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zoom RSS ナショナル・ボード・オブ・レビュー、NYとLA批評家協会選出のベスト作品

<<   作成日時 : 2011/12/13 23:07   >>

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全ての映画賞で、“最優秀作品賞”を与えられた作品が異なるという現象も、意外と珍しいと思いますね。


New York Film Critics Movies Awards(NY批評家協会賞)

1935年に結成されたNY批評家協会は、独自の基準で選出したその年の優秀な作品を発表した、最初の批評家集団なのだそうです。新聞や雑誌、あるいは映画サイト等で映画批評を行っている批評家で構成され、毎年選出する優秀作品のセンスにはプロとしての自信を覗かせていますね。ここ10年以上、アカデミー会員が選ぶ作品とは一致しないラインナップが続きますが、まあ、あちらさんはリタイアしたじじばばの団体でございますからねえ(苦笑)。
今回、デヴィッド・フィンチャー監督の『The Girl With the Dragon Tattoo』劇場公開の日程の関係で、受賞作品のアナウンスが遅れましたが、結局同作品は、どの部門でも受賞することはありませんでした。

Best Picture:『The Artist』

Best Director:Michel Hazanavicius 『The Artist』

Best Actress:Meryl Streep 『The Iron Lady』

Best Actor:Brad Pitt 『Moneyball』『The Tree of Life』

Best Screenplay:Steve Zallian and Aaron Sorkin 『Moneyball』

Best Supporting Actress:Jessica Chastain 『The Tree of LIfe』『The Help』『Take Shelter』

Best Supporting Actor:Albert Brooks 『Drive』

Best Nonfiction Film:『Cave of Forgotten Dreams』by Werner Herzog

Best First Feature『Margin Call』by J.C. Chandor

Best Cinematography:Emmanuel Lubezki 『Tree of Life』

Best Foreign-Language Film:『A Separation』(Iran)

Special Posthumous Award:Raoul Ruiz(died in August)

授賞式のセレモニーは来年1月9日、マンハッタンで行われる予定です。


National Board of Review(ナショナル・ボード・オブ・レビュー)

ここ数年、ナショナル・ボード・オブ・レビュー(以下、NBRと略)の選出する“今年のベスト作品”も、オスカーの選ぶ“ベスト作品賞”が必ずしも一致しない傾向が続いています。しかし依然として、NBRがアカデミー会員に与える影響力は計り知れないものがありますね。NBRは、映画人、映画関連の教育者、及び映画学校等に学ぶ生徒達によって、1909年に設立されました。ハリウッドにおいては最も歴史が古く、権威ある団体です。

Best Film of The Year:『Hugo』

Best Director:Martin Scorsese 『Hugo』

Best Actor:George Clooney 『The Descendants』by Alexander Payne

Best Actress:Tilda Swinton 『We Need to Talk About Kevin』

Best Supporting Actor:Christopher Plummer 『Beginners』

Best Supporting Actress:Shailene Woodley 『The Descendants』

Best Adapted Screenplay:Alexander Payne, Nat Faxon, Jim Rash 『The Descendants』

Best Original Screenplay:Will Reiser 『50/50』

Best Animated Feature:『Rango』

Best Breakthrough Performance:Felicity Jones 『Like Crazy』 & Rooney Mara 『The Girl With the Dragon Tattoo』

Best Debut Director:J.C. Chandor 『Margin Call』

Best Ensemble:The cast of 『The Help』

The Spotlight Award:Michael Fassbender 『A Dangerous Method』『Jane Eyre』『Shame』『X-Men: First Class』

NBR Freedom of Expression:『Crime After Crime』

NBR Freedom of Expression:『Pariah』

Best Foreign Language Film:『A Separation』

Best Documentary:『Paradise Lost 3: Purgatory』

Special Achievement in Filmmaking:『The Harry Potter』 Franchise (A Distinguished Translation from Book to Film)

セレモニーは、来年1月10日、ニューヨークの42番街で行われるそうです。


Los Angeles Film Critics Awards(LA批評家協会賞)

NY批評家協会と並んで有名なのが、LA批評家協会ですね。NYの映画観客層の嗜好とLAのそれは異なっており、NYが全体としてアーティスティックな作品を好む傾向にあるとすれば、LAでは分かりやすい娯楽性の高い作品が支持される傾向がありますね。今回は、NY批評家協会のチョイスと差異をつけようとしたか、最優秀女優賞に韓国の女優を選出するなど、奇抜なラインナップになっているようです。

Best Picture:『The Descendants』
Runner-Up(次点):『The Tree of Life』

Best Animation:『Rango』
Runner-Up(次点):『The Adventures of Tintin』

Best Director:Terrence Malick 『The Tree of Life』
Runner-Up(次点):Martin Scorsese 『Hugo』

Best actor: Michael Fassbender 『A Dangerous Method』『Jane Eyre』『Shame』『X-Men: First Class』
Runner-Up(次点): Michael Shannon 『Take Shelter』

