House of M

アクセスカウンタ

更新情報

zoom RSS 全米映画批評家協会賞 National Society of Film Critics Awards

<<   作成日時 : 2015/01/08 11:49   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

1月3日、日本中が正月気分で浮かれ騒いでいた頃。第49回目を数える全米映画批評家協会賞National Society of Film Critics Awardsの受賞結果が発表されました。トピックとしてはとっくに古いニュースになっていますが、実にファンキーな(笑)ラインナップで面白いことになっているので、取り上げてみようと思います。



第49回全米批評家協会賞 National Society of Film Critics Awards



画像

・Best Film 作品賞
「さらば、愛の言葉よ Adieu Au Langage 3D」
ジャン=リュック・ゴダール監督 Jean-Luc Godard

(次点:「6才のボクが、大人になったら。 Boyhood」)



・Best Director 監督賞
リチャード・リンクレイター監督 Richard Linklater 「6才のボクが、大人になったら。 Boyhood」

(次点:ジャン=リュック・ゴダール監督 Jean-Luc Godard)



・Best Non-Fiction Picture ドキュメンタリー映画賞
『Citizenfour』 ローラ・ポイトラス監督 Laura Poitras



画像

・ Best Screenplay 脚本賞
ウェス・アンダーソン監督 Wes Anderson 「グランド・ブダペスト・ホテル Grand Budapest Hotel」(2013年)

(次点:ポール・トーマス・アンダーソン監督 Paul Thomas Anderson 「LAヴァイス Inherent Vice」



画像

・Best Cinematography 撮影賞
ディック・ポープ Dick Pope 「ターナー、光に愛を求めて Mr. Turner」

(次点:ダリウス・コンジ Darius Khondji 「エヴァの告白 The Immigrant」(2013年)



画像

・Best Actor 主演男優賞
ティモシー・スポール Timothy Spall 「ターナー、光に愛を求めて Mr. Turner」

(次点:トム・ハーディ Tom Hardy 『Locke』)



画像

・Best Actress 主演女優賞
マリオン・コティヤール Marion Cotillard 「エヴァの告白 The Immigrant」(2013年)と「サンドラの週末 Deux Jours, Une Nuit」(2014年)

(次点:ジュリアン・ムーア 「アリスのままで Still Alice」)



画像

・Best Supporting Actor 助演男優賞
J.K. シモンズ J.K. Simmons 「ウィップラッシュ Whiplash」

(次点:マーク・ラファロ Mark Ruffalo 「フォックスキャッチャー Foxcatcher」



画像

・Best Supporting Actress 助演女優賞
パトリシア・アークエット Patricia Arquette 「6才のボクが、大人になったら。 Boyhood」

(次点:アガタ・クレシャ Agata Kulesza 「イーダ Ida」


……………………………………………………

“第49回全米映画批評家協会賞の最優秀作品賞は、フランスの巨匠ジャン・リュック=ゴダール監督の初3D映画、「さらば、愛の言葉よ Adieu Au Langage 3D」でした!!!!”


………どんがらがっしゃーん!! (椅子から転げ落ちた音)………

画像



画像

「な、何で?!?!?!」


全米映画批評家協会は、ヌーヴェル・ヴァーグ最後の生き証人にして、生ける伝説、生ける映画史、寧ろそのまま博物館に収まっていても構わない程の巨匠ゴダール監督が、いつお迎えが来てもおかしくない年齢で(失礼な・笑)、自身初の3D映画に挑戦し、なおかつ、ハリウッド映画が考える“3D映画の規範”を軽く飛び越えた予想外のストーリーを開拓した偉業に対し、最大限の敬意を表しました。嘘だと思う方は、協会の公式サイトに飛んでみてください。今回の驚きの選出に対し、協会宛てにゴダール監督手ずから感謝のメッセージが寄せられたことが報告されています。

他のどの映画賞も選出していなかったゴダール監督の“新作”は、3D技術を単なる“映像技術の革新を推し進める起爆剤”だと考えているハリウッドの目から鱗を落とさせることになったようです。3Dを従来の映画における映像技術の一つに留めておくのではなく、3Dの特徴を用いて新しいストーリー、新しい語り口を編み出してはどうか。ゴダール監督の3D映画は、3D映画の新たな進化の道筋と可能性を示した作品として、今後の映画史の上で重要になるかもしれません。

結局、全米映画批評家協会では、このゴダール映画が3D映画界に起こした21世紀のヌーヴェル・ヴァーグ作品と、原点(お家)に帰ることを目指しつつ、“映画の世界と現実の世界を実際にリンクさせよう”という意味での21世紀ハリウッド版ヌーヴェル・ヴァーグ(あるいは21世紀版アメリカン・ニューシネマ)作品「6才のボクが、大人になるまで。 Boyhood」に映画界の未来を見たということになりましょうかね。非常に面白く、また暗喩に富んだ結果だと思っています。


ドキュメンタリー映画部門では、オスカーもおそらくローラ・ポイトラス監督 Laura Poitrasの『Citizenfour』を無視するわけにいかなくなったのでは?次点に巨匠フレデリック・ワイズマン監督の(オスカーにとっては無難な内容であろう)「ナショナル・ギャラリー National Gallery」の名前も見えたりしますが、今まさに現実社会で問題となっている出来事を世に問うた今作に、衝撃度、リスクの高さ、内容の真摯さといった点で叶うものはないようです。当館内『Citizenfour』記事1記事2

今回、最優秀撮影賞を与えられたディック・ポープ Dick Popeは、受賞作「ターナー、光に愛を求めて Mr. Turner」の監督でもあるマイク・リー Mike Leigh監督とのコラボレーションで知られる撮影監督です。今回、“光”の輝きを自らの絵画の中に呼び込むことに終生拘り続けた画家のお話だということで、ポープ独特の光と影の色濃い対比が特徴的なカメラは、スクリーンに一際美しく映えたことでしょう。
作品がコンペ部門に出品されたカンヌ国際映画祭では、主演のティモシー・スポール共々受賞する(ヴァルカン賞)という快挙を成し遂げました。そして、我が豆酢館が密かに愛して止まないど根性サルサ・ダンス映画「カムバック! Cuban Fury」の撮影監督でもありましてな(笑)。そりゃもう、なんだか身内が受賞したような嬉しさ(関係ないけど・笑)ですわ。

18世紀末から19世紀にかけてイギリスでロマン主義の画家として活動した、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー Joseph Mallord William Turner(1775年4月23日生まれ1851年12月19日死没)の半生を描いた「ターナー、光に愛を求めて Mr. Turner」。この作品でタイトルロールを演じ、カンヌで男優賞を受賞して喜びを爆発させていたのがめっちゃラブリーだったティモシー・スポール。なんというかとても愛嬌のある顔立ちで、ジャンルを問わずあらゆる作品で名バイプレイヤーとして重宝されてきたタイプの役者さんです。

画像

しかーし!
このおっさんの時代がついに来たやもしれません!!
世界はようやくこのおっさんに追いついたのかもしれません!!
“カンヌではこのおっさんが受賞する可能性が高い”と予言した私も鼻高々です(←関係ない)!!

マイク・リー監督の諸作品にレギュラー出演し続け、滋味深くもバラエティに富んだキャラクターを難なく演じ分けたかと思えば、傑作ディズニー映画「魔法にかけられて」ではアニメからそのまんま出てきたかのようなキャラ(ナサニエル)を演じ、一部で人気者に。そして、逆におっさん自身がディズニー・アニメ・キャラクターのモデルになっちゃったという、これ本人にしてみたら嬉しいのかどうか微妙な方面にブレイク。そして今、おっさんは“ホーム”であるマイク・リー監督の作品に堂々主演を果たし、堂々“主演役者”として映画賞レースを驀進中なのでありますなあ。
素晴らしいよ。
おっさんでしか出せない味わいで、おっさんならではの輝きが正当に評価される時代になって欲しい。ケツの青いガキどもには逆立ちしても太刀打ちできない個性を、このおっさんが確立してくれることを願って止みません。…次はエディ・マーサンおぢさんをブレイクさせる番でありますよ。

