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zoom RSS 第73回ヴェネチア映画祭 Venice 73、宴の後。

<<   作成日時 : 2016/09/13 12:24   >>

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さて、現在トロントでは、トロント国際映画祭 Toronto International Film Festivalが連日大盛況を呈していますが、先ほど閉幕した第73回ヴェネチア国際映画祭 The 73rd Venice Film Festivalの受賞者リストを確認しておきましょう。来年の2月まで続く長い長い映画賞レースの始まりですよ。


第73回ヴェネチア国際映画祭受賞リスト The 73rd Venice International Film Festival Winners' List


メイン・コンペティション Main Competition部門

金獅子賞 Golden Lion:
"The Woman Who Left"directed by ラヴ・ディアス Lav Diaz

審査員大賞 Grand Jury Prize:
"Nocturnal Animals" directed by トム・フォード Tom Ford

銀獅子賞(最優秀監督賞) Silver Lion, Best Director: (今年は2名がタイ受賞)
アマト・エスカランテ Amat Escalante "La Region Salvaje"
アンドレイ・コンチャロフスキー Andrei Konchalovsky "Paradise"

最優秀女優賞 Volpi Cup, Best Actress:
エマ・ストーン Emma Stone "La La Land"

最優秀男優賞 Volpi Cup, Best Actor:
オスカー・マルティネス Oscar Martinez "El Ciudadano Ilustre"

最優秀脚本賞 Best Screenplay:
ノア・オッペンハイム Noah Oppenheim "Jackie"

審査員特別賞 Special Jury Prize:
"The Bad Batch" directed by アナ・リリー・アミールポアー Ana Lily Amirpour

マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞) Marcello Mastroianni Award for for Best New Young Actor or Actress:
ポーラ・ビール Paula Beer "Frantz"

最優秀ドキュメンタリー賞 Best Documentary on Cinema:
"Le Concours" directed by クレール・シモン Claire Simon



Venice Horizons部門

最優秀作品賞 Best Film:
"Liberami" directed by Federica Di Giacomo

最優秀監督賞 Best Director:
Fien Troch "Home"

審査員特別賞 Special Jury Prize:
"Big Big World" directed by Reha Erdem

最優秀女優賞 Best Actress:
Ruth Diaz "The Fury Of A Patient Man"

最優秀男優賞 Best Actor:
Nuno Lopes "Sao Jorge"

最優秀脚本賞 Best Screenplay:
Wang Bing "Bitter Money"

最優秀短編映画賞 Best Short Film:
"La Voz Perdida" directed by Marcelo Martinessi

未来の獅子賞(優れた処女監督作に贈られる賞) Lion of the Future - “Luigi De Laurentiis” Venice Award for a Debut Film:
"The Last Of Us" directed by Ala Eddine Slim



Venice Classics部門

最優秀復元賞 Best Restoration:
"Break-Up- The Man With The Balloons" directed by Marco Ferreri



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フィリピン映画界の鬼才、ラヴ・ディアス Lav Diaz監督による、上映時間226分の大作がヴェネチアの最高賞を獲得しました。この作品は、ディアス監督が脚本、編集、撮影も自身で手掛けた力作でありますね。この作品のインスピレーションの源となったのは、レフ・トルストイ Leo Tolstoyの短編“God Sees the Truth, But Waits”だそうです。無実の罪で投獄され、人生を棒に振った男が、如何にして自分に降りかかった不幸への怒りや絶望を乗り越え、“赦し”の心境に至ったかというテーマ。生涯を通じてキリスト教への愛情と疑問の板挟みになっていたトルストイならではの、宗教的概念を文字通り“超越”した視点で描かれた、極限下で人間の本質的善を見据えようと試みた物語だと思います。この小説が書かれたのは1872年、19世紀も末のことですが、取り上げられたテーマは、21世紀を生きる今現在の私たちにとってあまりに大きく普遍的なもの。
今年のヴェネチアの審査員長を務めたサム・メンデス Sam Mendes監督が、今作に最高賞を与えた理由が何となくわかる気がしますね。“罪と罰”ではなく、“贖罪と赦免”の物語は、世界情勢が不穏になり、他者に対して寛容を忘れてしまった今の私たちの良心に、さぞかし重く響くことでしょうね。


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そして、トム・フォード Tom Ford監督の、「シングルマン A Single Man」に続く待望の長編映画第2作目"Nocturnal Animals"が、ヴェネチアで好評をもって迎えられ、こうして受賞を果たした事実を鑑みるに、フォード監督の映画作家としての道は確かなものになったと確信します。トロント国際映画祭 TIFFでの評価も気になるところですが、今作への大きな反響の中でも、とりわけ個人的に驚いたのは、ガーディアン紙 The Guardianの名物映画評論家ピーター・ブラッドショー氏が、なんと今作に星5つ(満点の評価)をつけて絶賛してくれたことですかね。
アート・ギャラリーを営むスーザンが、前夫トニーの書いた血なまぐさい小説に恐怖を覚えます。なぜならその小説は、女に裏切られた男が恐ろしい復讐を果たすという筋立てだから。そして、小説に書かれた通りの出来事が実際に周囲に起こり始めると、スーザンの恐怖は現実のものとなるわけですね。オースティン・ライト Austin Wrightの小説"Tony and Susan"を、トム・フォード監督自ら脚色した異色ノワール映画です。スーザン役にエイミー・アダムス Amy Adams、トニー役にジェイク・ギレンホール Jake Gyllenhaal、彼らと共に曲者俳優マイケル・シャノン Michael Shannon、アーロン・テイラー=ジョンソン Aaron Taylor-Johnson、アーミー・ハマー Armie Hammerが競演する、出演陣の顔ぶれだけで期待値が跳ね上がってしまうフォード監督の新作、日本でも早く公開されることを祈っております。


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そして、個人的に伏兵的存在だったのが、チリ出身の映画作家パブロ・ラライン Pablo Larrain監督の伝記映画"Jackie"ですね。ヴェネチアでは、脚本を執筆したノア・オッペンハイム Noah Oppenheimが脚本賞を獲得しましたが、今作で1963年のテキサス州ダラスで夫のジョン・F・ケネディが暗殺されて以降、激動の人生を送ることになるジャクリーン・ケネディを熱演したナタリー・ポートマン Natalie Portmanの演技も絶賛されています。出演陣は曲者揃いで、
キャスパー・フィリップソンがジョン・F・ケネディに扮し、グレタ・ガーウィグがパメラ・ターナー、ピーター・サースガードがロバート・F・ケネディを演じます。


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