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zoom RSS 第53回NY映画祭 53rd NYFF 招待作品 Main Slate ラインナップ Part1

<<   作成日時 : 2015/08/13 16:35   >>

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昨年度の賞レースを振り返ってみれば、結局のところ、オスカー本番で重要視された映画賞及び映画祭は、毎年メインとなる招待作品 Main Slateに個性的なラインナップを揃えることで知られるニューヨーク映画祭 The New York Film Festivalだったのではないかなあ。従って、個人的には今年もまた、各種映画祭、映画賞の選出結果を睨みつつ、平行して9月25日開幕のニューヨーク映画祭 The New York Film Festivalの動向を見守っていこうと思います。

9月25日から10月11日までニューヨークで開催される映画好きの祭典、第53回ニューヨーク映画祭 The 53rd New York Film Festivalが、とうとうメインの招待作品 Main Slate 26作品を正式に発表いたしました。

ニューヨーク映画祭公式サイトのこちらのページに、26作品のタイトルが列挙されていますのでご覧くださいね。


The 53rd New York Film Festival Main Slate


開幕上映作品 Opening Night

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「ザ・ウォーク The Walk」USA
ロバート・ゼメキス Robert Zemeckis監督
ソニー・ピクチャーズ Sony Pictures配給 ワールド・プレミア開催

日本でも来年2016年1月23日から劇場公開が決まった、ロバート・ゼメキス監督とジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演の伝記映画「ザ・ウォーク The Walk」は、NY映画祭でもオープニングを飾る作品に選ばれました。今作についての独り言はこちらに既に書いてありますので繰り返しません。本編上陸を心待ちにしております。IMDbでもキャスティングの欄に名前が明記されていながら、実際にどんな役どころなのかは不明だったサー・ベン・キングズレイ Ben Kingsleyは、ジョー演じるフィリップ・プティの師匠に扮するそうですよ。


目玉上映作品 Centerpiece
「Steve Jobs」USA
ダニー・ボイル Danny Boyle監督
ユニバーサル・ピクチャーズ Universal Pictures配給

扇動的で挑発的でワイルドで、故にリスキー。世界中から惜しまれつつ逝去したスティーヴ・ジョブズ氏の波乱万丈の半生を活写した、ボイル監督とアーロン・ソーキン脚本のコンビ作に、我らがファス男が主演しました。今作についてはこちらこちらに書いてありますので、お暇な方はどうぞ。一時期の低迷を完全に脱し、いまや絶好調をキープするフットワークの軽い巨匠ボイル監督と、脚本の神様ソーキンは、ジョブズ氏の一体何が世界中を惹きつけ、彼を“天才”と呼ばせたのかを、複雑で混沌とした彼自身の内面そのままに描きました。


閉幕上映作品 Closing Night
「Miles Ahead」USA
ドン・チードル Don Cheadle監督
ソニー・ピクチャーズ・クラシックス Sony Pictures Classics配給 ワールド・プレミア開催

