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zoom RSS PGAとWGAとBAFTAはGGを醒めた目で見ている…のか?PGA、WGAとコメディ。

<<   作成日時 : 2012/01/07 23:28   >>

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実は今、英国アカデミー賞(以下BAFTA)の2012年度ノミネート作品のリスト―Orange British Academy Film Awards in 2012―を見ていました。そのリストと、先日発表されたゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)のノミネートを比べると、明らかな相違点があることがわかります。

アメリカと英国というお国柄の違いを反映してもいるでしょうが、その後発表された、アメリカ製作者組合(PGA)賞とアメリカ脚本家組合(WGA)賞のノミネート・リストの傾向が、BAFTAのそれと似通っていることにも気づきました。ここに至ってやっと、GG賞のノミネートの内容に、一部釈然としないものを感じていた理由が分かった気がしますね。

BAFTAのノミネート・リストは膨大なので(笑)、参考までに、PGA賞とWGA賞のノミネート・リストをメモしておきます。


アメリカ製作者組合(PGA)賞

・実写作品
 「アーティスト The Artist」
 「Bridesmaids」
 「ファミリー・ツリーThe Descendants」
 「ドラゴン・タトゥーの女 The Girl With The Dragon Tattoo」
 「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 The Help」
 「ヒューゴの不思議な発明 Hugo」
 「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜 The Ides of March」
 「ミッドナイト・イン・パリス Midnight In Paris」
 「マネーボール Moneyball」
 「戦火の馬 War Horse」

・アニメ作品
 「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 The Adventures of Tintin:The Secret of The Unicorn」
 「カーズ2 Cars 2」
 「カンフー・パンダ2 Kung Fu Panda 2」
 「長ぐつをはいたネコ Puss in Boots」
 「ランゴ Rango」

・ドキュメンタリー作品
 「Beats, Rhymes and Life: The Travels of a Tribe Called Quest」
 「Bill Cunningham New York」
 「プロジェクト・ニム Project Nim」
 「アイルトン・セナ 〜音速の彼方へ Senna」
 「The Union」

例えばPGA賞のノミネート作品を見てみても、地味なラインナップながら妥当な選出になっています。他の映画賞ではなんとなく敬遠されていた格好の、デヴィッド・フィンチャー監督のリメイク作品「ドラゴン・タトゥーの女」が、“リメイクだから”選外になるというのではなく、きちんと内容を評価された上でノミネーションを受けているのが印象的。ヴィム・ヴェンダース監督(「ベルリン/天使の詩」「ブロークン・フラワーズ」)による、天才舞踏家ピナ・バウシュのドキュメント「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」が漏れてしまったのは残念ですが、非常に納得のいくリストですよね。


アメリカ脚本家組合(WGA)賞

・オリジナル脚本賞
 「50/50 フィフティ・フィフティ 50/50」ウィル・ライザー
 「Bridesmaids」Kristen Wiig, Annie Mumolo
 「ミッドナイト・イン・パリス Midnight in Paris」ウディ・アレン
 「Win Win」Thomas McCarthy,Joe Tiboni
 「ヤング≒アダルト Young Adult」ディアブロ・コディ

・脚色賞
 「ファミリー・ツリー The Descendants」
 「ドラゴン・タトゥーの女 The Girl With The Dragon Tattoo」
 「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 The Help」
 「ヒューゴの不思議な発明 Hugo」
 「マネーボール Moneyball」

・ドキュメンタリー脚本賞
 「Better This World」
 「If a Tree Falls: A Story of the Earth Liberation Front」
 「光、ノスタルジア Nostalgia For The Light」
 「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち Pina」
 「Position Among the Stars」
 「アイルトン・セナ 〜音速の彼方へ Senna」

さてこちらは、脚本家組合が選出する、優れた脚本・脚色の作品群です。オリジナル・アイデアが枯渇して久しいと言われるハリウッドでは、年々この“オリジナル脚本賞”の持つ意味合いが重くなっているように感じますね。ある意味、ハリウッドにとって大変貴重な賞なのではないでしょうか。
そのオリジナル脚本賞の部門は、今回はコメディ風味の作品が多くなっています。日本でも公開されたジョセフ・ゴードン=レヴィット主演の「50/50 フィフティ・フィフティ」は、脚本家自身の体験を元にした作品で、ガンに侵された青年の心の軌跡を、ウェットになりすぎず軽妙に描いている点が高く評価されました。私も劇場で観ましたが、重い題材を扱いながらも、“ウェット”ではなく“ウィット”に富んだ描写、しかし全てのシーンがリアルそのものという、絶妙な脚本と演出に感心しましたね。
日本未公開作品「Bridesmaids」の脚本は、主演も兼ねる才媛クリステン・ウィーグです。そして、同じく日本での劇場公開が決まっていない「Win Win」は、クセ者俳優ポール・ジアマッティ(「アメリカン・スプレンダー」「サイドウェイ」)主演のコメディで、監督自らが脚本を手掛けたもの。ジアマッティが主演しているという時点で、既に私の中では興味津々の作品なのですが、世間様はどうやらそうではないようで(笑)。相変わらずコメディ作品を冷遇する日本のマーケットに、映画界の未来はコメディが担っているのかもしれないぞ、と声を大にして訴えたい気分ですね。

画像

それが証拠に、滅法面白いと評判の「ヤング≒アダルト」も、「ジュノ」の監督・脚本コンビ、ジェイソン・ライトマン監督と脚本家ディアブロ・コディが再タッグを組んだコメディ・ドラマであります。天下のゴージャス美女シャーリーズ・セロンを、離婚したてのビッチ女(しかもかなり安っぽい)に仕立ててしまったというもの。
離婚して故郷の小さな町に出戻ってきた女が、元恋人と再会して…というお話ですが、「ジュノ」でも見られたように、スモールタウンならではの人間関係の中に、異分子を放り込むことで巻き起こる波紋を、ディアブロならではの冴え渡る切り口と毒舌で描いている作品です。ディアブロの前作「Jennifer's Body」は、ティーン・コメディ+ホラー映画のよくあるシチュエーションを、女の子の視点で再編成したような内容でした。
彼女の書く脚本は、基本的に“女の子”の物語なのですが、女の本音をあっけらかんとさらけ出すついでに、同族の女たちへの皮肉もたっぷり含まれるという、辛口の毒っ気が特徴です。今回の作品は、女子高生ではなくいい大人の女が主人公。これは私の想像ですが、おそらくディアブロは、彼女自身のアルターエゴを描こうとしているのではないかと思っています。さてさて、楽しみな作品だとは思いませんか?

昔から、本当に面白くて質の高いコメディ映画を生み出すのは、至難の業だといわれます。してみれば、斜陽のハリウッドにおける何よりの宝物“オリジナリティ”は、案外コメディ作品の中にあるのやもしれませんね。

ゴールデン・グローブ賞では無視されてしまった作品が、BAFTAやアメリカ製作者組合(PGA)賞、アメリカ脚本家組合(WGA)賞のノミネート・リストにはしっかり載っていたり、またその逆の事態もあったり。各々の組織の“映画への評価”に対する考え方の違いが、垣間見えるような気がします。どちらを支持するかは、観客の自由ですが。


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…ところで、クローネンバーグ監督の「A Dangerous Method」は、一体どうしちゃったんでしょうかね?もうオスカーくれとは言わないから(自虐)、せめて日本公開の日取りだけでも決まって欲しいですよ。ジョージ・クルーニー兄貴の「The Ides of March」だって公開されるのに…。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Win Winは飛行機の中で見られてやった!ラッキー!の1本。ジアマッティさんの味と『高校生レスリング』とエイミー・ライアンがまっすぐでおかしいのと、とにかく面白かったです。
クリスティン・ウィーグの才能はものすごく見たい、ほんっっとに日本に入ってきませんよね。今アチラのコメディ@ドラマにおいても女子力(あまり使いたくない言葉ではあるが)が多彩で人気出てるのにそっち系のは中々(全然)入ってこない。つーかコメディ全般か。ぼそぼそおかしいドラマがいろいろ有るのにスルーされてる。勿体無い。
ドラゴンタトゥーの女、主演女優の役作りに興味あります。根本的に違ったアプローチをしているというような声をちらと聞いたので。
それにしてもクローネンバーグ先生の映画、見たいざます。。。(涙)
atsumi
2012/01/09 07:59
>Win Winは飛行機の中で見られてやった!

ええええー!いいなあ、atsumiさん。なんと羨ましい。
うわ〜、お話を聞いていたらますます観たくなる〜。以前atsumiさんが仰られていたように、地味だけど面白いコメディ作品を、日本はもっと積極的に輸入すべき。“笑いのツボが日本人とは違うから”ってよく言われますけど、それはくだらないコメディを観るからそうなっちゃうんであって(笑)。

クリスティン・ウィーグにしろ「30Rock」のティナ・フェイにしろ、本当に才能のある女性達が無視されているのは残念。シリアスなドラマしか評価されないという思い込みは、この際捨てなくちゃ。

「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラ、オリジナルのノオミ・ラパスよりもっと華奢で、本当にいたいけな少女という雰囲気です。ノオミの方は、あのパンク・ファッションの隙間から“成熟した女”を感じさせてすばらしかったですが、ルーニーはどうでしょうね。
ノオミは「エイリアン」のプリクェール「プロメテウス」でもキーパーソンですし、「シャーロック・ホームズ」第2弾にも登場しますし、リスベット役以外の顔に興味が湧きます。

クローネンバーグ監督…。こんなに日本公開が決まらないのは解せません。何か事情があるのかなあ。
豆酢
2012/01/09 22:28

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