House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS 第27回全米製作者組合賞,全米脚本家組合賞ノミネート一覧。

<<   作成日時 : 2016/01/10 17:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

第27回全米製作者組合賞 The 27th annual Producers Guild Awardsがノミネート作品を発表しました。今年の授賞式は1月23日(ロサンジェルス現地時間)、ロサンジェルスのハイアット・リージェンシー・センチュリープラザで行われる予定です。

この映画賞は、映画とテレビ番組の製作者に贈られるものですので、もちろん、テレビ番組の部門賞もたくさんあります。しかし、当ブログは基本的に映画ブログですので、申し訳ありませんがここでは割愛しますね。


第27回全米製作者組合賞 The 27th annual Producers Guild Awards


長編商業用映画ノミネート Theatrical Motion Picture nominees


・ダリル・F・ザナック賞 The Darryl F. Zanuck Award for Outstanding Producer of Theatrical Motion Pictures

画像

「マネー・ショート 華麗なる大逆転 The Big Short」
製作 Producers: ブラッド・ピット Brad Pitt & デデ・ガードナー Dede Gardner, ジェレミー・クレイナー Jeremy Kleiner
今作の日本公開は今年3月までお預け。日本だけ洋画の劇場公開状況が異様に遅い事態は深刻です。80年代、ウォール街を揺るがしたリーマン・ショックは、その後世界中に“金融危機による大不況”という名のウィルスを撒き散らしました。もちろん日本は真っ先にその致死ウィルスに感染。一体いくつの企業、銀行が倒産したことでしょうか。その後延々と続くことになる不況病は日本を蝕み続けています。今作は、このリーマン・ショックを乗り切り、ウォール街を出し抜いた男達の実話をベースに、アメリカの金融界を描いています。アメリカ人に限らず、誰でも、苦境を跳ね返して勝利する人間の話が大好き。私も大好きです。この不景気で不安定で暗い時代に、たとえ過去のお話であっても、景気の良い話が見たいですから。しかし現在の日本の状況は、笑い事ではありません。段々むしゃくしゃしてきたので(笑)、こないだ見て感銘を受けた、ロバート・ライシュ氏のドキュメンタリー映画「みんなのための資本論 (原題はInequality for All、“みんな不平等”の意。ホンマにそうだわ)」のパンフレット画像を嫌がらせのように並べたチラシ画像を貼っておきます。いえ、なにも「マネー・ショート 華麗なる大逆転 The Big Short」に恨みがあるわけじゃございませんぜ。今作は、良い企画を見抜く慧眼の持ち主、ブラッド・ピットと彼の製作会社Plan Bの製作になるもの。面白い映画に決まってます。ただ、もうちょっと早く日本で公開して欲しいだけの話です(笑)。


画像

「ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies」
製作 Producers: スティーヴン・スピルバーグ Steven Spielberg, マーク・プラット Marc Platt, クリスティー・マコスコ・クリーガー Kristie Macosko Krieger
正直に白状しますと、私はスピルバーグ監督の前作「リンカーン Lincoln」(2012年)を見て、監督自身が持っているであろう、アメリカ人として生きることへの覚悟や、長いものに巻かれるのではなく、己の良心に従って生きる信念を初めて理解できた気がします。これまでは単純に、“アメリカ万歳”の人かと思っていたので。そうではなく、今のように混沌とした時代だからこそ、移民が集まってできた国アメリカをどのように理解し、またどのように導いていくべきなのか、それを優れたエンターテイメント映画を通じてスマートに、しかし真摯に訴えていたのがスピルバーグという人だったのでしょうね。結局その辺りが、彼のシリアスな作品を“説教臭い”と敬遠してしまう観客が出てくる原因かもしれませんけどね。
先日、実話に基づくこの作品を見たとき、これはひょっとしたら、スピルバーグ監督のフィルモグラフィーの集大成的な作品になったのかもしれないと思いました。米ソの冷戦時代、実際の武器ではなく情報と腹の探りあいで戦争をしていた二大国間で行われた、スパイ交換劇を描いたもの。その表立ったストーリーの裏側で起こっていた、複数の国家間の威信を賭けた神経戦と諜報戦、死と隣り合わせの危険、狐と狸の化かしあいの混乱に改めて驚くと共に、そんな状況下でこそ守り抜かねばならないのは何なのかを、深く考えさせられました。然るにそれは、どの国に生きようが、どの民族であろうが、どんな宗教を信じようが、はたまたどんな文化を背負っていようが、世界中の全ての人々に共通して存在する“人としての良心”であるわけですね。そのシンプルなメッセージを、スピルバーグ監督は映画監督として持てる力をフル活用し、高品質のサスペンス映画に昇華させてしまいました。

