屋敷の者に言い訳をする羽目になった。
一方岩山に残ったマイケルは、一晩中まんじりともせずに辺りをさまよった。そしてついに少女達が姿を消した岩山にたどり着く。神の見下ろす空き地で、彼女達と同じように身体を横たえるマイケル。空気の流れが奇妙に捻じ曲がり、彼の耳に話し声が聞こえてきた。マクロウ女史の声、ミランダの啓示、マリオンの悟り…そしてイーディスの絶叫。突如事態を理解したマイケルは、彼女達が消えた“裂け目”に近づいていく。だがそこは、まるで結界が張られているかのような空間であった。マイケルは必死にもがく。
アルバートが到着し、マイケルの残した目印をたどっていった。やがて彼も問題の空き地にたどり着く。ふと見やると、マイケルが全身傷だらけで倒れこんでいた。彼を医者に託す。マイケルは震えながら、握り締めていたあるものをアルバートに渡した。なんとそれは少女の着ていたドレスの一片だった。やはり少女達はあの裂け目にいるのだ!アルバートは再び裂け目に入っていく。上空で鳥の群れが低くうめくように鳴いている。果たしてそこには衰弱しきったアーマの姿が。

マドモワゼルの元にアーマ生還の知らせが入る。しかし他の者は依然戻らない。いっこうに解決しない事件に痺れをきらした街の人々が、警察署に群がる。こんな不名誉な事件は街の名折れだ。女学院の生徒達にも、アーマ生還が知らされた。だが事件が起こってから1週間で、すでに3人の生徒の父兄達が娘の退学を申し出ている。新聞もセンセーショナルに事件のことを書きたてている。アーマも学園には戻らないだろう。このまま解決が長引けば、生徒は辞め続け学園は崩壊の危機に瀕する。校長はいよいよ窮地に追い込まれていった。

アーマは大佐宅で静養を続けている。彼女を診察した医師は、頭を強打した以外は特に目立った外傷もない彼女の様子に頭を捻るばかりだ。誰かに殴られでもしたか。その割には足に全く傷を負っていないのは腑に落ちない。ところが女中は、アーマのコルセットがなくなっていることに気づいた。

セーラは校長に呼び出された。彼女の後見人は学費を滞納し続けている。もしこのまま学費が支払われなければ、彼女を孤児院に戻すしかない。校長の言葉に愕然としたセーラは夕食も拒んで、ベッドにもぐりこむ。心配する女中のミニーに、彼女はかつて孤児院にいたことを告白した。院長にひどい虐待を受けたことも。ミニーはその夜、下男のトムに抱かれながら、不幸な学園の子供達の身の上を想いやった。不安から、寄り添うように一つのベッドで眠る少女達。眠れないセーラ。ミランダを想って上の空のマドモアゼル。先行きの不安に慄く校長。そしてマイケルの目の前に再び幻の白鳥現れ、ミランダの幻影をひそやかに残していった。

ハンギング・ロックには、捜索隊のほかに新聞記者、物見高い野次馬連中までが大挙して押し寄せるようになった。警察も、今や記念撮影に応じるぐらいしかすることはない。
意識を取り戻したアーマは、マドモアゼルに苦しい胸の内を告げた。事件のことは何一つ覚えていない。ミランダと自分がどこに行こうとしていたのか、ミランダはどこに消えたのか、なぜ自分だけが戻ってこれたのか…。
ハンギング・ロックに佇むマイケルの目の前に、ミランダの幻影が映った。次の瞬間にそれは消え、水面に浮かぶ白鳥の姿に変わっていく。白鳥は彼に別れを告げるかのように飛び立っていった。マイケルは、ミランダがもう二度とこの世に戻ってこないだろうことを、このとき悟ったのである。3人の行方不明者は死亡と断定された。

セーラはミランダの写真の前に花を供える。共に喪失の痛みに苦しむマドモアゼルとセーラは、固く固く抱き合うのだった。
アーマは回復し、ヨーロッパに出立する前に数時間だけ学園の授業に参加した。ダンスのレッスン中であった生徒達は、無言でアーマを睨みつける。彼女達は真相を話すようアーマに迫った。岩山で一体何があったのか教えて欲しい。ミランダ達は、あの汚らしい岩山の中で死んで腐っているのに、なぜあなただけのこのこ戻ってきたのか!ヒステリーを起こして絶叫するイーディスを、マドモワゼルは思わず叱り飛ばす。ラムリー女史は突然の恐慌に恐れをなして、椅子の陰に隠れるばかりだ。生徒は皆泣きじゃくり、その場を離れていった。自責の念にかられるマドモアゼルの目に、壁に縛り付けられたセーラの姿が映る。ラムリー女史は、彼女の猫背を矯正するためだと慌てて言い訳した。だが真相はわかっている。彼女は皆の不満の捌け口にされたのだ。悲劇が起これば、誰かがスケープゴートにならねばならない。
1人また1人と学園を去っていく生徒達。ラムリー女史も退職した。校長は震える手でグラスに酒を注ぐ。片時も酒を手放せなくなっていたのだ。髪もざんばらのまま魔女のように荒んだ様子の彼女は、千鳥足でセーラの部屋を訪れる。学園に居座ろうとするセーラに、孤児院に戻るよう言い置き、先祖の写真が見守る自室で1人慟哭する。学園はおしまいだ。なにもかも失われてしまった。閑散とした夜の学園が、静かに暗闇の中に沈みこんでいく。

次の日アルバートは、昨夜妙な夢を見たことをマイケルに話した。昔孤児院で別れたきりの妹セーラが突然現れ、自分に別れを告げると霧のように消えていったというのだ。
校長はマドモアゼルに、今朝セーラの後見人が現れたと告げた。奇妙に緊張した面持ちで、彼女は自分が荷造りの手伝いをし、セーラが無事出立したのを見届けたと語る。どこか釈然としないものを感じながらも、マドモアゼルはその場を離れ、学園を去っていく生徒達を見送った。さようなら子供達。

その晩マドモアゼルは、したたかに酔っ払う校長の昔話に付き合った。と、突然校長の目に殺気が宿り、震える手で拳を握り締める。彼女は、マクロウ女史の知性をどれだけ頼りにしてきたかと、うめくようにつぶやいた。女性ばかりの学園で、彼女の存在は頼もしいほどだった。それなのにどうして、愚かな女学生のようにレイプされ殺されねばならなかったのか!今彼女さえいてくれれば…。

温室の屋根が破れ、植え込みの中でセーラが死んでいるのを、翌朝下男が発見した。彼女は屋上から飛び降りたのか。それとも…?学園内にマドモワゼルの悲鳴がとどろいた。使用人達は騒然となる。
しかしセーラの訃報を知らされた校長は、青白い顔に喪服を身に付け、あらぬ一点をぼんやりと見つめるばかりであった。

― 校長アップルヤード夫人の遺体が、1900年3月27日ハンギング・ロックのふもとで発見された。死因は不明だが、岩山に登ろうとしての転落であったと思われる。行方不明となった女生徒達とマクロウ女史の捜索は数年間続けられたが、結局発見できず。今日までその失踪は謎のままである。―



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