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zoom RSS 日本版“インサイド・ジョブ Inside Job”劇場。

<<   作成日時 : 2016/04/27 19:31   >>

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マット・デーモンがナレーションを務めたことでも知られるドキュメンタリー映画「インサイド・ジョブ Inside Job」は、アメリカ金融界がこの数十年でどのように変遷し、あのエンロンやリーマンが倒産した理由を明確にすることで、アメリカ金融界の恐るべき実態を非常にわかりやすく解説する作品だった。必然的に、アメリカ政府と金融界のメッカであるウォール街とのただならぬ結びつきを暴露したことにもなる。ここ日本でも、ロバート・ライシュ Robert Reichのドキュメンタリー「みんなのための資本論 Inequality For All」等、金融メルトダウンの実態を扱った映画が遅ればせながら公開され、資本主義の成れの果ての恐怖を初めて知った人も多かっただろうと思う。

数年前、「インサイド・ジョブ Inside Job」を観た時、結局政治もカネ次第なのだと改めて絶望した(笑)。アメリカのみならず、全世界の経済を変える力を持つウォール街の金融マンたちには、どの国のリーダーであれ、膝を折って屈せざるを得ないのだ。

ウォール街は底なしの強欲な(greed)人間が巣食う魔窟だ。ウォール街を動かしている連中は政界に取り入り、莫大な資金の威力で政界をがっちり牛耳り、自分達が富を得るのに最も都合の良いように法律さえ勝手に書き換えてきた。もちろん、日本をはじめ、アメリカが子飼いにしている国々の経済は、自分達が甘い汁を吸い取るための道具としか見ていない。
エンロンが破綻した一方で、なぜその他の同種の金融会社が政府の救済措置を得て延命したのか、そのからくりを「インサイド・ジョブ」は暴いている。それは、素人投資家が投資アナリストやら経済評論家、経済者の言うことを鵜呑みにして安易に投資に手を出したせいであり、低所得であるにもかかわらず、ローン会社に騙されて身の丈に合わぬ家を買ってしまったことから始まるのだ。彼らから吸い取ったカネを大企業がむさぼり、癒着する政府に還元する。
…尤もこんな現象は、所詮あらゆる国々でみられるだろう。なにも珍しいことではない。アメリカでは、何も知らない哀れな一般市民が、結局はgreed金融会社の犠牲となっていった。彼らは、金融会社が提示する詐欺にも等しい高額ローンを抱え、最後には家も仕事も失う羽目になる。
アメリカの金融界を狂気の域にまで肥大させたgreedyな証券マンたちも、国民をカモにするビジネスの手助けをした名門大学のお偉い御用学者たちも、そして原発ビジネスの手助けをしている御用学者たちも、あらゆる利権に群がっている連中も皆同じ穴の狢だ。
「インサイド・ジョブ」で明らかにされた悲惨な現状は、形を変えて、ここ日本でも繰り返されている。東電ほどの大企業は、決して国から切り捨てられることはない。前社長が、びっくりするような金額の退職金を受け取っている一方で、原発事故により避難生活を強いられている人たちに対する賠償金の支払いが、さっぱり進んでいなくとも。本当に、「インサイド・ジョブ」で描かれた状況に気味が悪いほど酷似している。大企業の失敗のツケは全て、その犠牲となった一般市民が支払わされるのだ。

しかし、大企業もお上も彼らにこう言うのだろう。

「だって、原発を受け入れたのはお前たちだろう?」と。


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補足しておくと、映画「インサイド・ジョブ」はドキュメンタリーとしては本当によくできた作品だった。取り上げるテーマに対するアプローチも明確、訴えたいポイントの説明もシンプルにして正確で、素人の私でも容易に理解できる内容。まさしく、ドキュメンタリー映画のお手本のような出来上がりである。しかも、俯瞰とズームの視点の切り返しもスリリングで、テーマの背骨と結論に迫っていく演出も観客を飽きさせない。いやはや、腑抜けた“サスペンス映画”が横行するハリウッド娯楽映画形無しの面白さだ。

…しかし、このような内容で“エンタメ”してしまう制作側の精神ってのも、ひょっとしたら“greed”の一つの形態なのではなかろうか…。今作は実際、見事オスカーまで獲得したわけだし。

映画を観ていただければ一目瞭然だが、今作で俎上に上がるアメリカ金融界を腐らせた張本人とされる人種(証券マン、政治家、御用学者)のgreedっぷりが、なにかのギャグのようにすさまじい。だから、ドキュメンタリー映画を作って彼らの悪行を世に問うた制作者たちの果敢なチャレンジまで、結局は同じように“greedy”だと思えてしまうのがとても残念だった。今作の存在意義を素直に称える気になれないというのか…。


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