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zoom RSS 「Terry Gilliam's "Storytime"」―空飛ぶテリー・ギリアム監督

<<   作成日時 : 2015/11/23 12:03   >>

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Happy 75th Birthday to dir. Terry Gilliam! Thanks to you, I found that I was not the only crazy person in the world. Live long and prosper, guardian angel of crazies.

75歳の誕生日を迎えられたテリー・ギリアム監督に感謝を捧げる投稿です(笑)。


1969年10月5日からBBCで放映が始まった伝説的コメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン Monty Python's Flying Circus」。スケッチ・コメディのTVシリーズとしては、第4シリーズであえなく終了…と、まあ決して長寿番組であったわけではありません。

がしかし、今の基準に照らし合わせてみても、時代の遥か数十年先を先取りしたとしか言い様のないこの番組の斬新さは、見劣りすることがありませんね。政治、宗教、従前のモラル、その他諸々ありとあらゆる“権威”をおちょくり倒す毒っ気たっぷり、悪趣味一歩手前のお笑いセンス、一つ一つのスケッチのオチをあえて省き、間をテリー・ギリアムの切り絵アニメーションで繋ぐことで、番組全体を流れるようにまとめるという独創的な構成然り、後続のコメディ番組に与えた影響は計り知れません。

そんなモンティ・パイソンの記念すべき出発点「空飛ぶモンティ・パイソン」で印象的な、テリー・ギリアムの切り絵アニメ(オープニングの、空から大きな足が降ってきて、地上のものを全てブニュルっと踏み潰すシーンは強烈)は、そんなわけで大変に重要な役割を担っていました。オチを排した上に、個性も強いがそれぞれ自己主張も強い、しかもてんでバラバラの方向性を持つ各々のスケッチを無理なく次に繋ぎ、全体として一つの大きな流れの下にまとめなければならなかったからですね。

ギリアム自身は、パイソンズのメンツの中では唯一のアメリカ人で、他の連中が、やれケンブリッジ派だオックスフォード派だと、そのインテリジェンスを互いに競い合っていた中では、ポツネンと異色の存在でありました(笑)。番組制作の際に、ギリアム以外のメンバーがやはり二手に分かれ、創作上の意見の相違で大喧嘩をやらかしていた脇でも、彼は1人黙々とアニメーションの制作に励んでいたそうです。…まあ、よく考えれば、パイソンズの中のこのギリアムの立ち位置って、まんま「空飛ぶサーカス」における彼のアニメーションと同じ役回りではありますよね(笑)。

テリー・ギリアムは、番組終了と同時に始まったパイソンズによる映画界への進出と共に、映画監督への道を歩み始めます。パイソンズ全員が揃った映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル Monty Python and the Holy Grail」(1975年)でテリー・ジョーンズと共同でメガホンをとり、「ジャバーウォッキー Jabberwocky」(1977年)ではいよいよ単独で監督業をこなし、以降「バンデットQ Time Bandits」(1981年)、「未来世紀ブラジル Brazil」(1985年)、「バロン The Adventures of Baron Munchausen」(1988年)、「フィッシャー・キング The Fisher King」(1991年)、「12モンキーズ Twelve Monkeys」(1996年)などなど、映画史に残る傑作、人気作を世に問うことになる名監督となりました。「空飛ぶサーカス」のアクの強いスケッチをアニメでまとめあげてきたギリアムが、パイソンズの中では結局一番の出世頭になったわけです。

そのギリアム監督の、正真正銘モノホンの初監督短編作品(アニメーション映画)“Storytime”(1968年)が、You Tubeにアップされていると教えていただきまして、早速観てみることにしました。


画像

Terry Gilliam's "Storytime" (1968)


……うむ、まるっきり“空飛ぶモンティ・パイソン”だわ、こりゃ(笑)。


画像

イギリスの由緒正しいお城に住む1匹のゴキブリ(爆)のお話として始まったにもかかわらず、彼が途中で“空から降ってきた大きな足”にぶにゅるっと踏み潰されてからは、新たに派生したストーリーがおかしな方向にどんどんどんどん横滑りしていきます。この“世界観の横滑り”具合は、この作品のすぐ後に始まる「空飛ぶモンティ・パイソン」と全く同じ趣向でありますね。また、常識の通用しないナンセンス・ギャグ、オチがオチないまま放っておかれる不条理スケッチ、お下品、お下劣、モラル・ハザード、なんでもござれな猛毒過激ギャグ、ブラックを通り越してもはや悪意そのもののジョーク、あまりに高いインテリジェンスのゆえ、インテリの壁を音速で突き抜けて終にはバカになってしまったネタの数々も、また然りでございます。

いわばこの「Storytime」とは、伝説の「空飛ぶモンティ・パイソン Monty Python's Flying Circus」の幕開けを告げる予告編であり、同時に、モンティ・パイソンの真髄をアニメで端的に表現し尽くした作品だったとも考えられましょう。

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「空飛ぶモンティ・パイソン」からは、今でも語り継がれるほどの名作スケッチがたくさん生み出されました。殺人ジョークとか、スーパーマンばかりが住む街の自転車修理マン、バカ歩き省、ヒトラーがいる民宿、スペインの宗教裁判などなど、有名なスケッチは数多いものの、私が愛して止まないのは“手旗信号de嵐が丘”!エミリー・ブロンテ原作のこの不朽の名作メロドラマは、今までに何度も映画化されていますが、セリフを全て手旗信号でしゃべるってのは今までになかった演出だと思います(笑)。このスケッチの可笑しさは、とにかく実際に見ないと分からないので、You Tubeに落っこちてた動画でご覧ください。

Monty Python - The Semaphore Version of Wuthering Heights


冒頭にギリアムの切り絵アニメーションが入り、手旗信号de嵐が丘の後には、類似スケッチとして救難信号ランプdeジュリアス・シーザーとか、モールス信号de真昼の決闘とか(笑)を畳み掛けて笑かしてくれます。

パイソンズのスケッチの中では、私はこういうセンスの冴えるものが好きだなあやっぱり。「空飛ぶモンティ・パイソン Monty Python's Flying Circus」も、晩年は人種差別ネタやカニバル・ネタなど、ショッカー系のどぎついギャグで場を凌ぐようになったので、ちょい食傷気味なんですよねえ…。マイノリティを傷つけることなく、古今東西どんな人でも笑えるハイセンスなお笑いって、やはり難しいのだと思います。


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テリー・ギリアム監督の作品群の中で、私が最も“モンティ・パイソン的不条理コメディ”を体現している作品だと考えるのが、この「未来世紀ブラジル Brazil」ですかね。今目に見えている世界の物語がどんどんどんどん横滑りし、挙句の果てに別の次元の世界と勝手にリンクして(空から大きな足は降ってこないものの)、主人公を出口なしの迷宮の中に追い込んでしまうというね。「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル Monty Python and the Holy Grail」で描かれていた中世の聖杯伝説が、ラストでいつのまにか現代の世界とリンクして、永遠にループを続けるメビウスの輪の中に取り込まれてしまったように。

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