House of M

アクセスカウンタ

更新情報

zoom RSS 伝記映画の難しさ…「Mandela: Long Walk to Freedom」

<<   作成日時 : 2013/09/10 00:06   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

いつ頃からですかね。実在の人物…特に壮絶でドラマチックな人生を送った人物…を、まるで本物のように熱演すればアカデミー賞がとれるっていうジンクスができたのは。…本日は、サッカー日本代表チームが非常に良い内容で試合に勝ったんですが、わたくしの虫の居所が大変悪いので、毒を吐きつつの記事になります。ごめんなさいね。

現在、昼も夜も映画漬けで馬鹿騒ぎ中のトロント。次から次へと著名な映画人が訪れ、映画好きやスターの追っかけやらが右往左往する中、9月8日に、「ブーリン家の姉妹」(2008年)で知られるジャスティン・チャドウィック監督、イドリス・エルバ主演の「Mandela: Long Walk to Freedom」がプレミア上映されました。そう、実在も実在、今もまだ健在で政治家として奮闘中の南アの指導者ネルソン・マンデラの伝記映画が、とうとうできてしまったのです。

画像

Mandela: Long Walk to Freedom (2013) Official Trailer (HD)


いろいろな悪名も聞かれますが、毎年アカデミー賞には堂々割り込んでくるワインスタイン・カンパニー社製の伝記映画です。世界中の人々が知っているといっても過言ではない、そして、世界中の人々からリスペクトされているといっても過言ではない、英雄中の英雄マンデラ氏を演じたのは、今年の夏、日本の一部の観客を燃えあがらせた映画「パシフィック・リム」のペントコスト司令官役で、日本のごく一部の界隈で局地的にブレイクしたイドリス・エルバ。これは、私にとっては驚きのキャスティングだったのですが、メガホンを取ったチャドウィック監督が英国出身だと聞いて納得しました。イドリスも英国出身で、テレビ「The Wire/ザ・ワイヤー」のストリンガー役で人気を得て、「ロックンローラ」や「マイティ・ソー」「プロメテウス」など大小様々の映画に出演してきた苦労人の俳優さんです。…そういえばマンデラ氏も、南アフリカのあきれるほどの人種差別を撤廃すべく戦い、何年も何年も牢獄に放り込まれて苦労に苦労を重ね、辛抱の上に辛抱を重ねてやっと南アに民主主義をもたらした方でした。

画像

トロントで映画が上映された後、世界中の有名映画サイトからレビューが出まして、ざーっと目を通してみたのですが、うーん、全体的にプロの映画評論家の評価は低調でしたねえ。ただ、トロントで映画を観たであろう一般の人たちからの評価が点数で表れる、IMDbの星の数は8点台(10点中)と、そんなに悪くない反応なんですよね。この温度差は一体何なのか。

トロント国際映画祭で話題になっている作品を見渡すと、伝記映画、事実に基づいた映画が相変わらず盛んに製作されているようです。しかし、特に今現在も健在な人物を取り上げた伝記映画の難しさって、実は格別じゃないかと思うんですよ。なぜなら、映画が描いている人物の人生は、いまだ現在進行形のものであり、これからどうなるか分からないからですね。否が応でも映画は、その人物の人生、世界観を散々語り終えた後、最後に尚大きなクエスチョンマークを遺して宙ぶらりんなまま終わらざるを得ない。つまり、映画にエンドマークが出た瞬間、私達観客は、今現在私達自身の身の上に大きくのしかかってくる“現実”に引き戻されてしまいます。これから一体どうなるんだろうってね。そして、映画が単なる映画でなくなり、同時に現実が映画を凌駕し、踏み潰してしまうのを嫌でも感じてしまう…。

同じトロント国際映画祭に出品されている「The Fifth Estate」への反応を見たときも感じたのですが、マンデラ氏の健康状態も回復したことが伝えられたばかりの現在、この「Mandela: Long Walk to Freedom」にしても今の私達にとって“あまりに重過ぎる現実の過酷さが、映画の映像を圧倒してしまう”ことから逃れられないのではないでしょうかね。現実を並べ、確認したいだけなら、史実を正確に追ったドキュメンタリーを作ればいいことです。それをあえて、フィクショナルな体裁の劇映画に仕立てるのは、その史実の隙間からにじみ出てくる普遍的かつ力強いメッセージを抽出し、多少の脚色も交えて濃縮し、観客に訴えたいと製作側が考えるため。映画にすれば、どうしても避けられない史実と映像の乖離をどう捉えるかで、こういった伝記映画への評価は変わってしまうと思います。その不安定さが、評論家筋の判断と観客の好みとの間の温度差になって現れてしまうのでは。

画像

また、マンデラ氏の人生の背景は、殊のほか、世界情勢がめまぐるしく移り変わった激動の時代でもありました。マンデラ氏の背後にある複雑な政治の駆け引きの歴史を、どのように、どの程度描くかで、映画全体の雰囲気も変わる気がします。その背景の歴史の解説に上映時間の多くを割けば、映画がなんだか散漫な印象になるでしょうしね。こんなことからも、実在の人物の伝記映画を作るのは、難しい作業なんですよ。


MANDELA: LONG WALK TO FREEDOM Press Conference

プレス・カンファレスの模様です。これを見ていても、現在も健在な人物の伝記映画って難しいよなあ…としみじみ思っちゃいますね。

画像

しかし、主演のイドリスと、マンデラ氏の妻を演じたナオミ・ハリス両名の演技はきちんと評価もされているようです。それが嬉しいですよね。

自由への長い道―ネルソン・マンデラ自伝〈上〉
日本放送出版協会
ネルソン マンデラ

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 自由への長い道―ネルソン・マンデラ自伝〈上〉 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


自由への長い道―ネルソン・マンデラ自伝〈下〉
日本放送出版協会
ネルソン マンデラ

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 自由への長い道―ネルソン・マンデラ自伝〈下〉 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

この映画は、同名タイトルのマンデラ氏の自伝「自由への長い道」に基づいています。


にほんブログ村 映画ブログ 映画備忘録へ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

にほんブログ村

伝記映画の難しさ…「Mandela: Long Walk to Freedom」 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる