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zoom RSS 映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム Shaun the Sheep The Movie

<<   作成日時 : 2015/07/07 22:57   >>

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ここ日本では、さながら7月はアニメーション映画祭りが開催されているようでありますな。

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まずは、7月4日から全国で公開が始まった、アードマン・アニメーションズ Ardman Animationsの人気者「ひつじのショーン」の初映画化作品「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム Shaun the Sheep The Movie」。お次が7月18日からロードショー開始の、ピクサーが放った久々の名作「インサイド・ヘッド Inside Out」。7月アニメーション映画祭りのトリを飾るのは、我らがアイドル、ミニオンが堂々主役を務める映画「ミニオンズ Minions」で、7月31日から公開になります。


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さて、先日、「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム Shaun the Sheep The Movie」を早速映画館で観てまいりました。
思い返せば遠い昔、ニック・パーク Nick Parkがたった1人で作り上げた「ウォレスとグルミット Wallace and Gromit」シリーズ第1作目「チーズ・ホリデー A Grand Day Out」が日本でも紹介されて有名になって以来、今現在もインディペンデント制作会社としての矜持を保ち続け、あくまでも熟練職人による手作りの制作に拘る偉大なアニメーション工房アードマン・スタジオ。そのアードマンの、最新大ヒット作品の初映画化とあらば、そりゃもう喘息だろうがなんだろうが、這ってでも公開日に映画館に馳せ参じねばならんでしょうよ!

そして本編観賞中は、ひつじのショーンが大好きな小さなお子さん方、そのご両親、更にはそのおじいちゃん、おばあちゃん方という、大変幅広い年齢層の観客の皆さんと一緒になって、笑ったりハラハラドキドキしたりしんみりしたりと、近年稀に見る充実した1時間25分を過ごすことが出来ました。いやぁ、ホンマによかったです。心洗われるひとときでしたよ。
正直な話、映画の出来云々以上に、一緒に映画を楽しんだ皆さんの反応がまことに微笑ましかったのが印象深かったです。映画慣れしすぎて、却って斜に構えてしまうことの多い我が身のどす黒い心根(笑)を猛省しちまいましたもの。はじめて映画館に来たんだろうなあと思われる、テレビ版「ひつじのショーン」ファンの子供達が、映画の世界に入り込んでキャッキャッと大喜びしている様子の純粋さよ。どうか、あの子達がこの素晴らしい映画体験を忘れないでいてくれますようにと、願わずにはいられませんでしたねえ。

映画本編の仕上がりも、“そう、これこれ、これぞアードマン節だがや!”と思わず膝を打ちたくなるクリーンヒットでした。片田舎にある小さな牧場で、平凡だけど安全で幸せな毎日を送ることの尊さを、その退屈な日常から放り出されて初めて実感するというストーリーこそオーソドックスですが、その中に、突拍子もない発想と奇想天外な遊び心、本編に関係ないけど細かいガジェットを愛して止まないのよーっ!ガジェットだけは手を抜かないわよーっ!というオタク魂(笑)を満載し、世界共通の普遍性を付加してしまう力技。これこそが、アードマンの真骨頂だと再確認できました。

「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム Shaun the Sheep The Movie」公式サイト Official Site

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テレビ版の「ひつじのショーン」をご存知ならば、もちろん今作を一層楽しめることうけあいですが、しかし、知らなくとも全く問題なし。映画版は映画版で、テレビ版の設定を受け継ぎつつも、ちょっぴり発展させた独自の世界観を持たせているようです。ショーンやビッツァーといったメイン・キャラクターたちだけではなく、テレビ版では一遍7分という短編であるために、キャラクターの細かい描き分けまで手が回らなかったサブ・キャラたちの性格づけも、今作ではバッチリ。映画版で初めて登場するキャラクターに至るまで、丁寧に描き込まれた脚本の緻密さには今回も脱帽です。

脚本及び監督を務めたマーク・バートンは、ニック・パーク監督の「ウォレスとグルミット」シリーズ映画版「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! The Curse of the Were-Rabbit」の脚本にも携わっていた才人だけあり、ショーンたちが大都会で苦戦する様子、しかし都会の不自由さや人間の恐ろしさを逆手にとって、追いすがる敵を蹴散らし、牧場主を救出するくだりの奇抜なアイデアの連打は、「ウォレスとグルミット」シリーズを想起させ、いっそあっぱれでありました。

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そして、何よりこの作品が素晴らしいのは、“台詞が一つも無い”ことです。ショーンたちの暮らす牧場の牧場主だけでなく、他にも人間のキャラクターは登場するのですが、彼らですら“台詞”をしゃべらないんです。うなり声だけなのね(笑)。だからこそ、老若男女を問わず、はたまた文化や言語の違いの壁ですらスルリと通り抜け、ひつじのショーンと彼の仲間達の小さな小さな大冒険(笑)は、世界中のありとあらゆる観客を魅了し、彼らの共感と涙と笑いを誘うのでありますよね。最近とみに、優れた無声映画が製作されるようになってきたとはいえ、台詞全くなしの状態で、伏線や内容盛りだくさんの活劇を描くのは、やはり至難の業だったようですね。プロダクション・ノートを見てみますと、制作陣はバスター・キートン等の無声映画の傑作を繰り返し見て参考にしたとか。特に個々のキャラクターの感情表現を、顔の表情とジェスチャーだけで観客に伝えるための努力は、テレビ版より入念に、かつ緻密に行われたそうです。そうしたクレイ職人、ベテラン・アニメーターたちの努力の結晶が、今作の素晴らしさになったわけですね。アイデア枯渇だと叫ばれて、早幾星霜もの年月が経過した映画界ですが、まだまだ可能性はなくなっちまったわけじゃないと思えてきます。それが嬉しいよね。

どんな境遇にいる人でも、どんな年齢層の人でも、また、どのような人種に属していようが、観客みんなが思い思いに映画の世界で羽を伸ばせる自由。それこそ、映画という大衆文化の存在意義であり、映画芸術の最終的な到達点ではないかと思います。この、ごく小さな世界を舞台にした小さなひつじ達のささやかなアドベンチャー・ストーリーが、映画文化の目標を軽やかに達成し、世界中の観客を一つにしてしまった奇跡への驚きと喜びに、胸が詰まる思いですわ。少なくとも、私が今作から得た感動の半分はその点が源泉でした。


【ご注意:ストーリーは結末までは明かしていませんが、途中までかなり詳しく書いてあります。映画をまだ見ていない方、ネタバレが嫌だという方は、ここから先は読まないようお願いいたしますね】


Boys are back in town! Sheep are back in the farm!

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「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム Shaun the Sheep The Movie」
監督&脚本:マーク・バートン&リチャード・スターザック
製作総指揮:ピーター・ロード、ニック・パーク、デイヴィッド・スプロクストン
製作:ジュリー・ロックハート、ポール・キューリー
アニメーター:ウィル・ベッカー他。
音楽:イラン・エシュケリ
出演:ショーン Shaun
ビッツァー Bitzer
ティミー&ティミーのママ Timmy & Timmy's mum
ツインズ The twins
ヘーゼル Hazel
ナッツ Nuts
シャーリー Shirley
牧場主 The Farmer
3匹のいたずらブタ The pigs
トランパー Trumper
スリップ Slip

のんびり、マイペース、ちょっぴりものぐさな牧場主は、イギリスの片田舎で1人、小さな牧場でひつじやブタを飼育していた。忠実な牧羊犬ビッツァーがひつじやブタたちをとりまとめる役割で、ショーンはひつじの群れの中の才気煥発、いたずら大好きなリーダー的存在だった。
牧場の日常は、毎日同じ日課の繰り返しだ。朝も早よから起きて、草を食み、牧場内を歩き回ってたまに毛を刈られ、おねんね。若いショーンは、さすがにこのマンネリ化した生活に嫌気が差し、時々牧場主やビッツァー、3匹のブタたち相手にいたずらをしかけて気晴らしをするも、それも限界だ。毎日朝夕に田舎と都会を巡回するバスには、“たまにはゆっくり休暇にを楽しもう”という広告が。ショーンは、自分達もたまには休暇を楽しむ権利があると考え、牧場主を厄介払いする方法を思いつく。
ひつじの仲間達の協力の下、日課にとりかかった牧場主を首尾よく眠らせ、古ぼけたトレーラーの中に移動。彼が丸一日起き出してこないよう細工も隆々、牧場主の家の中でジュースやピザ、ポップコーンを用意してさあカウチポテトな休暇を楽しもうとした矢先のこと。牧場主が熟睡するトレーラーの車輪留めがはずれ、勝手に暴走を始めた。ショーンたちの企みを見抜いたビッツァーは慌ててトレーラーを追っていく。ショーンたちは牧場に留まったが、程なくして、牧場主やビッツァーがいなければ、自分達が毎日の食事すら満足にできないことを思い知らされる。

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一方牧場主を乗せたトレーラーは、牧場から遠く離れた大都会までまっしぐらに突っ込んでいき、あっちこっちにぶつかりながら、車が頻繁に往来する都会のど真ん中の交差点でようやく急停止した。そのときのショックで目覚めた牧場主は頭をしたたかに打ちつけ、すぐに到着した警察と救急車によって保護、病院に搬送されていった。ビッツァーは、ご主人様が収容された病院まで必死に追いかけるものの、犬は病院内には入れないため臍を噛む。その頃ショーンも、自分のしでかしたことが大きな間違いであったことに責任を感じ、1人でバスに乗って都会まで赴き、牧場主を探す決意を固めた。

ビッツァーはクリーニングの中に隠れて病院内に侵入、なんとかご主人様を探そうとするが、病院のセキュリティ・スタッフから逃げているうちに手術室に迷い込み、大ピンチに陥る。実は牧場主は、頭を強打した衝撃で記憶を全て失っており、記憶喪失だと診断が下されていた。一方、犬の正体がばれてしまったビッツァーは、動物収容センターから派遣された野良動物捕獲人、冷酷なトランパーによって捕らえられた。都会に到着したショーンは、牧場とはまるで違う世界である都会の喧騒に慄く。多くの人間がせかせか行き交う忙しない都会には、飼い主のいない動物達の居場所はない。ショーンもトランパーが監視の目を光らせていることに気付くき、直感で彼を危険人物だと悟る。都会のど真ん中で野良犬として生きている親切な子犬スリップと知り合うも、彼女は哀れトランパーの餌食になってしまった。ショーンは、あとからバスに乗ってやってきたひつじの仲間達と合流し、トランパーの追跡から逃れるため、人間の服を着込んで変装することにした。

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広い都会の中から、行方不明の牧場主を探しだすのはほとんど不可能だ。歩き疲れてお腹がぺこぺこのひつじたちは、レストランに入って食事にありつこうとする。しかし、バッグに化けていたティミーのせいでショーンの変装がバレてしまった。ショーンはやむなくトランパーに捕獲され、仲間を逃がす。トランパーによって放り込まれた動物収容センターは、“動物保護”とは名ばかりの、野良動物、飼い主に捨てられた動物たちの刑務所であった。ここは、ペットを探しにきた人間達に見初められない限り、出ることは不可能。トランパーは、何度も捕獲に失敗したショーンをようやく捕まえることができ、上機嫌だ。彼は、ただ単に怯える動物たちを捕まえるのが大好きなだけであり、センターが行う里親探しには無関心だった。自分を可愛がってくれる親を探していた子犬スリップもここに囚われ、涙を流していた。ショーンはなんとか脱出する方法を考え始める。

牧場主は記憶を失ったまま、ひょんなことから病院からフラフラさ迷い出る。自分がなぜ病院に収容されているのかも分からない彼は、美容院でスターが髪のカットをしてもらおうとしている現場に出くわし、記憶のごく一部を取り戻す。そうだ毛刈りだ!バリカンで毛を刈ってやらなくちゃ。バリカンを目にした牧場主は、そのまま美容院に入っていき、バリカンを手にするやひつじたちの毛刈りをしていたのと同じ要領で、スターの身体をしっかり小脇に抱え、有無を言わさずそのままバリバリ毛を刈ってしまった。周囲の人々は青ざめるが、スターの“毛刈り”の結果は上々。すっきりとシンプルにカットされたスターの新しいヘアスタイルは話題を呼び、たちまちツイッターやフェイスブックで共有されて拡散され、世界中に広まっていく。こうして牧場主は、本来の自分の仕事を思い出せないまま、バリカンのカリスマ・ヘアスタイリストに祭り上げられてしまった。

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ショーンの仲間達は、ショーンを脱獄させるために知恵を絞る。脱獄計画は彼らのうっかりミスで無駄になるが、ショーンにひらめきを与えた。奇想天外な方法でトランパーに意趣返しし、まんまと脱獄に成功したショーンとビッツァー、そしてスリップ。今や時の人、カリスマ美容師になっている牧場主の居所は案外簡単に分かった。ところが、記憶を失ったままの彼は、ショーンやビッツァーが会いに行っても事態がのみこめず、うろたえて彼らを追い払ってしまう。

ショーンたちはスリップの案内で、遺棄された古い倉庫に身を隠した。そこは身を切る寒さの風が容赦なく吹きつける、侘しい場所だった。こんなところで長い間ひとりぼっちで暮らしていたスリップを見て、今まで如何に自分たちが恵まれていたかを改めて思い知らされるショーン。家族と仲間、そして帰るべき家。それこそが最も大事なことだと気付いたショーンは、意気消沈するティミーを元気付けるため、仲間たちと歌を歌って皆を鼓舞する。牧場主の記憶が戻るのを待っている暇はない。トランパーはやがてこの隠れ家も嗅ぎ付けるに違いない。ショーンたちは、なんとしてでも牧場主を都会から連れ出し、“家に帰る”計画を立てはじめる。

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“ひつじ”じゃない方のショーン・ビーンさんも、今年は新作が控えています。9月日本上陸予定の「ピクセルズ Pixels」にもちょこっとゲスト出演していますし、主演しているテレビ・シリーズ「Legends」は第2シーズンのエピを撮影中。また、メアリー・シェリーの名作「フランケンシュタイン」の物語に想を得たテレビ・ミニシリーズ『The Frankenstein Chronicles』も無事完成し、Canal+が放映権を獲得したとのことで、期待が持てます。ひつじじゃない方のショーンも、細かく活躍中ですので(笑)、どうぞ皆さま贔屓にしてやってくださいまし。




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