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zoom RSS 生きる楽しみ、食べる楽しみ―「シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef」

<<   作成日時 : 2015/03/10 10:34   >>

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ジョン・ファブロー監督へ。これからも、観た後にとてつもなくハッピーになれる映画を撮ってください。お願いします。そういえば、「アイアンマン Iron Man」シリーズであなたが演じていたキャラの名前は、ハロルド・“ハッピー”・ホーガンでしたね。そうか、アレだ、ファブロー監督ってお人は、周囲の人たちを“ハッピー”にする星の下に生まれたに違いありませんや。


ご注意:1ミクロンもネタバレするのは嫌だという方は、↓下のストーリーを読まないでね。


“みんなが喜ぶ顔を見ると、パパも力が湧いてくるんだ”

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「シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef」(2014年)
監督:ジョン・ファブロー
製作:ジョン・ファブロー&セルゲイ・ベスパロフ
脚本:ジョン・ファブロー
撮影:クレイマー・モーゲンソー
美術:デニス・ピッツィーニ
衣装:ローラ・ジーン・シャノン
編集:ロバート・レイトン
音楽監修:マシュー・スクレイヤー
出演:ジョン・ファブロー(カール・キャスパー)
ソフィア・ベルガラ(イネス)
ジョン・レグイザモ(マーティン)
スカーレット・ヨハンソン(モリー)
ダスティン・ホフマン(リーヴァ)
オリバー・プラット(ラムジー・ミシェル)
ロバート・ダウニー・Jr.(マーヴィン)
エムジェイ・アンソニー(パーシー)他。

公式サイトはこちら。

―・―・―・―・―・―・―・―・―ストーリー開始―・―・―・―・―・―・―・―・―

ロサンゼルスの一流レストランの総料理長を務めるカール・キャスパーは、インターネット料理評論家として著名なラムジー・ミシェルの来店に備え、マンネリ化したメニューを一新し、食材のフレッシュな風味を生かした創作メニューの開発に燃えていた。しかし、売り上げ優先で危険な冒険を避けたいレストラン・オーナーのリーヴァは、厨房の仕事には口を出さないという契約を反故にし、カールのメニュー変更を直前になって阻止。その結果、マンネリ化した昔ながらの定番メニューが、天敵毒舌フード・ブロガーに供されることになり、失意のカールの料理が星2つという不本意な評価を得ることに。さらに、その酷評ブログ記事は、ご丁寧に書いた本人によってツイッターで拡散され、瞬く間に世界中に広まってしまった。フロアマネージャーのモリー、カールの右腕で良き友人でもある焼き物担当シェフ、マーティンらはネットの評判など気にしないようにと慰めるが、カールは、自分をこき下ろした記事があっという間に世界中にばら撒かれたことに愕然とし、大いに傷つく。
スーパーモデルの元妻イネスと親権を共有している息子パーシーは、両親が離婚したことに深く傷ついていた。カールは料理人としてのキャリアに熱中するあまり、いつしか妻も息子も省みなくなってしまったのだ。特に父親を慕っていたパーシーは、その父親が自分との間に距離を置いていることを敏感に察知してもいた。カールがパーシーを預かったある日、ラムジーの酷評記事を広めた“ツイッター”のことをパーシーから教えてもらったカールは、見よう見まねで自分もツイッターにアカウントを作る。それが世界中の人間の目に触れることなど露知らず、カールはラムジーのアカウントにダーティーワード入りで新たな挑戦状を叩き送ってしまう。カールは今度こそ万全の体勢で新作メニューを編み出し、ラムジーに一泡吹かせてやるつもりだったのだ。

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カール本人は、ラムジーにプライベートに送ったと思い込んでいたツイートが、ツイッターなどのSNSではおなじみの現象―公開バトル→アカウント炎上―を引き起こし、カールのアカウントにも大勢の野次馬フォロワーがまとわりついて大騒ぎになる。結局、カールがラムジーにけしかけたリターンマッチも、SNSでの騒ぎによって店の名前に傷がつくことを恐れたリーヴァによって禁止され、逆上したカールは売り言葉に買い言葉で店を辞めてしまう。その後来店したラムジーには、急遽二番手シェフが調理したいつもの定番コースがサーブされ、カールが店を辞めた事情を知らないラムジーがいっそう酷い嘲りの言葉をツイートに載せて拡散した。カールは頭から湯気を吹きあげながら店に乱入し、満席の客の前でラムジーに食って掛かる。悪いことは重なるもので、その様子は全て客の一人によってケータイで録画され、すぐに動画SNSに投稿された。SNSの罠にまんまと引っかかってしまったカールは、瞬時にアメリカ中に拡散した動画によって笑いものにされ、他の店でシェフとして雇われるチャンスも失ってしまう。

何も知らずにSNSに手を出したことを後悔したが、もはや手遅れ。カールとしては、動画の騒ぎが収まって人々が次のネタに飛びつくのを待つしかなかった。イネスはカールの窮状をみかねて、ある提案をする。仕事で彼女とカール共通のふるさとであるマイアミに帰るので、カールも一緒に来てパーシーの面倒を見てやって欲しい。今更意地を張っても仕方ない。カールとイネスとパーシーはマイアミに飛んだ。
リトル・ハバナの老舗クラブ、ホイ・コモ・アイヤーで今も現役バリバリで歌うイネスの父は、娘と元義理の息子を老舗レストラン、ベルサイユに連れて行く。そこで供された、シンプルそのもののキューバサンドイッチの美味しさは、目から鱗が落ちる程の衝撃をカールに与え、同時に啓示も与える。カールは、イネスが以前から彼にせっついていたフードトラックの仕事を本気で試す気になった。雇われシェフとしてオーナーとケンカするのはもうこりごりだし、意地の悪い評論家とケンカするのはもっと嫌だ。それに、移動販売なら、新たに店を構える苦労も必要ない。キューバサンドを中心に、伝統的キューバ料理をカール流にアレンジしたサイドメニューも加えて販売するのだ。元亭主としてのプライドはうずいたが、イネスの前の前のご亭主マーティンが無料提供してくれた中古のフードトラックをありがたく受け取り、カールはパーシーの助けを借りつつそのオンボロトラックを改造する。

マーティンからカールのケータイに電話があった。カールの古巣のレストランで二番手シェフに昇格したという。マーティンはカールの現状を心から心配していたが、カールは既に新しく開けた道を邁進していた。“キューバサンド”と聞いて、マーティンもふるさとマイアミを懐かしく思い出したようだ。
総料理長として大勢の人間に指示を出していた時同様に、パーシーに次々仕事を言いつけるカール。夏休みの工作気分でいたパーシーは、父親の仕事の一部が想像以上の重労働であったことを知ってぶち切れる。カールは、まだ子供であるパーシーとどう接すればよいか分かっていなかった。お詫びのしるしに、息子に料理人用の本物の調理ナイフをプレゼントし、一人前のシェフ(見習い)として扱うことを宣言した。

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新品の調理台をトラックに乗せようとするも、重過ぎてカールとパーシーだけではにっちもさっちもいかない。マーティンの従業員たちには英語が通じず、誰も仕事を手伝ってくれない。途方に暮れていた父子に、天からの助けが駆けつける。なんと、二番手シェフに昇格したばかりの古巣をあっさり捨て、給料がもらえるかどうかも分からないカールの下で働くと勝手に決めたマーティンだった!マーティンはスペイン語で手早く従業員達を動かした。試作品としてフードトラック“EL JEFE (ボス)”号で最初に調理されたキューバサンドを彼らにふるまう。マーティンが自慢の腕で仕込んだローストポークの味は絶品で、パーシーもつまみ食いする程。本物のローストポークとグリュイエルチーズをパンに挟み、パンの両面がきつね色になるまで焼いて、仕上げにバターを一塗りでキューバサンドの出来上がり。できたて熱々のキューバサンドはきっと他の客たちも笑顔にするだろう。パーシーはママの許可を得て、カールとマーティンと共にEL JEFE号に乗り込み、マイアミからロサンゼルスまで最高のキューバサンドを売る旅に同行した。

パーシーは【シェフ・キャスパー復活!最高のキューバサンドを召し上がれ!】とツイートし、EL JEFE号のマイアミのリゾート地区での第1回キューバサンド販売をサポート。マイアミの太陽の下で出来たてのキューバサンドを頬張る幸せは格別で、EL JEFE号の前にはたちまち客の行列ができる。カールが“例の動画”のシェフだと気付いたおまわりさんに邪魔はされたが、そのおまわりさんのセルフィー付きツイートも良い宣伝となって、EL JEFE号の評判は益々広まっていった。

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夏休み中のパーシーのためにディズニーランドに寄ろうとしたカールだったが、パーシーは、かつてカールと約束した、カールのふるさとニューオーリンズ行きを頑固に主張。EL JEFE号はアメリカの中でも独特の食文化を誇るルイジアナ州に到着した。父子はマーティンに雑用を頼み、ニューオーリンズでしか食べられない名物料理の一つ、ベニエ探索に出かける。1862年に開店した老舗中の老舗カフェ、カフェ・デュ・モンドでは、粉砂糖がたっぷりかかった、ふんわり柔らかな揚げたてドーナツ、ベニエが食べられる。父子は、フランス領時代の名残をあちこちに残すニューオーリンズの通りを歩きながら、顔中真っ白にしてベニエを頬張る。ベニエは晴れてEL JEFE号の新メニューに昇格した。幸せな気分で戻ってきた父子は、珍しくパニクっているマーティンに怒られてしまう。なぜなら、EL JEFE号の前には、既に数十メートル先まで伸びた客の行列が出来ており、EL JEFE号の開店を今か今かと待っていたのだ。実はパーシーが、こっそり撮った旅の写真と共にトラックの停車場所をツイートしていたのだ。パーシーはVineで動画も撮り溜めているという。改めてSNSの威力に驚くカールたち。キューバサンドはニューオーリンズでも大好評を博したのであった。

オースティンでの目的は、かのオバマ大統領も来店したというテキサス・バーベキューの名店フランクリン・バーベキューである。看板メニューであるブリスケット(牛肩バラ肉を一晩かけてスモークしたもの)が狙いだが、店内では既に売り切れていたそれを、カールは馴染みの店主に頼んでバックヤードで売ってもらう。表面は炭のように焦げているブリスケットだが、一切れ口に入れるや、バラ肉の脂っ気が程よく抜けたスモーキーな味わいが口いっぱいに広がり、言葉を失う。カールたちはEL JEFE号キューバサンドの特別新メニューに、ブリスケットを登場させた。
オースティンはルーツ・ミュージックのメッカでもある。地元出身のブルース・ロックの新星ゲイリー・クラーク・ジュニア(本人)が出演しているライブ会場前で開店したEl JEFE号も、彼の艶やかな歌声が終わらないうちに全ての商品が完売。カールとパーシーは彼の歌をバックに記念にセルフィーを撮る。この旅は、カールにとって人生の転機となったものだった。料理人としての喜びも、息子との絆も取り戻したのだから。それはパーシーにとっても同じだろう。だがロスに帰れば現実が待っている。パーシーは、大きな家と安定した生活が保障されたイネスの元に帰るべきだ。学校にも通わねばならないし。夏休みの楽しかった夢もそろそろ終わる。父子は言葉少なにゲイリーの歌に耳を傾けた。

ロサンゼルス。独りぼっちのアパートに帰ったカールは、パーシーがVineで撮ったとんでもなく楽しかった旅の思い出の映像を観て、居ても立ってもいられなくなる。これまでただの一度も、家族を仕事以上に大切に感じたことなどなかったのに、今はひたすら息子が恋しい。カールは迷うことなくパーシーのケータイに電話をかけていた。…

……そして、カールが選んだ新しい道は、その先にさらなる予想外の結末を用意していたのである。

―・―・―・―・―・―・―・―・―ストーリー終了―・―・―・―・―・―・―・―・―


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「アイアンマン Iron Man」シリーズでは、わたしゃ何度でもしつこく言いますが、断然第1作目がベストofベストだと信じています。これだけは絶対に譲れません。中でも、マーク初号機、マークT制作シーンが死ぬほど好きです。今も時々見返します。基本的に、知恵と工夫を凝らして、そこにあるもので新しいものを創造する人たちの話が大好きなので、社長がジャーヴィスと一緒に何かを作っているシーンより、マークT制作シーンの方が胸が熱くなりますね。それに、マークTにはインセンさんの魂が込められているんですよっ!涙なくしてこのエピを見ることができますか、あーた?!わたしゃできまへんよ(滂沱)。

ジョン・ファブロー監督は、「アイアンマン」シリーズでも“ハッピー”というまるで御自身そのもののような人の良い役でちょこっと顔を出しておられましたが、今回、久々にマーベル帝国を離れて里帰りしたインディペンデント映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef」では、出世作「スウィンガーズ Swingers」の頃のように、脚本を書くわ主演もするわの、何足もの草鞋を履いての大活躍となりました。マーベル帝国では、結局どのシリーズを手がけようとも、「アベンジャーズ Avengers」シリーズにきちんと繋がるよう、ストーリーの流れも登場キャラクターも撮影場所に至るまで、細かく細かく細かく細かく指示されるプレッシャーに耐えねばならんかったのでしょうね。今作では徹頭徹尾、自分がやりたいこと、言いたいことを出来る限り忠実に再現することに拘っていることがよく分かりました。

