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zoom RSS 伝説が 笑激的に 始まる(多分)。―「エイトレンジャー」

<<   作成日時 : 2012/07/29 14:01   >>

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昨日の「ダークナイト・ライジング」に引き続き、今日は家族で映画館に突撃(笑)。

今日はお昼過ぎにスコールがあって日差しが弱まり、若干しのぎやすい気候になりました。んが、暑いことには変わりないので、本日も映画館は避暑も兼ねたお客さんでごった返しておりましたね。しかしながら、本日のお題「エイトレンジャー」を観に来たお客さんの層が若い女性だったせいもあったか、館内がそこはかとなく華やかな雰囲気に包まれ、なにより、若い娘さん特有の良い香り(大笑)で満たされていたのがとても印象的でした。いつもなら、汗くっさいオタくっさい臭いなのにね(笑)。

この二日間で、ヒーローものの映画を立て続けに観た格好になります。実は個人的には、どちらのヒーロー映画も大当たりでして(笑)、今日の「エイトレンジャー」も予想外のツボに大ハマリしたクチですf(^ ^;)。「ダークナイト・ライジング」における“悪役”の果たしてきた役割は非常に複雑で、善悪の境界線が大変に曖昧であり、その存在意義については幾通りにも解釈が可能なんですが、「エイトレンジャー」の“悪役”(政府から見放された荒廃した地方都市を支配するテロリスト)も、単なる地球征服をたくらむショッカー軍団などでは全くないという設定が、意外な共通点として挙げられるんですわ。これは今日映画を観ていて意外に感じた点です。

「ダークナイトとエイトレンジャーを一緒にすんなや、ヴォケが!」とお怒りになられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ま、ま、そのお怒りはごもっともなれど、とりあえず一旦鎮めていただいて、ちょっとだけおばちゃんの話を聞いてくだされ(笑)。

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時は2035年。
日本は最悪のシナリオを辿っていた…。
度重なる天変地異。そのたびに悪化していく日本経済。少子化と高齢化が進みすぎた異常な人口構成。7500万人にまで減ってしまった日本人口。しかし無策な政府は自らの保身のみを考え、東京の足を引っ張る貧困都市を見捨てる政策を断行。荒廃した地方都市と東京を物理的に切り離すため、そこに落ちたら即死するという酸を満たした運河で各地を分断、日本は戦国時代に逆戻りしたかのような有様だった。
国の保護から放り出された街の治安は悪化し、いつの時代にも存在するテロリストがはびこり、なにより貴重とされた子供達の誘拐、略奪行為が常習化する。そんな絶望的な日々の中、貧困層の人々は毎日を生きることで精一杯だった。八萬市(エイトシティー)では、警察機構にさえ国からの補助はなく、警察は市民の安全を守るどころか、子供がテロリストに誘拐されても、金を払わなければ捜査ひとつ行わない。そんな現状を打開するため、自警団「ヒーロー協会」が独自に設立され、そこに所属するスーパースーツに身を包んだ“ヒーロー”が、警察に代わって市民の安全を守り治安を維持するため奔走するのだった。
ある日、借金の取立てから逃げているところを、ヒーロー協会の会長からスカウトされたニート横峰誠は、いきなりエイトレンジャーのリーダー、“ブラック”に指名される。わけがわからんままに“ヒーロー”になった誠は、クセ者揃いの他の6人のヒーロー達―酔拳の名手だけどただのアル中、レッド(渋沢薫)、茄子に因縁があるチェリーボーイ、パープル(ナス)(村岡雄貴)、ネットショッピング依存症のオレンジ(丸之内正悟)、青色にとり憑かれ、青に関するものを買い漁るブルー(安原俊)、いつでもどこでも“センター取り”に執念を燃やす一発屋の元バンドマン、イエロー(錦野徹朗)、ネイティヴすぎる鹿児島弁で台詞には必ず字幕がつく異常なお人好しグリーン(大川良介)―を前に途方にくれる。ブラック自身も借金苦だが、他のヒーロー達も皆それぞれの事情で借金を抱えており、危険なヒーロー稼業に甘んじているのも、協会が支払ってくれるわずかな賃金目当てだという有様。実のところ、この“ヒーロー”達は、子供の一生を決定付ける小学校入学試験に落ちてしまい、あっさりエリートコースから脱落した負け犬達なのである。まともな仕事にありつけないから、アルバイト感覚で“ヒーロー”をやっているにすぎない。今やヒーロー協会は、伝説のヒーロー“シルバー”一人の孤軍奮闘におんぶに抱っこ状態。日増しに勢力を拡大していくテロリスト集団“ダーク・クルセイド”とは対照的に、ヒーロー達の士気が底をついている自警団の中にあって、ブラックは己の無力さに煩悶する。
ある日、八萬市の警察署にわざわざ志願したという女刑事鬼頭桃子が赴任してきた。無愛想で他人を寄せ付けない冷ややかな鬼頭だったが、堕落した八萬署の中では、後輩の刑事仁科遥と共に唯一警察らしく悪と戦う存在である。しかし、ダーク・クルセイドの第3部隊を指揮する謎のリーダー“Mr.ダーク”は、八萬市内に住む“見捨てられた”子供達を次々と誘拐し、あるいは職を失った市民を勧誘して、人身売買、臓器売買、を繰り返し、着実に組織を拡大していくのだった。“ダーク・クルセイド”を統括する“総統”と呼ばれる男も、相変わらずその正体は一切不明。彼らがいよいよ恐ろしい計画を実行に移そうとする中、“本物のヒーロー”になるため、シルバーの指導を受けることになったエイトレンジャーだが、所詮はアルバイト感覚、見捨てられた市民を命がけで救う覚悟を持たない彼らは、いつまで経っても単なるダサいヒーロースーツを着た連中のままだった。とうとう辞表を出したイエロー達4名と、ブラック、ブルー、レッドの3名は対立するが、いつの間にかブラックの運命も意外な方向に大きく転がり始めていた。


