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zoom RSS おもちゃの冒険から、おもちゃと人の絆へ―「トイ・ストーリー3 Toy Story 3」

<<   作成日時 : 2016/09/06 17:32   >>

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「トイ・ストーリー Toy Story」「トイ・ストーリー2 Toy Story 2」は、観る人をことごとく童心に帰らせてくれる、楽しく痛快なシリーズものではあるけれど、その背後にはシリアス且つ大きなテーマを一貫して背負っていたと思います。それは、“大人になることの本当の意味”でありますね。

前作「トイ・ストーリー2 Toy Story 2」から10年ぶりとなるCGアニメ映画の草分けシリーズの第3作「トイ・ストーリー3 Toy Story 3」が日本で公開された時、観客の側にもある種の覚悟を要求する作品になるだろうと思っておりました。第1作目、第2作目を通じて作品に重い陰を落としていた、“子供はやがて成長しておもちゃと決別する”という逃れられない命題に、いよいよ真正面から取り組むわけですから。子供の成長を見守るおもちゃ達に魂を吹き込み、彼らのおもちゃとしての尊い“生き様”を明らかにてきした異色のこのシリーズ。今シリーズをスクリーンを通じて見守り続けてきた観客は、ウッディをはじめとする愛すべきおもちゃたちと共に、今まであえて直視するのを避けてきた過酷な運命に立ち向かったのですねえ。

私自身も、この「トイ・ストーリー3」に関してハラハラしながら着眼した(笑)ポイントはただ一つ、“成長し、これからもどんどん変わっていくであろうアンディと、永遠に年をとらないおもちゃたちの関係をどのように平和に決着させるのか”ということに尽きます。映像作りの面白さであるとか、CG技術の緻密さ、音楽のセンスの良さであるとか、技術的な話云々は、もうこの際どうでもいいです(笑)。今や家族も同然の存在であるウッディやバズたちが、たとえアンディと別れることになっても、何らかの形で、おもちゃとして幸せな余生を送って欲しいと願わずにはいられませんでした。

それはおそらく、私たちにもまた、子供の頃よく遊んだおもちゃといつの間にか決別していたという過去があるせいでしょうね。誰しも、いつまでも子供のままではいられません。おもちゃたちと共に過ごした平和で幸せな時間をいつかは卒業し、一段上の階段を上がっていかねばならんわけです。そのほろ苦い思い出こそ、今シリーズを世界的な名作たらしめているのではないかと考えています。つまり、私たちは、大切だったはずのおもちゃを大人になったと同時に手放してしまった罪悪感を、この作品を観ることで癒してもらっていたのでありましょう。そして、シリーズ第1、第2作は、おもちゃとの別れ…すなわち、幸せな幼年期の終わり…が近づいていることを意識しつつも、“今を精一杯生きる”大切さを強く訴える作品であったのです。

ならば、「トイ・ストーリー3 Toy Story 3」の“ストーリー”は、本当の意味でおとぎの国からこちら側(現実世界)に寄り添ってきたものだとも考えられますね。淡い憧憬と共に、しばし子供時代の思い出に遊んだお祭りは終わり。なにしろおもちゃたちは、大人になってしまったアンディと別れ別れにならねばならないのですから。第1作目、第2作目を通じて、解消されそうでされなかったともいえる、“おもちゃと子供の成長との間にある解決し難い問題”に対する答えが、果たして得られるのでありましょうか。それは同時に、“大人になることの痛み”を暗示するテーマでもあるだけに、多くの観客にとって身につまされるお話ですよね。


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「トイ・ストーリー 1 Toy Story」
“お山の大将”であったカウボーイ人形のウッディが、新たなライバル、バズの出現によって傷つきながらも成長していくお話。“子供の成長”という命題はウッディの成長物語に暗喩される。決してパーフェクトではないバズのアイデンティティ・クライシスを経て、2人の“男”が真の友情を築き上げていくという“バディもの”の定番を踏みながら、設定と語り口の上手さで魅せてくれる。各所にあつらえられた過去の名作映画へのオマージュが、奇想天外なストーリーにスパイスを効かせていて素晴らしい。また、普段見慣れた光景の中にも、視点と考え方を少し変えるだけで、壮大な夢物語が詰まっていることにも気づかされる。


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「トイ・ストーリー 2 Toy Story 2」
前作で確固となったウッディとバズの絆に亀裂が入る。“おもちゃはやがて飽きられ、子供に捨てられる”という、全てのおもちゃが対峙する運命のせいだ。アンディが大人になったとき、大好きなアンディと悲しい別れをするよりかは…と、ウッディはおもちゃ博物館に入る決意を固める。しかし、バズたちおもちゃ仲間の呼びかけによって、たとえひと時の幸福だったとしても、“今のアンディ”と共にいることを最終的に選択する。おもちゃと子供の別れを匂わせ、おもちゃたちの辿る哀しい運命を主軸にすえたシリアスな1作。しかし、随所に挟まれる名作映画へのオマージュ演出は相変わらずスマート。今回は、アクション・シーンのスケールも迫力も倍増しているのが特徴。


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「トイ・ストーリー3 Toy Story 3」(2010年)
監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーント
原案:ジョン・ラセター&アンドリュー・スタントン&リー・アンクリッチ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
撮影:ジェレミー・ラスキー
音楽:ランディ・ニューマン
編集:カン・シュレッツマン
出演:トム・ハンクス(ウッディ)
ティム・アレン(バズ・ライトイヤー)
ジョーン・キューザック(ジェシー)
ネッド・ビーティ(ロッツォ・ハグベア)
ジョン・モリス(アンディ・デイビス17歳)
チャーリー・ブライト(アンディ・デイビス8歳)他。

前の作品「トイ・ストーリー 2 Toy Story 2」から10年の歳月が経過し、アンディ少年も17歳になりました。彼が子供の頃よく遊んだおもちゃたちも随分数が減り、さすがに物入れにしまわれて放置される日々が続いていました。大学進学と共に大学寮に入ることになっていたアンディは、古くなったおもちゃたちをどうするか悩みます。妹モリ―は10歳になっており、ゲームに夢中なイマドキの子供に成長していたため、おもちゃで遊ぶ者がいないのですね。でも、捨ててしまうには忍びない。そこでアンディは、ウッディだけを寮に連れていき、残りは屋根裏部屋にしまうことにしました。ところが、アンディがおもちゃたちをゴミ袋に入れてしまったのが間違いの始まりで、おもちゃたちを屋根裏部屋へもっていく途中、アンディは袋を廊下に置きっぱなしにしたままその場を離れます。何も知らないママがその袋をゴミだと勘違いし、そのままゴミとして出してしまったわけですね。アンディはなんとか皆をゴミ収集所から救出しましたが、愛していたアンディに“ガラクタ”“ゴミ”と思われたことにショックを受けたおもちゃたちは、アンディの必死の説得にも耳を貸しません。そして、ママの車のトランクにあった、サニーサイド保育園に寄付するものを入れた段ボールに、自ら入っていってしまいました。

なりゆきでウッディもママの車に乗り込んでいたため、結局おもちゃたちとウッディは、ママに連れられて保育園に向かうことに。ウッディはすぐにでも皆をアンディの家に連れて帰る気でいたのですが、保育園の園児たちがおもちゃを大切に扱い、一生懸命遊んでいる様子を見たおもちゃたちは、もう一度子供たちと一緒に遊ぶ喜びをかみしめたいと、保育園に残る決意を固めます。また、保育園のおもちゃたちのリーダーを務めている熊のぬいぐるみ、ロッツォの物腰も柔らかく、そこは確かに、おもちゃにとって最高の場所のように見えました。

ウッディはひどく落胆し、1人だけでアンディのもとに戻ることにします。ところが、保育園からの脱走の途中で園児のボニーに拾われる羽目になり、結局彼女の家に連れていかれました。ボニーは、子供時代のアンディを思い起こさせる女の子で、おもちゃを友達として大事にし、初対面のウッディとも楽しく遊んでくれるような子供でした。ボニーの家の他のおもちゃたち曰く、演技力抜群の“ごっこ遊び”の天才で、ウッディは本当に久しぶりに子供と遊ぶ楽しさを味わったわけですね。ところがその夜、ウッディはボニーのおもちゃの1人、ピエロのチャックルズから、サニーサイド保育園にまつわる恐ろしい秘密を知らされました。チャックルズは昔保育園にいたのですが、廃棄処分になる寸前でボニーに救われた過去を持っていたのです。

サニーサイド保育園でウッディたちが見せられたおもちゃの理想郷は、実は年長クラスの光景でした。その年長クラスの子供たちと遊べるのは、ロッツォと彼の取り巻き連中だけ。新入りのおもちゃたちや、ロッツォに歯向かうおもちゃたちは皆、ロッツォの策略によっておもちゃを乱暴に扱ってすぐ壊してしまう年少クラスに放り込まれてしまいます。手加減を知らない年少さんたちは、おもちゃを投げたり蹴っ飛ばしたりし、好き放題やらかします。結局、そこに入ることになったおもちゃたちはすぐ壊され、哀れ、焼却処分の運命をたどることになるのですね。サニーサイド保育園とは、実は、根深い人間不信のために二重人格となった熊のロッツォが恐怖と密告によって支配する、おもちゃの牢獄であったのです。

ウッディは仲間に危機が迫っていると悟り、急遽保育園に戻ります。果たしてそこでは、まさにチャックルズの証言通りの光景が繰り広げられていました。バズや他の仲間たちと再会したウッディは、独裁者ロッツォの奸計の裏をかき、無事にアンディの家に戻ることができるのでしょうか。



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個人的に最も感銘を受けたのは、おもちゃと、やがて大人になっていく子供たちとのすれ違っていく悲しい関係を真摯に描き、そこから更に人と人の関係にまで発展させられるような、“絆”についての深い考察が見出せる点でした。おもちゃと子供の関係にとどまらず、他の誰かと何らかの絆を築くことにどのような意味があるのか。私なんぞは、泣き過ぎてすっかり腫れちまった目で本編を見つめつつ、絆って何だろうなあとしみじみ考えさせられましたよ。一度結ばれた絆は、年月の経過とともに万が一、その絆がほどけてしまったとしても、必ずどこかで結び直されるのを待っているものなのです。本当の絆というのは、姿や形を変えても、別の場所で新しい形で生き続けていくのでしょうね。


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