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zoom RSS 鏡よ鏡、ショーン王は何処? "Mirror Mirror"と白雪姫。

<<   作成日時 : 2011/11/17 20:51   >>

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こら、ターセム・シンよ。あなたちょっとそこに正座しなさい(怒)。


現在日本でも公開中のギリシャ神話映画「インモータルズ 神々の戦い」のターセム・シン監督による、前々から話題を呼んでいた白雪姫リブート・プロジェクト(笑)の作品のタイトルが『Mirror Mirror』に決定しました。義理の娘、白雪姫を亡き者にしにようとする魔女が、鏡に向かって“鏡よ鏡、世界で最も美しいのはだぁれ?”と問いかけることから、付けられたタイトルのようです。また、主要キャストであるジュリア・ロバーツ(悪い女王(魔女))、リリー・コリンズ(白雪姫)、アーミー・ハマー(王子様)らをフィーチャーしたトレーラーも公開されました。

Mirror Mirror trailer


来年3月16日に公開が決まったこの作品、実は「トワイライト」シリーズのスター、クリステン・スチュワートが白雪姫を演じる別企画も同時進行中であり、同じ著名な童話を題材にした作品として何かと比較されています。クリステン版白雪姫は、タイトルを『Snow White and The Huntsman』というそうで、時代物のアクション映画のような雰囲気を目指しているようですね。こちらでは、魔女の命を受けて猟師に殺されそうになった白雪姫が、逆に戦士として鍛えられていくといったストーリーです。

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画像向かって左側がクリステン版“ジャンヌ・ダルク風味”白雪姫、右側がやたら濃い眉毛の持ち主リリー・コリンズ版“ロリコンお姫様風味”白雪姫です。片や凛々しい男勝りの白雪姫、もう一方は、幼い風貌のキラキラお星様が飛んでそうな白雪姫。さあ、あなたはどちらの白雪姫がお好みですか(笑)?…余談ですが、クリステン白雪姫が持っている盾のデザインが、「ロード・オブ・ザ・リング」のモロパクリじゃないのかという苦情は、どこからも出なかったのでしょうか?

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さて、グリム兄弟がまとめた童話は、ヨーロッパに伝わる古い民間伝承をベースにしています。知識階級にある人たちが書籍という形で残す類の文化とは違い、貧しい労働者たちが親から子へ口頭で伝える、いわゆる土着の昔話でありますから、当時の彼らの生活環境を反映するような、陰惨で生々しい、血なまぐさいお話が多いですね。昔、“本当は怖いグリム童話”なる解説本が流行ったことがありましたが、そう、グリム兄弟がまとめた民間伝承は、元々が暗くて後味の悪い内容のものだったのです。
万年アイデア不足にあえぐハリウッドに、突如沸き起こった“著作権切れてるから製作費浮くじゃん、ラッキー!”童話リブート流行の先陣を切った「赤ずきん Red Riding Hood」(キャサリン・ハードウィック監督)でも、オリジナルに近い状態の残酷、かつエロティックな解釈がなされていました。
そもそも、グリム童話から本来の持ち味である陰惨さを完全漂白してしまったのは、あのディズニーであります。ディズニーが製作してきた数々の童話アニメ映画では、子供たちに夢と希望、そして勇気を与えるため、現実世界で起こるような理不尽な暴力や残酷な死の臭いは、一切存在してはなりませんでしたから。ええ確かに、現実離れしたキレイごとが並べられた作品ではありました。異論はありましょうが、私自身は、ディズニーが打ち立てた“子供達のための理想の童話”は、それでもちゃんと意義があると思っています。子供から夢や創造力を奪ってはいけないですしね。童話に隠された不条理な現実の痛みは、大人になってから理解すればいいことです。

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くだんの白雪姫のオリジナルも、実はかなり残酷でシュール、異常性愛嗜好をも孕んだ危険なストーリーです。たった7歳の幼い少女相手に、大きな力を持つ大人が手練手管を弄し、死の恐怖をちらつかせるのですから、よく考えればこんなに不条理な話もありませんよね(笑)。白馬に乗ってたまたま通りがかった王子様も、気の毒な白雪姫を助けるでもなく、彼女の死体を欲しがる(姫が死んで悲しむ小人達に姫の死体を売ってくれと迫る)死体愛好家だし(笑)。もののついでに書いちゃいますけど、原作では姫は王子様の接吻で甦るわけではなく、彼女を入れていた棺が落っこちた衝撃で、彼女の喉に詰まっていた毒りんごのかけらが飛び出し、息を吹き返します。ある意味大変な奇跡がそこで起こったわけで(笑)、もしそれがなければ、憐れ白雪姫は、新鮮な少女の死体を好む変質者の慰みものになっていたでしょう。ま、王子様が生きた娘相手でもいけるクチであったのは幸い。復活した姫と年齢差をものともせず結婚したぐらいですからね(笑)。さらにダメ押しするなら、子供の命を狙った大人への因果応報とでも理解するべきなのか、王子様という後ろ盾を得た白雪姫の逆襲の、なんとまあ中世的で陰湿なことか。

