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zoom RSS FBI 失踪者を追え!シーズン2―第13話「人生のルールと嘘」Without a Trace

<<   作成日時 : 2016/04/04 12:02   >>

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“自己啓発”というのは基本的に、自分自身が自分の頭で考えて出した結論に基づくものでなければ、意味がないと思っています。他人に指示されて、他人に誘導してもらっててめぇの人生が変わるぐらいなら、人生はもっと楽ちんでしょうよ。


ニューヨーク州、イースト・ハンプトン。自己啓発セミナー『ライフ・ルール』のカリスマ的講師ウィルが、宣伝用のCM撮影を行っている。彼はそのまま、ナイアガラで行われるセミナーへと向かっていった。『ライフ・ルール』の提唱する人生における座右の銘、「人生は運じゃない」という名文句を残して。
ところがその15分後、『ライフ・ルール』本社に別のリムジンが到着し、ウィルの右腕であるゲイリーは唖然とする。では先ほどウィルを乗せていったリムジンはなんだったのか。ウィルは謎のリムジンと共に姿を消した。

失踪後5時間経過。失踪者はウィル・スターリング33歳、そのカリスマ的魅力で相当数の受講生を集める、自己啓発セミナーの講師だ。彼が乗っていったリムジンは盗難車で、ここから16キロ先で乗り捨てられていた。彼は、セミナーの内部事情に詳しい者に誘拐された可能性が高い。

失踪後8時間経過。ウィルが、初めて撮影した宣伝CMで自分の半生を語っていた。いわく、彼の幼少時代は悲惨で、実の親によって里子に出された後は里親の間を転々とし、果てはドラッグや犯罪に手を染め、刑務所入りすることに。しかし、刑務所内の図書館で出会った自己啓発の本が天啓となり、出所後自ら自己啓発セミナーのビジネスを始め、6年後には大手のセミナーに成長させた。まさしくアメリカン・ドリーム。今までは口コミであるとか、ネット上でのビジネス展開であったが、今回全米制覇を目指してのCM撮影となったようである。
彼の誘拐は、その全米展開に反対する内部の者のしわざであろうか。スティーヴン・パインという元幹部は、ネット上でアンチ・ウィルサイトを作るなど、ウィルには相当の反感を持っていたようだ。ところが彼にはいまだに会社から給料が支払われている。きなくさい匂いがする。
また、誘拐に使用されたリムジン内部からは、血痕・指紋その他、一切合財が拭き取られてしまっていた。誘拐犯は金目当てのプロらしいが、残念なことにウィルの『ライフ・ルール』社は、経営が左前になっていた。彼の海辺の豪邸も借金の抵当に入っている。
ウィルの妻ヒラリーの証言。彼との魅力的な出会いを語り、彼がいかに意志の固い人間であるかを強調した。さながら、自身の提唱する『ライフ・ルール』を実践しているかのようだ。ところが先週深夜に自宅に電話がかかってきたときには、彼の様子が少し変であったという。彼は、相手はセミナーの受講生だとしか言わなかったが、受講生が自宅にまで電話をかけてくることなど今までなかったからだ。彼は面倒見が良すぎるところもある。今回の失踪は、彼に偏執的な想いを寄せるストーカーの犯行だろうか。
その深夜の電話の主がわかった。コリーン・マコーミック34歳、受講生。CMにウィルと一緒に出演していた女性である。彼女はハンドガンを携帯していた。しかも、なんと一日に8回もウィル宅に電話を入れていることがわかった。
ウィルのビジネスパートナー、ゲイリーの証言。ウィルが表に出て受講生を集め、彼は裏方として雑務をこなすという関係だ。ここ最近の経営不振は、ウィルが『ライフ・ルール』を実践して、収入をすべて“自己投資”に使ってしまうことが原因だ。スティーヴンを2週間前に解雇したのは、彼の講師に昇格したいという野望のためだった。スティーヴンはウィルのナイアガラ行きの日程をすべて知っていた。
早速聴取を受けるスティーヴン。彼によると、ゲイリーが彼をクビにしたのは、彼にNo.2の座を奪われると嫉妬したからだという。アンチ・サイトを作ったのは、彼らのセミナー商法が詐欺だとわかったから。やり口は典型的なマルチ商法だ。それでも経営が傾きかけているのは、経理に小細工を施しているからだろう。一番の問題は、社員でもないゲイリーの弟に、毎週5000ドルもの小切手を送っていることだ。その弟ポール・モスコヴィッツは、失業中の俳優という身分だが、現在はクリーヴランドにいるようだ。

失踪後15時間経過。クリーヴランドの病院。ポールは6年前からこん睡状態であった。しかも彼は黒人で、ゲイリーとは似ても似つかない風貌だ。病院の理事長アドラーは、ポールの後見人でもあった。ポールにかかる治療費は週1400ドル。ゲイリーから支払われる5000ドルとの隔たりはなんなのか。観念したアドラーはついに、彼の本名がウィル・スターリングであることを白状した。

