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zoom RSS あるがままに生きよ。―「ボーン・ディス・ウェイ Born This Way」

<<   作成日時 : 2012/06/21 11:25   >>

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パフォーマーとしてのレディ・ガガには、斜め上60度の傾斜を滑るごときの奇抜さ、生々しい“女臭さ”といった、誰が見ても引くであろう(笑)わかりやすい“過激さ”を打ち出した、巧妙な戦略が感じられる。そんな姿勢が、伝えたいメッセージをユーモアというオブラートにくるんで提示しようとしていた、故フレディ・マーキュリーの精神を思わせて非常に共感を覚えるところだ。

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普段はハード・ロック中心のリスナーである私も、自分の好みとは畑違いのガガの音楽だけはちゃんと聴いたし、彼女のキンキーなパフォーマンスは相変わらず好き。にもかかわらず、2枚目までの彼女のアルバムに関しては、楽曲のタイトルとメロディーが合致しない不甲斐なさを、申し訳なく思う。

ボーン・ディス・ウェイ (スペシャル・エディション(2CD))
ユニバーサルインターナショナル
2011-05-23
レディー・ガガ

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●収録曲
・ディスク1
1. マリー・ザ・ナイト
2. ボーン・ディス・ウェイ
3. ガバメント・フッカー
4. ジューダス
5. アメリカーノ
6. ヘアー
7. シャイセ
8. ブラッディー・マリー
9. ブラック・ジーザス†アーメン・ファッション
10. バッド・キッズ
11. ファッション・オブ・ヒズ・ラヴ
12. ハイウェイ・ユニコーン(ロード・トゥ・ラヴ)
13. ヘヴィー・メタル・ラヴァー
14. エレクトリック・チャペル
15. ザ・クイーン
16. ユー・アンド・アイ
17. ジ・エッジ・オブ・グローリー

・ディスク2
1. ボーン・ディス・ウェイ -カントリー・ロード・ヴァージョン
2. ジューダス -DJホワイト・シャドウ・リミックス
3. マリー・ザ・ナイト -ゼッド・リミックス
4. シャイセ -DJホワイト・シャドウ・ミュグレー
5. ファッション・オブ・ヒズ・ラヴ -フェルナンド・ギャリベイ・リミックス
6. ボーン・ディス・ウェイ -ヨスト&ナーフ・リミックス (インターナショナル・ボーナス・トラック)
7. ボーン・ディス・ウェイ -LLG vs GLG ラジオ・ミックス (日本ボーナス・トラック)

Lady Gaga - Born This Way
shared from LadyGagaVEVO

だがしかし、ガガの「ボーン・ディス・ウェイ」を聴いた時、今までとはさらに異なる感慨を持った。以前からクレバーな人だとは思っていたが、彼女がなぜ今までいわゆる“マドンナ的”活動を行ってきたか(ガガとマドンナは本質的に異なるミュージシャンなのだけれども)このアルバムを聴いてやっと理解できたからだ。

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上記リンクした“ボーン・ディス・ウェイ”のPVをぜひともご覧になっていただきたい。あなたはこれを見て“不謹慎だ”とか、“背徳的だ”などとお感じになるだろうか。この楽曲でも、また他のナンバーでもそうだが、彼女は彼女自身が発したくてたまらなかった大きな大きなメッセージを、今作で前面に押し出している。そのためにこそ、保守的なモラル層から反発をくらうことを覚悟の上で、あえて“アウトサイド”に立ち、マジョリティを挑発するがごときの映像を作ってきたのだと思う。

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音楽のカテゴリとしては、いわゆるダンス・ミュージックの範疇にあるものだろうが、歌詞の重さ、PV等の視覚効果も最大限に駆使して聴く者の五感に迫る迫力は、確かに今までのアルバムにはなかったへヴィーさだ。あの1枚目と2枚目のアルバムは、あれらは世間の注目を集めるため、あえてカラフルに聴きやすく脚色した部分があったのだということが、本当によく分かった。このアルバムでは、キュロロンキュロロンした(笑)アメリカン・ロリータ・ポップ調の“軽さ”は、極力削ぎ落とされている。むしろロック・フィールド寄りの、切っ先の鋭い音とソリッドなリズム、重心の低いサウンドの奥には、冷ややかなシニシズムと真摯なメッセージがせめぎ合っていることを感じとるべし。

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ガガは、アルバム3枚目にして、自身の存在が世間に浸透した頃合を見て、時機到来と判断したのだろう。彼女自身がやりたいことを、言いたいことを、やりたいようにやったといえる作品を世に問うたわけだ。作品を貫くのは、“それがどんなカタチでもいい、あるがままの自分でいる勇気を持ちなさい”という、高らかなる“マザー・モンスター”の宣誓(manifesto)だ。レディ・ガガが、世界中のありとあらゆる“リトル・モンスター(その多くはマイノリティ)”のために、自身の身体も含めて全てをさらけ出し、モラルの垣根も乗り越えて戦うぞよと、このアルバムは語っているようである。彼女は、自身の敵も信者も征服して服従させたいわけではなく、彼らの側に立って彼らに献身することを選んでいるのだろう。

余談だが、ガガのPVを見ていると、彼女のダンスは、なんだかピナ・バウシュの振り付けに影響を受けているようにも感じる。バウシュのダンスは、美しく見せるためのダンスではなく、息をし、話し、怒鳴り、笑い、怒り、恐怖する、およそ自分の中にどよめくあらゆる感情を表現するための、単なるツールでしかなかった。ガガの音楽もそうなのかもしれない。


しばらく前の話だが、ポップス界の水戸黄門ことマドンナ大先生が、彼女の昔のヒット曲をガガがパクッたと騒いだことがあった。既に始まっている自らのツアーのとあるステージで、自分の楽曲とガガの楽曲をマッシュアップしたおふざけパフォーマンスを行い、話題になったそうだ。
このニュースを知ったとき、私自身は、これを他山の石として教訓にしようと深く自戒した。ステージで自分の楽曲と他人の楽曲の相似点を示すために、嫌がらせというのか、問題とする相手への挑発のようなパフォーマンスをする人と、それを知りつつ、騒ぎをそれ以上大きくしないよう行動する人と。あなたなら、どちらの人間と友達になりたいだろうか(笑)。
たとえどんなに正当な主張をしていても、それが相手の人格を貶める、あるいは相手を打ち負かすために行われるのであれば、その正当性は失われてしまう。どうしても自分の主張が正しいと世間に向かって証明したいなら、アメリカ人が大好きな訴訟でもなんでも起こせば済むことだ。実際問題、私のような素人には、マドンナの楽曲とガガの楽曲の類似性―問題視するほどの類似なのかどうか―は判断できない。ただ一つはっきりしているのは、申し訳ないけれど、今回のマドンナの振る舞いは大人げないように感じ、ガガが気の毒だなあと同情したことだけだ。
そして私自身も、ネットの世界において今回のマドンナの二の舞にならぬよう、自戒の気持ちを頭に叩き込んだ。自分で自分を律していなければ、ネットのように顔の見えない世界では、こんなことは、さして罪の意識も感じずに簡単に出来てしまう。

マドンナが音楽業界に残した足跡は偉大なものだと思うし、いまだに現役バリバリ、最前線で若手と勝負しようとする貪欲さには頭が下がる。歌手としての技術、音楽性の好き嫌い云々は別にして、とにかく“マドンナ”を全ての世代の、全ての世界のアイコンにせんと突き進むそのパワーには、ひれ伏せずにはおれない。マドンナという先達があったからこそ、ガガだって己のやりたいことを音楽の世界で追求出来る道が開けたのだ。

だがしかし、私自身は、アイコンとしてのセルフ・プロデュース能力、厳しい業界で生き残るための身の処し方、どれをとっても、ガガとマドンナは似て非なる存在だと思う。どちらがより優れているかという話では全くなく、アーティスト、ミュージシャンとしての本質が、彼女達は違うのだろう。

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いやそれよりも、見た目の過激さに反して非常にデリケートかつ繊細な心を持つガガは、果たしてこの“ブルドーザー”のごとき専制君主マドンナと、どうやって一線を画したキャリアを築いていくつもりなのだろうか。「ボーン・ディス・ウェイ」によって、ガガ自身の考える“あるがまま、そしてオンリー・ワンの生き方”の第一歩は踏み出されたが。


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