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zoom RSS 結束は壊れない―「ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇- United」

<<   作成日時 : 2016/09/27 11:07   >>

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英国ではBBCでテレビ放映された「ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇- United」は、日本をはじめ英国以外の国では劇場公開されました。私も2012年に劇場で観たのですが、初見直後は、もう一つ焦点のはっきりしない消化不良気味の作品だったと感じていました。ですが、この作品に関しては、体調が万全のときにもう一度見直してみた方がいいような気もしていますので、今の段階では簡単な感想しか書けません。それをお含みおきください。決して今作を批判しているわけではなく、映画を観たときのコンディションのせいで、私の受け止め方が不安定になっている可能性もあるということです。

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「ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇- United」(2011年)
監督:ジェームズ・ストロング
脚本:クリス・チブナル
制作:ジュリア・スタナード
出演:デイヴィッド・テナント(ジミー・マーフィー)
ジャック・オコンネル(ボビー・チャールトン)
サム・クラフリン(ダンカン・エドワーズ)
ダグレイ・スコット(マット・バズビー)他。

マンチェスター・ユナイテッドがなぜ国民的なサッカーチームになったかを、実際にチームに起こった悲劇的な飛行機事故をメインに描く作品。ストーリーの主軸は、あくまでも“ミュンヘンの空港で起こった飛行機事故そのもの”に当てられています。そのため、私たち日本人は容易に昨年の3.11を思い起こしてしまい、複雑な心境に陥りますね。事実、今作の中では、事故前後のシーン再現に最も長い時間がかけられ、かなり念入りに描写されていました。

この話の流れでは、やはり作品の焦点は“主力選手のほとんどを失ったチームが、その後どうやって再建していったのか”に絞られるべきでしょう。ところが、肝心要のその“チーム再建のための奮闘と苦労”を表現するシーンが、あまりに端折られ過ぎなのです。この描き方では、英国中からユナイテッドに寄せられた善意のおかげで、あれよあれよという間にたいした苦労もなくチームが立ち直っちゃったように見えてしまいます。それは事実ではありません。

チームに一人残されたコーチの孤軍奮闘には、もっともっと大変な苦労があったはず。公にはできない酷い経験も経なければならなかったでしょう。亡くなった選手の遺族との関係や、ボビー・チャールトンのように大きなPTSDに悩まされる選手のケア、残された主力選手のうちでカムバックできた者がわずかしかない中、たった6日間で選手をかき集め、チームを再建しなければならなかった苦労。この映画の主題でもあるだろう、それらの描写が、うわべだけさらりとなぞるように描かれただけでは、“ご都合主義”と揶揄されても仕方が無いかもしれません。映画を観ている私たちも、まるで“英国人の偉大なる本質”を見せびらかされているような気になって、へこみますもの。

サッカー映画であっても、試合をしているシーンが一切ない作品であるのは、人物を描写することによってドラマ性を高めるため。その狙いは良いと思います。ですが、その場合、“登場人物の中の誰を主軸にして”人間ドラマを紡いでいくのかが、この手のストーリーでは非常に大切になってくるのです。コーチの奮闘をテーマにするのか、それとも、自分だけ生き残ってしまったというトラウマを負ったボビーの葛藤と再生を描くのか。今作では、残念ながらどちらの描写も中途半端で、結局フォーカスしようとする対象がどっちつかずのような印象でした。ボビーの苦悩も、なんだかあっという間に解消しちゃったような感じ。焦点が定まらないために、散漫な印象が残ってしまったのだと思われます。

画像

しかし、役者陣の好演、特に主演のデヴィッド・テナントの熱演は見応えのあるものでした。若い選手とチームを鼓舞するパワー、チームとサッカーへの言葉にできない愛情、わが子同然の選手を失った悲しみ。彼の変幻自在な演技に引っ張られる形で、最後まで見通したわけでしてね。

マンチェスター・ユナイテッドは、一見、すばやいチーム再建に成功したかのようですが、実は、現在のような無敵の象徴になるまでには、この事故の後10年余の年月が経過しています。バズビー監督の下、飛ぶ鳥を落として剥製にする勢いだったビッグ・チームも、本当の意味で完全に復活するためには、やはり長い時間と運が必要だったというわけですね。3.11を経た日本も、国が真に健全な状態で力を取り戻すのに、同じように長い年月がかかるのです。本編終了後、事故後のチームの行く末を淡々と知らせるテキストがスクリーンに出るのを見ながら、崩壊の悲劇を乗り越えたユナイテッドのように、果たしてこの国もきちんと再生することがあるのだろうかとふと思ってしまいました。



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