…だーっ!しんど!久しぶりにあらすじを真面目に書いたら指が攣りましたわ。

全体のテイストとしては、だいぶ前にご紹介した「ミステリー・メン」に似ており、あの作品を気に入ってくださった方ならおそらくこの「エイトレンジャー」も楽しめると思います。まあね、真面目に苦悩する“ド・シリアス・ヒーロー”映画を観たいのよー!という人は、クリストファー・ノーラン監督のバットマン・トリロジーや、その他のDC、マーベル・コミック映画をご自分であたってくださいませね。いちいちYaho○知恵袋で私の記事を引き合いに出して愚痴るんじゃなく(笑)。

さて。

映画はその時代の空気を反映する芸術形態だと何度も申し上げていますが、この「エイトレンジャー」を観て、つくづく今現在の日本人の精神面がどれほど追い詰められているか、再確認できたような気がしますね。だってね、基本はシュールなパロディお笑い作品であるのに、もはや“不謹慎”などという言葉を飛び越えて、日本社会の絶望的な近未来予想図が、かなりリアルにエグく描かれているのですもの。この作品の背景世界のように、貧富の格差が広がり、“Occupy”運動も起こせないほど二極化が完成した疲弊しきった階級社会って、あながち荒唐無稽なお話しだとも笑い飛ばせません。この国の現状を鑑みるに、ひょっとしたらかなり近い将来には、資本主義、エリート生き残り主義の名の下に、こんな酷い階級差別社会が出来上がってしまうかもしれない。いや、もう現に社会の下層部切り捨ては着々と進んでおり、階級差別社会の下地は出来上がりつつあるのだからして。

数が少なくなっていく子供達は“高級品”となり、優秀なDNAを持つ者だけが選り分けられて高度な教育と快適な生活環境を勝ち得るという、不安に駆られた私達が悪夢に見るような未来。映画「ガタカ」でも、同じアンドリュー・ニコル監督による「タイム」でも、似たような暗黒未来世界が描かれていますが、“持てる者”と“持たざる者”の格差は今後ますます広がる一方であるのは確実でしょうよ。子豆たちの学友達、学校を含む彼らを取り巻く状況を見ていると、残念ながら「エイトレンジャー」の描く暗黒の近未来日本は、そう遠くない時代に実現してしまうような気がします。仮に、ド・シリアスにこのテーマを映像化したなら、おそらく観るに耐えないへヴィーな内容になったのではないでしょうかね。

そうなると、テロリスト集団であるダーク・クルセイドが、スラム街の子供達を浚っては再教育を施し、エリート予備軍に仕立てて金持ち家庭に売るという行為が、完全なる悪行なのかどうなのかが分からなくなってきますよね。彼らがやっている子供達の再教育は、国から見捨てられた貧困層の子供達を劣悪な環境から救う“人助け”になるのもしれない。また、彼らが“聖戦”と称してスラム街を市民もろとも破壊しようとする行為も、ひょっとしたら“国の浄化”になるのかも…と、アナーキーなテロリスト集団が大義名分としてふりかざす“正義”の落とし穴に、うっかり落ちそうになってしまいます。なぜなら、「エイトレンジャー」に登場する伝説のヒーロー、シルバーも、たった一人で全ての市民を救うことはできないからです。ただ、彼ができる範囲で一人でも多くの人間を助けることしかできません。ヒーローだの正義の味方だのといっても、突き詰めれば、所詮その行動は自己満足の域を越えるものではないのです。だからこそ、金のために信念の伴わない“正義”を演ずるなら、それは、仕事にあぶれてやむなく悪の手先となった老人達と同義になり、善と悪、正義と不義の境界が混沌と混じりあってしまうのですね。

従来の価値観が根底から揺るがされている今の日本って、まさしくこの“善悪の境界線の消失、あるいはそれらの概念の逆転”という状況の崖っぷちに立たされているようなもの。生きるために悪の手先となった一般ピープルと、借金返済のためにヒーローになる連中の間を、右往左往しながら揺れ動いているわけです。“一体どちらが本当に正しいの?”と悩みながら。

しかしながらそれでもなお、一つでも多くの救いを求める手を取り、引っ張り上げざるを得ないのです。例えそれが、世のため人のためにならない結果に繋がっても。

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“エイトレンジャー”を演じておられる関ジャニ∞という方々がどういう方々なのか、私はこの方面は不勉強で一切知りません(ごめんね)。でも、往年の日本の“ヒーロー戦隊もの”のオマージュとでも呼ぶべき、懐かしき昭和レトロちっくな雰囲気、“火サス”もビビるドロドロの人間関係、吉本新喜劇のDNAを感じるベッタベタ関西系ギャグ、大仰な伏線を張りまくったストーリー展開と、親子の絆や仲間との絆に集約される、いかにもウェットな日本的テーマ性…などなど、細部にまで律儀にヒーロー映画のお約束要素を踏襲しながらも、それらをきちんとイマドキの醒めたお笑いに転じてストーリーにも応用しているところなど、なかなかの面白さでしたねえ。笑いの間合いや呼吸も良かったし、それぞれのキャラも立っていて、とてもただのアイドルとは思えません。…えーと、ひょっとして、アイドル路線の方々ではない…のかもしれませんが…(なにぶん知らないもんで)f(^ ^;;)?

この、醒めた感覚とコテコテお笑い感覚の中庸を往くバランス感覚の良さは、伝説のヒーロー、シルバーを二枚目半の路線で演じた舘ひろし、可愛い素顔を封印して、腕っ節も強く有能な刑事に徹したベッキー、デスラー総統みたいなテロリストの首領を、それはそれは楽しそうに演じていたあの著名なアイドルにしてハンサム俳優氏にも共通しています。特に舘ひろしは、昔のご自身の当たり役を引用した自虐ギャグ、ベタな天然ギャグ、現在の年齢も考慮に入れた渾身の自虐ギャグ(笑)まで炸裂するはじけっぷりで、わたくし、彼への認識を新たにしたほどです(笑)。いやあ、かなり笑わせていただきました。芸域の広さというか、引き出しの多さというか、ちょいワルの気取った二枚目路線に固執していたわけではないのですね(笑)。今のお年を考えれば、身体のキレは昔とった杵柄、さすがに素晴らしかったですし、昭和レトロなヒーロー装束、愛車のミゼット(涙笑)、超人パワーを発揮するための栄養ドリンク等、小道具にまでこだわったディテールの面白さも相まって、一番格好いい舘ひろしを観たような気がしますよ。キャットウーマン並みに頑張っていたベッキーちゃんもよかったし、例の総統はダース・ベイダーとパルパティーンの合体技のようなイメージだったし、全体的に、妙なところでこだわりが伺える演出がオタク心をくすぐりますね(笑)。


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