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zoom RSS リン・レッドグレイヴ Lynn Redgrave, a jewel in the life.

<<   作成日時 : 2015/08/21 06:00   >>

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“私は、5世代にわたる才能豊かな俳優一家の生まれであることを、終生誇りに思っています。…祖父母、両親、姉、兄、そして姪たち…。”

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リン・レッドグレイヴ Lynn Redgrave

1943年3月8日生まれ
2010年5月2日(享年67歳)没
英国ロンドン出身
アメリカコネチカット州にて乳癌のため死去

父親サー・マイケル・レッドグレイヴ、母親レイチェル・ケンプソン、兄のコリン、姉のヴァネッサ、姪にあたる故ナターシャ・リチャードソンとジョエリー・リチャードソン姉妹(共にヴァネッサの娘)も全員俳優という、英国の名俳優一家の出身。
トニー・リチャードソン監督による、みなしごトム・ジョーンズの天衣無縫な一生を描く傑作コメディ活劇「トム・ジョーンズの華麗な冒険」(1963年)で銀幕デビューした。
1964年の「みどりの瞳」で第18回英国アカデミー賞新人賞にノミネートされ、名門一家の中で頭角を現した。1966年の「ジョージー・ガール Georgy Girl」では、第24回ゴールデングローブ賞主演女優賞ミュージカル・コメディ部門受賞、第39回アカデミー賞主演女優賞ノミネート、第20回英国アカデミー賞最優秀英国女優賞ノミネート、第36回ニューヨーク批評家協会賞女優賞ノミネートと、主要映画賞から軒並みノミネーションを受けて注目を浴びる。ちなみに同年、姉のヴァネッサも、名作「モーガン」で第39回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされており、姉妹同時に同部門でノミネートとされ、話題になった。リンの活躍は映画にとどまらず、舞台、テレビと多岐に渡った。特に舞台で残した数々の名演は有名で、英国演劇界の底力を感じさせた。トニー賞演劇部門主演女優賞にも3度ノミネートされた実績を持つ。

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画像は、1993年の舞台『Shakespeare For My Father』でのリン。

映画界では、1996年の「シャイン Shine」のジリアン役で第50回英国アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、再びこのベテラン女優は脚光を浴びる。しかしなんといっても、晩年のリンのキャリアにおいて最も重要な作品となったのは、1998年の「 ゴッド and モンスター Gods and Monsters」(ビル・コンドン監督)だろう。今作では、彼女は主役の元映画監督ジェームズ・ホェールの良き理解者にして長年に渡るメイド、ハンナ役を、人間味たっぷりに好演して忘れがたい印象を残した。第56回ゴールデングローブ賞助演女優賞受賞、第14回インディペンデント・スピリット賞助演女優賞受賞、第71回アカデミー賞アカデミー助演女優賞ノミネート、並びに第52回英国アカデミー賞助演女優賞ノミネートと、またもや主要映画賞を賑わしている。

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乳癌患者をケアする団体“The Breast Cancer Research Foundation”のサイト内にある、リンの闘病中の画像です。娘アナベルさんが撮影したものだそうです。

私生活では、1967年に結婚した俳優John Clark氏と2000年に死別するまで円満に暮らした。Ben、Pema、Annabelの3人の子供たちに恵まれ、後年アメリカ合衆国の市民権を取得してコネチカット州に移り住んだ。2002年に発症した乳癌との戦いは壮絶であり、翌年に行われた乳房の摘出手術と、それに伴う放射線治療の副作用に苦しむ中、執念で映画や舞台への出演も続けていたという。しかし、2010年5月2日、5世代にわたる偉大な俳優一族の一角を担ったリンもついに力尽き、コネチカット州の自宅で子供たちに看取られながら天国に旅立った。享年67歳であった。

●フィルモグラフィー

2009年「お買いもの中毒な私!」
2007年「ジェイン・オースティンの読書会」
2006年〜2007年「デスパレートな妻たち3」(TVシリーズ)ゲスト出演
2005年「上海の伯爵夫人」
2004年「愛についてのキンゼイ・レポート」
3003年「ピーター・パン」
2002年「ヘンゼルとグレーテル」(TVムービー)
2002年「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」
2002年「ワイルド・ソーンベリーズ ムービー」(未)アニメ
2002年「夢見る頃を過ぎても」(未)
2000年「2番目に幸せなこと」
2000年「舞台よりすてきな生活」
1998年「ゴッド・アンド・モンスター」
1998年「ガールズ・ルール! 100%おんなのこ主義」(未)
1997年「ボクらの味方 素敵なフェアリー」(TVムービー)
1997年「ダブル・クロス〜裏切りの法廷〜」(TVムービー)
1995年「シャイン」
1987年「ジョン・クライヤーのホーム・フロント」(未)
1985年「死の天使レイチェル」(TVムービー)
1982年「殺しのリハーサル」(TVムービー)
1980年「サンデー・ラバーズ」
1976年「弾丸特急ジェット・バス」
1974年「ハッピーフッカー/陽気な娼婦」(未)
1972年「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」
1972年「フランコ・ネロの 新・脱獄の用心棒」
1970年「はるかなる南部」(未)
1967年「恐怖との遭遇」(未)
1966年「ジョージー・ガール」
1964年「みどりの瞳」
1963年「トム・ジョーンズの華麗な冒険」

“彼女は、生きて愛して、そしていつも誰よりも熱心に働きました。母として、おばあちゃんとして、女優として、そして友人として、彼女が私たちにくれた思い出は、いつまでも私たちの心に住み続けるでしょう。”

“レッドグレイヴ”といえば、英国を代表する名門演劇一族。このレッドグレイヴ一族の出身にしてリーアム・ニーソンの妻でもあったナターシャ・リチャードソンが、不幸な事故で亡くなったのはついこの間のことのように感じますね。しかしながら、2010年5月2日、このレッドグレイヴ一族の一角をなすベテラン女優リン・レッドグレイヴが、姪っ子の後を追うように逝去されました。死因は、7年間彼女が果敢に戦い続けた乳癌です。

非常に悲しい出来事ではありましたが、リンは子供たちに看取られての安らかな最期であったそうですし、彼女自身も“そのとき”を覚悟してか、最晩年の仕事も悔いのないように全力投球していたとか。真面目な彼女らしいエピソードです。そして、やっぱり同じ女性として、頭が下がる思いでいっぱいです…。
実は当館では、リン出演作品をいくつか網羅しております。おそらく彼女の代表作となる「ジョージー・ガール Georgy Girl」と「シャイン Shine」が手付かずなのは無念ですが、その代わり、私が個人的に大好きな作品「ゴッドandモンスター Gods and Monsters」「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする Spider」の記事がございますので、こちらも併せてご笑覧ください。他の出演作では、ウディ・アレン監督の「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい…について教えましょう」(笑)で演じた、鉄製の貞操帯に手こずる女王様役や、映画本編の最後の最後に登場し、カメオ出演程度の出番ながら結果的に観客に強い印象を残した「愛についてのキンゼイ・レポート Kinsey」などが、当館に収めてございます。

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さて、この輝かしい俳優一家に生まれたリン・レッドグレイヴが、実力ある女優であることは疑うべくもありません。しかし残念ながら、やはり実姉ヴァネッサへの名声の高さに比べると、いささか地味な存在というのか、姉の栄光の陰に隠れてしまった感は否めませんね。姉妹、あるいは兄弟で俳優業を営んでいる例は映画界にはいくらも見出せますが、不思議なことに姉妹、兄弟全員が大スターという例はほとんどありません。リンとヴァネッサのケースもこの“マーフィーの法則”に則っているといえるでしょうね。

ですがまあ逆に、リンの魅力は、ヴァネッサのアクの強さとは違う次元にあるとも考えられます。名女優の域に達するのに必要な、演技力といった技術論を超えたカリスマ性は、ともすれば本人の俳優としてのイメージを固定化してしまう危険性も孕んでいます。リンはそんな足枷に苦しむことはありませんでした。ちょいと周囲を見渡せばごく身近にいそうな女性像に、絶妙なさじ加減でプラスアルファの魅力を付加するとき、彼女の演技は俄然輝き始めるのです。ほら、今まで格別気にも留めない存在だった女性が、ふとしたきっかけで、妙に記憶に残るようになった経験ってありませんか?リンの演技の面白さは、そんなところにあるような気がしてなりません。
例えば、実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴッドの半生を描いた作品「シャイン」では、彼の妻となった星占い師ギリアンを演じたリン、ぱっと見た第一印象は、正直なところ“どこにでもいる中年女性”というものでした(笑)。ところが、何年も精神病院の中で過ごすうち、どこかずれてしまったデヴィッドを理解し、支え、愛するようになったギリアンときたら!みるみるうちにほんわかと暖かいオーラを周囲に振りまくようになり、笑顔も眩しいほどキュートになっていくのです。
あるいは「ゴッドandモンスター」では、リンは口うるさそうな頑固そうな(笑)、実際に自分の近くにいれば、たぶんに疎ましいと思うかもしれないような女性ハンナに扮しました。ですがハンナもまた、物語が進むごとに、孤高の映画作家ジェームズ・ホェールの唯一の理解者であることがわかってきます。すると、やはり“ハンナ”というありがちな女性像が、見る間にストーリーに大きな影響力を及ぼすようになるのですね。リンが登場するたびに、ハンナのキャラクターにぐんぐん奥行きが生まれ、底知れない深みでもって観る者の注意を捕らえます。ラストでは、ホェールの人生を看取った彼女が、実は彼にとっての“天使”だったのではないかとすら思えてくるのですね。

どんな“普通の人”の中にも、その人だけにしかない“何か特別なもの”は必ず存在します。日常生活の中に埋没してしまう私たち凡人は、そんな“自分だけの何か”に改めて向き合うことはありません。しかしながら、リンが映画の中で演じてきた多くの人物には、普段なら見過ごされてしまいがちな“特別な何か”が、何かの拍子にふっと表出する瞬間が必ずあります。彼女の演技には、無意識のうちにその瞬間を捉えて、あざとくならないギリギリのラインで美しく表現できる本能が備わっているのでしょう。だからこそ、一見地味なようでいて、彼女の演技と存在感は観賞後の余韻の中に色濃く残っていくのです。まるで、ふとした瞬間に鮮やかによみがえる、昔の懐かしい思い出のよう。
これは私の純粋な推測ですが、そうした彼女の慎ましさと、決してでしゃばらないしなやかな存在感は、“ヴァネッサ・レッドグレイヴの妹”という立場を、彼女自身が長い間演じてきた末に獲得した、彼女なりの俳優人生の結論だったのではないでしょうかね。私生活を犠牲にして女優として大成し、天上人になることを選択するのではなく、市井に根を張る“普通の”人々の中で暮らし、彼らの中に“何物にも換えがたい宝石”を見出す生き方。簡単なように見えて、その実、それはとても根気の要る人生であるといえるでしょうね。


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