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こうして書いてしまうと、白雪姫を巡るお話は、なるほど相当奇妙な内容のように感じられます。しかし、元になった伝承の時代では、ある種の神秘主義への傾倒のためといおうか、死体に防腐処置を施して保存するなんてことも、貴族の間では密かに行われていたようですし、それこそ王族の婚姻では、まだ初潮も迎えていないような幼子が、政略結婚で別の王家に嫁ぐこともしょっちゅうでした。また、権力のトップにある貴族の栄華は、それはそれはゴージャスだったでしょうが、いったんその権力の玉座から転げ落ちてしまった者の末路は悲惨そのもの。昨日まで蝶よ花よと大切にされていたお城のお姫様が、政変によって突如暗殺、あるいは処刑の危機に晒されるなんてことも、実際にいくつもあったでしょう。白雪姫と継母である魔女との関係は、見方を変えれば、王家の権力の完全掌握を狙う継母が、王位継承権を持つ姫を抹殺しようと暗躍している…とも考えられます。権力を持つ者が邪魔者を粛清していくのは、いつの時代でも繰り返される事実ですから。
つまり、白雪姫という伝承で描かれるお話は、決して素っ頓狂な子供だましの作り話ではなく、現実世界で起こる出来事をきちんとトレースしたものであるというわけです。従って、これを映画にする試みは、ある意味とても面白いともいえます。元のお話をどのように解釈し、いかなる味付けで映像に仕立てるかで、製作陣のセンスの良し悪しが窺い知れますからね。世界中の人々が知っているストーリーに新機軸を持ち込み、観客に新鮮な驚きとエンターテイメントを与えることにこそ、今のハリウッド式“発想の閃き”の醍醐味があるのでしょう。

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前記したトレーラーを見る限り、ターセム・シン監督の解釈は、あくまでもディズニー流御伽噺としての白雪姫から大筋を外れるものではないようです。衣装や小道具、美術等に、ターセムらしい捻くれたこだわりが見て取れますが、ヒロインを演じる女優も王子様役の俳優も、ディズニーのアニメーションを思わせるルックスですしね。なにより、童話ならではの奇想天外なイマジネーション溢れる映像と、ターセムが得意とする、限られた空間内で展開していく呪術的映像美(魔女の王宮とか姫が潜む森の中とか)のケミストリーが、かなり良い相乗効果をあげていると思われます。

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今作ならではのアレンジを見つけるとすれば、ジュリア・ロバーツ演じる魔女の役回りが、かなり大きくなっていることでしょうか。演者のネームバリューのバランス上、仕方がないことかもしれませんけどね。しかしながら、前述したように、魔女と白雪姫の敵対関係が権力を巡る泥仕合だとすれば、ジュリア魔女がアーミー王子様を篭絡しようとする描写があっても、それはそれで一興かもしれません。

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加えて、ハンサムで凛々しい白馬の王子様が、かなり間の抜けたコミカルなキャラクターに見えることも、今作に好印象を持った理由の一つです。実はわたくしめ、当初は全くもって眼中になかったこの『Mirror Mirror』に、今のところちょっと興味を引かれている状態なのでありますよ。正直なところ、我らがショーン・ビーンが王様を演じると知らなければ、多分ここでとりあげることもなかったでしょうが、トレーラーを観て考え直したというわけ。
ターセムの前作「ザ・フォール 落下の王国」を想起させる、夢の中の出来事のような、フワフワした摩訶不思議な雰囲気と、その映像にリズムとスピードを与えるコミカルな演出(狂言回し的存在の召使や、コミック・リリーフ的な王子様のドタバタなど)がなかなかどうして心地よい。御伽の国のお話なのですから、トゥー・マッチなほどのターセムのカリアチュアライズが映えること。The Hollywood Reporterの記事やFacebookの方の記事でも、一般の観客からは好意的なコメントは寄せられていないのですが、この白雪姫という童話、実はターセム本来の持ち味とぴったりマッチする題材だったのでは。ターセムの作品の中で私が一番愛している「ザ・フォール 落下の王国」にしても、男が少女に語って聞かせる“御伽噺”を映像化したものでした。そう、やっぱりターセムは、“夢で見た光景”を具現化する天才だったんですよ。彼にストーリーの整合性だの、映像のリアリズムだのを求めてはいかんのです(笑)。


…ところで。何か一つ重要なことを見落としている気がしてならないのですが…。何でしょう。

……あっ!!

そうだ、ショーン!王様を演じるはずのショーン・ビーンがトレーラーに出てこなかったんだ!

どういうこと?!まさか幻?ショーンの出演シーン、撮影はされたけど編集の段階で切られたとかいうんじゃないでしょうね。まさかねっ!
あるいは、早々に後妻の魔女にぶっ殺されて、亡霊とか幻影とかいう状態で一瞬だけ登場とか…?…いや、これはありえるだけに切ないな…(涙)。物語の語り部として、声のみの出演…とか…。

ああ、鏡よ鏡、ショーン王は一体何処におられるのでしょう…。←今記事のタイトルに続く(笑)


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こら、ターセム・シンよ。あなたちょっとそこに正座しなさい(怒)。ほんっとーに、ショーンは映画に出てくるんでしょーねー?

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