昨年は「セッション Whiplash」という型破りな音楽映画でオスカー複数部門を獲得したソニー・ピクチャーズ・クラシックス。彼らが今年力を入れている作品は、やはり音楽映画のジャンルに入る内容のものです。「ホテル・ルワンダ Hotel Rwanda」等の名優ドン・チードルが主演・監督した、天才音楽家にしてジャズ界の革命児でもあったマイルス・デイヴィスを描いた今作と、カントリー・ミュージック界で伝説的存在のハンク・ウィリアムズの短い生涯を映画化した伝記映画「I Saw the Light」。2作品とも詳しくはこちらを見ていただくとして、少しばかり私見をば。
今記事を書くにあたって参考にした複数の映画サイトでは、かなりの確立でチードル氏の「Miles Ahead」に大いなる感銘を受けているようでした。チードル氏は子供の頃からマイルスの人生と音楽に心酔していたそうで、今作のどのシーンにも描く対象への情熱と愛情が溢れているのだそうです。芸術家の生涯を描いた作品の中では、間違いなく最良の部類に入る出来上がりだと太鼓判を押している批評家もおります。私自身が実際に見たわけではないので客観的な判断は出来ませんが、一つだけ確かなのは、どのジャンルの映画であろうと、描こうとする題材や対象に大きなシンパシーを持っていなければ、観客の心を動かす作品は撮れないよ、ということなんですね。映画のレビューを長年書いていますと、たまに、“作品への共感だけでその作品のレビューを書くことは出来ない”という辛らつなご意見を見かけます。もちろん、良い映画なりなんなりを作ろうとするならば、作品に対して常に客観的に良し悪しを判断できる冷静さを失ってはいけません。しかし、最後にその作品を他の凡百の“良作”と隔てるのは、作り手の作品への情熱と見境なき愛情(笑)であるのも、また事実なんですな。
賞レースを睨み、ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが同じジャンルに区別される2つの伝記映画を、どのように売り出そうとしているのかは分かりません。この2つの作品は、似て非なる側面を多々持つと思われますから。ですが、チードル氏のマイルス・デイヴィスへの熱い愛情と、アメリカ人の原風景の一つであるカントリー・ミュージックへの思慕の念を示した「I Saw the Light」も 、同じように描く対象への敬意によって成り立っていることに変わりはありません。私個人は、両作品ともに、末永く観客に愛されるような作品になっていて欲しいと願っています。ちなみに、「Miles Ahead」の方にはデイヴ・ブリルを演じるユアン・マクレガーが助演で顔を見せています。


「Arabian Nights: Volume 1, The Restless One」Portugal/France/Germany/Switzerland
「Arabian Nights: Volume 2, The Desolate One」
「Arabian Nights: Volume 3, The Enchanted One」
ミゲル・ゴメス Miguel Gomes監督(ポルトガル語上映)
キノ・ローバー Kino Lorber配給 アメリカ・プレミア開催

今年のカンヌ国際映画祭にも出品され、3部作すべてが120分を超える長大な上映時間でありながら、アラビアン・ナイトのファンタジックな世界観と現実世界が厳しく対立するユニークな構造が、評判を呼んでいました。ファンタジーの世界と現実世界を自在に行き来する独創的な物語の結末は如何に。最近日本でも上映されるチャンスが増えてきたポルトガル映画界出身の映画作家ミゲル・ゴメス監督の、入魂の作品群です。3部作揃ってニューヨークに進出を果たし、アメリカ向けにプレミア上映されます。実はわたくしめ、個人的に、今作へのニューヨークっ子たちの反響をすごく楽しみにしていますのよ。


「The Assassin」Taiwan/China/Hong Kong
侯 孝賢 ホウ・シャオシェン Hou Hsiao-hsien監督(中国語上映)
Well Go USA配給 アメリカ・プレミア開催

長年中国映画界を牽引してきた名匠侯 孝賢 ホウ・シャオシェン監督の最新作。カンヌ国際映画祭に出品され、今作を見た多くの英語圏の批評家が賛辞を贈っていました。今年のオスカーでは、おそらく「Saul Fia / Son Of Saul」(ラズロ・ネメス監督 László Nemes、トロント国際映画祭に出品)と共に外国語映画賞部門の有力候補に挙げられそうな予感がします。


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shared from here.
「Bridge of Spies」USA
スティーヴン・スピルバーグ Steven Spielberg監督
タッチストーン・ピクチャーズ Touchstone Pictures配給 ワールド・プレミア開催

第2次世界大戦後にベルリンの壁が築かれ、東西ドイツが統合されて壁が壊されるまでの間に、東西ドイツ間で囚人の交換が3回行われました。その最初の“囚人交換”は1962年に起こりましたが、米露冷戦期間中のことでもあり、実質、東西のスパイ同士の交換であったそうです。それが最も有名な囚人交換劇であり、スピルバーグ監督がメガホンを取った、この「Bridge of Spies」の題材となりました。ハリウッドにとってはもはや「水戸黄門」の印籠のごとき存在である、トム・ハンクスが主演。ニューヨーク映画祭への招致は意外なチョイスだったようですよ。
しかーし!私は60年代から70年代に量産されたようなスパイ映画が大好きですし、スピルバーグ監督にしても、本格的なスパイものを手がけるのは「ミュンヘン Munich」(ジョージ・ジョナス著のノンフィクション小説「標的は11人 モサド暗殺チームの記録」を映画化したもの)以来久しぶりになりますものね。実はわたくしめ、密かにこの作品を楽しみにしておりますですのよ。


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「Brooklyn」UK/Ireland/Canada
ジョン・クロウリー John Crowley監督
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ Fox Searchlight Pictures配給

今やオスカーの常連となっているFOXサーチライト・ピクチャーズは、良質のインディペンデント映画を発掘し、世界中の映画賞や映画祭に積極的に参戦して、世界にその作品の存在を知らしめるという流れで活動してきました。結果として、メジャー製作会社では手が出せないようなリスキーな作品や、インディ映画ならではのニッチな題材に特化したような個性的な作品で、映画賞や映画祭で注目を集められるようになり、オスカーでも受賞する確立が高くなった、というわけなのですねえ。今年のFOXサーチライト・ピクチャーズは、主演のシアーシャ・ローナンの演技が目を見張るほど素晴らしいと絶賛されている今作と、ノア・バームバック Noah Baumbach&グレタ・ガーウィグ Greta Gerwig脚本・主演コンビ作「Mistress America」の2本に力を入れているような印象を受けます。映画界における女性映画人への待遇の不平等が問題視されている昨今、女性の映画人が活躍する作品を取り上げるのは、賢明な判断だと思います。
アイルランドでの貧困に耐えかね、希望を抱いてアメリカに移民として移り住んだ少女Eilisの物語。身よりもない街ブルックリンで孤独に耐え、簿記を学び恋人にも出会った彼女の前にはささやかながら明るい未来が開けたように見えましたが、彼女には更なる運命のいたずらが待っていたという。静かなる傑作と評価され、ベストセラーとなったColm Tóibínの小説の映画化だそうです。トロント映画祭でもカナダ向けプレミアが開催される予定です。


「Carol」USA
トッド・ヘインズ Todd Haynes監督
Weinstein Company配給

トッド・ヘインズ監督とケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラ主演、カンヌ国際映画祭で高く評価されたドラマ作品ですね。こちらに独り言を書いてあるのでご参考までにどうぞ。今作は、ミステリー小説界の女王パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmithのデビュー作品を初めて映画化したものだそうです。今作、とにかくあちこちの映画祭で絶賛されており、今年のBFIロンドン映画祭 BFI London Film Festivalでも上映が決定しました。オスカーとの絡みだけで新作映画を語るのは論外ではありますが、カンヌ国際映画祭 Festival de Cannesでお披露目されて以来、今年公開された映画の中では数少ない超優良作品の一つと目されるだけに、主演のブランシェット姐御とルーニーちゃんが映画賞でも活躍するのは確かだと思いますよ。


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「Cemetery of Splendour」Thailand/UK/France/Germany/Malaysia
アピチャートポン・ウィーラセータクン Apichatpong Weerasethakul監督(タイ語上映)
Strand Releasing配給 アメリカ・プレミア開催

第63回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールPalme d'Orを受賞したものの、作品の内容については評価が割れた「ブンミおじさんの森 Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives」(第48回ニューヨーク映画祭にも選出された)以来、久しぶりの新作となったアピチャートポン・ウィーラセータクン監督の作品が、前作同様、ニューヨーク映画祭に招かれました。今年のカンヌ国際映画祭でも話題になった異色中の異色作であります。
今回は、こん睡状態にある兵士達を収容した病院を舞台に、彼らがみる夢を媒介として、非現実世界と現実世界が混沌と入り混じるお話のようです。そのスーパーナチュラルなストーリーテリングの背景には、タイという国が密かに抱える歴史の闇と、それによって国家全体が被った癒しようのない傷の記憶が見え隠れします。生ける者と死せる者が神秘的な森を媒介にして混じりあい、死を目前にした男が死者の世界へと旅立った前作からは、トーンが暗くなったようにもみえる今作。しかし今作が描こうとするテーマは、タイという国に限らず、今も尚戦禍から逃れられない世界中の国々と共有できる痛みであると思いますね。


