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zoom RSS “ノックアラウンド・アクター”、ロイ・シャイダー

<<   作成日時 : 2012/05/27 21:55   >>

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“僕にとっての“ぶったまげるほど凄い俳優”っていうのは、プロフェッショナルとして演じる役柄を生きることができるヤツだ”


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ロイ・シャイダー (Roy Richard Scheider)

1932年11月10日生まれ
2008年2月10日没(アーカンソー州リトル・ロック)
アメリカ、ニュージャージー州オレンジ出身

若い頃からスポーツに熱中し、こと野球とボクシングに嵌っていた。ボクシングの試合中に鼻を骨折している。法律家を目指していたが、カレッジ在学中に演劇の道を志すように。フランクリン&マーシャル・カレッジ等で演技を学び、学生劇でも賞を勝ち取っている。空軍に管制官として従軍した後、地元に戻り舞台出演を続けた。それが認められ、ジョゼフ・バップ主催のニューヨーク・シェイクスピア・フェスティヴァルに出演した彼は、『Stephen D』という舞台でオビー賞(オフ・ブロードウェイで最も権威ある賞)を獲得する。
銀幕デビューはZ級ホラー映画『The Curse of the Living Corpse』(1964年)という、下積み俳優のお定まりのコースを歩むも、ジェーン・フォンダとドナルド・サザーランド主演の「コールガール」(アラン・J・パクラ監督、1971年)でフォンダ扮するブリーのヒモを演じてインパクトを残した。これがきっかけとなり、1971年の「フレンチ・コネクション」(ウィリアム・フリードキン監督)ではポパイ刑事の相棒バディ・ルッソ刑事に扮して遂にブレイク。今作では、オスカーの助演男優賞の候補になる嬉しいボーナスも付いた。まさしくストリート育ちといった風情のタフガイ、バディのイメージは、その後のシャイダーに付いて回ることになる。「重犯罪特捜班/ザ・セブン・アップス」(1973年)然り、そしてなんといっても「JAWS/ジョーズ」(1975年)のブロディ署長然り。「JAWS/ジョーズ」では、“血に飢えた巨大サメ”という非日常的な存在を相手に、人間らしさと男臭さを存分に発揮。あの線の細い身体からは想像がつかないほどのタフネスを表現してみせた。共演のロバート・ショー、リチャード・ドレイファスとのアンサンブルもスムーズで、地味な雰囲気でありながらここ一番の時には輝くスター性を獲得したといえる。主役を張っても脇に回っても同様に味わい深い演技を披露する彼は、ジョン・シュレシンジャー監督がはじめて純然たるサスペンス映画に取り組んだ「マラソン・マン」(1976年)でも、ウィリアム・フリードキン監督がフランス映画の名作をリメイクした「恐怖の報酬」(1977年)でも、そのいぶし銀の個性を観客に印象付けた。
1978年には「ジョーズ2」で再び当たり役のブロディ署長を演じたが、作品自体あまり芳しい評価を得られず、ユニヴァーサル・ピクチャーズとの契約問題に妥協したことは、後年彼をひどく悔やませた。というのも、実はマイケル・チミノ監督の出世作にして名作「ディア・ハンター」(「ジョーズ2」と同じ1978年製作)で、マイケル役を最初にオファーされていたのはシャイダーであったからだ。だがその当時、友達を探すためだけに、マイケルがベトナムの奥地くんだりまで乗り込んでいくというプロットを非現実的だと解釈した彼は、オファーを蹴ってしまっていた。結局マイケルを演じたのはロバート・デ・ニーロで、俳優陣の演技のみならず、作品そのものも映画史に残る素晴らしい仕上がりとなった。
この作品選択ミスを教訓にしたか、翌1979年の「オール・ザット・ジャズ」では、振付師にして演出家のボッブ・フォッシーのアルターエゴ、ジョー・ギデオンを熱演した。今作は、監督を兼任したフォッシー自身を如実に反映した、いわばフォッシーの半自伝的な内容である。振付師として天才的な才能を誇るも、女性関係にだらしなく、ドラッグにも耽溺する社会的脱落者ギデオンは、日ごろの不摂生が祟ってついに倒れてしまう。病室で生死の境をさまよう彼の魂は、謎めいた死の天使に導かれ、歌とダンスと刹那の恋と絶望に彩られた自身の半生を振り返るのだ。煌びやかでグラマラスで、しかし死の影をあちこちに匂わせる不気味さ。ジョージ・ベンソンのナンバーの歌唱や、激しくもセンシュアルなダンス・シークエンスも含む難しい役どころを、シャイダーは見事に演じきった。同年のオスカーの主演男優賞候補になったのはもちろんだ。
ジョン・バダム監督のスタイリッシュなスカイ・アクション「ブルーサンダー」(1983年)では、ピンチにめっぽう強いタフガイというシャイダーの十八番キャラクターを再び演じている。今作は、70年代を代表する名バイプレイヤーであったウォーレン・オーツ(「さすらいのカウボーイ」「ガルシアの首」)の遺作でもある。ロス市警のヘリ・パイロットが主人公ということで、ロス上空で展開されるアクション・シーンが見もの。ちなみに、原案クレジットに「エイリアン」のダン・オバノンが名を連ねている。「クレイマー・クレイマー」のロバート・ベントン監督のサスペンス「殺意の香り」(1983年)では、一転して“静”の演技で存在感を示した。美貌の絶頂期にあったメリル・ストリープの万華鏡のように移り変わっていく妙演をしっかり受け止め、作品の重心を支える役割も果たしている。
1980年代末から90年代にかけては脇役での出演が多くなった。大きな役で個性を発揮するチャンスに恵まれない中、スティーヴン・スピルバーグ監督が製作総指揮を担当したテレビムービー「シークエスト」では、久しぶりに主役を張った。近未来の深海を舞台に、シャイダー扮するブリッジャー大佐が様々なピンチを潜り抜けて、最新鋭潜水艦シークエストの艦長に就任するストーリーである。ブロディ署長を思わせる、リーダーシップに溢れたブリッジャー大佐を生き生きと演じた。時代を下るごとに出演作の質も下降線を辿り、近年ではテレビ・シリーズ「サード・ウォッチ」へのゲスト出演がよく知られる。
2004年に多発性骨髄腫を発病し、翌年に骨髄移植を受けて病と闘いながら出演を続けた。私生活では、1969年に結婚したシンシア夫人(娘マクシミリア誕生)と1989年に離婚し、ブレンダ・キングと再婚。ブレンダ夫人との間にもうけた息子クリスチャンも、後に俳優を志している。政治的にリベラルな立場を貫き、イラク戦争にも反対表明を出した気骨ある映画人でもあった。長年タフガイを演じてきたシャイダーではあったが、2008年、感染症のため、アーカンソー州リトル・ロックの病院でブレンダ夫人に看取られながら死去。享年75歳であった。


ロイ・シャイダーは、かつてインタビューでこんなことを語っていたそうです。「僕は、生涯に3つの素晴らしい映画に出演したことを誇りに思っている。」
その“3つの映画”とはすなわち、「フレンチ・コネクション」「ジョーズ」「オール・ザット・ジャズ」を指すのでしょう。それぞれ全く異なるジャンルに属する映画ながら、映画史に残る綺羅星のごとき作品たちですね。また、これらの作品は、シャイダー自身の演技の振幅の大きさと陰影の深さを示す良いサンプルでもあります。

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「フレンチ・コネクション」という作品は、とかく主演のジーン・“ポパイ”・ハックマンの泥臭い魅力と熱い演技にフォーカスされがちなのですが、本当は、ポパイとバディの間に見られる、文字通りの“バディ”関係こそがストーリーの背骨であったようにも感じます。“女”が割って入ることのできない彼ら2人の絆があってこその、“漢”の物語でしたものね。シャイダーは今作において、男臭いストーリーの中で見事に個性を発揮できることを証明しました。
あくまでも私の個人的な感想なのですが、シャイダーの容貌って、一見すると小動物を思わせるような雰囲気(笑)。それもリスとか(再笑)。とてもすばしこそうなイメージがあるのですよ。ぱっと目立つ存在ではなく、その気になれば人畜無害なオーラを自在に操れる。でもその実、眼光鋭く常に周囲の状況観察を怠らず、いざというときには誰よりも迅速に効果的な行動を起こせるという。まあ本当に勝手な思い込みなのですが、彼が映画の中で多く演じてきたキャラクターからは、そんな彼独自のペルソナ像が浮かび上がってきますね。

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シャイダーのキャリアの中でも、特に興行面で大きなステップとなったのは、若き日のスピルバーグ監督作品「ジョーズ」です。要は、どでかい人喰いサメが人間を襲いまくるという、たったそれだけのシンプルな展開に豊かな起伏が与えられたのは、リチャード・ドレイファスやロバート・ショーといった演技巧者と共に、“危機に瀕した人間の織り成すドラマ”をがっちりと構築したから。それぞれに個性もアクも強い俳優たちですが、彼らが紆余曲折を経て一丸となっていく過程は、やはり確固としたアンサンブル演技があってこそのカタルシスがありますよね。今作では、他の役者との調和を求められる演技の中でも、彼だけの個性を表現することに成功したと思います。あの小柄な、線の細い身体からは想像もつかないような、タフネスっぷりにも惚れ惚れしますよね。

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シャイダーの隠されたペルソナの中でも、最も重要な要素を表出せしめたのが、この「オール・ザット・ジャズ」だと思います。天才にありがちな自滅型人間。こと、このギデオンという男は、女にも酒にもクスリにも自堕落な、絵に描いたような社会逸脱者であります。監督を担当したボッブ・フォッシーそのものといっても過言ではないギデオンを、シャイダーは圧倒されるような負の色気で演じ抜きました。フォッシーが抱えていた、エンターテインメント業界への愛憎入り混じる複雑な想い、そして志半ばにして、自身の理想とする世界から消えようとしている忸怩たる悔恨の情。死を目前にして、妖しくも美しい狂騒の世界―おそらく彼が目指した表現世界であり、無意識が生み出した想念世界―に踊るフォッシー=ギデオンの姿は、移ろいゆくエンタメ業界の無情さと儚さすら感じさせます。
グラマラスな映像のそこここに“死臭”が漂ってくるという、普通のミュージカル映画ではありえない独創性と、シャイダー自身が持つ屈折した色気がぴったり合致したのでしょう。これは、うら若い女子供にゃ理解できない、成熟した大人だけが到達できる領域です。何度観返しても、今作におけるシャイダーは圧巻としか言い様がありません。触れれば即座にジャンキーになりそうな(笑)、危険極まるフェロモン駄々漏れというのか。今作以上に、彼の“男の妖艶さ”を感じ取れる作品は、残念ながらありませんね。その意味でも、今作は非常に貴重な作品だといえるでしょう。彼のボーカルも味わい深いですしね(笑)。

シャイダーの屈折した色気というのは、実は、我が敬愛する変態偏愛映画作家デヴィッド・クローネンバーグ監督の「裸のランチ」でも垣間見ることができます。今作については、クローネンバーグ監督のカテゴリの中に記事を収めてありますので、お暇な方はご笑覧あれ。男性と女性の両性具有的なファンタジーを、シャイダーが体現してしまいます。大変に興味深いペルソナなのですが、しかし、いかんせん出演時間が短い!短すぎる!もう少しシャイダーのキャラクターを掘り下げて欲しかったと悔いが残りますね。

ロイ・シャイダーという役者さんは、数多くの出演作品で類型化されてしまうような、単純な演技者ではありません。殊更自分の演技力をひけらかすような浅薄なタイプではなく、演じるキャラクターの人生をさりげなくリアルにスクリーンに描くことのできる、真にプロフェッショナルな俳優であったのです。その佇まいたるや、実にスマートそのもの。演技の引き出しは奥深く無数にしまわれており、演じるキャラクターに応じて、適材適所の引き出しが静かに開かれます。映画を観終わった観客の残像に、いつまでも彼の余韻が残るのは、たぶん彼の無数の演技ポケット・マジックによるのでしょうね。

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