同時に起こる非常事態、それに伴う複数の思惑が絡み合った複雑なストーリーを、観客が混乱しないように明確に導いてゆく演出の流れを渋滞させない編集は、見ていて本当に惚れ惚れしました。スパイ機が撃墜されたシーンの、心臓に悪いほどの(笑)スリル、また、ストーリーのあちこちに仕掛けられた伏線を絶妙のタイミングで拾い、反復することで緊迫感を底上げし、人間ドラマをも盛り上げてゆく演出の周到さ。演出の手練れといえば、大仰な台詞ではなく、ごくさりげない会話や動作で登場人物のキャラクターを過不足なく語ってしまう見事さは、コーエン兄弟(Joel & Ethan Coen)も関わった脚本の完成度に拠っているでしょうね。各登場人物の台詞もよくよく練られており、思わず引用したくなる名台詞も満載。後述する全米脚本家組合賞 2016 Writers Guild Awardsにもノミネートされたのも納得です。

弁護士、あるいはネゴシエイターとして、手を変え品を変え交渉相手を説得してゆく主人公のジムは、今作の名台詞のほとんどを口にしますが、彼とは対照的に口数も少なく、感情も全く表に現れないソ連(現ロシア)のスパイ、アベルは、言葉を口にせずともジムと揺ぎ無い信頼関係を築きます。そのアベルも印象的な台詞をいくつか口にするのですが、そのほとんどは、スパイ容疑で逮捕されたアベルを、しかもよりによって当時のアメリカの敵国ソ連のスパイであったアベルを弁護した、ジムへのいたわりと敬意と感謝の言葉でした。利害関係や信念の違いを乗り越えて結ばれる友情もあるのです。ジムがスパイ交換の交渉役という危険な任務に就いたのも、多分にアベルのため。現実のしがらみから離れたところで築かれたジムとアベルの絆は、世界中の“違い”を容認できないでいる今現在の私たちを戒めているのではないでしょうかね。

主演のトム・ハンクスによる、理想のアメリカ人像を象徴する演技、また、何年もの間スパイとして生きてきたアベルを、表情を変えることなく寡黙に表現したマーク・ライランスの演技は格別でした。その他諸々、今作は、映画を構成する要素の多くの部分で高い水準を保った作品です。食わず嫌いせずに、ぜひご覧になってみてくださいね。


「ブルックリン Brooklyn」
製作 Producers: フィオナ・ドワイヤー Finola Dwyer & アマンダ・ポージー Amanda Posey

「エクス・マキナ Ex Machina」
製作 Producers: アンドリュー・マクドナルド Andrew Macdonald & アーロン・ライチ Allon Reich

「マッド・マックス 怒りのデス・ロード Mad Max: Fury Road」
製作 Producers: ダグ・ミッチェル Doug Mitchell & ジョージ・ミラー George Miller

「オデッセイ The Martian」
製作 Producers: サイモン・キンバーグ Simon Kinberg, リドリー・スコット Ridley Scott, マイケル・シェイファー Michael Schaefer, マーク・ハッファム Mark Huffam


画像

「レヴェナント:蘇りし者 The Revenant」
製作 Producers: アーノン・ミルチャン Arnon Milchan, スティーヴ・ゴーリン Steve Golin, アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ Alejandro G. Iñárritu, メアリー・パレント Mary Parent, キース・レドモン Keith Redmon

画像

「ボーダーライン Sicario」
製作 Producers: バジル・イワニック Basil Iwanyk, エドワード・L・マクドネル Edward L. McDonnell, モリー・スミス Molly Smith

画像

「スポットライト 世紀のスクープ Spotlight」
製作 Producers: マイケル・シュガー Michael Sugar & スティーヴ・ゴリン Steve Golin, 二コール・ロックリン Nicole Rocklin, ブリー・パゴン・ファウスト Blye Pagon Faust

画像

「ストレイト・アウタ・コンプトン Straight Outta Compton」
製作 Producers: アイス・キューブ Ice Cube & マット・アルバレス Matt Alvarez, F・ゲイリー・グレイ F. Gary Gray, ドクター・ドレ Dr. Dre, スコット・バーンスタイン Scott Bernstein


・アニメーション映画 Outstanding Producer of Animated Theatrical Motion Pictures

「アノマリサ Anomalisa」
製作 Producers: ローサ・トラン Rosa Tran, デューク・ジョンソン Duke Johnson, チャーリー・カウフマン Charlie Kaufman

「アーロと少年 The Good Dinosaur」
製作 Producer: デニス・リーム Denise Ream

「インサイド・ヘッド Inside Out」
製作 Producer: ジョナス・リヴェラ Jonas Rivera

「ミニオンズ Minions」
製作 Producers: クリス・メレダンドリ Chris Meledandri, ジャネット・ヒーリー Janet Healy

「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE The Peanuts Movie」
製作 Producers: クレイグ・シュルツ Craig Schulz, マイケル・J・トラヴァース Michael J. Travers


・ドキュメンタリー映画 Outstanding Producer of Documentary Theatrical Motion Pictures

『Amy』
製作 Producer: ジェームズ・ゲイ=リース James Gay-Rees

『The Hunting Ground』
製作 Producer: エイミー・ジーリング Amy Ziering

「ルック・オブ・サイレンス The Look of Silence」
製作 Producer: ジョシュア・オッペンハイマー Joshua Oppenheimer, シーネ・ビュレ・ソーレンセン Signe Byrge Sørensen

「Meru」
製作 Producers: エリザベス・チャイ・ヴァサールヘリ Elizabeth Chai Vasarhelyi, ジミー・チン Jimmy Chin

『Something Better to Come』
製作 Producers: Sigrid Dyekjær, ハンナ・ポラック Hanna Polak




全米製作者組合が2015年度のPGAのノミネートを発表した翌日、その後を追うように全米脚本家組合の米西部チーム The Writers Guild of America, West (WGAW)と米東部チーム The Writers Guild of America, East (WGAE)がノミネートを発表しました。授賞式は現地時間で2月13日土曜日に、WGAWはロサンゼルスの会場で、WGAEはニューヨークの会場で同時刻に行われます。


2016年度全米脚本家組合賞 2016 Writers Guild Awardsノミネート一覧


商業用映画の脚本部門ノミネート SCREENPLAY NOMINATIONS


・オリジナル脚本賞 ORIGINAL SCREENPLAY

「ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies」マット・チャーマン Matt Charman、イーサン&ジョエル・コーエン Ethan Coen & Joel Coen (DreamWorks Pictures)

「ボーダーライン Sicario」 テイラー・シェリダン Taylor Sheridan (Lionsgate)

「スポットライト 世紀のスクープ Spotlight」 ジョッシュ・シンガー Josh Singer、トム・マッカーシー Tom McCarthy (Open Road Films)

「ストレイト・アウタ・コンプトン Straight Outta Compton」 ジョナサン・ハーマン Jonathan Herman、アンドレア・バーロフ Andrea Berloff 原案 S・リー・サヴィッジ S. Leigh Savidge、アラン・ウェンカス Alan Wenkus、アンドレア・バーロフ Andrea Berloff (Universal Pictures)

『Trainwreck』 エイミー・シュマー Amy Schumer (Universal Pictures)


・脚色賞 ADAPTED SCREENPLAY

「マネー・ショート 華麗なる大逆転 The Big Short」 チャールズ・ランドルフ Charles Randolph、アダム・マッケイ Adam McKay 原作「The Big Short」マイケル・ルイス Michael Lewis (Paramount Pictures)

「キャロル Carol」 フィリス・ネイジー Phyllis Nagy 原作「The Price of Salt」パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith (The Weinstein Company)

「オデッセイ The Martian」 ドリュー・ゴダード Drew Goddard 原作「オデッセイ The Martian」アンディ・ワイアー Andy Weir (Twentieth Century Fox)

「スティーヴ・ジョブズ Steve Jobs」 アーロン・ソーキン Aaron Sorkin 原作 「スティーヴ・ジョブズ Steve Jobs」ウォルター・アイザックソン Walter Isaacson (Universal Pictures)

『Trumbo』 ジョン・マクナマラ John McNamara 原作 伝記『Trumbo』ブルース・クック Bruce Cook (Bleecker Street Media)


・ドキュメンタリー映画脚本賞 DOCUMENTARY SCREENPLAY

『Being Canadian』 ロバート・コーエン Robert Cohen (Candy Factory Films)

『Going Clear: Scientology and the Prison of Belief』 アレックス・ギブニー Alex Gibney (HBO Documentary Films)

「COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック Kurt Cobain: Montage of Heck」 ブレット・モーガン Brett Morgen (HBO Documentary Films)

『Prophet’s Prey』 エイミー・J・バーグ Amy J. Berg (Showtime Documentary Films)



結論からざっくり申し上げます。ゴールデン・グローブ賞の授賞式が間近に迫っているので、手身近に。このノミネート傾向から窺えるのはただ一つ。

今年は例年以上に“強力な映画”に欠ける一年だったということです。

決め手に欠けること甚だしい。

勿論、今ここに挙げられている作品は、2015年に封切られた作品の中から選りすぐられた優秀な作品たちであることは疑うべくもありません。

しかし、2015年を象徴するような力強い映画で、尚且つ、下り坂の“アカデミー賞の威信”を復活できるような品格のある作品は、残念なことにありませんでした。各映画賞で、選出される作品や、受賞する作品がバラバラであることが、2015年映画界の決定打不足を暗示している気がします。

とは言え、異論のある方もおられるでしょうが、「ジュラシック・ワールド Jurassic World」や「スター・ウォーズ Star Wars The Force Awakens」のような大作が大ヒットし、映画界を活気付けてくれたことには深く感謝したいですね。こういった一大エンターテインメント作品も、映画界には必要ですから。


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
第27回全米製作者組合賞,全米脚本家組合賞ノミネート一覧。 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる