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zoom RSS “映画のお祭り”から締め出されたブレット・ラトナー監督の“後の祭り”。

<<   作成日時 : 2011/11/10 14:35   >>

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日本語のニュースサイトにも記事が出たので、当館でも怒りをこめて取り上げてみます。来年度のオスカー授賞式のプロデュースを手掛ける予定だったブレット・ラトナー監督(「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」「ラッシュアワー」シリーズ)が、自身の新作『Tower Heist』(エディー・マーフィー、ベン・スティーラー主演)のスクリーニングが行われた会場においてアンチゲイ発言を行った失態の責任を取り、プロデュース職を辞任した事件です。

それに伴い、同授賞式で司会を務める予定だったエディー・マーフィーも辞退を表明。たった一言の失言が、思わぬ大騒動につながったわけですね。事の発端は、問題の『Tower Heist』スクリーニングが行われた会場に、恋人を伴って参加していたある俳優(声優)のツイートでした。

“Just saw #TowerHeist followed by Q&A with Brett Ratner. Takeaway quote: "Rehearsing is for fags." ... Yeah, he's an impressive fella. #wtf.” ―D.C.Douglas

先週金曜日、ハリウッドのアークライト・シネマでは、ラトナー監督の『Tower Heist』のスペシャル・スクリーニングが行われていました。監督が会場のファンから出された質問に答えるQ&A方式のもの。D・C・ダグラスさんも、恋人と連れ立ってこの会場にいました。退屈な質問が続き、監督もうんざりしていたのかどうなのか、あるファンからの、同作の撮影に関しての質問にこんな風に答えたそうです。

“Rehearsing is for fags.(リハーサルなんざ、オカマのためのものさ)”

ダグラスさんも恋人も、最初は監督がジョークを言っているものだとばかり考えていたそうです。ところが、監督はそれらしき素振りを露とも見せず、また会場にいた大勢の人間のうち誰一人として、監督の失言をフォローする者はいませんでした。つまり、ラトナー監督は上記の発言をしごく大真面目に行い、そして誰もそれを止めようともしなかったというわけですね。ダグラスさんは二重にショックを受け、帰宅後、自分のツイッターアカウントで上記のツイートを書きこみました。

ツイッター上での発言は、世界に向かって発信されるものです。ラトナー監督の失言はたちまち世界中に広まり、彼は各方面から批判される羽目になりました。このツイートに書かれたことが、同じ会場にいた人たちによって事実であることが確認され、ラトナー監督は窮地に追いやられました。彼は慌てて謝罪声明を出したものの、時既に遅かったようです。同性愛者の権利を守る団体のみならず、同業者の中にもラトナー監督に不快感を表明する人が相次ぎ、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の一部委員からの反発が決定打となって、ラトナー監督は映画界最大の華やかなイベントから辞退せざるを得なくなったのですね。

『Tower Heist』のトレーラーを今見てきたのですが、エディー・マーフィー、ベン・スティーラーを軸に、「プレシャス」でブレイクしたガボレイ・デジベ、マイケル・ペーニャ、ケイシー・アフレック、マシュー・ブロデリック、テア・レオーニ、そしてアラン・アルダと、通好みのクセ者役者ばかり揃えた、スピード感溢れる賑やかで楽しげなアクション・コメディ作品に仕上がっているようです。この事件が原因で、作品そのものまでも世間から冷ややかなまなざしで見られるとあれば、それは本当に残念なことです。監督の人格と彼が作り出す作品の良し悪しとは、あくまでも無関係。大昔にあった、あの「一杯のかけそば」騒動を思い出しますね。

画像

映画界には魑魅魍魎が跋扈します。映画プロデューサー、あるいは映画監督という肩書きを持っていても(現にラトナーも「プリズン・ブレイク」も手掛けた売れっ子クリエイターという肩書きを持つ)、必ずしも人品卑しからぬ人物であるとは限りません。映画史に残る名作を生みだしたクリエイターでも、オフスクリーンではどうしようもない人格破綻者、社会不適合者だったりするわけで(笑)、真実がそうであるならば観客としては、スクリーンの魔法に惑わされたままである方がいっそ幸せかもしれませんよね。
ツイッターやフェイスブックといったネットのツールによって、今まで夢であったものの真実の姿が急速に暴かれるようになりました。大衆の目から隠されていたものを白日の元に晒すことの多くは、確かに正義でありましょうが、逆の作用をもたらす場合もまた、少なくないと思われます。今回の事件でキャリアに傷が残ったラトナー監督以上に、彼の失態を告発したダグラスさんの方に、謂れなきダメージがないことを祈るばかりです。
それにしても、いつも豪快かつ男らしいことで知られるラトナー監督、今回ばかりは、ネットが秘める無数の“監視の目”のパワーに屈する形になったわけですね。彼にとっては“ついうっかりミス”で済まされるものでも、時と場合によっては、うっかりでは許されなくなるということを思い知ったのではないでしょうかね。後悔は後にも先にもたちません。しかし、彼のミスは明日の我が身です。ネット界に生きる私たちも、充分気をつけないといけませんや。

映画を含む芸術の分野では、比較的同性愛への偏見が緩やかだとはいえ、やはりまだまだ根強い差別意識があるのだと実感しますね。何かの拍子にそんな侮蔑的な発言が飛び出すということは、日常的に異質なものへの差別意識を持っているということでしょう。ラトナー監督は言い訳が出来ない立場ですが、彼の失言を容認した他大勢の人間も同じ穴の狢ですよね。
ゲイであれヘテロであれ、それぞれがお互いの領域を侵攻しないように、敬意をもって相手の存在を認め合うということは、そんなに難しいことなんでしょうか。むしろ、そんな簡単なことすら出来ない、この融通の利かないギスギスした社会に、果たして未来はあるのかと言いたいわ。

The Hollywood Reporterのサイトのこの記事を参考にさせていただきました。ロイター通信の該当記事はこちら


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