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zoom RSS 摩天楼に星は積もりぬ―The 52nd NY Film Festival (NY映画祭)

<<   作成日時 : 2014/10/13 23:08   >>

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現地時間で10月12日に、長かった映画の祭典、第52回ニューヨーク映画祭も閉幕しました。クロージング上映作品に選ばれていたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の大注目の新作「Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance (バードマン、あるいは、知らぬが仏の予期せぬ善行)」…正式タイトルがあまりにも長すぎるため、便宜上短縮して「Birdman (バードマン)」と呼びます(怒)…の、監督及び主要キャストの御一行様によるプレス・カンファレンス、レッド・カーペット、プレミアも既に終了しております。

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(画像は、監督、主要キャストが顔を揃えた話題作「Birdman movie」御一行様。…アンドレア・ライズボローお嬢様の変顔が一際目立ってる…(笑))

盛況だったお祭りの余韻を惜しむかのように、評判の良かった作品の再上映も行われましたし、今年のNY映画祭はホントに全体的に活気付いていたように思います。

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(画像は、大盛況だった「Inherent Vice」プレス・カンファレンスからの一コマ)

今年は、これまた現在大注目作品となっているデヴィッド・フィンチャー監督の「Gone Girl (ゴーン・ガール)」(ギリアン・フリン著の同名サスペンス小説の映画化)のワールド・プレミアで華々しく幕を開け、ポール・トーマス・アンダーソン監督の、こちらも負けずに注目を浴びている新作「Inherent Vice」のプレミアが大々的に行われ、ついでにアンダーソン監督によるマスタークラスも別立てで企画され、チケットが即売切れ状態になっていました。今年のNY映画祭はさしずめ、“ポール・トーマス・アンダーソン監督の新作だわっしょい祭り”(笑)のような様相を呈していたように感じます。

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(画像は「Inherent Vice」のポール・トーマス・アンダーソン監督)

毎年のことなんですが、NY映画祭はオスカーの狂騒からは距離を置いたスタンスで運営され、招待作品のラインナップも個性的なら、独自の企画―今年のジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の回顧展のような―も実に個性的。映画祭主催側と映画ファンが一緒になって、面白い映画を探そうじゃないかという傾向が明確ですね。いい感じだよなあ(笑)。監督、脚本家、俳優も観客も、プレミア上映やレッド・カーペットの華やかさより、上映後のQ&Aの方を重視していて、熱のこもったやり取りが交わされます。

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(画像は、「Pasolini」のアベル・フェラーラ監督とウィレム・デフォー)
今回は、早くもいろいろな意味で物議を醸しているアベル・フェラーラ監督による伝説の映画作家ピエル・パオロ・パゾリーニの伝記映画「Pasolini (パゾリーニ)」において、映画の内容に納得できなかった観客から厳しい質問が飛ぶなど、質疑応答も緊迫したようです。実は嫌な予感はしていたのですが、この作品については、評論家の間でも意見が真っ二つに分かれている模様。私も本編を観るまでは何とも言い様のない、なかなかに厄介な作品となっちゃいましたね。主役のパゾリーニに扮したウィレム・デフォーの演技は、その見た目のそっくり振りも含め、一定の評価は得られたようですが。

ともあれ、映画祭全体の雰囲気や姿勢などは、トロントに比べれば規模は小さくなるものの、個人的にはどちらかというとニューヨークの方が好きです。今年は(も?・笑)チケットの販売について技術的なトラブルがあったようで、SNSを通じて映画祭公式アカウントに文句を言ってる観客がおられましてね(笑)、彼らのやり取りが妙に可笑しかったですわ。今年は、フィンチャー、アンダーソン、イニャリトゥという映画好きに人気の高い監督の新作が集まったせいか、チケットが売り切れるタイミングが早過ぎたのでしょうね。

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(画像は、エドワード・スノーデン氏のドキュメンタリー映画「CITIZENFOUR」から)

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(画像は、「CITIZENFOUR」プレス・カンファレンスの模様。スノーデン氏の実父の“真実は結局のところ最後には勝つのだ”というコメントが印象的)

そんなわけで、ざーっと今年のNY映画祭をまとめると、フィンチャー監督の「Gone Girl」、アンダーソン監督の「Inherent Vice」、イニャリトゥ監督の「Birdman」という、予め世界中から期待を寄せられていた作品群が一堂に会し、各作品のプレミアも随分盛り上がっていたなあというのがまず第一の印象。

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(画像は、観客からスタンディング・オベーションを贈られた「Whiplash」の主演JK・シモンズとマイルズ・テラー)
お次は、観客からスタンディング・オベーションで称えられたDamien Chazelle監督の「Whiplash」、今や時の人だと称してもいいエドワード・スノーデン氏に密着した驚きのドキュメンタリー映画「CITIZENFOUR」(Laura Poitras監督)等、フレッシュな才能が活躍した作品が予想外のヒットとして受けていたことが印象的です。

また、ウチの師匠の「マップス・トゥ・ザ・スターズ Maps to the Stars」(以下、MttSと略)お披露目と前後して、ずっと詳細が伏せられていたノア・バームバック監督の新作「While We're Young」が突然サプライズ上映され、旬の人気俳優となったアダム・ドライヴァーはじめ主要キャスト、監督がQ&Aにも参加する粋な計らいも。その場に居合わせた観客の喜びと驚きの悲鳴が(笑)SNSを通じて伝わってきていました。

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(画像は、サプライズ上映された「While We're Young」からノア・バームバック監督、アダム・ドライヴァー、ベン・スティーラー、ナオミ・ワッツ)

…その計らい自体はとても素敵ですし、それに文句を言う気はさらさらありません。ありませんが、…あんまり言いたかないんですけど、そのサプライズのお陰で、観客の関心がMttSから余計に逸れてしまった感も無きにしも非ずでして…。まあ、MttSはカンヌ、トロントと大きな映画祭に連続して出品されたので、NYでの師匠の作品への反応がおとなしくなったのは無理もないんですが…。…うーーむ。

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そのノア・バームバック監督の旧作「フランシス・ハ Frances Ha」がようやく日本でも公開され、好評をもって迎えられました。出世作「イカとクジラ」にあった独特の癖が薄まり、主役のフランシスをまるで地でいくリアルさで演じたグレタ・ガーウィグの愛さずにはいられない個性が、物語の進行に従って加速するような疾走感に乗って弾けておりましたね。バームバック監督、ひょっとしたらこの「フランシス・ハ」で一皮剥けて、NYでお披露目された新作「While We're Young」の仕上がり次第では、盟友ウェス・アンダーソン監督のように広く名前を認知されるフィルム・メーカーになるやも知れませんよ。

カンヌでもトロントでも、今現在人気を誇っている俳優さんたちがメガホンを持った作品が、複数招待されておりました。当館でも何度か触れたことがありますね。ここNYでは、イーサン・ホークがメガホンを取ったシーモア・バーンスタインのドキュメンタリー映画「SEYMOUR: AN INTRODUCTION」もお披露目されました。
大きな映画祭が終わり、映画賞レースも本格化してきた現在、映画祭に招待されたり映画賞にノミネートされたりする作品も、ある程度淘汰されて参りました。毎回何かの候補になる作品が、まあ大体定まってくるという頃合ですよね。
人気俳優が監督を務めた作品で、今年度開催された複数の映画祭に出品され、一定の評価を勝ち得てきたものがNYにも登場しました。一つは、監督としての顔もすっかりお馴染みになりつつある、フランスのマチュー・アマルリック監督の新作「La chambre bleue (The Blue Room)」。もう一つは、イタリアが生んだ鬼才(変態)ホラー監督ダリオ・アルジェントの娘、アーシア・アルジェント監督の「Incompresa (Misunderstood)」です。

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アマルリック監督は、前作「さすらいの女神たち (Tournée)」の評判も上々で日本でも劇場公開されました。商業用長編映画としては2作目にあたる今作は、ジョルジュ・シムノン原作の犯罪小説を映画化したもの。ホテルの一室で密会にふける男女という「ラスト・タンゴ・イン・パリ」を連想させる隠微な関係が、ただならぬ紆余曲折を経て、男の方が被告人として法廷に立たされるまでの驚愕の顛末をスリリングに描く内容だそうです。サンダンスの後援を得、アメリカでも限定公開されました。

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私が個人的に今後も応援したいと思っている、もう1人のフレッシュな逸材が、実はアーシア・アルジェント監督でございます。女優さんとしては既に随分長いキャリアを持っている彼女、初期こそお父さんの変態ホラー作品に出たりしていましたが、今やすっかり国際派女優でありますね。マイケル・ラドフォード監督の「B・モンキー」(1998年)でのベアトリス、ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット Marie Antoinette」(2006年)でのマダム・デュバリーや、トニー・ガトリフ監督の「トランシルヴァニア Transylvania」(2006年)のZingarina役など、個性的な役柄で強烈な印象を放つタイプ。年齢を経てからは妖艶さにも磨きがかかり、女優としての彼女も私はいたくお気に入りなのですよ。

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(画像はアーシア・アルジェント監督の「Incompresa (Misunderstood)」からの一コマ)

その彼女が、芸能一家に育った彼女自身の生い立ちを反映した、多分に自伝的な内容でもある作品を完成させました。若い頃から監督業にも果敢に挑戦し、商業用長編作品としては、オムニバスの「42 One Dream Rush」を含めて今回の「Incompresa (Misunderstood)」で4作目となります。第1作目の「Scarlet Diva」(2000年)も2作目の「The Heart Is Deceitful Above All Things」(2004年、友人のジェレミー・レナーが友情出演)も、若さゆえの暴走というか、表現したいことは溢れるようにあるのだろうけれども、技術的に荒削りな面の方が目立つ内容でした。しかし、それらの作品を経た今作は、肩の力が抜けた余裕のあるスタンスで、歌手である母親と俳優である父親の間に生まれた9歳の少女の孤独と成長の道筋を見つめ、少女の世界を愛情を持ってビビッドに描くことに成功したようです。アーシアは今回も脚本を共同で執筆し、クリエイターとして一段高い境地に上ったことをアピールしました。彼女が情熱を傾けて描こうとしている対象と、彼女自身の演出力がようやく共鳴するようになったか。とにかく飛びぬけたパワーを持つ映画作家として、下手に一般受けを狙ったりせずに破天荒な持ち味を生かした映画作りを続けて欲しいと願っています。


さてさて。我が師匠の「マップス・トゥ・ザ・スターズ Maps to the Stars」は、日本では異例の早さとも言える今年12月20日から劇場公開されることが決定しました。NY映画祭で確かに行ったはずのQ&Aの動画も画像も全く出てきやしない、この異例とも言える作品への冷遇の憂さ晴らしをすべく、今手元にある画像を貼って1人で騒いでやりますわ。ええ、MttSは9月27日(現地時間)に第52回NY映画祭で北米向けプレミアを行い、ジュリアン・ムーアとデヴィッド・クローネンバーグ監督、脚本家ブルース・ワグナー、作曲家ハワード・ショア、プロデューサーのマーティン・カッツらが参加してレッド・カーペットを歩き、カクテル・パーティーも行われました。面白そうな画像を拾ってきたのでご紹介しましょうね。

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デヴィッド・クローネンバーグ監督。

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脚本を担当したブルース・ワグナー氏。妙に存在感のある方で(笑)、わたしゃこの人の顔を見るたんびに、俳優マーク・ストロング氏を連想してしまいますわ。

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ツイッターで、ウチの師匠のことを“My Canadian boyfriend”とさりげなくお呼びあそばした、ジュリアン・ムーア姐御。できれば、師匠の「マップス・トゥ・ザ・スターズ」でオスカーにノミネートされて欲しいところですが。

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カンヌ国際映画祭で女優賞を獲得したジュリアンには、そのままの勢いでぜひオスカーも掻っ攫っていただきたい。

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NYに駆けつけてくれた音楽担当のハワード・ショア氏。

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今回NY映画祭に参加してくれた俳優はジュリアンだけでしたが、プロデューサーのマーティン・カッツはじめ裏方男の子チームが顔を揃えました。

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紅一点となったジュリアン姐御。

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さすがに大きな映画祭に3つも参加しただけに、師匠もお疲れ気味です。

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1人飄々とキャラを立てる男、脚本家ブルース・ワグナーと師匠、マーティン・カッツ氏。プレミア上映後のカクテル・レセプションにて。

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裏方男の子チーム、もう1人プロデューサーMichel Merkt氏が加わりました。こちらもカクテル・レセプションでの画像ですね。

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笑顔の師匠と、大人の女性の風格を漂わせつつ、嫣然と微笑むジュリアン姐御。……の隣で、妙に可笑しい存在感を放つ脚本家(笑)。

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ウチの師匠と、“カナダのボーイフレンド”とちゅーするジュリアンお姐様。…ううう、格好いい羨ましい…。師匠の作品に出演してくれて本当にありがとう。心から感謝いたします、姐御。


…てなわけで、師匠の新作「マップス・トゥ・ザ・スターズ Maps to the Stars」はなんと今年中に日本でも観ることができます。12月20日から劇場公開された折には、ぜひ映画館で観てやってくださいまし。よろしくお願いしますぜ。

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