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失踪後22時間経過。マーティンはゲイリーを問い詰める。ゲイリーの証言。カリスマ講師たるウィルの正体は、本名ポール・モスコヴィッツといい、ゲイリーの実の弟であった。ゲイリーとウィル改めポール兄弟の両親はチャリティ精神に富んだ人で、家には常に数人の里子がいたという。本物のウィルは2年ほど兄弟の家にいたが、麻薬と縁が切れず、6年前からこん睡状態に陥った。そのときゲイリーは、自身のセミナー・ビジネスに箔をつける方法を思いついた。アメリカ人は苦労人が成功する夢物語が大好きなのだ。セミナーの講師にカリスマ性をもたせるため、彼は売れない役者であった弟の経歴と、麻薬で人生を破滅させたウィルの経歴をそっくり入れ替えてしまったのだ。もちろん犯罪だが、人生一代の大芝居。彼らは病院の理事長も抱き込み、セミナー事業に乗り出したというわけだ。この真実を知る者はその3人以外にはいない。
コリーン・マコーミックの証言。彼女はウィルのおかげで、ひどい人生を豊かに変えることが出来た、と夢心地で語る。彼女はウィルを盲信している。ゲイリーが彼女のナイアガラ行きを勝手に取り消したため、怒りの電話をゲイリーにしていたのだ。
モスコヴィッツ家の里子であったリース・ランダルとカルロス・ゴンザレスは、現在でもポールと連絡を取り合っているらしい。彼らは二人とも矯正施設を出たり入ったりの生活だが。この二人の線からも捜査を進めることになった。
ポールが俳優として出演した3流映画のビデオが見つかった。それには、今回彼自身が誘拐されたのと全く同じ手口で、主人公の妻が誘拐されていくシーンがあった。ジャックは苦虫を噛み潰す。大根役者にしてやられたのだ。
マーティンがゲイリーを締め上げる。そこに、ポールを誘拐した犯人からの脅迫ビデオが届いた。犯人は、ポールを今回の事件の首謀者と呼び、“計画変更”だと言っていた。妻ヒラリーから事実が語られる。

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失踪後29時間経過。彼女によると、今回のポール誘拐事件はすべて狂言であったという。つまり、ポールは雇った誘拐犯とともに24時間どこかに潜伏し、犯人を『ライフ・ルール』のテクニックで、心を入れ替えるよう説得する模様をビデオに収める。もちろんハッタリだが、それが全米のニュースで放映されれば、『ライフ・ルール』セミナーは一躍全米中に知られるようになる。そうすれば会社の経営を立て直せる。それが目的だった。ヒラリーは、ポール一人で考えたというこの狂言誘拐を止めることができなかった。
ジャックはゲイリーの様子から、今回の誘拐騒動を裏で画策したのはゲイリーではないかと推測する。しかしゲイリーは、元々CM製作にも反対だった。ポールとウィルの入れ替わりがマスコミにばれてしまうからだ。ところがポールは、すでに自分を万能の教祖だと思い込んでいて、ゲイリーのアドバイスにも耳を貸さない状態だった。自分に従わないならクビだとまで吐き捨てる始末だ。ポールは元里子たち―リースやカルロス―と共に、今回の大芝居を打ったのだろうか。

失踪後31時間経過。カルロスが、ポールに宛てて助けを求める手紙を出していたことがわかった。目的は金。また、誘拐犯からのビデオに、ウッドベリーの地名がはっきり映っていることがわかった。カルロスの携帯電話の番号とウッドベリーが一致し、犯人のアジトはウッドベリーにあることが決定的となった。捜査チームは現場に踏み込む。しかしそこの地下室にいたのは、カルロスただ一人であった。

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失踪後33時間経過。カルロスの証言。彼はポールとは密に連絡を取り合っていた。ゲイリーに内緒で狂言誘拐事件を手伝うことになり、報酬として3万ドルもらうことにもなっていた。ところが彼は土壇場で恐ろしくなり、リースに応援を頼んだ。リースはポールとカルロスを裏切り、ポールを人質にとって、本物の誘拐事件にしてしまったというわけだ。リースはキレやすく、殺しも躊躇しない。となると、ポールの身が危ないことになる。

失踪後34時間経過。通話記録から、ここ3日ほどゲイリーがリースと頻繁に連絡を取り合っていることがわかる。リースはカルロスから、ポールたちが詐欺まがいのセミナーをやっていると聞き、ゲイリーをゆすろうと電話したのだ。そこで初めて狂言誘拐のことを知ったゲイリーは、セミナーの実態が暴かれることを恐れて、誘拐を逆手にとってポールを消そうとした。つまりゲイリーがリースにポール誘拐を指示したのだ。
捜査チームは、ゲイリーに鎌をかけることになった。彼にリースに電話するよう促す。リースの居場所を逆探知するためだ。ゲイリーは捜査官の目の前でリースに電話する。てっきりポール殺害の指示だと思っていたリースは、ゲイリーから早まったマネはよせと言われ、混乱する。直後リースからゲイリーに電話がある。それでゲイリーの犯行が明らかとなり、彼はあっという間に逮捕された。また、リースとポールが潜伏する場所もわかり、捜査チームが直行する。
そこで彼らが目にしたものは、リースがポールに“説得” されて、涙を浮かべている模様だ。ジャックたちはウンザリしながら、リース並びにポールに手錠をかける。ポールは自分の説得のパワーに得意げだが、彼は塀の中の住人となる。まさしく『嘘は隠し通せない』ということだ。

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『ライフ・ルール』の受講用ビデオ。廃棄される運命だが、ダニーはこっそりそれを持ち帰るのだった。


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10年以上前から日本でも問題になっている、“自己啓発セミナー”。現在でも、その詐欺まがい商法が様々な事件を引き起こしている状態です。私の高校時代のクラスメイトも、名前は伏せますが有名なセミナーに深入りしてしまい、結果今彼女の居場所は不明なのだそうです。無事であることを祈っていますが、こればかりはどうしようもありません。

さて、この自己啓発セミナーの起源は、実はアメリカだそうですね。その歴史と経緯について、詳しく解説してくださっているサイトによると、1960年代のヒッピー・カルチャーに乗って起こった“人間性回復運動”がそもそもの起源であるとか。要は、既成の概念からの“精神的解放”を目指そうという目的ですね。それが専門家たちの手を離れて大衆に浸透していき、市民レベルでサークル組織が作られるようになりました。当初は“互助会”的意味合いの強いものだったのですが、やがてこういった気運に学者たちまでが加わるようになり、非常に大きな組織に発展していったのです。それに、マルチ商法のセールスマンたちが目を付け、以降、自己啓発セミナーは詐欺まがい商法に関わる人間によって、大々的にビジネス化していくわけです。
ところが、アメリカでその非合法性が法律によって規制されると、彼らは国外に活躍の場を求めるようになりました。こうして、日本にも、マルチ商法と自己啓発が合体した怪しげな“セミナー”ビジネスが定着してしまいました。
当時も今も、彼らは、社会の荒波に乗り切れず、精神的に不安定になっている人たちの弱みに付け込み、甘い汁を吸い続けているのです。

今回失踪したウィルも、そうした詐欺まがいセミナーの講師であります。すごく興味深いのは、かつてのオウム事件のときもそうだったんですが、冷静に考えれば“どうしてこんな人を信用できるんだろう”と思える人間が、カリスマ教祖としてあがめられる事実です。また、今エピソードでも描写された、自己啓発セミナーが何も知らない人々を飲み込んでいく、そのビジネス・テクニックの過程も恐ろしいですね。
人生に敗北感を抱いて、自分に不安や不満を持っている人たちは、きっとわらにもすがる思いでこうしたセミナーに大金をつぎ込むのでしょうが、その実態は多分“集団ヒステリー”心理でしょうね。
オウムの“修行”システムにも応用されていたそれは、密閉された空間に複数の情緒不安定な人間を押し込め、ある種の緊張状態を強いるというもの。そこに教祖様を登場させれば、ただでさえ苦痛な緊張状態に耐えられない弱い人たちは、その救世主が、実は怪しげな風貌を持つ、単なる犯罪者であるという事実も見えなくなってしまう。
自分の内面の弱さを肩代わりしてくれる人間が現れれば、人間誰しも縋り付きたくなるものです。本来人間の自我は、プレッシャーに弱いものですからね。外界からの様々な刺激から自我を守るよりも、いっそのこと自我そのものを捨て去って、与えられる拠り所に寄りかかるほうがはるかに楽です。
第2次世界大戦の時代に、その“集団ヒステリー”を国家レベルで応用した人物が、ヒトラーといえるでしょう。彼は圧倒的なカリスマ性をもってすれば、人間の自我を自在に操ることができることを知っていました。一旦、人心を恐怖とカリスマで把握してしまえば、後は自分がなにをしようと民衆は盲目的についてくるのだ、ということも。ポールは偽りの経歴、偽りのカリスマを演じるうちに、自分が本当に現代に生きる救世主だと勘違いするようになりました。ゲイリーが苦し紛れに言っていた、「僕は怪物を創りだしてしまった」という言葉は、あながち的外れではなかったのでしょう。
人間が不完全な生き物である限り、“小さなヒトラー”は生息し続けるでしょうし、それの実態を判ろうともしないで楽に隷属しようとする“弱き民”も後を絶たないでしょう。この点にこそ、自己啓発セミナーのそもそもの問題があるように思います。今回ポールは、カリスマ人間特有の自信過剰が裏目に出て刑務所行きになりましたが、この根本的な問題が解決されない限り、第2、第3のポールは生まれ続けるのでしょうね。そして、複雑化する現代社会で途方にくれる人間が、“大衆”を形成している以上、結局問題はひとつも解決されないわけですね。



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