House of M

アクセスカウンタ

zoom RSS ブランドン・クローネンバーグの父子物語―第65回カンヌ国際映画祭

<<   作成日時 : 2012/05/23 23:35   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

処女作「Antiviral」が第65回カンヌ国際映画祭の“ある視点”部門(新人監督の処女作の中で最も優れたものを選出する部門。いわば新人監督賞に相当)に選ばれ、注目される新人監督ブランドン・クローネンバーグ。

画像

この名前を聞いて“おや?”と思ってくれる人が1人でもおられることを願いつつ、ブランドン君の作品がプレミア上映された5月19日のレッドカーペットの模様と、翌20日の明るい日中に行われたフォトコールの様子を振り返ってみます。当日、風邪で寝込んでいて騒げなかった鬱憤を、今こそ晴らしてくれようぞ。

画像

第65回カンヌ国際映画祭の“ある視点”部門に出品されたブランドン・クローネンバーグ監督の処女作「Antiviral」が、5月19日にプレミア上映されました。画像真ん中がブランドン、向かって左側が主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、右側は共演のサラ・ガドンです。

画像

ブランドン・クローネンバーグ監督は、カナダが生んだ鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督の実子であり、父親の映画製作現場を遊び場にして育ちました。そんな環境は、ブランドンをごく自然に創造の世界に導き、兄妹のケイトリンがファッション・カメラマンを志す一方で、彼自身は父親と同じ道を目指すことになります。2本の短編映画を製作した後、初の商業用長編映画「Antiviral」がいきなりカンヌ国際映画祭のスタッフの目に留まり、話題を集めているのですね。

Antiviral Director. Brandon Cronenberg (EXTRACTO)(本編からの映像の一部)


父親デヴィッド・クローネンバーグ監督は、カナダのトロントを本拠に映画製作を行っていた頃、実に奇妙で風変わり、グロテスクな意匠のホラー映画を生み出し、世界中に熱狂的なファンを獲得していました。それから何年もの年月を経て、父親がスリラーやサスペンスといった異分野に進出してキャリアを進化させていく傍ら、息子ブランドンは父親のキャリアの原点に立ち返るかのようなホラー映画を、彼自身のキャリアの第一歩としました。

Cosmopolis Director. David Cronenberg - Official Trailer [HD]


そして、父親は進化形キャリアの新たな始点となるかもしれない新作「Cosmopolis」で、息子は父親の足跡を辿る処女作「Antiviral」で、それぞれが同じカンヌの地を踏むことになったわけです。カンヌで、“クローネンバーグ映画史”の円環が結ばれたような、なにやら因縁めいたものを感じてしまうのは私だけでしょうかね。

…しかし…。
ブランドン・クローネンバーグ監督の記念すべき処女作のプレミア上映が、新人らしいどこか初々しさも漂う独特の緊張感の中で行われようとしていた時のこと。

画像

!!!

画像

お父さんもプレミア会場に来ちゃったよ(爆)!!

画像

ごくさりげなく、息子の作品のレッド・カーペットに姿を見せたデヴィッド・クローネンバーグ師匠(涙笑)。この画像を見て、わたくしめがどれほど声を枯らして絶叫したか、察していただけますか?

画像

なんだろう…。息子の晴れ姿を間近で見たくなったのかな(笑)?大学を優秀な成績で終えた息子の卒業式に出席した、父親のような雰囲気(分かりづれぇよ)でしょうか。それとも、息子の門出に花を添え、彼のキャリアの後押しをしてやりたいという親心でしょうかねえ。

画像


画像

すんごいナチュラルに、「Antiviral」でヒロインを演じたサラちゃんの隣に立つ師匠(笑)。念を押しておきますが、師匠は息子さんの処女作品製作には、直接には何ら関係ありません(笑)。

画像

ただ、このサラちゃんは、師匠の近作「A Dangerous Method」(今秋日本でも公開予定)と「Cosmopolis」(2013年日本公開予定)の2作品に立て続けに出演し、目下のところ、師匠のお気に入り女優の地位を獲得しているので、このような師匠小暴れショットも飛び出すわけです(笑)。

