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zoom RSS 第53回NY映画祭 The 53rd NYFF その他企画 Special Events

<<   作成日時 : 2015/08/29 00:38   >>

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ニューヨーク映画祭 The 53rd NY Film Festival特別企画 Special Eventsについて書いています。

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(上記画像は、映画『Saul Fia /Son of Saul』からの1シーン)

君は、映画祭を心底楽しみたいか?ならば、大スターたちがレッド・カーペットを彩る華やかなメインの招待作品 Main Slateだけではなく、マーティン・スコセッシ Martin Scorsese監督率いるフィルム・ファウンデーション The Film Foundationの本拠地ニューヨークでの映画祭なんだからリバイバル上映 Revivalsだけは絶対押さえとけ。そして、今年も引き続き注目カテゴリーであるドキュメンタリー映画 Spotlight on Documentary特別企画 Special Events辺りのチケットを重点的に買いまくれっ!さあ、行け!走れっ!映画好き同志たちよ!!…←いや、だからって、チケット売り場までホントに走っていく必要はないですからね(笑)。オンラインでもチケットは購入可能なので、ぜひ特別企画系のプログラムを細かくチェックしてみてください。

それから、NY映画祭に先立って開幕する第40回トロント国際映画祭 Toronto International Film Festivalに足を運ばれる方がいらしたら、こちらの方も、短編映画を集めたプログラム Short Cuts、気鋭の映画監督たちの作品を審査するトロント唯一のコンペ部門 Platform、世界中から集めてきたドキュメンタリー映画の秀作たちを上映する TIFF Docsをチェックしてみてください。そして、もし映画と心中する覚悟がおありなら(笑)、アメリカ以外の世界中の国々から、TIFFアーティスティック・ディレクターであるキャメロン・ベイリー氏が選出した映画たちを紹介するプログラム Contemporary World Cinema内の招待作品をチェックしてください。“映画で世界を知ろう”という大切なテーマも込められている企画ですし、金脈を探り当てる可能性も大です。


さて、ニューヨークに戻りましょう。


特別企画 Special Events

映画祭の隠れたお楽しみ。今年のNY映画祭の特別企画の上映作品は、本当にスペシャルな作品揃いですよ。


『Chevalier』

Athina Rachel Tsangari監督

“Filmmaker in Residence Screening”という枠内でのアメリカ・プレミア上映。トロント国際映画祭 TIFFでも上映予定でしたね。ギリシャ出身の女性クリエイターです。ギリシャで映画監督としてメガホンを取ることもあるのですが、むしろ彼女はプロジェクション・デザイナーとしての方が有名なのかもしれませんね。2004年のオリンピックでプロジェクションを担当した経験もあります。女優としてリチャード・リンクレイター Richard Linklater監督の「ビフォア・ミッドナイト Before Midnight」に出演したり(兼プロデューサー)、今年は『The Lobster』で世界中の映画祭の注目を掻っ攫っている同郷の映画監督Yorgos Lanthimosのいくつかの作品でプロデュースを務めたり、多忙であるようです。

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●フィルモグラフィー Filmography

長編監督作品 Feature films as a director

2000年:『The Slow Business of Going』
2007年:『2』 (Dimitris Papaioannouのステージの映像化)
2010年:『Attenberg』
2011年:『Prometheus in Athens』 (Rimini Protokollのステージの映像化)
2015年:『Chevalier Athina』

Yorgos Lanthimos監督の新作『The Lobster』同様、Athina Rachel Tsangari監督の『Chevalier』もまた現代社会の可笑しさ、矛盾点を風刺する寓話の体裁をとっているそうです。海とシンボリックな“男性性”神話を結びつけた、ブラックな笑いの要素が多いお話。“誰が一般的な意味において最も優れた人物か”を決定するコンテストという、定義も目的もなにもかもが不明瞭で曖昧な、なんじゃそりゃ的コンテスト(笑)に6人のむくつけき男どもが参加。ヨット上で様々な能力が試されるのですが、その試験というのがことごとく、“海”=“船”=海の男=つまりいつにも増してマッチョイズム(かつ汗臭い)な世界を反映した内容になっているのですわ(笑)。要は、一般的な意味での“男らしさ”を競うコンテストだったというわけですね。こんな寓話的なストーリーを通じ、男性性のルーツ、他の人間と競わずにはいられない闘争本能が暴かれていきます。『The Lobster』のようにブラック風味多目のコミカルな心理ドラマ。トロント国際映画祭 TIFF 2015でもContemporary World Cinemaで上映予定です。


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『De Palma』

どひゃーーーーーー!
これ絶対、今年のNY映画祭の隠し玉というか、伝家の宝刀的な作品ですよね!間違いない(笑)!