Best Actress: Yun Jung-hee 『Poetry』
Runner-up(次点): Kirsten Dunst 『Melancholia』

Best Documentary/Nonfiction film:『Cave of Forgotten Dreams』by Werner Herzog
Runner-Up(次点):『The Arbor』by Clio Barnard

Best screenplay: Asghar Farhadi 『A Separation』
Runner-Up(次点): Alexander Payne, Nat Faxon, Jim Rash 『The Descendants』

Best supporting actress: Jessica Chastain 『Coriolanus』『The Debt』『The Help』『Take Shelter』『Texas Killing Fields』『The Tree of Life』
Runner-up(次点): Janet McTeer 『Albert Nobbs』

Best supporting actor: Christopher Plummer 『Beginners』
Runner-up(次点): Patton Oswalt 『Young Adult』

Best cinematography: Emmanuel Lubezki 『The Tree of Life』
Runner-up(次点): Cao Yu 『City of Life and Death』

Best music/score: The Chemical Brothers 『Hanna』
Runner-up(次点): Cliff Martinez 『Drive』

Best production design: Dante Ferretti 『Hugo』
Runner-up(次点): Maria Djurkovic 『Tinker Tailor Soldier Spy』

Best Independent, Experimental:『Spark of Being』 Directed by Bill Morrison, it's a re-imagining of Mary Shelley's "Frankenstein,: using images culled from archives around the world.


【結果を比較しての総論】:“これだ!”と皆が唸るような、突出した作品がないということになりますね。どれもこれも小粒で、どんぐりの背比べ状態なのでは。だから、票が割れてしまう。…それに、こんな地味なラインナップなら、クローネンバーグ監督の『A Dangerous Method』も入っていていいと思いますけどね。

アメリカには、他の都市にも批評家協会が存在しますが、代表的な団体の選出した作品を眺めるだけでも、今年のラインナップがいまひとつ迫力に欠けていることは一目瞭然です。ここでも再三書いているように、メジャーな映画賞に出馬してくる作品が、インディペンデント映画賞とほとんど変わらないのですよね。この風潮は、今年もますます強くなっています。
インディ映画の台頭が問題だ、いやいや、メジャー映画の質が下がりすぎたのがいけないのだ、等々の議論は不毛なので、今更繰り返しません。しかしながら、アメリカ国内だけで内輪受けする類のせこい作品ではなく、世界に通用する、堂々たる風格の本物のアメリカ映画を、ここ久しく観ていないと切実に感じますね。昨日観た「ナッシュビル」(1975年、ロバート・アルトマン監督)のように、観客の好き嫌いなんぞを超越した真に力のある映画が、ハリウッドで作られなくなって何年も経っているのです。普段はヨーロッパ映画の方を好んでいる身であっても、これは由々しき事態だと深刻に受け止めていますよ。おそらく業界で言われている以上に、映画界の衰退は進んでいるのではないでしょうかね。

現在86歳、認知症に苦しんでいるといわれるマーガレット・サッチャー元英国首相の伝記映画『The Iron lady』について。名女優メリル・ストリープが実在の著名人(しかもまだ存命中)を演じるとあって、かなり話題になっているようですが、一方では、劇中のメリルの演技に不快感を表明する人たちもいるとか。特に、やはり認知症と診断された頃のサッチャー女史を体現するメリルの演技が、波紋を呼んでいるそうです。女史の近親者の方々にとっては辛く、デリケートな問題ですから、それを映像で突きつけられると耐え難いものがあるのかもしれません。しかも、それを演じるのがアメリカ人女優となると余計にね…。この件に関しては、本編を観てみないことにはコメントのしようがありませんな。

画像

(画像向かって左側が、『Shame』の脚本と演出を手掛けたスティーヴ・マックィーン監督。右側は主演のミヒャエル(マイケル)・ファスベンダー)

楽しみなのは、今年のライジング・スター、ミヒャエル・ファスベンダーが絡んでいる主演男優賞部門ですかね。LA批評家協会からは、出演した近作4作品で披露した演技を総合して評価されたようです。願わくば、願わくば、クローネンバーグ監督の『A Dangerous Method』でオスカーにもノミネートされて欲しいですけれど、多分無理でしょう(笑)。スティーヴ・マックィーン監督の異色ドラマ『Shame』はNC-17指定を食らいましたが、興行には何ら影響を及ぼさないのでは。これら映画賞での健闘と、脂ののった美男ミヒャエルの苦悩する姿、エロティックな姿を堪能できる作品として、おそらく日本でも問題なく劇場公開されるはずです。
ただまあ個人的には、『Moneyball』の夢破れたGMビリー・ビーンを自然体で演じたブラッド・ピットにオスカーをあげたい気もしますけどね。なんというか、ブラッド本人が望んでいたであろう演技と、彼が実際に演じているキャラクターがようやく合致したような印象を受けますものね。彼は今ようやく、自分が本当にやりたい演技をできているのではないでしょうか。最近の肩の力の抜け具合を見ていると、そんな気がしますねえ。


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『A Dangerous Method』の“A”の字も出ない現状…。ま、覚悟はしていたけどさ…。

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