もう一つ、個人的に嬉しかったのは、ティモシーおっさんの次点(得票数はかなり離されていますが)に、1人芝居『Locke』で評価されているトム・ハーディが食い込んでいたこと!これは大きい。トムハにとって大きな意味のある評価ではないでしょうかね。既に第40回LA映画批評家協会賞、第18回トロント映画批評家協会賞でも主演男優賞を受賞しています。当館内『Locke』ご紹介はここで。『Locke』でも、故ジェームズ・ガンドルフィーニ最期の出演作となった『The Drop』 (2014年)でも移民の青年を演じているトムハ。これまでは彼の“マッチョ・メ〜ン、ムキムキ〜”なイメージが先行しがちだったのですが、そうしたワイルドな外面の奥に繊細で臆病で今にも壊れそうなナイーブさを抱えている、そんな落差を演技の中で表現するチャンスに恵まれています。日本でも、トムハ主演の“移民ドラマもの”2本『Locke』と『The Drop』は早く劇場公開するべきだと思いますよ。特に、マティアス・スーナールツ、ガンドルフィーニ、ノオミ・ラパス共演の『The Drop』の方は、既に本編を観た人たちから“めっちゃ良かった、皆の演技すげえ”という大合唱を聞いておりましてね。わたくしめ、早く日本でも公開しないかなー、まだ日本では観られないのかなー、なんでだろうなー、良いドラマだと評判が高いのになーと、どす黒オーラを吐きつつ祈っておりますで(笑)。

マリオン姐御がまたしても主演女優賞を掻っ攫っていったジェームズ・グレイ監督の「エヴァの告白 The Immigrant」についてはこちらご紹介しています。この作品と、今年各地の映画祭に出品されたダルデンヌ兄弟の「サンドラの週末 Deux Jours, Une Nuit」の対照的なイメージを見ていると、この2本で見られるマリオン姐御の存在感は、最盛期のヴィヴィアン・リーに肉薄する勢いが感じられます。オスカーを獲得した伝記映画「エディット・ピアフ〜愛の賛歌〜 La môme」よりずっとずっとマリオン自身の個性が前面に押し出され、1本芯の通った力強さが漲っていると思いますよ。

個人的には、やはりジュリアン・ムーア姐さんにオスカーを持っていって欲しいという気持ちがあるのでアレですけどさ。ただ、この2つの作品両方での演技を合わせた上での評価は、マリオンに軍配が上がると思うのですが、そこの所をオスカーの投票権を持つ組合員がどう判断するかは微妙ですね。今のところ、ジュリアン姐さんの演技の評価対象は「アリスのままで Still Alice」1本のみのようなので。カンヌでは「マップ・トゥ・ザ・スターズ Maps to the Stars」での演技で女優賞を獲得したジュリアン姐さんなので、ここは一つ、マリオン姐御みたく「アリスのままで Still Alice」と「マップ・トゥ・ザ・スターズ Maps to the Stars」併せ技でジュリアン姐さんを評価してあげましょうよ。

パトリシア・アークェットとリチャード・リンクレイター監督の傑作「6才のボクが、大人になったら。 Boyhood」の当館内ご紹介記事は、こちらこちらに。助演女優賞次点に、「イーダ Ida」のアガタ・クレシャが挙がっていて、わたしゃホンマに泣きそうです。くそ、「イーダ Ida」の記事を早く書かないとな!


にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 映画ブログ 映画備忘録へ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

にほんブログ村

全米映画批評家協会賞 National Society of Film Critics Awards House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる