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zoom RSS Come here, Imogen Heap―イモージェン・ヒープ

<<   作成日時 : 2011/08/19 22:22   >>

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彼女のことに関しては、実はほとんど何も知らない。ただ、彼女のソロ・デビュー・アルバムからの楽曲“Come Here Boy”をたまたまYou Tubeで発見して、強烈な印象を持った。その後、彼女の活動を後追いしたというわけだ。

矢井田瞳氏が敬愛するミュージシャンであったり、ジェフ・ベック翁と共演したりもする、いわゆる“ミュージシャンズ・ミュージシャン”という存在らしい。しかし、肝心の矢井田瞳氏の音楽を私は全く知らないし、じじいになってからのベックの活動も然り。従って、彼らの名前を挙げられても、私にはそれがどれだけ凄いことなのか今ひとつピンとこないのが悲しい。


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Imogen(イモージェン、あるいはイモジェン)という一風変わった名前から、この人は絶対英国出身だろうと思っていたらその通りだった。イモージェンという女性名、英国では割と一般的な名前なのだ。愛称はImmi(イミー)。1977年生まれ、今年33歳になる。ライブでも作曲の際にも主に用いるのはキーボードだが、楽器全般演奏できるという、いわゆるマルチプレイヤーだとか。おお、素晴らしい。自身の作品では、さりげなく新しい録音技術を駆使したりもしているので、エンジニアリングの知識や技術も相当のもののようだ。
雰囲気からして、多重録音で有名なエンヤの佇まいを思わせるが、事実彼女の全作品で、表情豊かな音たちが可聴域ぎりぎりのところで密やかに踊っている。このサウンドの重厚さ、並びに、思わぬところで変調するクセのあるアレンジの妙といったものが、一聴しただけでは全貌を掴みづらい多面的な楽曲を構成しているのだろう。かてて加えて、イミーの個性的というにはあまりに強烈に鼓膜に焼きつく歌声。いろいろな方のレビューを見ていると、アラニス・モリセット、ビョーク、あるいは前述のエンヤ等と比較されることが多いようだ。個人的には、トーリ・エイモスなどとも相通ずるものがあると思った。まあ要は、剥き出しの女性性を積極的に音楽に取り込み、むしろ女性であることを創造の原動力としているようなタイプのアーティストなのだろう。
白状すると、楽曲のどこを切っても“オンナ”という音が聞こえてくるような(笑)生臭いアーティストは、本来私の好む対象ではない。聴いていて非常に疲れるのだ(笑)。前述したミュージシャン連中も、もちろん音楽的才能はピカイチの人達ばかりなのだが、なんというか、彼女らが背負っているカルマがハンパなく重そうで、ついでにいうと生理もひどく重そうに感じてしまう。余計なお世話か。私個人の趣味を述べさせてもらえば、音楽でも映画でも、“ニュートラルなバランスを保っている”という状態が、最も共感し、また最も落ち着く。

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それなのに、なぜイミーだけはここで取り上げる気になったのか。それは多分、彼女のファースト・ソロ・アルバムの出来が突出していたからだ。ケイト・ブッシュから続くアウトロー的英国女性アーティストの系譜に、イミーは正しく連なっているばかりでなく、彼女独自の強いカラーをも表現できていると思う。
1998年にリリースされたソロ・デビュー・アルバム「iMEGAPHONE」(後年、ボーナス・トラックを含む日本独自の構成のニュー・バージョンが再発された)の後、2002年にはビョークなどの作品のエンジニアリングで知られるガイ・シグスワースと“フル・フル(Frou Frou)”なるユニットを組み、耳に心地よいアンビエント・ミュージックを披露。2005年にジェフ・ベックの参加を得て7年ぶりのソロ・アルバム「Speak for Yourself」をリリースし、さらにその4年後の2009年に「Ellipse」を世に送りだしている。
イミーという才能に敬意を表して、全てのアルバムを聴いてみた。ファースト・インプレッションの刷り込み効果のせいなのか、やはりファースト・アルバム「iMEGAPHONE」の印象が最も大きかったように思う。元々、キーボードやシンセサイザーといった楽器の音色とボーカルを一体化させ、摩訶不思議な心地よい音空間を作るのはイミーの十八番であるが、作品数を重ねるごとに、そのヒーリング志向の比重が大きくなっていき、表現衝動に突き動かされたごとくのアグレッシヴさが薄まっていく。快い音は大変結構だが、要は流れるようにメロディが綴られていくので、鼓膜に残るようなインパクトには欠けるのだ。デビュー作以降のアルバムは、私には正直もうひとつ物足らない。人によって意見は分かれるだろうが、経験によって“洗練”を体得するのと引き換えに“初期衝動”を失うのであれば、私は不完全でまっさらな荒々しさを愛する。

I Megaphone (Reis)
Almo Sounds
1998-06-16
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1. Getting Scared
2. Sweet Religion
3. Oh Me, Oh My
4. Shine
5. Whatever
6. Angry Angel
7. Candelight
8. Rake It In
9. Come Here Boy
10. Useless
11. Sleep

イミーの声は、決して美声ではない。それどころか、ビョークとためを張れるようなダミ声だと称してもいいかもしれない。全曲、ドスのきいた低音が最大限効果的に聴こえるように工夫されている。“Getting Scared”から、その威風堂々たるダミ声が表情豊かにサウンドと一体化する。ボーカルをキーボードやシンセサイザーを通じて響かせるという試みは、既にこの1曲目から始まっている。
個人的に初期の頃のケイト・ブッシュを懐かしく思い出したのが、2曲目の“Sweet Religion”である。不協和音を思わせるピアノと、多重録音されたボーカルが複雑に組み合わされたアヴァンギャルドな楽曲だ。以前、かのビョークが自身の声だけで構成されたアルバム(もちろん多重録音だ)を発表して話題を呼んだが、音楽の最終的に行き着くところとは、結局人の声そのものなのだろう。
さて、“Oh Me, Oh My”では、変幻自在のアレンジが楽しめる。つぶやくような低音から裏声まで、カラフルなイミーの歌声が様々に色づけされて、サビの盛り上がりに向かっていく展開は面白い。彼女の楽曲では効果音のようなサウンドがあちこちにちりばめられていて、さながらおもちゃ箱をひっくり返したような多彩さだ。続く“Shine”でも、意表をつく転調と共に、楽曲に一風変わった世界観を与えている。
“Whatever”は、イミーのブレスまではっきり聴こえるほど、気だるげな(いや、ぶっきらぼうな…か・笑)ボーカルが魅力的。ザクザクと刻んでいくようなリズムの重さが良い…と思っていたら、唐突に転調する天邪鬼なメロディを持つナンバーだ。オルタナティヴ・ロックの匂いが漂う“Angry Angel”はお気に入りの楽曲。重心の低いリズムとざわざわしたギター、スリリングかつ挑発的なアレンジ。こういうナンバーというのは、ひょっとしたら女性ミュージシャンにしか歌いこなせないのではないかと、なんとなく感じる。
“Candelight”は、物悲しいメロディを歌い上げるイミーの声にピアノがしっかり寄り添っているのだが、力強く美しい展開を迎えるサビの部分では、積み重ねられた声を凌駕してピアノが響く。歌っている途中でブレスが大きく入ったり、声がフッと鼻に抜けたりするイミーのクセのあるボーカルは、おそらく好き嫌いがはっきり分かれるだろうが、この楽曲はイミーの生の声そのものを堪能するものだ。
“Sweet Religion”の返答のようなナンバーである“Rake It In”では、効果音とアヴァンギャルドなアレンジ展開が激しいコントラストを為す。序盤で、オルゴールの音色に乗ってゆっくりと回る人形の役目を成していたボーカルは、壊れたオルゴールの中身がぶちまけられたような中盤の変調を経て、終盤で再びくるくると踊り始める。そして唐突に全ての音が止み、オルゴールの人形もぱたりと止まってしまうのだ。


“Come Here Boy”こそ、私が初めてイミーを知るきっかけになった楽曲だ。ここに貼らせて頂いた動画はライブでの演奏の模様。序盤はざわついている観客の雑音が耳障りなのだが、曲が進むにつれて彼らの集中力が増し、会場がしーんと静まり返るのがわかる。イミーの楽曲は、良質の音環境を必要とするデリケートな側面を持つ反面、一度でもそのメロディを聴いた者の耳と感性を捕らえて離さない、不思議な魔力をも持っているのだ。

“Useless”は、水の中深くを漂っていたようなメロディが、空に向かって浮上するような高揚感と、終盤に一気に広がっていく音の空間が心地よい。何度も引き合いに出して申し訳ないが、「愛のかたち」リリース当時のケイト・ブッシュが持っていた、多彩かつ重厚なサウンドの連なりを思わせる。
バイオリンとピアノの音がゆったりと流れ出る“Sleep”では、ささやくイミーの声が異空間の賛美歌のごときメロディの中で静かに響く。アルバムの終わりを飾るにふさわしいナンバーであると同時に、世にも不思議で美しい御伽噺がここで終わってしまったという、一抹の寂しさを感じさせる。

iMEGAPHONE
青空レコード
2002-01-23
イモージェン・ヒープ

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