カナダの最も大きな日刊紙グローブ・アンド・メール紙The Globe and Mailの記者がカンヌに突撃し、クローネンバーグ父子2人にインタビューを試みています。親子2世代にわたる映画監督の新作が、同じ映画祭で同時に選出される(部門はコンペティション(父)、ある視点(息子)と異なりますが)という現象も滅多にあることではないので、このたびのクローネンバーグ父子の快挙(作品がカンヌに選ばれるだけでも快挙)は話題を呼んでいます。では、Telefilm Canada主催、グローブ・アンド・メール紙記者による“クローネンバーグ父子漫才インタビュー”の動画をどうぞ。

The Cronenbergs at Cannes / Les Cronenbergs à Cannes
 shared from TelefilmCanada

画像

「Antiviral」より。主演ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」のバンシー役のときとはがらりと雰囲気を変え、特殊なウィルスを収集、培養する会社の従業員を演じています。彼のこの暗く、内向的なイメージから、私自身は若い頃のブラッド・ドゥーリフを思い出したのですが、ケイレブの存在感こそが今作の奇妙で冷ややかな風合いを決定付けているのは間違いないでしょう。

画像

「Antiviral」のプレミア上映が終わり、ブランドンの作品をいち早く観たラッキーな観客のうちの幾人かは、早速twitterで感想を流し始めているようですね。映画サイトにちょこちょこ取り上げられている、作品への一般客のコメントを拾い読みしてみました。好意的な評価からネガティヴな評価まで、「Antiviral」への一般の反応は様々。師匠の初期の土着ホラー作品群を髣髴とさせる雰囲気を好む観客は、おそらく師匠のコアなファンだと思われます。まあしかし、あまりにも師匠の初期のホラー作品に似ていることから、「Antiviral」は父親のホラー作品へのオマージュ、あるいは単なるコピーに過ぎないのではないかといった厳しい評価も。
確かに、ブランドンにとっては師匠の存在は偉大すぎるし、大きすぎるものでしょう。超えられない要塞のごとき壁として、ブランドンのアイデンティティの前に立ちはだかっているのかもしれません。ですが、以前の記事にも書いたように、師匠自身も見落としていた師匠の作品世界の意外な一面を発見できる可能性を持つのは、おそらく世界中でブランドンただ一人。彼が彼自身のキャリアを築くとしたら、その、師匠の作品世界の死角に新たなアイデアを与え、別の方向に進化させていくことが必要でしょうね。きっと彼は、生まれ持った師匠のDNAに突然変異を起こさせるだけの力量を兼ね備えていると信じていますよ。

翌日5月20日には、「Antiviral」のフォトコールが行われました。

画像

画像向かって右側がブランドン・クローネンバーグ、その左隣がサラ・ガドン、サラの左隣がケイレブ・ランドリー・ジョーンズですね。

画像

背丈は高いけれど、ひょろ〜っとしたイメージの、いかにも内向的かつ明らかにインドア派な(笑)ブランドン。いつもオシャレなお父さんとはちょっと違う、初々しい雰囲気が良いですなあ。

画像

さてさて。

最後に、“師匠によるカンヌで営業活動”報告なぞを(笑)。

師匠が、我が息子の晴れ舞台の応援に馳せ参じたことには、事情があったようです。師匠自身の作品のプレミア上映も25日に予定されているからということもあるのですが、その他にも各種イベントに参加している師匠の姿がキャッチされています。

画像

今年で第65回目を迎えるカンヌ国際映画祭を記念して、2007年の「それぞれのシネマ〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜」に作品を寄せた監督達が一堂に会し、映画への愛情、映画史への深い敬意、そして映画産業への更なる貢献を謳った催しももたれました。これが5月20日のことですね。

画像

師匠は「それぞれのシネマ〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜」のために、“最後の映画館における最後のユダヤ人の自殺”という短編を撮っております。また、以前にはコンペ部門の審査委員長も務めているほど、カンヌとは浅からぬ縁がありますので、師匠がこういったイベントに駆り出されるのも当然の成り行き。

画像

5月21日夜には、カンヌに集まった大勢の映画監督たちの労をねぎらい、ディナーが供されました。師匠もサラちゃんと登場。

画像

師匠、サラちゃんがよっぽどお気に入りのご様子(笑)。あと2日足らずとなった「Cosmopolis」プレミア開催が楽しみですね。


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村


映画 ブログランキングへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス
ブランドン・クローネンバーグの父子物語―第65回カンヌ国際映画祭 House of M/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる