素直に2D版で観ましょう―「タイタンの戦い Clash of The Titans」

神と人間が混在する神話の時代。古代ギリシャでは、繁栄をつくした人間の王国アルゴスで1人の王が始めた神への反乱が、人間対オリンポスの神々の戦争の様相を呈していた。人間たちは慢心し、身勝手な神への敬意を無くし、オリンポスの王者たる万能の神ゼウスの石像を打ち壊した。しかし、ゼウスの兄で冥界の王ハデスは弟をそそのかし、アルゴスを滅ぼして人間たちを罰しようとする。
その昔、ゼウスとアルゴス王妃であったダナエの間にできた不義の子である半神ペルセウスは、育ての親である漁師の一家をハデスに殺され、ゼウスをはじめ神々を恨み人間として戦うことを誓う。人間の心が神々から離れようとしている今、ハデスの力は徐々に増大しゼウスをも脅かすまでになる。ハデスは表向きゼウスに仕える振りをしながら、美女の誉れ高いアルゴスの王女アンドロメダを生贄に捧げねば、アルゴスを怪物クラーケンに襲わせると宣言した。しかしその真意は、アルゴス滅亡に乗じてゼウスを倒し、自らが弟の地位に取って代わることだった。
ペルセウスは、アルゴスと人間を滅亡の危機から救うため、なんとかしてクラーケンを倒し、家族を殺した仇であるハデスを葬る決意を固める。しかしそれは、巨大なスコーピオンや、相対する男たちを全て石にして抹殺してしまう魔女メデューサ、そして史上最悪の怪物クラーケンといったモンスターたちとの死闘を意味していた。ペルセウスは、陰ながらその安否を気遣う父ゼウスからの贈り物…魔物をも切り裂く剣と、翼を持つ天馬ペガサス、赤ん坊の頃から彼を見守り、導いてきた美女イオ、アルゴス兵の仲間たちに助けられ、クラーケンとハデスの陰謀に立ち向かっていく。


さて、フェイク3Dと評判の(くどいわ・笑)「タイタンの戦い」を観てまいりました。先にこの問題から言及しておくと、こりゃ確かに、元々2Dで撮影された映像を無理やり3Dに変換しただけあって、遠近感がおかしい部分が多々見受けられましたね。ならば、最初っから素直に2D版を観た方が、どんだけすっきり観賞できたことでしょう。でも、子豆たちは大喜びでしたし、そもそも“2Dか3Dか”という論点は、映画の質を判断する材料ではないと考えているので、このヤッチマッタ点に関しては、もうこれで御終い。取り立ててギャーギャー大騒ぎするほどのものでもなかろうが、と書いておきます(笑)。

そんなことより、映画とは、総合芸術としてどれだけ面白いかを判断するものでしょう。1981年製作のスットコドッコイなカルト作のリメイクとなる今作は、果たして“映画として”面白かったのかどうか。

まあね、観賞したシチュエーションがフェイクの3D版な上に(メガネonメガネが鬱陶しくてねえ)、吹き替え版(子豆たちが字幕を読めないからねえ)だったちゅうこともあり、館長のテンションはむしろお祭りの縁日気分(笑)。ギリシャ神話の中でも著名なエピソードの映画化だし、だってほら、元々が神話のお話なんだから。こちらとしても、いい感じで緊張感がほぐれているわけですよ。ハッピーエンドなのはわかってるし、神話なんだから何でもありでしょ?童心にかえって、怪獣と勇者の戦いを楽しめばいいんじゃないかと。
今作は、大体において1981年のオリジナル版を踏襲した内容で、変更点といえば、イオというオリジナル・キャラクターが登場することぐらいかな。イオは、物語の語り部兼ペルセウスの導き手であり、最終的にちゃっかりおいしいところを持っていく役どころ(笑)。英国出身の美女ジェマ・アータートンが演じていますが、物語の背景を説明する役目なので、やたら説明口調の台詞が多くて笑えます。

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007のときにも感じましたが、この方、すごいガタイがいいのね。でも神話のお話なので、出演する男連中は皆大柄なのが幸いし、今作ではガタイのよさはそんなに目立ちませんでした。ギリシャ神話風の衣装も似合っていたし。イオは、ペルセウスがピンチに陥るとうまい具合に登場し(まるでストーカー・笑)、何度も彼を助けます。「アバター」のときはネイティリちゃんに導かれ、今作ではイオちゃんに導かれ…。ペルセウスに扮したサム・ワーシントンって、よっぽど“女性教官”に縁があるとみえます(笑)。

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当初は、半神半人間のサム=ペルセウスを胡散臭がっていたものの、彼を鍛え、守り、結局最後まで彼を支える古参の軍人ドラコ。館長が今作においてベタ惚れしたマッツ・ミケルセンが演じます。こんなルックスですから、最初は誰かわからなかったんですが、中盤でやっとマッツだと判明(遅)。いやあ、彼、良かったですよ~。百戦錬磨の戦士ですから、剣の扱いもエレガント。この手の映画ではお約束の、“師匠が弟子(ペルセウスのことよ)に剣の稽古をつける”シーンでの動きに惚れました(笑)。腰に差してる小刀を抜く仕草がまた、かっこよかったわ(笑)。

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「うちの子供たちにも安心して見せられる映画だよ♪」と、インタビュー中のマッツさん。うん、確かに。かなり激しい戦闘シーンがあっても、血しぶきが一滴も出ないステキなCG処理映像は(笑)、うちの子供たちにも安心して見せていられましたねえ。

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ペルセウスと旅の仲間たち(笑)、最初の難敵スコーピオンに遭遇す。こいつはデカすぎ。今にして思えば、こいつとの戦いが一番見応えがあったかも、だ。

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しかし最終的に、とても都合よく登場した魔術師軍団のおかげで、スコーピオンたちは飼い慣らされて便利な乗り物になりました。この魔術師、手足を怪我すると、その部分を木炭と取り替えて寿命を永らえるんだって。便利だなあ。この、スコーピオンの体の上に人間が乗れる場所を作った車、乗ってみたい衝動を激しく掻き立てられます(笑)。まるでスター・ウォーズ。

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館長が一番気に入ったキャラがこの人たち。地獄のかしまし娘こと、魔女3人組。3人組なのに目が一個しかなくて大変難儀してます。でも性格は、ババアらしくどこまでも図々しい。真っ先に誰を襲うかと思えば、旅の仲間たちの中で一番若くてイケメン、ユゼビオス君(ニコラス・ホールト君、可愛いっす)だというね(大笑)。なんて欲望に忠実なババアなんざんしょ。

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3人組ババア魔女たちによって、苦労して作った怪物クラーケン攻略の秘訣をペルセウスに知られてしまう冥界の王ハデス。…ヴォルデモードよりかはマシだけど、レイフ・ファインズがどんどん貧相になっていく気がして切ないです(涙)。ハデス登場のシーンや、黒い煙になって姿を消すシーン等のビジュアルの迫力は、さすがは最新技術の賜物、ちょっとそそられるものがありました。

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クラーケン攻略のカギとなるメデューサ。例の、髪の毛が蛇で、その一睨みで生きとし生けるものを石に変えてしまう魔女ですね。しかしながら、物知りイオちゃんのワンポイント解説台詞により、このメデューサが実は悲しい運命にある女だとわかります。なんと、海の神様ポセイドンに横恋慕された美女メデューサは、女神アテナに助けを求めたものの、いわばポセイドンにレイプされた彼女をアテナは絶対許さず、こんな怪物に変えてしまったんだとか。ポセイドンもポセイドンなら、アテナもアテナ。…揃いも揃ってサイテーだな、オリンポスの連中って。

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そらメデューサも怒るわな。「男なんかみんなこーしてくれるわ!」
これは、今回館長がマッツの次に気に入った兵士イクサス役のハンス・マティーソン(と読むのかしら)君。うちの子豆1号並に下手っぴな縦笛を兵士ソロンにへし折られても、めげずに新しい縦笛を取り出してピーヒョロ吹くシーンが良かったです(笑)。
しかし、このメデューサは史上最強。ペルセウスを除く旅の仲間がここで全滅しました。ソロンもイクサスもユゼビオスもあっという間に死に、ドラコもメデューサの弓で致命傷を負い、最後の気力でペルセウスに勝機を与えて逝去…(涙)。物知りイオちゃんのアドバイスによると、メデューサは蛇の肉体を鞭のようにしならせて敵に迫る…とのことですが、スピードはCG処理で充分出ていたものの、しなやかさについてはいまひとつだったか。

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子豆1号が最も楽しみにしていたペガサスの造形なんですが。うーん、こんなもんかなあ。普通の馬さんに羽根をくっつけただけ…っちゃあそれだけなんですが。走ってるシーンのスピードと、飛んでるシーンの躍動感はさすが。

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さんざん焦らせておいて、最後に真打登場…のはずのクラーケンですが。クラーケン大暴れシークェンスが短い!その全貌をぜひとも観たかったのに、結局海から体の一部が出ているままの状態で、あっけなくメデューサの眼力に晒されて石化。…早っ。そして弱っ。
いやむしろ、メデューサが強すぎるのか(笑)。クラーケンの創造主であるハデスも、結局ゼウスからのプレゼントの剣を手にしたペルセウスに、たったの一突きで大負け…。なんなんだ。

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オマケ画像。オリジナル版で、ハリーハウゼンが愛情込めて創造したクラーケンがこちらです。可愛い(笑)。

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いろいろな話を総合してよく考えてみると、全ての諸悪の根源は、こいつなのではないかという気がしてきました(笑)。リーアム・ニーソン版ゼウスは、オリジナルでローレンス・オリヴィエが扮したゼウスよりかは、ちいとばか真面目そうに見えますが、結局彼がダナエを寝取ったりするから、神々と人間の間で戦争が起こった事実は動かせないわけで(笑)。非常に腹黒く、かつ身勝手な論理を振りかざす、理不尽なオリンポスの神々の長。ま、こんな奴が作ったのが人間なんだからね。そりゃ不完全で愚かな生き物にもなるだろうよ。


総評:オリジナル版にリスペクトを払うあまり、そのスットコドッコイっぷりまで見事にコピーしてしまった本作。映像技術の進歩により、2D版で普通に観ても、まあまあ楽しめる娯楽作品にはなっています。難しいことを考えず、頭を空っぽにしてワイワイ楽しむ分にはいいでしょう。




世界の神話 01.ゼウス(ギリシア神話) カラー
カバヤ

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