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zoom RSS 「フリークス Freaks」Part1―トッド・ブラウニング Tod Browning監督

<<   作成日時 : 2015/09/30 21:09   >>

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これこそ世にも恐ろしい生ける怪物だ。笑うも驚くも勝手、だがまかり違えば君らも同じ身の上だった…。

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「フリークス(怪物團) Freaks」(1932年製作、1996年国内リバイバル上映、2005年国内再リバイバル上映)
監督:トッド・ブラウニング
製作:トッド・ブラウニング
原作:トッド・ロビンス
脚本:ウィリス・ゴールドベック&レオン・ゴードン&エドガー・アラン・ウルフ&アル・ボーアズバーグ
撮影:メリット・B・ゲルスタッド
出演:ハリー・アールズ(ハンス)
ウォレス・フォード(フロゾ)
オルガ・バクラノヴァ(クレオパトラ)
ヘンリー・ヴィクター(ヘラクレス)
レイラ・ハイアムズ(ヴィーナス)
デイジー・アールズ(フリーダ)
ロスコー・エイテス(ロスコー)
ローズ・ディオン(テトラリーニ夫人)
デイジー・ヒルトン(デイジー)
ヴァイオレット・ヒルトン(ヴァイオレット)
シュリッツ(ピンヘッド・ガール)
ジョゼフィン・ジョゼフ(ハーフマン・ハーフウーマン)
ジョニー・エック(ジョニー・ザ・ハーフ・ボーイ)
フランセス・オコナー(フランセス・ザ・タートル・ガール)
ピーター・ロビンソン(ヒューマン・スケルトン)
オルガ・ロデリック(ベアード・レディ)
クー・クー(バード・ガール)他。

とある見世物小屋。興行主は好奇心をたたえた客を前にして、芝居がかった口上を述べる。
“これこそ世にも恐ろしい生ける怪物だ。笑うも驚くも勝手、だがまかり違えば君らも同じ身の上だった。彼らは望んでこの世に生まれてきたのではないが、独自の倫理観を持っている。仲間への侮辱は彼ら全員の屈辱なのだ。さて諸君、空前絶後の怪物がここにいる。かつて彼女も美しい女性であった。空を舞う孔雀だった…”

フランスのある地方を巡業するサーカス団。クレオパトラは、美貌の空中ブランコ乗りとして人気を博していた。今日の興行でも満場の観客の拍手を浴び、彼女は艶然とした微笑を浮かべている。舞台のそでで、小人のハンスは彼女の舞う姿をうっとりと見つめていた。ハンスのフィアンセで同じく小人のフリーダは、そんな恋人の様子が気が気ではない。だがハンスは、内心の動揺を押し隠し、フリーダのやきもちを軽くいなすのだった。サーカス一の怪力男ヘラクレスが素手で闘牛と格闘する。彼のショーの後は、いよいよハンスとフリーダの出番だ。彼らは、このサーカス団の見世物興行の中でも大人気の、“フリークス(奇形)”達だった。年齢は大人だが、身体の大きさはほんの小さな子供と同じ。フリーダがポニーに乗り終えた頃、出番を終えたクレオパトラが舞台そでに戻ってきた。彼女は、ハンスが顔を赤くして自分を見つめているのを確認すると、目の前でわざとらしくガウンを脱ぎ落とし、からかうように笑いかけた。ハンスは彼女のガウンを拾いながら、不満げにこうつぶやく。
「僕達が彼らと同じ感情を持った人間だと誰もわかってくれない。皆僕達を見るとげらげら笑うんだ」
クレオパトラは、ガウンを受け取りながらその豊満な肉体をハンスに摺り寄せ、色気でその場をとりなした。一部始終を目撃していたフリーダは、怒りの余りクレオパトラの手を振り払う。だが彼女は同じ女性の嫉妬など意に介さない。

森の中。ジョンはデュバルに向かって、世にも恐ろしい怪物を目撃したと熱心に訴えている。彼らを処分する法律に則って、おぞましい怪物達を亡き者にするべきだと。そんな中彼らは、フリークス達がハーモニカの音に合わせて踊っている場面に遭遇した。腰から下がない男、生まれつき頭の小さな女性達、鳥のような顔をした女性、首から下が異様に小さな男、両手両足がない男…。ハーモニカを吹く男も、身体がマッチ棒のように細い。フリークス達は陽光を浴び、実に楽しげに輪になっている。ジョンは、フリークス達を守るように抱きかかえた年配の女性テトラリーニ夫人に、即刻森を出て行くよう怒鳴りつける。夫人は、この子供達は自分の所有するサーカス団の芸人であると釈明し、彼らも太陽の光を浴びることを許して欲しいと懇願した。他の子供達と同じように。デュバルは、手足もなく樽のように地面に転がる男を見やり、彼女の“子供達”に対し礼を失した態度を謝罪した。夫人は改めて、子供達に神の手を信じるよう言い聞かせるのであった。
夫人が尖頭症のシュリッツ姉妹と鳥女のクークーの手を引いて、サーカス団のテントに戻ってきた。夫人は健常者の芸人達がおべっかを使うのには目もくれない。サーカスの運営上、健常な芸人達も必要であるので不承不承彼らを雇ってはいるが、夫人は内心では、健常な芸人達を毛嫌いしていた。健常者の芸人達も決してフリークス達と親しくすることはない。サーカスの中には、健常者の芸人達とフリークスの芸人達の間に目に見えぬ境界線が存在していた。その境界線は破られることはない。口の悪い芸人達は、腹いせに両性具有のジョセフィン・ジョゼフを侮蔑的な言葉でからかうのだった。
怪力自慢のヘラクレスが、いつものようにどもり癖のあるピエロ、ロスコーをからかっている。ハンスは今日も、クレオパトラのショーがはねるのを舞台そでで待っていた。クレオパトラはハンスからの花のプレゼントに礼を述べ、彼が自分に夢中であるのをいいことに、金の無心までする図々しさだ。ハンスは彼女に利用されているとも知らず、貢物を続けるのであった。彼の目には、ただ彼女が神々しいばかりに美しく見えるのだ。その美しさに身も心も幻惑されるハンス。
アシカ使いの芸人ヴィーナスは、恋人のヘラクレスと大ゲンカをしている。彼女は金遣いの荒いヘラクレスの不実さをなじり、彼の部屋から持ち物を持って足音も荒く出て行った。立派な肉体しかとりえのないくだらぬ男に弄ばれた挙句、金まで巻き上げられた哀れな自分。ヴィーナスはやけくそでピエロのフロゾに八つ当たりする。フロゾはそんな彼女を諫めた。口は悪いが、泣いてしまった自分を優しくなぐさめてくれた彼に、彼女は心から感謝した。
腰で繋がったシャム双生児、デイジーとヴァイオレット姉妹がフロゾに挨拶した。いよいよ明日姉のデイジーの方がロスコーと結婚式を挙げるのだ。ロスコーは優しい男だ。フロゾはデイジーの幸せを願う。彼らが談笑しているところに、当のロスコーが現れた。彼はやきもち焼きなのが玉に瑕。美人の姉妹にまとわりつく男達を気に入らないロスコーが嫉妬するたび、ヴァイオレットの方が姉を引っ張ってどこかへ行ってしまう。繋がっている以上、ヴァイオレットの意向に抗えないロスコーは不満顔だ。「お前達はいつもこの手…手でごまかすんだ」
酔っ払ったヘラクレスを呼び寄せたのはクレオパトラ。触れなば落ちん風情の彼女の誘いに、筋肉男は早速乗り気だ。2人が抱き合っている現場を覗き見していたジョゼフィン・ジョゼフを容赦なく殴り飛ばす。クレオパトラは、曲がりなりにも女性を殴りつけるヘラクレスの残虐さを諫めるどころか、その様子を見て大笑い。
フリーダは、クレオパトラの色気に骨抜きにされているハンスを必死にかきくどいていた。ハンスはフィアンセの心配をうるさげに振り払う。女の指図は受けないと不機嫌に言い張る彼を、ただ悲しげにみつめることしかできないフリーダだった。似た者同志のクレオパトラとヘラクレスは、ハンスからの高価な貢物を遠慮なく飲み食いしていた。夜更けにわざわざクレオパトラを訪れたハンスを軽くいなし、2人はげらげらと大笑いするのだった。
フリーダは暗い面持ちで洗濯にいそしんでいた。見かねてヴィーナスは彼女に声をかける。フリーダは堰を切ったようにクレオパトラの悪行を訴えた。今やヘラクレスとねんごろになっているクレオパトラの存在は、ヴィーナスにとっても気に入らないことはなはだしい。男に捨てられた境遇の2人は、情けない気持ちで慰めあうのだった。
ハンスが見守る中、ブランコの練習を行っているクレオパトラ。その目の前では、ヘラクレスをはじめ健常な芸人達が猥談に花を咲かせる。真面目で礼儀正しい性格のハンスは、女性に対する無神経な彼らの言動に我慢ならない。なおもハンスとクレオパトラのカップルを囃し立てる彼らを怒鳴りつけた。
フロゾはヴィーナスに、彼女の美しい夢を見たと告げる。そしておめかしした彼女をほめそやす。いい雰囲気になった彼らを邪魔したのは、腰から下のないジョニー。気のいいフロゾはジョニーの考えたネタを2人の前で披露する。フロゾはだぶだぶの衣装を着込み、大きなカナヅチで自分の頭を殴るようヴィーナスに命じた。彼女がうんざりした表情でフロゾの頭をひっぱたくと、フロゾは衣装の中に頭を隠して大騒ぎ。彼はヴィーナスに、このおもしろくて悲しいネタを今夜の舞台で使うと宣言した。そこへ、クークーがビッグニュースを運んでくる。同じく芸人のひげ女が、赤ん坊を出産したのだ。フリークス達、フロゾとヴィーナスが見守る中、赤ん坊は立派なひげを生やした女の子だとわかる。父親はあの手足の細い芸人スケルトンだった。

フリークス達は、仲間のハンスがクレオパトラに騙されていることを密かに心配している。皆、あの高慢な女が自分達の仲間には相応しくないと毛嫌いしているのだ。サーカスの未来を憂う剣飲み芸人ロロは、手足のない芸人トルソーと、下り坂になったサーカス人気を嘆いていた。テトラリーニ夫人はこれから先、芸人の個性を生かした興行を行う必要があるだろう。サーカスの将来のためにも、思い切ったことをやるべきだ。トルソーもそれには同感だった。
尖頭症のシュリッツがフロゾに新しいドレスを見せに来た。彼は実に気さくに、彼女が見違えたことを誉めそやす。パリで羽根つきの豪華な帽子を買ってやると請け負うと、シュリッツだけでなくエルビラとジェニリー姉妹にも帽子を買ってあげようと約束する。その様子を見ていたヴィーナスは、誰に対しても公平に接するフロゾに改めて感心するのだった。
クレオパトラは相変わらずハンスを下僕のように扱っていた。フランス製の高級ブランデーやシャンペンを貢がせる。恋に目がくらんだハンスには、彼女の真意が全く見えていない。
フロゾは新ネタのための準備に余念がない。一流のピエロとして認められようと燃える彼に、ヴィーナスはデートの約束を思い出させる。デートをすっぽかされておかんむりの彼女は、フロゾのキスを受けて途端にご機嫌を取り戻した。
美しいヴァイオレットに求婚する紳士ロジャーが現れた。その傍らではデイジーが読書している。ヴァイオレットと紳士が情熱的に抱き合うと、感覚を共有するデイジーの方までうっとりした面持ちになる。ややこしい事態になって困り果てたロスコーは、フロゾに泣きついた。妻ではないヴァイオレットの飲酒癖や夜更かし癖に加えて、彼女まで別の伴侶を持ったのだから!ロスコーは、ロジャーと妻を共有する事態に慣れるべく努力しなければならなかった。
彼らは、ハンスがクレオパトラの部屋から出てくる現場を目撃してしまう。ロスコーの的外れな感想に笑転げるフロゾ。クレオパトラが門限を守ったことなど、この際どうでもよいではないか!その後、フリーダは意を決してハンスのもとを訪れた。悲しみに胸を引き裂かれる思いの彼女は、それでも新しい恋に熱を上げる愛しいハンスを責められない。ただ静かに、クレオパトラと一緒になっても幸せにはなれないと最後の忠告をする。その裏にはもちろん、小人である自分たちへの世間の差別意識があるためだ。フリーダにとってハンスは愛する男性であるが、クレオパトラにとっては笑いの対象にすぎない。しょせん健常者である彼女と、フリークスである自分達は交じり合うことはないのだから。ハンスだってそれは痛いほど承知しているが、クレオパトラを愛している自分に嘘はつけない。彼はフリーダに許しを請うた。
クレオパトラは、ハンスからプレゼントされたプラチナのネックレスをヘラクレスに見せた。次は毛皮のコートを貢がせるだけだ。フリーダがやってきた。サーカス中の人々にもの笑いの種にされているハンスを、遊び半分に弄ぶのはやめて欲しいと訴える。クレオパトラは口汚くフリーダをののしり、“小さくて可愛い”ハンスと結婚するつもりだと言い放った。彼女の口から侮蔑的な“小人”という言葉を聞いて、フリーダは彼女の結婚の目的がハンスの金であると見抜く。だが怒りの余り、ついうっかり彼が莫大な遺産を受け継ぐ予定であると口を滑らせてしまった。それは初耳のクレオパトラは、一瞬目の色を変える。ハンスを返してくれるよう懇願するフリーダを鼻で笑うと、彼女はハンスの遺産を手に入れるために陰謀をめぐらせた。その顔は身の毛もよだつほどの般若の形相であった。
ハンスとクレオパトラの結婚披露宴。サーカスの舞台上に大きな机をしつらえ、酒とご馳走が並べられる。出席者は、フリークス達とテトラリーニ夫人、クレオパトラ、ヘラクレスであった。皆で歌い踊り、陽気に騒ぐ。彼らが楽しんでいるのを尻目に、クレオパトラは密かに酒のビンに毒を盛った。そして毒入りの酒を新郎に振舞う。ロロは自慢の芸、剣飲みを披露する。負けじと火吹き芸を披露する者。クレオパトラは酔っ払った勢いのまま、「幸せかい?」と問うハンスや彼ら芸人を下品に笑い飛ばす。ハンスは生真面目に新婦と幸福を誓ったが、ただ一人、クレオパトラの馬鹿笑いの真意を知るフリーダの表情は晴れない。ハンスは、妻が目の前でヘラクレスと熱烈なキスをし、あまつさえ自分のことを“怪物さん”と呼ばうその態度に愕然とした。フリーダは我慢ならずに席を立ち、テトラリーニ夫人も気分を害して彼女の後を追っていった。

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そうとは知らないフリークス達は、クレオパトラを仲間に加えるための儀式を行おうと提案する。皆で大きな杯を回して酒を飲むのだ。“彼女を仲間に加えよう” と歌い始める彼ら。それを聞いたクレオパトラは鬼の形相で、彼らが口をつけた杯の中身をぶちまけた。誰が怪物どもの仲間になるものかと。そしてハンスに向かって、子供なら子供らしく背負って遊んであげると怒鳴り狂う。ヘラクレスとクレオパトラは、ピエロよろしくハンスをおぶってそこらじゅう飛び回る。披露宴は一瞬にして凍りつく。
翌日、クレオパトラの真実を思い知ったハンスは、ヘラクレスとクレオパトラの謝罪も受け付けず、口先だけの妻の愛の言葉を笑い飛ばした。彼が愛した妻は、小人である彼を寄ってたかって笑い者にしたいだけなのだ。次の瞬間、床に崩れ落ちるハンス。盛られた毒が効いてきたのだ。その途端冷酷な悪魔の顔に戻ったクレオパトラは、ハンスをベッドに寝かしつける。その一部始終を、トルソーら仲間のフリークス達が見守っていた。
翌日サーカスのテントに呼ばれた医者は、ハンス昏倒の原因が多量の毒物であると看破した。テトラリーニ夫人は、悪事が簡単に露見してうろたえるクレオパトラの表情を見逃さなかった。それでもなお、クレオパトラは辛子入りの水が原因だと苦しい言い訳を繰り返す。
ハンスの部屋の外では、仲間の芸人達が遠巻きにして事態を見守っていた。ヘラクレスに向けられる皆のまなざしが刺すように冷ややかだ。クレオパトラがハンスに毒を持ったという事実を聞かされたヴィーナスは、フリークス達の意見を代表してヘラクレスに迫った。クレオパトラの犯罪を警察に知らせるべきだ。フリークス達は信念を持った芸人だ。金のために人を殺したりしない。頭に血が上り、ヴィーナスに掴みかかったヘラクレスを彼らがにらみつける。そう、嘘はいつか露見するものだ。警察の目はごまかせない。
その日からフリークス達は、病床に伏せるハンスの部屋の周囲を警護するようになった。常に彼のそばに控えるクレオパトラが、無力なハンスになにをしでかすかわからないからだ。意識の戻ったハンスは、クレオパトラをいたわる言葉をかける。それは彼女を油断させるための策略なのだが、そうとは知らない彼女は、またしても薬のさじに毒を仕込む。ハンスは悟られぬよう毒を吐き戻すのだった。クレオパトラの行く先々で、フリークス達が彼女の行動を見張っている。仲間がハンスの部屋に忍んできた。ハンスは、今夜決行すると仲間に伝える。そのための準備は整っているという答えを聞くと、彼は皆をここへ集めるよう命じた。ハンスは、自分を懐柔しようとわざとらしい猫なで声を出すクレオパトラや、彼女が正気に返ったときの鬼の形相を思い起こした。あの女は、その美しい唇でハンスをたぶらかした一方で、ハンスのみならず仲間達をも“不潔で下劣な怪物”とののしったのだ。彼らの掟を破ったクレオパトラは、制裁を受けねばならない。
その夜、外は嵐になった。サーカス団は次の巡業先に向けて、何台もの馬車を立てて移動を開始する。フリークス達は二手に別れ、嵐の中それぞれに決行の時を待つ。
フロゾはフリーダから驚くべき話を聞かされていた。ヘラクレスが、ヴィーナスは真実を知りすぎたと言っていたというのだ。愛するヴィーナスに危険が迫っている。彼は意を決した。
一方、ハンスの周りに控えるフリークス達は、彼らを追い出そうとするクレオパトラに毒薬のビンを渡すよう迫った。不気味な音楽を演奏する者、これみよがしにナイフや拳銃の手入れをする者を見て、彼女は恐慌を来たす。
その頃、ヘラクレスの魔の手がヴィーナスに迫っていた。間一髪で間に合ったフロゾと格闘になる。クレオパトラ達を乗せた馬車は雨の中で転倒してしまった。横倒しになった馬車の中から、クレオパトラが悲鳴を上げつつ飛び出してきた。それを追うフリークス達。フロゾはヘラクレス相手に死闘を繰り広げている。だが形勢は悪い。テトラリーニ夫人は、彼女の子供達の所在がわからずパニックになる。あわやヘラクレスに絞め殺されそうになっていたフロゾを救ったのは、フリークス達だった。ナイフの達人が放ったナイフは、あやまたずヘラクレスのわき腹を刺す。シュリッツやトルソー達は、もんどりうつヘラクレスににじり寄っていく。泥だらけの中、這いずるように彼を追い詰めていく彼らは、そのとき“怪物”となった。濡れ鼠になりながら逃げ惑うクレオパトラには、ジョニーやハンス達が迫る。クレオパトラの断末魔の絶叫は、鳴り続ける雷鳴にかき消されてしまった。

見世物小屋の興行主は、恐々と怪物を覗き込む人々にこう述べた。
“なぜ彼女がこうなったのか、誰も知らない。嫉妬に狂った恋人かあるいは…フリークスの掟か。嵐のせい?信じようと信じまいと、ここに本人がいる”
彼の指差す先には、両足と舌を切り取られ、片目を潰され、ニワトリの鳴き声をあげるだけの変わり果てたクレオパトラの姿があった。

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数年後、大屋敷の当主に収まったハンスのもとに、フロゾとヴィーナスが訪れた。彼らは、もう何年もの間誰にも面会していなかったハンスに、フリーダを引き合わせるためにやってきたのだ。震えながらかつての婚約者を見やり、背を向けたハンスに、しかしフリーダは優しい言葉をかけた。
「あなたにはなんの責任もない。あなたはみんなを止めようとしたのだから…」
たとえそれが事実とは違っていても、彼女には彼の気持ちが痛いほど理解できた。フリークスに向けられる痛ましい差別は、フリークスである彼女にしかわからない。フリーダは、彼女の膝の上で泣きじゃくるハンスをしっかりと抱きしめるのだった。

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