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「Les Cowboys」France
トーマス・ビデガン Thomas Bidegain監督 (フランス語上映)
Cohen Media Group配給 アメリカ・プレミア開催

カントリー&ウエスタン愛好家のアランは、仲間と家族と一緒にアウトドアを楽しんでいましたが、ある日突然娘が失踪してしまいます。アランは娘を探し始めますが、彼女がイスラム教徒であるボーイフレンドと駆け落ちしたと知ると、娘を奪還せんとするアランの捜索は狂気の色合いを帯びてきます。妻と子供達は娘の帰郷を諦めますが、アランだけは娘の失踪から何年経っても、彼女を家に連れ戻すことを諦めませんでした。もはやそれは執念と呼ぶに相応しく、しまいには娘を連れて戻る家と家族すら失っても、息子を道連れにした彼の捜索は終わりませんでした。
ジョン・フォード監督とジョン・ウェイン主演コンビの西部劇の傑作「捜索者 The Searchers」にオマージュを捧げたストーリーですが、あの9.11以降、混迷を深める中東情勢とテロ組織との終わりなき戦いに疲弊する西洋諸国の実情が反映されているといえるでしょうね。トーマス・ビデガン監督は、ジャック・オディアール兄貴の諸作品で脚本家として働いていた経歴の持ち主です。脚本を担当した作品には、「預言者 A Prophet」「君と歩く世界 Rust & Bone」そして兄貴の最新作「Dheepan」と多々ありまして、オディアール・ファンにはお馴染みの名前。その彼が、いよいよこの作品で監督として独り立ちしたというわけですなあ。言われてみれば、まだ“家族神話”が生きていた古き良き時代の西部の男のストーリーの体裁を借りながらも、もはやそれが過去の遺物になってしまったことを暗示する苦い後味は、オディアール兄貴の作品を彷彿とさせますね。


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「Don’t Blink: Robert Frank」USA/Canada
ローラ・イスラエル Laura Israel監督
ワールド・プレミア開催

1924年11月9日、スイスのチューリッヒに生まれたロバート・フランクは、1947年にアメリカに移住しました。生活のために商品カタログ写真などを撮っていましたが、ヨーロッパ各地を放浪しつつ撮影した写真がグッゲンハイム財団に認められ、得た奨学金で1955年から約2年かけてアメリカ全土をくまなく旅しながら写真を撮りためました。そうして出来上がったのが、フランク生涯の傑作写真集となる“The Americans”(1958年)です。

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from 'The Americans'
アメリカで受けたカルチャーショックにもまれ、撮影スタイルを激変させたフランクの作品は、思いもよらぬ角度から対象の本質を捉えるシャープなものになりました。余計な贅肉がそぎ落とされ、リアルそのものの彼の写真は高い評価を得て、後続の写真家たちに多大な影響を与えることになります。そして彼自身も、現代写真家を代表する存在になっていきました。
その後、一旦写真の世界から離れ、アーティスティックかつアバンギャルドな映画を撮った時期がありましたが(「コックサッカー・ブルース Cocksucker Blues」(1972年に製作されたローリング・ストーンズ未発表ドキュメンタリー)、70年代に再び写真家としての活動を再開。“Lines of My Hand”(1972年)、ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アートで開催された回顧展を記念して制作された写真集“Moving out”(1994年)等、写真史に残る傑作を撮り続けています。ドキュメンタリー映画「世界一美しい本を作る男 How to make a book with Steidl (http://blackmamesu.at.webry.info/201312/article_16.html)」にも、シュタイデル氏の顧客の1人として御本人が登場します。御歳90歳におなりですが、いまだ健在。
ローラ・イスラエルは彼の長きに渡る友人であり、名編集者として彼の創作活動を支えてきた存在ですが、彼女はこのほど、良き友ロバート・フランクの素顔を活写したドキュメンタリー映画「Don’t Blink: Robert Frank (瞬きしてはダメ)」を完成させました。1950年代から活動を続けている名写真家であり、また映画作家でもある彼の多才、かつ多彩なアーティストとしての記録と知られざる素顔を捉え、彼の人生と芸術を俯瞰、再構築した作品だそうです。これは興味深いドキュメンタリーですね。


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「Experimenter」USA
マイケル・アルメリーダ Michael Almereyda監督
マグノリア・ピクチャーズ Magnolia Pictures配給

スタンレー・ミルグラム Stanley Milgramという学者ほど、社会心理学という分野において、人間の持つ本能のうちの最も危険な部位に近づいた人間は他にいないと思われます。最近映画化もされて有名になったスタンフォード監獄実験を行ったフィリップ・ジンバルドーと同様、第2次世界大戦中のホロコーストやベトナム戦争中に起こったソンミ村大虐殺事件がなぜ起こったのかを解き明かそうとした人物です。ミルグラムは、人間の本能の中でも、倫理的な問題や躊躇が邪魔をして、なかなか正面切って取り組めなかった“権威と服従”についての謎に真っ向から挑戦しました。
権威への服従実験(ミルグラム実験 Milgram Experiment)はアイヒマン実験とも呼ばれ、1961年当時、ミルグラムが教鞭をとっていたイェール大学内で、ホロコーストが起こったメカニズムを解明するために行われた心理実験です。ナチスのような絶対的権威に対し、ごく普通の人々が恐怖心から盲目的に服従した結果、そういった人々の暴力への感覚が麻痺し、ホロコーストのような想像を絶する虐殺行為が起こってしまったということを具体的に証明したのですね。ミルグラムは1963年に、その実験の結果を“服従の行動研究 Behavioral study of obedience”として論文にまとめましたが、倫理的側面から実験の正当性を疑う声も出て、議論が噴出。しかし1974年にミルグラムが上梓した「服従の心理―アイヒマン実験 Obedience to Authority; An Experimental View」によって、社会心理学に貢献した実績を認められました。
さて、シェークスピアの戯曲「ハムレット Hamlet」(2000年)をイーサン・ホーク Ethan Hawkeを主演に迎えて映画化した作品で最も知られるアルメリーダ監督は、スタンレー・ミルグラムという、ある意味大変危険な人物の生涯を、時代を先取りしていた彼の実験そのままに、非常に実験的な手法で映像化しました。今年のサンダンス映画祭で大きな話題となっていたので、私も早く本編を見たいと思っていたのですが、ついにNY映画祭にも取り上げられましたね。この作品では、ミルグラムを熱演したピーター・サースガードに、カメラに向かって直に語りかけるなど、観客をも“権威への服従実験”に参加させるような挑発的な演出が施されているそうです。確かに、権威への盲目的な服従によって、私達は気付かぬうちに国家的犯罪に加担しているわけで、映画を見ているうちに、己の深層心理に隠されたそんな異常心理を眼前に突きつけられるのかもしれません。
しかし映画は、ミルグラムの実験の最大の理解者であった妻の視点からも、ミルグラムという複雑な人物像に光を当てています。従って、尊大で頑固者で下手をすれば誰からも共感を得られないミルグラムの素顔を、ごく分かりやすく解明することに成功したのでしょう。学問の世界の“権威”に束縛されることを何より嫌ったミルグラムの冒険をスリリングに描いた今作、ひょっとしたら映画賞レースでも“実験”の成果を発揮するかもしれませんよ。

……ニューヨーク映画祭 The 53rd New York Film Festivalの話題はここで一旦終了します……

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