ノア・バームバック監督 Noah Baumbach & ジェイク・パルトロー監督 Jake Paltrow
北アメリカ・プレミア上映

今年のNY映画祭のリバイバル上映プログラムに、ブライアン・デ・パルマ監督 Brian De Palmaの佳作「ミッドナイトクロス Blow Out」が含まれていた理由のひとつがこれだったんだよね(笑)?公私共に良きパートナーであるグレタ・ガーウィグ Greta Gerwigとのコンビ作『Mistress America』が好評をもって迎えられているノア・バームバック監督の、もう一つの隠し玉(笑)ドキュメンタリー映画『De Palma』が、NY映画祭でお披露目です。

現代アメリカ映画界を代表する名匠。映画作家としての出発点こそ、アルフレッド・ヒッチコック監督の遺志を継いだかのような作品スタイルだったデ・パルマ監督ですが、サスペンス映画、スリラー映画の分野における表現方法、映像美を更に開拓し、新しいスタイルを打ち立てた功績は本当に大きいと思います。その長いキャリアのうちには、映画作家としてスランプに陥った時期も確かにありましたが、ブライアン・デ・パルマ監督の名前はアメリカ映画史の一端を支え続けた才人として敬意をもって記憶されるべきです。……うわーうわー、デ・パルマ監督のドキュメンタリーがついに出来ちゃったのか……。観たいいいいいい。これ観たいいいいいい。日本でも早く公開してくれーーーー頼むーーーー!
バームバック監督と共同で監督にあたったのは、ブルース・パルトローとブライス・ダナーを父母に持ち、グウィネス・パルトローを姉に持つサラブレッド一家出身のジェイク・パルトロー監督 Jake Paltrowです。まだ若く、映画監督としては駆け出しってとこかなあ。まあ、これから彼の代表作と呼べる作品を生み出していくのでしょう。


『Heart of a Dog』

ローリー・アンダーソン監督 Laurie Anderson

今年のNY映画祭の公式ポスターのデザインも手がけているマルチ・アーティスト、ローリー・アンダーソン初の商業用長編映画。…むしろ、今まで映画を撮っていなかったことの方が驚きですね、この人の場合。音楽、映像、文学、絵画、ダンス…etc。およそ“アート”と呼ばれる媒体全てに通じ、それらを自在に組み合わせて新しい表現を提示する、真の意味でのマルチ・アーティストです。その彼女が、彼女自身の30年間の創造活動を振り返り、見つめ、内省し、“観察”した結果としての自伝映画です。


『Junun』

ポール・トーマス・アンダーソン監督 Paul Thomas Anderson
ワールド・プレミア開催

本日二度目のどひゃーーーーーー(大笑)!
今年のNY映画祭が世界に贈る2つ目の隠し玉ドキュメンタリー映画がこれです。心臓に悪いわ(笑)。


あのさ、ポール・トーマス・アンダーソン監督 Paul Thomas Andersonって、確か実写版ピノキオの映画を撮っているんじゃなかったっけ?あやふやな記憶で申し訳ないけど(笑)。このドキュメンタリーのニュース自体は、1週間ほど前に既に各映画サイトに掲載されていました。ですが、その速報を見たときの私の第一声もやっぱり、“えっ「ピノキオ」じゃないの?!”だったぐらいですから(笑)。

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ジョニー・グリーンウッド Johnny Greenwood

1971年11月5日生まれ
イングランド、オックスフォード出身

英国のロックバンド、レディオヘッド Radioheadのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドは、バンド内ではギターのみならず多彩な楽器を演奏するマルチ・プレーヤーとして活躍し、様々なジャンルの音楽に精通していることから、作曲、バンド・サウンド両面で中心的役割を担っています。また彼は、コンピューターにもあかるく、バンド活動と平行してかなり早い時期から映画・テレビ界にも進出してサウンドトラックや作曲を手がけ、また時にはミュージシャン役でゲスト出演したりとマイペースの活動を続けています。長編映画で作曲を手がけるようになったのは、2003年のドキュメンタリー作品『Bodysong』からですが、映画作曲家として一気に名声を高めたのは、2007年のアンダーソン監督の傑作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド There Will Be Blood」でした。思えばこの作品のスコアは、映画の不穏さ、緊迫感をいや増す役目を充分に果たしつつ、一つの“音楽作品”としても個性際立つものでしたね。あの不協和音を重ね合わせたようなサウンドのインパクトは強烈でした。この作品ではじめてアンダーソン監督とタッグを組んで意気投合し、以降、監督の作品全てのスコアを担当しています。

●フィルモグラフィー(映画音楽作曲のみ) Filmography as Composer

2014年「インヒアレント・ヴァイス Inherent Vice」
2013年『Back Beyond』(Video short)
2012年「ザ・マスター The Master
2011年「 少年は残酷な弓を射る We Need to Talk About Kevin」
2010年「ノルウェーの森」
2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド There Will Be Blood
2003年『Bodysong』(ドキュメンタリー作品 Documentary)

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さて、このNY映画祭隠し玉第2弾(違)ドキュメンタリー作品『Junun』とは、実はアンダーソン監督が長年に渡る映画音楽のパートナー、ジョニー・グリーンウッド Johnny Greenwoodの活動を取材した内容なんですね。
ジョニー・グリーンウッドがインドの音楽家Shye Ben Tzurと共にアルバムを制作しました。インドという国がもたらすインスピレーションは絶大で、ジョニーは当地のミュージシャンたち19人とセッションも行います。その場所は、なんと、インド北部の町ジョードプル Jodhpurにある城壁メヘラーンガル城 Mehrangarh Fort。お城の中でセッションをやっちまいましたよ(笑)。それを聴くだけでも凄そうだわ(笑)。インドというユニークなお国柄、あの中毒性のある独特の音楽、そして古い古い歴史を持つお城の中という神秘性を増すロケーション。その中で自由に己の感性を解放し、音と遊ぶジョニー。それを見守るアンダーソン監督。
今作は、アンダーソン監督がジョニーという触媒を通じて得た天啓を、彼自身の映像美学を駆使して音楽ドキュメンタリー映画という体裁にまとめたもの。そりゃあーた、アンダーソン監督とジョニーがリミッター制限を無視して、未知の4次元空間に突入していったら、もう誰にも彼らを止められませんよ(笑)。観客は置いてけぼりを食うかもしれませんぜ。今までに観たことがないような、“ぶっ飛んだ”音楽ドキュメンタリーに仕上がっていることを期待したいですね。


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ジョエル&イーサン・コーエン兄弟 Joel and Ethan Coen

懐かしいコーエン兄弟の、ご機嫌なロード・ムービー・コメディ映画。劇場公開15周年を記念して、今年のNY映画祭でリバイバル上映されることになりました。ああ、ニューヨーク市民が羨ましいわ。ああ、私ももう一度この作品をでっかいスクリーンで観たいものだわ。

1930年代アメリカ。ミシシッピ州で服役中のエヴェレットは、かつて自分自身が隠した金120万ドル也を密かに取りにいこうと、脱獄を計画。共に鎖で繋がれる“腐れ鎖縁”の囚人2名ビートとデルマーを道連れに、見事シャバに出ることに成功しました。彼らは一路、エヴェレットが金を隠したド田舎の町に向かっていくわけですが、途中様々な人に出会ったり、様々なトラブルに巻き込まれたりして、てんてこまい。彼らは、もうすぐ人造湖の下に沈んでしまう運命の隠し金を、無事に取り戻せるのか。

脱獄囚3馬鹿大将、120万ドルの隠し金を訪ねて三千里。ストーリーの背後にガンガン流れる、ブルース、カントリー、ブルーグラスなどアメリカン・ルーツ・ミュージックがとにかく最高にクールです。劇中で著名なルーツ・ミュージック・ナンバーをふんだんに用いて、ご機嫌なサントラ盤を作ったのはT・ボーン・バーネット T Bone Burnett!(この映画のサントラ盤は大ヒットを記録)そして、30年代大恐慌時代のアメリカの原風景を、美しい絵画のようにスクリーンに投影したのが、名撮影監督ロジャー・ディーキンス Roger Deakins!3馬鹿大将を演じるのはジョージ・クルーニー、ジョン・タトゥーロ、ティム・ブレイク・ネルソンという芸達者なクセ者俳優たち。ホメロスの叙事詩“オデュッセイア The Odyssey”のテーマを、貧困と不安に疲弊する1930年代のアメリカ南部の田舎に舞台を変えて翻案したストーリーの面白さ。そして、ロード・ムービーと音楽は抜群に相性が良いわけで、これだけご機嫌な要素が揃っていて、ご機嫌ではない映画ができるはずがありません。


『Saul Fia /Son of Saul』

ラズロ・ネメス監督 Laszlo Nemes
フィルム・コメント提供の特別上映 Film Comment Presents

ハンガリー出身の新鋭ラズロ・ネメス監督 Laszlo Nemesの、文字通りの処女作。その鮮烈な内容から、カンヌで喝采を受けたもののパルム・ドール受賞は成りませんでした。アウシュビッツユダヤ人強制収容所を舞台にした、絶望的に悲しく、むしろ身の毛がよだつ程の恐怖を感じ、もって行き場のない凄まじい怒りに震える、そんなホロコースト・心理ホラー作品ですね。各映画祭、各映画賞でことごとく話題をさらっている作品で、NY映画祭でも特別企画枠内で上映が決定しました。また、トロント国際映画祭 TIFF 2015でもSpecial Presentation部門で招待されています。

…はぁ(ため息)…

……いやね、何となくなのですが、これで今年のオスカーでジャック・オディアール監督 Jacques Audiardの『Dheepan』が外国語映画部門を制する可能性は、ほぼなくなったかなあと思ったんですよ。おそらくこの『Saul Fia /Son of Saul』がオスカーでも外国語映画賞を獲得するでしょうね。



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