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zoom RSS I am “スーパー・フリーク”!―「The Lizardman」

<<   作成日時 : 2012/11/09 01:13   >>

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以前観たアメコミ映画「アメイジング・スパイダーマン」でも、敵役として登場した“リザードマン”。この“トカゲ”というモチーフ、コミックスのみならず、映画や小説等の娯楽媒体、翻っては世界中の古い神話や伝承などにも描かれる存在ですね。現実世界では、今やトカゲ自体が絶滅の危機に瀕している生き物ではありますが、とにかく私たちにとってはとても身近なものであることには違いありませんね。


さて、現在もまだまだ撮影が続いている段階であるらしい、名匠テレンス・マリック監督(ブログ内記事はこちら)の無題の新作(以前は“The Knight of The Cups”というタイトルがつけられていたように記憶しているのですが、これは仮のタイトルだったのでしょうかね)。この作品の撮影現場から、撮影中あるいは本番待機中の俳優さんたちの画像が、たくさん出回っています。そう、このマリック新作には、有名どころの俳優、女優がわんさか出演しているのです。

例えば…

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今をときめく売れっ子俳優になったミヒャエル(マイケル)・ファスベンダーと、私は共感しませんでしたが、全てをかなぐり捨てて大熱演を披露した「ブラック・スワン」でついにオスカー女優の称号を手に入れたナタリー・ポートマン。

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この作品の詳しい内容などは全て厳重に伏せられているようで、私もさっぱり分かりません。ただまあ、音楽業界を舞台にした群像劇だということだけは確実。ミヒャとナタリーの他にも、彼らと同じパートに登場するライアン・ゴズリング、またこの3人とは別パートのお話を担うことになりそうな(多分ね)クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ(「ドラゴン・タトゥーの女」)など、ピンでいくらでも作品が作られそうなネーム・バリューの高い俳優が集結しています。

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超豪華なキャスティングを贅沢に群像劇の中に放り込み、ストーリーの駒として自由に扱うだなんて、故ロバート・アルトマン監督の諸作品みたいですよね。しかし、今回私が触れたいのは、ナタリー姉御の尻に敷かれてベソかいてそうなミヒャでもなく、ますますビッチ度の高くなったナタリー姐さんでもなく、はたまたジョージ・クルーニー兄貴がえらいことお気に入りのライアンでもなく、バットマンでも、エルフの女王様でも、龍の彫物を背負った天才ハッカー少女でもありません。

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ズバリ、この緑色の人。ハルクじゃありませんよ。ミヒャたちと一緒に写っている画像では、ちょうど彼らに挟まれて真ん中に立っている彼ですね。この方が、これからVimeoショートフィルムでご紹介するErik “Lizardman” Sprague氏であります。

ご注意:本編の中には、“リザードマン”ことエリックがハサミやワイヤーを用いて披露する芸があるのですが、見ようによっては多少グロテスクかもしれません。苦手な方は鑑賞をやめてください。それから、よもやそんな人間はいないだろうとは思いますが(笑)、一応警告しておきます。このエリックのワイヤー芸とハサミ芸は、素人ができることではありませんので、よい子は絶対に真似しないように。

“The Lizardman”

The Lizardman from William Darbyshire on Vimeo.



監督、撮影、編集:William Darbyshire
音響、助監督:J Oikarinen
出演:Erik 'Lizardman' Sprague

will.darbyshire@yahoo.com
twitter.com/willdarbyshire
filmnstuff.tumblr.com

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このドラキュラのように尖った歯。

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彼の舌は、蛇のように先が二つに割れていて、なんとそれぞれを自在に動かすことが可能。

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彼のこの先天的な特徴を目にした人は、いわゆる“フリークス”と対峙したときの“健常者(嫌な言葉ですが)”が一様に見せる言動―戸惑いと逡巡と居心地の悪さ、あるいは怖いもの見たさの抗いがたい好奇心、その末の妙な同情―を一通り体験することでしょう。私も初めてVimeoでこれを見たときは、どう反応していいか分かりませんで、いたたまれない気分に陥ったものです。

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テレビや、今回のマリック監督の新作のように、映像作品に起用されることもあるエリックですが、彼の活動のベースは遊園地内にある“フリーク・ショー”を売りにする小屋。彼はここで、自らの肉体の特徴を存分に駆使した大道芸を演じ、観客と交流を図っているのですね。

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化け物のような尖った歯や真っ二つに割れた舌を持って生まれた後、家族からのサポートに恵まれたことも幸いし、エリックは様々な葛藤を乗り越えることに成功しました。そして、次に彼がやったのは、全身に緑色の鱗のタトゥーを施し、胸には堂々と“FREAK”の文字を刻み付けること。エリックは自らの肉体をトランスフォームさせ、“リザードマン”という新たな人格を作り上げました。つまり彼は、普通の人間とは異なる容姿の自分を堂々と“フリーク”と位置づけ、尖った歯も二つに割れた舌も、彼独自の個性だと主張することにしたわけです。

“その他大勢”と明らかに異なる部分を持って生まれたがゆえに、そのマジョリティーからはみ出さざるを得なかった人間が選択した新たな生き方。それは、ノーマルな(と思われている)社会に敷き込まれるために、自分のアイデンティティを犠牲にするのをやめることでした。“普通”のコミュニティーから叩き出されないために、自分の異質さを隠し通して“普通”の振りをすることもできたはずです。でもエリックはそれをよしとはしなかったのですね。逆に自分の異質さを際立たせて研磨し、さらにはそれを売り物にするたくましさを獲得したのです。このとき、彼が持って生まれた“異質さ”は、彼にとって“神様から与えられた贈り物”へと変化しました。

マジョリティーから排除されて社会の中の居場所を失うのは、どんな人間にとっても恐ろしいことです。しかしだからといって、無理に“普通”の振りをする必要もないのではないか。ショーの舞台から外を行きかう観客を観察するように、そんな窮屈なコミュニティから少しだけ距離を置き、自分で自分の居場所を生み出そうという生き方があってもいいはず。考え方一つで自分の周囲の状況はいくらでも変えられるし、また世間の喧騒から少し離れてみることで、自分の内面と真摯に対峙することもできます。彼が“リザードマン”というもう一つの人格を強力な信念でもって支えていられるのは、彼自身が周囲に惑わされず、自らのアイデンティティを揺るぎなく確立しているからでしょう。

彼のこのポジティヴな行動力は、本当に本当に、見習いたいところ。昨年の3.11以降、価値観やモラルの概念がすっかり変わってしまった今だからこそ、このカオスをたくましく生き延びるためにも、私たちはリザードマンことエリックのような発想の転換をしないといけないのかもしれません。


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