House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS シスの暗黒卿は子煩悩―「ダース・ヴェイダーとルーク(4才)」

<<   作成日時 : 2016/06/27 22:26   >>

面白い ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 0

祈るがよい、世界中の父親にフォースの導きのあらんことを…


画像

「ダース・ヴェイダーとルーク(4才) Darth Vader and Son」
絵と文:ジェフリー・ブラウン Jeffery Brown
訳:とみながあきこ
刊:辰巳出版
後援:ルーカス・フィルム

遠い昔、はるか銀河の彼方で…

エピソード3.5:ダース・ヴェイダーとルーク(4才)
…シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーは、反乱同盟軍の英雄達と戦うべく、銀河帝国軍を率いる。
…だがその前に、まずは4才の息子、ルーク・スカイウォーカーと遊んであげる必要がある…


かくして我々は、銀河帝国軍の総帥である恐怖の破壊者ダース・ヴェイダーが、

本来武器であるところのライトセーバーで息子ルークと草野球をやったり、
超高速で自転車を乗りまわす4才の息子の後を慌てて追いかけたり、
お手製の朝食を食べない息子のために、フォースを使ってシリアルを出してやったり、
妹レイアと喧嘩してプンプン怒る息子に手を焼いたり、
まだ4才の息子がフォースを使ってクッキーを取ろうとする(子供の手が届かないように棚の一番上に置いておいた)様子を盗み見て、息子の成長に驚くと共にちょっと焦ったり、
4才の息子に突然、赤ちゃんはどこからくるのか真顔で尋ねられて答えに窮したり、
息子とグリードたちの喧嘩を仲裁したり、
トリック・オア・トリートでストーム・トルーパーの扮装をする息子を心配して、気づかれないようにそっと後を尾けてみたり、
出し物に出場した息子ルークの晴れ姿を、他所のお父さんにさりげなく自慢したり、
学校に行く時間になってもいつまでも遊んでいる息子を叱ったり、
4才の息子にチェスで負かされて、思わず彼の成長を実感したり、
擦り傷をこしらえたルークを慌ててデス・スターの医務室に連れて行って、自分で絆創膏を貼ってやったり、
プラモデルのおもちゃを散らかし放題の息子に父親の威厳を見せたり、
雨の中、水溜りで遊ぶ息子に付き合ったり、
幼き息子に、親子で銀河の支配者になろうと熱弁を奮っても、先におやつをねだられたり、
ちびハン・ソロと遊びたがる息子に手を焼いたり、
ジェダイ・マスター、ヨーダのことを質問しまくる息子にしどろもどろになったり、
マスターであるパルパティーンと、内密の話をしようとする時に限って、空気を読めない4才の息子に邪魔されたり、
父の日のプレゼントに、真っ赤な水玉模様のネクタイを息子から贈られて困ったり、
武器を抱えた猛者連中と共にいる時に限って大声で泣き出す息子に焦ったり、
デス・スターの幹部達との食事会に、一緒に連れて行った息子が幹部に粗相を働いて肝を冷やしたり、
デス・スターの換気口で遊ぶルークを慌てて連れ戻したり、
ルークが欲しがっていたおもちゃを、義手の上に分厚いグローブをつけた不自由な手で一生懸命ラッピングしたり、
アイスクリームを落っことして大泣きする息子に、自分のアイスをあげたり、
4才の子供らしく、すぐ飽きてぐずったり、始終お父さんに付きまとったりする息子に、ちょっぴり疲れてみたり、
息子とサッカーに興じ、ゴールネットではなく自分の金的にボールをヒットされて眩暈を起こしたり、
暴れて抵抗する息子をベッドまで強制連行したり、
腕枕で眠るルークに添い寝していたら、腕がしびれてピンチに陥ったり、
父と一緒に道を歩めと息子に諭しても、4才の子供ならではの理不尽な「なんで?どうして?」攻撃で論破されたり、
息子に、ダース・モールとクワイ=ガン・ジンの戦いを描いた絵本を読み聞かせたり、
ぼろ布をマントにして木の枝を振り回し、“ジェダイごっこ”で遊ぶ息子に目を細めてみたり、
ザ・イウォークスの音楽ばかり聴く息子にうんざりしたり、
デス・スターの中で息子とかくれんぼして遊んだり、
フォースで息子のお腹をコチョコチョくすぐったり、
“ライトセーバーを持つパパとボク”の絵を描いてくれた息子に、思わず感動したり、
レゴブロックで新しいデザインの宇宙船を作った息子に、思わず感激したり、
…そして、シスの暗黒面に堕ちた“ジェダイの裏切り者”のレッテルを貼られ、悪の権化、暗黒の権力を笠に着た恐るべきラスボスの代名詞にもなったダース・ヴェイダーが、4才の息子ルークに“パパ大好き!”と抱きつかれている姿を見て、思わず読者の方が貰い泣きしたり…。

…等々、およそヴェイダー卿のパブリックなイメージからかけ離れた、彼が4才の子供にてんてこ舞いさせられる姿を垣間見ることになったのである。子育てとは、悪の皇帝パルパティーンすら凌駕し、銀河の支配を目論んだダース・ヴェイダーをもってしても尚、きりきり舞いさせる程に、壮大かつ困難な大事業なのである。

ダース・ヴェイダーとルーク(4才)
辰巳出版
ジェフリー・ブラウン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ダース・ヴェイダーとルーク(4才) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


「スター・ウォーズ」という壮大なスペース・オペラの中でも、ダース・ヴェイダーほど、ドラマチックに変遷するキャラクターは他にないと断言できます。私が初めて映画館で映画を観たのは、何を隠そうこの「スター・ウォーズ」シリーズの旧シリーズの方(エピソード4〜6)だったのですが、子供心に持った一番最初のヴェイダー卿のイメージは、とにかく悪辣残酷、正義の味方ジェダイの騎士だったくせに自らの意志でダークサイドに堕ち、裏切りの限りを尽くしやがってこんちくしょうめがという(笑)、悪役の頂点に君臨するキャラクターというものでした。
ところが、お話が二転三転し、エピソード4〜6における主人公ルークの父親が、なんと宿敵ダース・ヴェイダーその人であったことが判明すると、観客のヴェイダーというキャラクターの見方も180度の変更を余儀なくされてしまいました。そんな観客の理解を誘導するかのように、揺ぎ無い悪役であったはずのヴェイダーが、クライマックスではあれよあれよという間に、かつてのアナキン・スカイウォーカー時代の人間らしさを取り戻していきます。
さらに、“ダース・ヴェイダーがなぜダークサイドに堕ちたのか”の謎に迫る、ダース・ヴェイダーの起源を探る作品でもあったエピソード1〜3が完成すると、旧シリーズだけを観た限りでは、ヴェイダーの心境の変化があっけなく、説明不足の感があった部分もきっちり補完されました。

そうなると、先に完成していたエピソード4〜6も含めた「スター・ウォーズ」という長い長い御伽噺全体の印象も変わり、この物語の真のヒーローは、実は、ダース・ヴェイダーことアナキン・スカイウォーカーだったのではないかとすら思えますね。現に今では、ルーク・スカイウォーカーはすっかり影が薄くなってしまい、むしろダース・ヴェイダーの方が様々な企業のイメージ・キャラクターに採用されたり(パリ在住時に見たマクドナルドの広告は秀逸でした)、映画の枠を超えて幅広いアートのモチーフになったりと、初期の“共感、情けは一切無用”のイメージがすっかり覆されてしまいました。今やダース・ヴェイダーといえば、“ホントは熱くて人間臭い正義の人だったけど、いろいろな不幸が重なって、弱い側面をコントロールできなくなり、悪い人になっちゃった不幸なヒーロー”という解釈が一般に定着。「スター・ウォーズ」の中では、最も愛されるキャラクターになっちゃったのではないでしょうか(笑)?

現在、「スター・ウォーズ」サーガを愛する者たちによってあらゆる方向に派生した、多様多種の“スター・ウォーズ・ストーリー”が世界中に散見されますが、いわゆるそうした“二次創作”的な作品の中でも、ジョージ・ルーカス御大率いるルーカス・フィルムのお墨付きをいただいているものは数えるほどしかありません。以前当館では、映画「ファンボーイズ」をご紹介していますが、ここにご紹介した絵本「ダース・ヴェイダーとルーク(4才)」は、その数少ない“本家公認”を肩書きに持つ作品の一つ。
絵本というより、「スター・ウォーズ」サーガを観て育った原作者ジェフリー・ブラウンが、彼自身の子育て経験をベースに、“もしもダース・ヴェイダーが4才ぐらいの一番やんちゃで可愛い時期のルークの子育てを自分でやっていたら…?”という、ヴェイダー・ファンなら誰しも一度は夢想したであろうアイデアを、「スター・ウォーズ」サーガ全体への愛情たっぷりに描いたイラスト集といった趣きの作品ですね。

私もいろんな形の二次創作系の作品を見てきましたが、プロのイラストレーター、アメコミ作家として知られる人の作品は、やっぱり一味違いますね。本家「スター・ウォーズ」への愛情が為せる“引用”の面白さだけではなく、仮に「スター・ウォーズ」を知らない人が見ても充分に面白いと感じられる程、一つの作品として普遍的な魅力をもっているからです。

画像

“息子よ、野球のバットを持つ時のグリップはこうだ”

まあ、本家サーガの純然たるファンの方々は、4ちゃいのルークが同じくちびっちゃいハン・ソロと遊ぶのを、ヴェイダー・パパから禁止されたりとか(笑)、砂漠でパパとくつろいでいた幼児ルークが、砂に埋まっているC-3POとR2-D2を見つけたり(その後、その2体のドロイドはヴェイダー父子の暮らす船で、彼らの身の回りの世話をしている描写もある)、エピソード4〜6クライマックスで、ヴェイダー・パパとルーク(大人)が死闘を繰り広げたデス・スターの換気口で、ルーク(4ちゃい)が遊んでいるのをヴェイダー・パパが慌てて止めたりとか(笑)、パパがロボットを修理する様子を隣でくっついて見ていたルークが、自分にもやらせろとごねたり(笑)、ヴェイダー卿が、4ちゃいの息子に向かって“父と共に歩め”と説得を試みてあっさり失敗したりとか(笑)、ルークを寝かしつけるのに、ダース・モールがクワイ=ガンを倒した話を聞かせたり(爆)、正義の味方を描いてくれと息子にごねられ、問答無用でダース・モールの禍々しい絵を描いちゃうヴェイダー卿(笑)といった、本家映画とリンクする引用ネタに、クスクス笑っていただければよろしい。

画像

“こらっルーク!危ないからそんな所で遊んではいかん!”

ただ、この作品は、今現在確立している新しいヴェイダー像と絶妙に呼応しながら、男手一つで幼い子供と懸命に対峙するシングル・ファーザーの、怒ったり笑ったり、うろたえたり焦ったり、右往左往する姿を描いた“父親の子育て”を描くものでもあります。銀河征服というお仕事の傍ら(笑)、4ちゃいの息子が、時に父親を凌駕するようなフォースと才能の片鱗を見せる姿に目を細め、さりげなくよそのお父さんに自慢するヴェイダー卿の姿は、これはもう普遍的な“お父さん”像そのもの。たとえ息子が父親の仕事を理解せず、また父親と進む道を別ったとしても、息子が大好きなパパと一緒にいる絵を描いてくれたり、父親が欲しがっているものをおもちゃで作ってくれたりするだけで、自分の中にある葛藤や不満をいっぺんに忘れることができる…。それが世の父親(もちろん母親も)というものなんですね。
だから、ヴェイダー卿とルーク(4ちゃい)父子が時に織り成す甘酸っぱいやり取りに、子を持つ世界中のパパ(もちろんママも)が思わず共感してしまうのでしょう。この絵本が、一介の“「スター・ウォーズ」サーガ二次創作作品”で終わらなかったのは、その洋の東西を問わぬ子育て、親子論の“普遍性”に理由があると思います。

“父親よ、もっと子育てに参画せよ”とは、近年特に頻繁に叫ばれることですが、自らの仕事(正義の味方じゃないけれど)にも、また子育てにも、生真面目に全力投球するヴェイダー卿の姿は、読者の“ダース・ヴェイダー”というシングル・ファーザーへの認識を、またもや新たにすることと思われます(笑)。

結論。
ダース・ヴェイダーは大変に子煩悩な素敵なパパであった。そして、そんなヴェイダー・パパの意外な一面を見せられると、「スター・ウォーズ」サーガは、本当はヴェイダーとルーク父子が長い時間をかけて和解するまでに至る、父子のドラマだったのだと思い直す人が世界中に溢れるに違いない(笑)。


・オマケ
「スター・ウォーズ」サーガのインスピレーションが生んだ、傑作二次創作作品をご紹介。

Jedi Grandma

おそらく若かりし頃はジェダイ・マスターであったに違いないおばあちゃんの、その壮絶な過去を垣間見る出来事。


Lazy Jedi

もしもジェダイが、暗黒面に堕落したのでもなんでもなく、ただ単にだらしなくなったとしたら。


スター・ウォーズ コンプリート・サーガ ブルーレイBOX (初回生産限定) [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2011-09-16

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by スター・ウォーズ コンプリート・サーガ ブルーレイBOX (初回生産限定) [Blu-ray] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

…この「ダース・ヴェイダーとルーク(4才)」は、あなたの「スター・ウォーズ」サーガへの認識を変えるかもしれない(笑)。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 7
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
かわいい かわいい
シスの暗黒卿は子煩悩―「ダース・ヴェイダーとルーク(4才)」 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる