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zoom RSS アラン・チューリングの伝記映画“The Imitation Game”公式トレーラー2種。追記。

<<   作成日時 : 2014/07/23 00:34   >>

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日本時間で昨日、ベネディクト・カンバーバッチ氏主演の伝記映画『The Imitation Game』のオフィシャル・ティーザー・トレーラーが公開されました。ベネディクト氏関連の情報については、うちなんぞより数万倍詳しくて、しかもスピードも速い映画サイトや映画ブログが他にございますので、正確な情報を早く知りたい方はそちらに飛んでくださいまし。うちは個人で細々と運営している非営利趣味炸裂映画ブログであり、わたくし豆酢が好き勝手なことを自由に書き殴るだけです。社会にも全く貢献しません。お間違えのないようお願い申し上げます。

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アラン・チューリングという不世出の数学者に関しては、まずは、今私達が当たり前のように使っている全てのコンピューターの祖“チューリング・マシン”を作り上げたこと、そして、第2次世界大戦中に解読不能とうたわれたドイツ軍のエニグマ暗号を解き明かしたことで、歴史に大きな足跡を残す人物であったことが思い浮かびます。

幼少時からパズルや計算を得意とする早熟の天才であり、数学と科学に突出した才能を見せるも、古典にはさっぱり関心がなかったためにパブリックスクールでは不遇であったそうです。専門分野には絶対の自信を持ち、朗らかで話好きな一面もあったが、一般教養や常識的なことがらにはあまり頓着せず、公共の交通機関を利用するのが嫌さに自分の足で走ることを日課としたり、マグカップを鎖に繋いでいたりと、日常生活においては度々変わり者の側面も見せていました。学生時代には親友に恋するも、彼が若くして病死したことで宗教全般に対して絶望するように。

戦時中はブレッチリー・パークの暗号解読センターでエニグマの解読に貢献し、戦後はマンチェスター大学で黎明期のコンピューターの開発に従事、チューリングマシンによってアルゴリズムと計算の概念を定式化したことで、世界中のあらゆるコンピューターの生みの親となった偉大な頭脳は、しかし、同性愛の罪で投獄され、英国社会から抹殺されたことで、早過ぎる停止を余儀なくされてしまいました…。享年42歳。その死は、自殺とも事故死とも、はたまた暗殺とも言われて諸説乱れ飛びますが、真実は本人のみぞ知る。

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チューリングの功績を再評価し、英国政府の彼への不名誉な制裁を批判する運動が起こり、当時の首相ゴードン・ブラウンが、故チューリングに対して正式に謝罪のコメントを発表するに至りました。2009年、今から約5年前のことです。そういった流れの先に、今回のベネディクト氏主演の伝記映画企画もあったのだと思います。映画『The Imitation Game』は英国ではスタジオカナルUKの配給で11月14日に公開予定、アメリカではワインスタイン・カンパニーの配給で11月21日公開予定。日本では、ギャガ株式会社の配給で12月中に公開予定だそうです。それでは、ワインスタイン・カンパニー(US版)とスタジオカナルUK(UK版)からリリースされた、それぞれ編集の異なる2種類のトレーラーを見てみましょう。


US版"The Imitation Game" - Official Trailer - The Weinstein Company

shared from The Weinstein Company


UK版"The Imitation Game" - Official UK Teaser Trailer

shared from STUDIOCANAL UK

映画公式サイト Official site: imitationgamemovie.com
ワインスタイン・カンパニーFacebook公式ページ: https://www.facebook.com/weinsteinco
ワインスタイン・カンパニーTwitter公式アカウント: https://twitter.com/weinsteinfilms
Facebook映画公式ページ: http://www.facebook.com/imitationgameUK
Twitter映画公式アカウント: https://twitter.com/ImitationGameUK


とても興味深いことに、アメリカの市場向けに編集されたワインスタイン版のトレーラーでは、爆撃、戦場などの描写や、戦時中の政治に翻弄された天才チューリングの悲劇性を強調しているように感じました。…スタジオカナル版と比べても一目瞭然のように(笑)、全体的に感情的で激しく動的なシーンを連続させ、言葉は悪いですが、明らかに映画賞狙いのお涙頂戴路線に傾いているようです(笑)。なんというか、分かりやすいというか、アメリカらしいというか(笑)。
ワインスタインがこの作品をどのように売り出そうとしているのか、少し気になるポイントもあったので書いておきます。キーラ・ナイトレイ演じる、ブレッチリー・パーク時代のチューリングの同僚ジョーン・クラークとチューリングとの関係を強調するかのような編集ですね。本編を観てみないことには、今作がチューリングの同性愛という側面をどの程度取り上げているか何とも言えませんが、デリケートな主題だからこそ、真正面からきちんと扱って欲しいという気持ちがあります。ジョーンとの関係も、通り一遍の描写に終わるのではなく、愛憎、複雑さも含めた部分を大事にしてくれればいいのですがね。

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一方スタジオカナル版では、いまや英国の産業の主軸を担っている映画界、演劇界から集められた優れた人材からなる配役陣に焦点を当てる狙いが明らか。ベネディクト氏、キーラを中心に、マーク・ストロング(大好き)、政府の古狸役が似合うようになったチャールズ・ダンス(「ゲーム・オブ・スローンズ」出演で再ブレイク中)、出番は少ないながら「シングルマン」での印象が強烈だったマシュー・グード、英国演劇界の実力者ロリー・キニア(でもまだ日本ではほとんど無名)などなど、各人をフィーチャーしておりますね。

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英国版トレーラーは、第2次世界大戦という背景の説明は必要最小限に、チューリングの内面の葛藤や苦悩を強調。英国の美しい風景も織り込んで、“英国のドラマ”であることを謳っているような印象でした。私自身は、メロドラマ性を押し出してこない英国版の方が好感が持てますが、皆さんはいかがでしょうか。

今年の第39回トロント国際映画祭 The 39th Toronto International Film Festival(2014年9月4日〜14日まで開催)の招待作品ラインナップの中に、ウチの師匠ことデヴィッド・クローネンバーグ監督の新作『Maps to the Stars』(『Maps to the Stars』は北米向けプレミアという形で上映予定♪レッドカーペットに素敵正装姿の師匠が華やかに登場するんですね、そうですね)と共に、この『The Imitation Game』も入っておりました。ただ、『The Imitation Game』の方は“カナダ国内向けのプレミア”上映になるそうなので、単純に規模だけの話をすれば、こじんまりとしたものになるかもしれません。今作はその前に、テルライド映画祭の方にも出品されるので、時期的にはテルライドの方が先行します。おそらくテルライド映画祭でのお披露目の方が重要視され、大きな規模になる可能性が高いのではないでしょうかね。蓋を開けてみないと分かりませんが。
まあ、昨今の北米の映画業界人の中には、テルライド映画祭での反響こそ、その後の賞レースでの勝負の行方を左右する指標になると考える向きが増えていると思われます。以前もどこかに書きましたが、テルライド→トロントの流れで作品を賞レースに出す流れは、今後いっそう強まっていくでしょう。

そして『The Imitation Game』は、第58回BFIロンドン映画祭でもオープニング上映されることが決まっており、主演のベネディクト氏とキーラの来場がアナウンスもされています。いやはや、今年もまた、世界各国の映画祭、映画賞から目が離せない(=寝る間も惜しんで作品の評価の行方を追わねばならない苦行)状態に、当館は陥る予定でございますよ。


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今年のトロント国際映画祭招待作品発表の際、ラインナップの内容について、各国のプレスからやや不満気味な質問が相次ぎました。特に地元カナダのプレスは、“ラインナップの中にカナダ人のクリエイターによるカナダ作品が少ない”という不満を持っているように感じました。うぬぬぬ、これは難しいところだなあ。

今年は、アーティスティック・ディレクターのキャメロン・ベイリー氏が中国まで飛び、現在のアジアのエンタメ界の中心になっている中国、韓国の映画事情を実地に調査、TIFFに招待する作品を吟味されていました。おそらく、中国、韓国、そしてインドという映画産業が盛んな国で作られた作品については、9月までに特別な企画を別枠で正式に立ててくるのではないかなあと私は考えています。

一方、カナダ国内のエンタメ界については、グザヴィエ・ドランやドゥニ・ヴィルヌーヴといった新鋭、中堅のクリエイターは登場しているものの、いまだ大御所のクローネンバーグ監督やアトム・エゴヤン監督が第一線でがんばっているという現状。TIFF自身も確かに、新しい世代のクリエイターを育てる以上に、世界的に著名な大御所の新作に頼っている状態なのかなあとは感じますので、そのジレンマを憂えている人も、カナダ国内にはいらっしゃるでしょう。

ただまあ、世代交代というのは、ゆっくりと進んでいくのが理想なんですよね。どんな組織でもあてはまることですが。新興勢力とベテラン勢が拮抗しているぐらいがちょうど良いのかなあと漠然と考えています。


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