でも、ファブロー監督のすごいところは、一から十まで“ファブロー色”に染め上げた今作でも、決してオレ様映画になっていないこと。登場するキャラクターの描き分けも非常にバランスがとれているし、共感できないキャラが皆無なんですよね。カールがクビになるレストラン・オーナーのリーヴァだけは、権威主義的といいましょうか、いわゆる伝統的な憎まれ役の役回りに見えますが、ビジネスという観点からすれば彼の主張には一理あり、逆に妥協しないカールの方に大人気なさが目立つともいえます。このように、どんな小さなキャラクターにも、観ている人が納得できる部分、光る部分が必ずあり、しかも充分にリアルな存在であるというわけですね。そういえば「アイアンマン」シリーズや彼の他の監督作品でも、登場するキャラクターは良い面と悪い面の両方を備えていましたし、それが観客にもよく伝わっておりました。ファブロー監督の現場では、俳優達にはアドリブの自由が与えられているそうで、そんな撮影現場の生き生きとした雰囲気も、キャラクターのリアリティ向上に大いに貢献しているのでしょう。

このロードムービーの中心は、カールとパーシーのギクシャクした父子関係。仕事最優先で生きてきた中年男が、人生の転機ではじめて家族の絆の大切さを理解し、またその家族の力が、彼のその後の人生の後押しをするという流れは、まあよくあるお話ではあります。でもそこに、カールがパーシーのためにこしらえるクロックムッシュや、手作りハッシュドポテト(手作りだぜ!)のジュージュー焼ける(sizzle)おいしそうな映像が挟まると、まるで素晴らしいグリュイエルチーズを相棒に得たキューバサンドイッチのように、観客も幸せになれるような素敵なストーリーになるのです。
そこへ、黄金のハートを持つ絶世のセクシー美女イネスや、頼もしく、また友情に篤いマーティンなどの“絶品ソース”が加わり、大喧嘩したはずの辛口料理評論家という一ひねりした“隠し味”も仕込まれ、今作は最後の最後に究極のキューバサンドイッチを完成させます。その大団円はぜひ劇場でご堪能あれ。おいしい料理、それを食べる喜び、そんな人生の楽しみを家族や仲間と分かち合う幸福、料理と人生のドラマが一体化し、ふんだんに用意された最高にクールな音楽を助っ人に、人生の素晴らしさをおいしい料理が物語るような映画。それがこの「シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef」なのでしょうね。

食べる楽しみは、生きる楽しみと同義である。― by 豆酢館長

これに尽きますわいな。

さて、役者陣の演技のアンサンブルが楽しめる今作では、カールを演じるファブロー自身はもちろん、イマドキの子供らしく大人びていながら、両親の離婚で密かに心を痛めている繊細な少年パーシーに扮して大変印象的だったエムジェイ・アンソニー、そして“主人公の一の子分”を演らせたら世界一だと私が勝手に太鼓判を押しているジョン・レグイザモの不滅のキュートさまで(笑)、皆さん本当にリアルでしたねえ。特にレグイザモ!私が一番好きなレグイザモ十八番キャラクターを伸び伸びと、演技してないんじゃないかと思うほど(笑)ナチュラルに演じていて、めっさめっさ可愛かったです。最近あんまりこういうレグイザモを見ていなかった気がするので余計にね。ファブロー監督より実年齢が上だなんて到底信じられないレグイザモのキュートネスが、既に世界遺産レベルに到達していたことが確認できて感無量。ファブロー監督には心から感謝しなくては。

シェフ時代のカールが自宅や厨房で試作を重ねる、瑞々しい新作料理に始まり、市場で仕入れにいそしむカールとパーシーが屋台で頬張るサンドイッチ、パーシーのリクエストで買ったポップコーン、狭いフードトラックの中で見事な手際で完成していくホカホカのキューバサンド、カールが息子に伝えたかったニューオーリンズのベニエの優しい甘さ、カールたちのつまみ食いが止まらないテキサスの名物料理ブリスケット、一仕事終えた後のビール。全編これ“食”のオンパレードといった趣きの、おいしそうな匂いが絶えずスクリーンから届けられる今作には、アメリカの伝統料理の良さを見直そうという意味も込められていると思います。ニューオーリンズのベニエもテキサスのブリスケットも、“本物を撮る”ことに拘ったファブロー監督が、実際に現地にトラックで乗りつけて撮影した甲斐あって、まるでドキュメンタリー映画のようにリアル。
また、カールたちが調理するシーンを、料理人が実際に調理するのとほぼ同じスピードとリズムで手際よく導入することで、ベルトコンベヤーに乗って回ってくるような食べ物ではなく、正真正銘人の手で作られた料理の重要性も強調されていたように感じました。私自身が“アメリカの料理”に対して持っていた偏見を、この作品は心地良く覆してくれましたよ。これは意外な発見でしたねえ。

そして今作のもう一つのテーマは、いまや映画界のみならず、政治、経済をも支配するパワーを持つようになったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の功罪についてです。この厄介なSNSについても分かりやすい言及がなされていて、最後にはファブロー監督なりのSNSへの意見がきちんと提示されています。そのオチのつけ方も監督らしくていいなあと感じましたよ。彼の人柄が表れていますよね。

実は、映画の中でこのSNSそのものを取り上げ、ストーリーの行く末を左右する重要な要素に利用している作品が、最近頻繁にみられます。マイケル・ファスベンダーが、フランク・サイドボトムのあの有名な張りぼての頭を被って演技した「フランク Frank」でも、フランクたちを予想外の悲劇的運命に放り込んでしまうのは、SNSなどインターネットの存在でした。「フランク Frank」では主にSNSのネガティヴな側面―SNSでは、誰にでも有名になるチャンスが与えられると同時に、本物の才能もただの凡才も一緒くたに捉えられる面もある―が強調されていました。主人公は、SNSで知名度が上がっていく度に、類稀なフランクの才能を自分のモノだと錯覚してしまうわけですね。ネット上ではこういう事態はよくあることで、どんなに注意深く振舞っていても、“有名”=“特別”だと信じ込んで道を踏み外してしまう危険が、あちこちに潜んでいます。特に、ツイッターやらフェイスブックやら何やらかにやらにハマっている、一般ピープルたる私達の側にね(笑)。
凡人ワールドと才人ワールドを隔てる境界線を曖昧にし、本物の才人との距離感をなくしてしまうのが、SNSの最も大きな害悪でしょう。SNSでは、嘘も真実も、本物も偽物も、善も悪も、美も醜も、なにもかも分け隔てなく一緒くたです。私達は毎日、あちこちにぶちまけられたゴミの山の中から、下に埋もれてしまった本物の宝を探し出さねばならんのですよ。こりゃもう、ほとんど不可能だといわざるを得ませんでしょ?

そんなわけで、自由闊達な才能に恵まれたシェフ、カール・キャスパーの場合はどうだったか。彼は慣れないツイッターで大失態をやらかし、職まで失ってしまう災難に見舞われます。どのレストランも雇ってくれない事態の中で、カールはイネスの広報担当にこう諭されました。

『ネットでいったん起こった嵐は、過ぎ去っていくのをおとなしく待つしか収める方法はない。訴訟だのなんだのと騒いだら、炎上がさらに酷くなるだけ。幸い、今の時代は膨大な量の情報が毎日流れているので、大衆はすぐ別の騒ぎに気をとられ、カールのこともじきに忘れてしまう』

これ以上に、現在の情報過多社会の現実を簡潔、的確に説明し、なおかつ皮肉っている表現はないと思いますよ。まさにこの通りのことが今の社会で起こっていますから。真偽のほどなんて、実は全く関係ない。面白そうな情報が流れてきたら、皆、何も考えずにすぐに飛びつくだけ。そして、自分の軽はずみな行動がどのような結果を引き起こすかなんて、誰も全然気にしないのです。何かまずい事態になったら、“だって他の人も大勢同じことをやってたじゃん”と嘯けばチョン。それでは、やってることはレミングの群れと同じです。

この映画の最後で、相手の存在すら分からないネット上での言葉だけのやり取りに右往左往するのではなく、本気で誰かと意思を通じ合いたいなら、その相手と一対一で面と向かい合うべきだと言われているような気がしてなりませんでした。もちろん本編では、SNSの良い面―大規模な宣伝ができない小さなビジネスを広く知らしめるためのツール―もきちんと描かれているのでご安心を(笑)。ツイッターも、今作のパーシーのように上手く利用すれば、非常に心強い武器になります。特に、自分の力で何か新しいことを成し遂げようとしている人たちにとっては。



「シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef」を観終わったわたくしめ、こんな分かりやすい状態になっておりました(笑)。

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映画を観終わったら腹が減るだろうなあと思い、事前にパンを1個食べていたのですが、到底そんなもんじゃ足りませんでした(笑)。

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映画終了後、わたくしの頭の中には【肉】【チーズ】【サンドイッチ】の3語しか残っておらず、映画館近所の喫茶店に直行して肉を頼んだのですが、当然、レジのお姉ちゃんには通じませんでしたわいな(笑)。

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小食な日本人用のオサレなカッフェーでは、これが限界。いや、おいしくいただきましたけどね。


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