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zoom RSS 全身全霊おバカな大人達とつっぱる女の子達―「聖トリニアンズ女学院St. Trinians」

<<   作成日時 : 2012/09/14 12:58   >>

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最近、映画で世界は救えないけれども、“お笑い”はひょっとしたら人類を救うかもしれないと本気で考えるようになってまいりました(笑)。いえ、私の頭の調子が悪いとかそういうことではなくてですね、たとえばほら、重い病気に苦しんでいても、笑う回数が増えれば免疫力が上がったりするでしょ?

それに、今の世の中なんて、ざーっと周囲を見回しただけでも酷い出来事がいっぱい。毎日毎日、悲惨で屈辱的で恐ろしい事件が連続するものですから、それらに対して何らかの人間らしい感情を持つことさえ困難になってしまいました。その代わりに私たちの心を占めるのは、いかに敵を出し抜いてやっつけるかとか、自分の不幸を嘆いて死を考えるだとか、どこかの誰かを妬んだり僻んだりするといった、負の感情ばかり。こんなことを続けていれば、どんな人間でも病み衰えます。“笑うこと”は、そんなダークサイドに堕ちてしまった心を浄化する働きもあるのですねえ。

とにかく、ほんのクスッとでもいいから笑ってしまえば、途端に鬱屈とした気分が軽く感じるのは確かです。

まあただ、一口にお笑いとはいっても、日本の芸能界に蔓延るコメディアンもどきや、なんちゃって漫才師といった連中だけではありません。“笑う”ことを題材としたり、あるいは、表現のちょっとした隙間にユーモアが差し挟まれていたりする映画や書籍、音楽(これがあるんですのよ、奥様)なども、広く“お笑い”と捉えた方がいいと思います。その方が面白いですしね(笑)。

ちょっと前に輸入版で見て、その爽快なるアホっぷりに大いに感銘を受けた2007年製作の英国製コメディ「聖トリニアンズ女学院 史上最強!?不良女子校生の華麗なる強奪作戦 St.Trinian's」(この邦題は恥ずかしすぎるだろ)も、観ているうちに免疫力が回復しそうな楽しい作品でした。全く緊張もなんもせずに気楽〜に観られるお笑い作品なので、疲れているとき、はたまた、気分が落ち込んでいて辛いときなどにご覧になってみてはいかが?憂さ晴らしするにはもってこいですよ(笑)?


「聖トリニアンズ女学院 史上最強!?不良女子校生の華麗なる強奪作戦 St.Trinian's」(劇場未公開)(2007製作)
監督:オリヴァー・パーカー&バーナビー・トンプソン
製作:オリヴァー・パーカー&バーナビー・トンプソン
製作総指揮:ルパート・エヴェレット他。
脚本:ピアーズ・アシュワース
撮影:ギャヴィン・フィネイ
編集:アレックス・マッキー
音楽:チャーリー・モール
出演:ジェマ・アータートン(ケリー)
タルラ・ライリー(アナベル)
コリン・ファース(ジェフリー)
ルパート・エヴェレット(カミーラ/カーナビー二役)
キャスリン・ドリスデール(テイラー)
ジュノー・テンプル(セリア)
ミーシャ・バートン(JJ・フレンチ)
リリー・コール(ポリー)
ラッセル・ブランド(フラッシュ)
レナ・ヘディ(ミス・ディッキンソン)
トビー・ジョーンズ(ブルサール)
カテリーナ・ムリーノ(ミス・モーパッサン)
スティーヴン・フライ(本人)他。

いかにも英国的な辺鄙な田舎に、全寮制女子校“聖トリニアンズ女学院”の瀟洒な建物が建っている。校長カミーラは自由奔放な考えの持ち主で、独特の教育方針で若い子女を導いていた。カミーラを叔母に持つアナベルは、娘を厄介払いしたい父親カーナビーの策略で、この女子校に放り込まれた。しかし、ここは学校とは名ばかりの、寮長のケリーを中心に、一癖も二癖もある生徒達がやりたい放題気ままに暮らす無法地帯であったのだ。転入してきたその日に、生徒達から荒っぽい歓迎の洗礼を受けたアナベルは、早速恐れおののく。だが、持ち前の負けん気の強さと、ラクロスで鍛えた猛烈なシュート力を買われ、アナベルはこの想像を絶する無法地帯でサバイブしていくようになる。
規律もへったくれもない無茶苦茶な生徒達に囲まれつつも、“聖トリニアンズの校風”を理解するにつれ、アナベルは彼らに仲間として認められるようになる。当初は恐ろしいばかりだったカミーラの真の人柄にも惹かれ、学校に自分の居場所を見出すようになると、アナベルの表情にも生き生きとした輝きがみなぎってきた。
ところが聖トリニアンズ女学院は、財政状況が逼迫し、破産の危機に瀕していた。さらに、新しく文部大臣に就任したジェフリーは、自由奔放でアナーキーな聖トリニアンズ女学院をまともな学校に立て直そうと動き始める。はみ出し者の少女達の楽園であるこの学校を潰すわけにはいかない。彼女達は、一挙に大金を手に入れる方法として、美術館に収蔵されているフェルメールの名画「真珠の首飾りの少女」を盗みだす計画を立てた。名画が失われれば、美術館がその発見者に相当な賞金を出すだろう。その時すかさず名乗り出て、多額の賞金を堂々と手に入れようという魂胆だ。世間は、まさかか弱い女子高生達が、世界的な強盗でも手を出せない名画を強奪しようとは、夢にも思わないであろうから。
生徒達は、カミーラと学校を守るため、全ての教員(新任の堅物教師ミス・ディッキンソンまで一緒だ)や出入りのチンピラ仲間まで巻き込んで団結した。カミーラを失墜させようとするジェフリーの執拗な嫌がらせは日に日に激しさを増すのだが、この二人、なんと過去に恋人同士であったことが発覚。彼らが互いの矜持を盾に丁々発止とやり合ううち、なんとも怪しげな空気が垂れ込め始める。
いよいよ、フェルメールの名画強盗計画を実行に移す日がやってきた。一部の生徒達が美術館で収録されるクイズ番組に出演して時間稼ぎをする間、ケリーをリーダーとした実働部隊(笑)は、手薄になった警備の隙を突いて大胆不敵なアイデアを駆使し、名画に迫るのだ。ジェフリーの妨害と予期せぬトラブルがトリニアンズ・ギャング達を襲う。彼女たちの無謀な作戦と、カミーラとジェフリーの焼けぼっくいの行方や如何に?!


まるでマンガのような荒唐無稽な設定と、そりゃないぜ的なストーリー展開だと思っていたら、このお話、実際に英国で大人気を誇ったシリーズもののマンガを原作に頂いたものでした(笑)。英国のイラストレーター、ロナルド・サールが創造した、アナーキーな女子高生犯罪者集団の巣窟(笑)“聖トリニアンズ女学院”を舞台にしたお話『St Trinian's』です。規律と伝統と古いモラルでがんじがらめになっているはずの由緒正しい学校で、ワイルド且つやさぐれまくった女子生徒達が、ギャングさながらの大暴れを繰り広げます。彼女達が、子供ならではの奇天烈な発想で、うざい大人に一泡吹かせるストーリーが痛快。ブラック・ユーモアや風刺、シュールなコメディが大好きな英国民に大ウケするわけですね(笑)。

このサールの原作マンガの絵柄をそのまま用い、“聖トリアンズ女学院”シリーズのアニメを制作する企画が過去にあったそうですよ。以下にシェアする動画は、そのアニメ作品のテスト版でモノクロです。たったの25秒しかありませんが、サールのイラストの雰囲気(クウェンティン・ブレイク等にも大きな影響を与えた)と、そのトリニアンズ・ギャングの“やさぐれ”具合がよく分かる内容ですので、ちょっとご覧になってみてください。

St. Trinian's Animation Test
shared from UliMeyerAnimation

そしてこちらが、上記動画のカラー版。
St. Trinian's Animation Test in color
shared from UliMeyerAnimation

“反体制”的というべきか、いっそピカレスク的とでも表現した方がよさそうな冒険を、およそそんなものとは縁のない(…と普通考えられている)穢れを知らぬ女子高生達がやっちまうナンセンスさ。これが、この作品シリーズを愛する読者の溜飲を大いに下げたのでありましょうね。このシリーズは、原作者サールの反発にもかかわらずその後シリーズ化し、いろいろなエピソードが書き継がれることになりました。……ただし原作では、最後は登場人物ほとんど全てが死んでしまうという、かなりブラックなオチがついているそうですが(笑)。「聖トリニアンズ」を愛する世間に対する、サールのせめてもの意趣返しか?

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映画化もされ、1954年には、映画版「聖トリニアンズ女学院」の記念すべき第1作目『The Belles of St. Trinian's』が完成しました。そして映画版の方もシリーズ化しまして、1980年までに計5作品が製作されています。2007年に、「アナザー・カントリー」等で知られる英国俳優ルパート・エヴェレットによって、このアナーキー女子高生軍団の物語が劇場用映画として復活しました。実に27年ぶりのこと。一応、この「聖トリニアンズ女学院 史上最強!?不良女子校生の華麗なる強奪作戦」は、映画版「聖トリニアンズ」シリーズの第6作目にあたるのですが、お話の内容の方は前作の続きというわけではないそうです。舞台を現代に移した、リブート版“聖トリニアンズ女学院 The Movie”といった趣きでしょうかね(笑)。

さて、この作品について結論から先に申し上げておきます。

現代に蘇った映画版「聖トリニアンズ」を観る限り、映画レビューサイトRotten Tomatoesで今作に与えられた、批評家筋からの支持率約3割、オーディエンスからの支持率約5割という評価は、客観的に見て、まあ妥当な線だと思います。あーあ(笑)。

でも私は大変気に入っておりまして、疲れたときにDVDをリピート再生する回数は多い作品です。白状しますと、年末とか年始とか、暗い気分に陥りたくない時期に観る頻度も高いですね。この手の群像劇は、難しいことを考えず、個性際立つ各々のキャラクターを楽しむのが一番なんです。

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とにかく今作品の目玉は、製作総指揮まで務めたルパート・エヴェレットが、本気の女装でもって“女性”(聖トリニアンズ女学院の校長先生)を演じるという、その一点に尽きます。そもそも、その最初の設定からして脱力必至なのですが、エヴェレット先生、たぶん観客のそのリアクションも計算に入れた上での気合の入った女性演技であったと思いますよ。そして、完成したルパート・エヴェレット渾身のジェンダー超越演技は、見た目は明らかに現コーンウォール公爵夫人そのもの(笑)。ご丁寧に名前まで同じ(笑)。しょっぱなからきっついジョークです。
一応ヒロインは、女学院に転入してくる少女アナベルで、地味で内向的で引っ込み思案だった彼女が、殻を破って花開くように成長していく物語が主軸ですね。しかし、アナベルに負けないぐらいのインパクトでカミーラにまつわるエピソードも描かれるため、若干ルパートの演技が悪目立ちしてしまっている部分もあります。
ルパートの演じるカミーラは、階級制度や旧来のモラルによる足枷が根強い世界で、思い通りの生き方を貫いてきたタフな女性です。その分、常識に照らせば明らかにぶっ飛んだ言動も多いのですが、見た目を取り繕うことにこだわらず、中身で勝負するタイプの人間なのですね。そんな自身の生き様を生徒達に示すことで、彼女たちの自立心を鼓舞しているとも考えられます。カミーラの人柄を知るにつけ、アナベルは彼女にどんどん感化され、本当の自分の姿を現すことに躊躇しなくなっていきます。そうして自信を身につけたアナベルとは対照的に、学校運営の危機と元彼ジェフリーの出現でしばし弱気になるカミーラを、今度はアナベルと学校の生徒達が支えるというわけですね。

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アナベルを演じたタルラちゃん以外にも、これが映画デビュー作となった元ボンド・ガール、ジェマ・アータートンちゃん、「Dr.パルナサスの鏡」(2009年)で注目された不思議ちゃんリリー・コール、他にもキャスリン・ドリスデール嬢やジュノー・テンプル嬢、ゲスト扱いですがミーシャ・バートン嬢まで引っ張り出し、今作はフレッシュな若手女優たちのてんこ盛り状態になっています。彼女たちの振りまく、元気いっぱいで華やかなイメージにより、ルパートの悪ノリはさほど気にならないよう、うまくバランスがとれています。この若い娘たちのちょいセクシーなルックスも、目の保養に大いに貢献していると思われますよ。

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ただ、映画ファンとしてはやはり、“英国王”でついにオスカーを獲得した名優コリン・ファースが登場し、「アナザー・カントリー」で共にキャリアをスタートさせた同輩ルパートとまさかの再共演を果たしてくれたことが、最高のサプライズでありましょう。本当に感無量でしたが、その甘酸っぱい感傷を見事に打ち砕く設定に、私もべっくらこきましたもの(笑)。

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地味ながら誠実なルックスを武器に、善人も悪人もカメレオンのように変幻自在に演じてみせる才人コリンは、コメディ映画への出演も結構ありましてね。例の「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズでは、これまた同期のヒュー・グラントと愉快なバトルを演じて笑わせてくれました。「聖トリニアンズ」でも、お約束のお間抜けシーンから、自身の出世作「高慢と偏見」で演じたミスター・ダーシーの明らかなパロディまで大真面目に再現、ラストでは女性ファンへの大サービス・ショットもご開帳のはっちゃけぷり(笑)。悪ノリ・ルパートのカミーラに振り回され、いいようにあしらわれる生真面目な男という役柄ながら、なかなかどうして肝の据わったコミカル演技で、印象は強烈ですよ。さすがは名優、清も濁も併せ呑んだ格調高い演技以外にも、バラエティに富んだ演技の引き出しで魅せてくれますよね。

コリン以外にも、若手女優達の脇を固めるベテラン陣には、渋く豪華な顔ぶれが揃っています。新任の英語教師で、お堅いハイミスのディッキンソン先生には、あの「300」や「ターミネーター」のテレビ・シリーズ「サラ・コナー・クロニクル」でブレイクした美女レナ・へディが扮しました。先に挙げた出演作でのイメージを根底から覆す(笑)見事な別人っぷりに、当初誰だかわからないほどでしてね。真性アホ生徒達の持てる力を本気で信じてあげ、指導しようと奮闘する、どこか天然気味の可愛いキャラクターでありましたな。
それと、役柄は小さいながら、先に映画館で観た「裏切りのサーカス」で野心家の新コントロールを好演したトビー・ジョーンズも登場。今作では、小動物みたくめちゃくちゃキュートなキャラクターで、思わず家で飼いたいと思ってしまいました(←コラ)。他にも、私はあんまり好きではないのですが、毒舌系コメディアンのラッセル・ブランドが、イメージどおりの下品なチンピラを演じていましたね。劇中、彼の持ちネタも披露しているのですが、イマイチおもろなかったわ。劇中では、ボンドを手玉に取ったストロベリーちゃんことジェマ・アータートンに顎でこき使われていて、ザマーミロ♪と思ったのは内緒です(ブランド・ファンの方、ごめんね)。最後のとどめとばかり、スティーヴン・フライがご本人役で登場されたときには、この無駄に豪華な配役は一体なんなんだと呆れましたわね(笑)。

こんなブラック・ジョーク満載のコメディ映画に実力派の俳優達が惜しげもなく集結し、さらに彼らが全力でおバカをやっている姿を見るにつけ、これもいわゆる一つの“反体制”という精神の現れなのだと思いました。若く美しく清楚な少女達が、そういったパブリック・イメージを彼女たちに強いる世間と大人、また閉鎖的で保守的な学校教育という究極の“体制”に反逆する姿が今作のメインテーマなら、彼女たちに振り回されたり踊らされたりする大人連中もまた、ある意味反体制を象徴するものなのでしょうね。

他のどの国よりも権威に従順なくせに、だからこそ“反体制”が大好きな、体制に対して愛憎半ばする屈折した感情を抱く英国らしい、バッドガール映画でありました。ただ、この作品では、サール原作のマンガのように、体制と反体制の熾烈な戦いをシニカルに捉える演出は控えめで、もっとポップで軽いノリになっています。あんまり気張らず、名優達によるおバカ演技を楽しみましょうや。

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